転生者達はこの先生き残れるのか!《大怪獣戦車バトル》   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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大衆車に向けて

 ヨーロッパ全土を巻き込んだ戦争が終わり、各国は戦争の傷を癒すために復興が始まっていた。

 

 ドイツが賠償金支払いで苦心しているため、アメリカがドイツに融資し、ドイツは技術を担保にお金を借りた。

 

 そして借りたお金で戦場となった地域復興や賠償金支払いに充てられ、戦勝国もドイツからの賠償金で一息つくことができた。

 

 アメリカ経済に頼ったサイクルであるが、今のドイツ単独で賠償金支払いをできる能力は喪失していたため仕方がないことであろう。

 

 フランスは予定通り金本位制から脱退し、管理通貨制度に移行。

 

 これにはイギリスから猛反発を受けたが、黙殺し、フランス経済は復興特需に合わせて好景気に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「復興で重機が売れるのは分かるが、トラックも良く売れるな」

 

「物流が馬に頼るのを辞めたことと、トラックに相応しい馬力のエンジンが開発できた事が大きいでしょう」

 

 幻想会の経済部門の人々がそう言う。

 

 戦争終結を見越して幻想会に所属する企業達はいち早く民需品に生産ラインの切り替えを行い、兵器の過剰生産量で経営を圧迫するのを避けることに成功していた。

 

 それに戦争による技術進歩で合成ゴムの開発に成功したり、化学繊維の開発にも成功しており、石油産業は活性化。

 

 化学産業もドイツに遅れを取っていたが、戦争による技術奪取でドイツに何とか追いついた状態である。(他国からしたら2歩くらいリードしているのだが)

 

 なので合成ゴム、化学繊維、そして新合金などを次々に特許申請を行い、技術での優位性を確立しようと躍起になっていた。

 

 戦争終結してから技術や経済面での戦争は続いており、特にイギリスやアメリカに経済規模で負けていたので盛り返すのに力を入れていた。

 

「しかしこれで本業の方に力を入れられますな」

 

「ええ、民需品の製造の方が儲かりますからね」

 

 製造を縮小していた民需品も再開し、各工場は活気づいていた。

 

 しかし幻想会に参加している者達はこの好景気が短期間で終わることを知っていた。

 

「生産方式を変更しないと経営に打撃を受けることになりますか……やれやれ、何も知らない者達が羨ましい」

 

「何も知らない者は勢いよく破滅に突き進みますからな……まぁ知っている故にやることが多いのも事実ですが」

 

「金が回っているうちに植民地に経済の基盤を作りませんと不況で金が回らなくなりますよ」

 

「一番の候補はアルジェリアですが……将来の治安崩壊を考えると」

 

「アルジェリアに住むフランス国民には悪いですが切り捨てますよ。アルジェリアと泥沼の戦争をする気はありませんからね」

 

「やれやれ、植民地というのは金がかかる。早く独立させて経済連携を結んだ方が良いのに……」

 

「景気の良い話をしましょう。日本人転生者待望の日本料理屋がパリにできました。店主も前世でホテルの料理長をしていた方で、和洋であればどんな料理も作ってくれます。少々高いですが、日本料理を楽しむことができるでしょう」

 

「おお、それは良いニュースだ。フランスも美食の国だが、日本料理が恋しくなることも多かったからな」

 

「私も前世日本に旅行した時に食べたお好み焼きが美味しかった思い出があります」

 

「俺は寿司だな」

 

「寿司は鮮度の問題で難しいのでは?」

 

「玉子寿司でも良いから食いたいなぁ」

 

「それはわかる。北欧からサーモンを取り寄せてサーモン握りはできるんじゃないか?」

 

「サーモンは完全養殖しませんとな」

 

「あとはウナギのかば焼きが食いたい」

 

「イギリスに行った時にウナギゼリーを食べましたが……あれはきつかった。かば焼きを知ってるだけに冒涜かと……」

 

「あぁ私からも、少量ながら私が経営している農園で米を作りましたので希望者には売ることができるくらいには生産しましたが」

 

「米が食えるのか!」

 

「ええ、日本の米は水っぽくてパエリア等に向かないので避けられがちですが、今回作ったのは日本の品種を使った米を炊いて白米で食べる事を目的としていますので、イギリスから流れてきたカレーと合わせて食べるのも良いでしょう」

 

「そう言えば日本式のカレーを布教しているメーカーがあったな」

 

「カレーといえばインスタントだが、インスタント食品も将来の市場規模を考えると参入しても良いのではないか?」

 

「確かに……インスタント食品の需要はあるな……研究してみよう」

 

「最初はパスタの具材からの方が良いんじゃないか」

 

「確かに……なじみのある食材から作った方が良いな」

 

 料理について盛り上がった経済界であるが、次の話題に移る。

 

「何でも戦争の混乱で赤い文化爆弾ことレーニンがロシアに帰還したと聞いたが」

 

「軍も政界もロシア共和国支援に武器を輸出しているが、ソ連が誕生する可能性も考えなければならんな」

 

「派兵は?」

 

「一応最低限はするらしいが、直ぐに撤退させる予定だ。ロシア内戦にどっぷり浸かるのは破滅行為だからな」

 

「フランス経済も盤石とは言いづらいですからな」

 

「ゲームみたいに工場が倍々に増えていけば最高なのですがね」

 

「実際には経済と景気に連動した工場しか作れないからな。できるのは工場の効率化……全く……まぁドイツが復活する前に我々は次なるステージに進みませんと」

 

 シャルルが立ち上がり発言する。

 

「自動車産業からでここで戦車製造で手を組んだ様にもう一度手を組みませんか?」

 

「ほう?」

 

「大衆車の製造を始めたいと思います。そのためのノウハウは各社十分に蓄積したでしょう」

 

「ふむ……シェル1型エンジンを使えば可能でしょう。どんな車を?」

 

「ルノー・4で良いでしょう。フランスで一番売れた自動車ですし、早期開発から徐々に値段を下げていけば5年後には大衆車たりうる値段に落ち着くでしょう」

 

「となるとルノーが主導で良いかな?」

 

「ええ、ただ開発には各社が関わり、ルノー・4をベースに各社でマイナーチェンジバージョンを作るのでどうでしょう」

 

「共同企画ってやつか……面白い。更なる自動車産業の普及にも必要だろうな」

 

「大衆車とは別に植民地に輸出する自動車開発もしなければなりませんがね」

 

「植民地となると安価でとにかく頑丈、そして積載量が多い自動車になるな。あと悪路でも進める走破性か」

 

「それも共同企画で進めるか? 良い研究になるだろう」

 

「それも良いですね」

 

 シャルルの提案に自動車業界は同意し、大衆車と植民地向けの自動車開発が始まるのだった。

 

 

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