ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

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第十話 最初のダンジョン

 

 

 

 ジャイアントスパイダーとの激闘を終え、真人はその魔石を手にしていた。蜘蛛のモンスターから生み出されたそれは、暗い青白い光を放ち、不思議な脈動を感じさせる。

 

「これが…魔石」

 

 玲奈が側で慎重に言葉を選びながら説明する。

「お兄ちゃん、それ、ただの石じゃないよ。膨大なマナが凝縮されてる。多分、すごく重要なものになるはず」

 

 真人はその言葉を聞きながら、再び胸中に湧き上がるあの感覚を覚えた――目の前が歪み、不思議な空間が広がっていく感覚だ。

 

 

 

 気がつくと、またしても真人は青白い光の粒が漂う不思議な空間に立っていた。視界の前には透明なディスプレイが浮かび上がり、文字が現れる。

 

 ダンジョンコアの生成が可能です。魔石を投入してください。

 

「ダンジョンコア…?」

 

 真人は手にした魔石を眺め、それを示された台座にそっと置いた。魔石は青白い光をさらに強く放ち、空中に浮かび上がる。次第にそれは球状へと変化し、異様な存在感を持った「ダンジョンコア」として完成する。

 

 玲奈が興味深そうにディスプレイを見つめながら口を開いた。

 

「お兄ちゃん、これがダンジョンの核になるんだと思う。これをどこかに設置して、ダンジョンを作れるんじゃないかな」

 

 真人は迷いながらも頷く。

 

「問題は、どこに作るか…だな。」

 

 

 

 真人の脳裏には、渋谷の惨状が浮かんでいた。混乱し、モンスターに襲われた人々。あの街は今、避難地区となっていて人が少なくなっている。一度モンスターが発生しているから、ダンジョンにも早急に対処してくれるだろう。

 

「玲奈、渋谷に設置するのが良いと思う。あそこならダンジョンの管理に本腰を入れてくれるはず」

 

 玲奈は少し考え込むように視線を落とし、やがて頷く。

 

「分かった。でも、ダンジョンって人にとっては危険な存在だよ。バレたらただじゃ済まないかもしれない」

 

「それでもやるしかないんだ。マナの濃度を下げるには、こうするしかない」

 

 

 

 ディスプレイにはいくつかの選択肢が表示される。

 

「設置可能なダンジョンのタイプを選択してください」

 

  1. 「簡易ダンジョン」

 規模が小さく、モンスターの数も少ない。最奥にいるボスを倒すと消滅する。

 

  2. 「永続ダンジョン」

 ダンジョンコアを中心にモンスターを生み出し続ける。最奥のボスを倒しても消滅しない。

 

「永続ダンジョンだな」

 

 真人が選択すると、ディスプレイにさらに詳細が表示される。

 

「コアの生成に使用された魔石からダンジョンを構築」

 

「蜘蛛の巣」

 ジャイアントスパイダーに基づく、蜘蛛型モンスターを中心としたダンジョン。

 

 

「蜘蛛の巣か…ジャイアントスパイダーの魔石が元だからか」

 

 玲奈も同意するように頷いた。

 

 

 

 渋谷の一角、既にモンスターの被害で立ち入り禁止区域となっている場所を選び、真人はダンジョンコアを配置する。

 

 地面がわずかに振動し、コアから青白い光が溢れ出す。その光は周囲の空間に染み渡り、次第にダンジョンの入り口が形成されていく。

 

 入り口は巨大な蜘蛛の巣を模した形状で、薄暗い空間の中に糸が無数に張り巡らされているのが見える。

 

 玲奈が感心したように声を上げる。

 

「本当にできたんだ。これが、永続ダンジョン…」

 

 真人はその光景を見つめながら、小さく息を吐いた。

 

 玲奈が心配そうに彼を見つめる。

 

「でも、お兄ちゃん。これを作ったのがバレたら…」

 

「分かってる。でも、この力を使わなければ、俺たちはこの世界で生き残れない。マナを消費するにはダンジョンを管理していくしかないんだ」

 

 玲奈は少し不安げな表情を浮かべながらも、最後には小さく頷いた。

 

「分かった。でも、私も手伝うからね。全部お兄ちゃん一人で抱え込むのはダメだよ」

 

 こうして、神崎真人は渋谷の地に初めての永続ダンジョンを設置した。これが、後に世界を変える最初の一歩となるのだが、彼自身はまだそれを知らない。

 

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