超天災脳筋美少女(偽) 作:TSCのミメシス
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対象データ
■■■■フ■■/■■■■■
■■■で■■■ペロロ■■■■■■■■
■■■■へペロロ■■■■に
き■■■■■楽■■■■■■
■■■■■は■■■■す
ど■■■■に
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「おや、うまく読み取れませんね。それに過去一番の頭痛が……怪異の類についての情報など、知らない方が幸せなものが大半でしょうし、負荷が大きいのでしょうか」
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能力の制限
使用者の処理能力不足により思い出す情報は制限される
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「やはりですか……初日と同じ説明なのでしょうが、表現に遠慮がなくなっていますね。交流の成果と思っておきましょう」
そんなことを言いながら痛みに片手で頭を押さえるアマリの様子を見て隙ありと判断したのか、飛びかかってくる等身大ペロロぬいぐるみ。
「美少……」
「ぺろぉ~」
「おおお~っ」
「む……厄介な」
再び殴り飛ばそうとしたところで、左右の目が別々の方向を向き、舌を出したスケバン*1とメイドさんが拘束しようと迫ってきているのに気づき、その場から飛び退く。
うら若き乙女にこんな酷い顔をさせるとはとんだ不届き者の特異現象だ、と憤りつつも、傷つけるのが憚られる存在がふたりがかりで邪魔してくる現状ではなかなか攻撃に転じられない。
「困りましたね。大見栄きったわりに得られたものは頭痛のみ。これでは洗脳の解除方法もわかりません……」
突撃を躱すうちに、気づけば4者の位置は窓を背にしたアマリをスケバンとメイドさんが左右から、ペロロが正面から追い詰めるように取り囲む形になっている。
相変わらず情報は全知さんでも読めないが、なんとなく嫌な予感がして”掴まれる”ことは避け続けてきたものの、この位置取りでは完全に躱すのは難しそうだった。
飛び越えようにも、天井はそう高くない。相手にも跳ばれれば手が届いてしまう。
次に突撃されれば、ふたりのうちどちらかを攻撃しなくてはならないだろう。
「やるならまあ……かわいそうですが、スケバンさんの方ですかね。ふむ……窓は、開きませんか」
後ろ手に窓のロックハンドルを動かそうとしてみるが、何か不思議な力で押さえつけられているようで、アマリの妙に有り余っている力をもってしても開けることがかなわない。
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対象データ
■か■い■■■■
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動■ぬい■るみと同様の力■作用している。
念動力の一種。窓■開こうとす■力を抑■込む際、■■■エネルギーを消■している
洗■と念動力■エ■ルギー源は共用
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「直接ではなく、影響を受けているものに対してであれば。ある程度読めますね。素晴らしいですよ全知さん。助かりました。突破口はここにありそうですね」
「「ぺろぉ~」」
「……ペロ」
とうとう追い詰めた、と言わんばかりに逃げ場をできるだけ減らすように大きく腕を広げて迫る3者を目の前にして、アマリは微笑んだ後、
一見すればパニックに陥って空かない窓に縋りつくホラー映画の一幕のようだが、それはその行動をとるのが犠牲者の役割を持つ一般人である場合の話だ。
ここにいるニセ美少女エルフは、逸般人であった。
「腕相撲と行きましょう」
「ペロッ!?」
ガチャガチャガチャガチャ、と凄まじい勢いで開かれようとするロックハンドルを、不思議な力が抑え込む。
両者の力はほぼ拮抗しているが、開こうとする力のほうがやや押しているようで、少しずつハンドルが”開”の側へ回転していく。
これ以上はさせまい、とばかりにふたりと一匹がアマリに背後から掴みかかり、腕をロックハンドルから引きはがそうとする。
アマリが警戒していた”掴まれる”状況。しかも3方向から。
懸念していた通り、その瞬間から意識を塗りつぶさんばかりの”暖かな光”がアマリの全身を包み込む。
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プロフィール
明星ヒマリ(偽)/■■ ■■■(幽霊)
ミレニアムサイエンススクール3年生、明星ヒマリの姿を模した特異現象。
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モモフレンズのペロロをこよなく愛しており、今夜行われるモモフレンズのライブイベントを心待ちにしている
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「ふざけた顔をして……想定より、かなり強烈な……干渉ですね。これは……」
暖かな光――当然、幻覚や錯覚の類だろう――の中、全知さんを通して客観的に認識していなければ違和感ごと塗りつぶされていたであろうほどの力。
「ですが、
「ペロ?」
「ウオオオオオオオオオオオオーッ!!*2」
先ほど全知さんが窓から読み取った情報によれば洗脳と念動力のリソースは同じ。であればアマリを洗脳しようと力を割いてしまえば、ただでさえアマリ有利だった力比べの結果がどうなるかは、明らかであった。
さらにペロロぬいぐるみを直接見たときには読み取れなかったその情報は、干渉を受けている窓の方を調べることで得られた。
ということは洗脳についての情報も、洗脳を受けた者のサンプルが増えるほどより詳細に集まる。
故に掴まれる事を厭わずロックハンドルを開く事へ全力を傾ける。
当然、駆け引きにもなっていない、単なる自殺行為だ。
それをアマリは借り物のアイデンティティへの強烈な執着で一時的に上塗りしなおす事で無理やり成立させた。
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プロフィール
当ビル内に留まる限り、力の干渉を受け続ける。
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「まあそういうものと相場が決まっていますよね。無理にでも窓を開けて正解でした。さあおふたりとも、ライブ会場へ急ぎますよ! 掴まっていてください!」
「ぺ、ぺろぉ~」
「おおおお~っ」
「ああ、
「べもっ!」
開いた窓を閉じようと再び念動力が作用するが、アマリが身をねじ込んでそれを阻止。
掴みかかってきている3者のうちペロロぬいぐるみだけを後ろ蹴りで引きはがすと、言われた通り掴まってくるふたりを手で支えつつ窓から飛び出した。
直後、暖かな光は消え去り、一行は正気を完全に取り戻した。
「……へっ? ここは、外? 窓の? あっ 落ち……キャアアアアアア!?」
「おお!? おおお!? なに……おいアマリ!? アマリぃ!?」
「頭痛の酷い頭によく響く悲鳴ですねぇ……」
状況を把握しているアマリはともかく、他ふたりの反応はといえば、当然大パニックだった。
訳もわからず暴れようとするふたりをしっかりと保持しながら飛び出してきたビルの壁と隣のビルの壁とを交互に蹴って勢いを殺しながら落ちていき、キヴォトスの生徒であれば大したことがない程度の衝撃で済ませつつ着地した。