ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

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第十一話 政府の対応

 

 

 

 渋谷でのモンスター出現事件は、多くの犠牲者を出しながらも、最終的には自衛隊の介入によって沈静化した。しかし、それは終わりではなく、新たな問題の始まりだった。

 

 

 

 翌日、政府は緊急対策会議を開いていた。総理大臣を中心に、関係各省の大臣、自衛隊、そして科学者たちが集まり、渋谷での事件に関する情報を共有している。

 

「報告によれば、渋谷では未確認生物…いわゆる“モンスター”が多数出現し、大規模な被害をもたらしました。これまでの調査で確認された死者数は500名以上、負傷者は数千名に上ります」

 

 官房長官が報告を読み上げる中、室内には緊張感が漂っていた。

 

「それらのモンスターはどこから現れたんだ?」

 

 総理が問いかける。

 

 防衛大臣が顔を曇らせながら答える。

 

「現場付近に奇妙な“ゲート”の出現が確認されています。それが原因だと思われますが、詳しいことはまだ分かりません」

 

 科学技術担当大臣が続ける。

 

「ただ、一つ確実なのは、この“ゲート”から溢れ出たものは既存の生物ではないということです。これまでに確認されていないDNA構造が確認されました」

 

「では、その“ゲート”は今どうなっている?」

 

「…消えました。ただし、いつ再び開くかは分かりません」

 

 総理は険しい表情を浮かべた。

 

「つまり、渋谷のケースは単なる始まりでしかない可能性があるということか」

 

 防衛大臣が頷きながら資料を開く。

 

「その可能性が高いです。自衛隊によるモンスターの掃討は成功しましたが、これらの個体を倒しても次々と出現するのでは意味がありません。我々はこの“ゲート”の仕組みを解明し、封鎖する方法を見つけなければなりません」

 

 総理は席を立ち、会議室を見渡す。

 

「これは、明らかに我が国に対する脅威だ。科学者たちと自衛隊の協力体制を強化し、早急に対応策を講じる。国民に不安を与えないよう、情報管理も徹底すること」

 

 会議室内の全員がその命令に頷いた。

 

 

 

 その日の夜、テレビを通じて総理が声明を発表した。

 

「昨日、渋谷で発生した事案についてお伝えします。未確認生物が多数出現し、多くの方々が被害を受けました。まずはこの場を借りて、犠牲者の方々に哀悼の意を表します。政府は全力で事態の収束に努め、再発防止に向けて対策を講じています」

 

 声明では詳細を伏せつつも、未知の脅威に対応していることが示され、国民の冷静な対応を呼びかけた。

 

 

 

 しかし、その数日後、渋谷で新たな事態が発生する。真人が設置したダンジョンの入り口が発見され、自衛隊と警察の合同調査隊が派遣されたのだ。

 

 入り口に到着した隊員たちは、その異様な光景に驚愕した。

 

「…これはなんだ?巨大な蜘蛛の巣か?」

 

 隊員たちは慎重に中に足を踏み入れたが、すぐに小型の蜘蛛型モンスターが現れ、応戦を余儀なくされる。

 

「敵だ!迎撃しろ!」

 

 銃火器を使用してモンスターを撃退するも、ダンジョンの内部構造や生成され続けるモンスターの仕組みに困惑する。

 

「報告!この場所、どうやら自然にできたものではなさそうです。まるで人工的に設計されたような構造です!」

 

 この報告が政府に届き、渋谷のダンジョンがただの災害ではなく、何者かの意図で作られた可能性が浮上する。

 

 

 

 一方で、真人はダンジョン設置後の様子を不思議な空間の力を介して観察していた。

 

「お兄ちゃん、自衛隊の人たちがダンジョンの中に入ったみたい。でも…すごく警戒してるよ」

 

「俺みたいな一般人でも攻略出来たんだ。永続ダンジョンは規模が大きいけど自衛隊ならすぐに踏破できるだろう」

 

 玲奈が小声で囁くように言う。

 

「でも、今はまだダンジョンがどういうものかも分からないはず。慎重に進むだろうから時間が掛かると思うよ」

 

 真人は決意を込めて頷いた。

 

「それなら、注目が渋谷に集まってるうちに次の手を考えよう。渋谷だけじゃなく、世界中で同じことをやらなきゃ、このマナの暴走は止められないからな」

 

 世間の注目が集まる中、真人はさらに計画を進めるチャンスでもあると感じていた。

 

 

 

 渋谷に設置されたダンジョンは、その独特な雰囲気と、そこから漏れ出るモンスターの気配によって、瞬く間に人々の注目を集めることとなった。

 

 

 渋谷の一角に突如として現れた巨大な蜘蛛の巣のような入り口。その内部から低い振動音と、不気味な雰囲気が漂っている。調査に入った警察官が突然現れた小型の蜘蛛型モンスターに襲われ、負傷したことで、すぐさま現場は自衛隊によって封鎖されることになった。

 

 

「渋谷の一帯は現在、立ち入り禁止とする。これ以上民間人が被害を受けないようにすることが最優先だ!」

 

 指揮官が部隊に指示を飛ばし、ダンジョンの周辺は装甲車や武装した自衛官で厳重に警戒されるようになる。

 

 

 

 一方、渋谷事件の時に倒されたモンスターから回収された「魔石」は、科学者たちの間で大きな話題となっていた。

 

「これが…モンスターの死体が消えた後に残っていたものか」

 

 試験管に収められた青白い光を放つ魔石を見つめる研究者たち。解析を進める中で、彼らは驚くべき事実を発見する。

 

「魔石は、従来の化石燃料では到底及ばない高密度のエネルギーを内包している」

 

 魔石は、莫大な量のエネルギーを生み出せる可能性を秘めていた。この発見は瞬く間に政府中枢に伝えられる。

 

「魔石はクリーンな次世代エネルギーとして利用できる可能性が報告された。これを活用できれば、エネルギー問題の大半を解決できる」

 

 内閣の会議室では、科学者や自衛隊関係者が集まり議論を交わしていた。

 

「だが、それを確保するためには、この“ダンジョン”とやらを管理する必要がある。モンスターの発生も含めてリスクが高すぎる」

 

 

 

 渋谷のダンジョンに対する政府の初動は迅速だった。以下の対応が即座に行われる。

 

  1. ダンジョン周辺の封鎖

 渋谷の一帯を完全封鎖し、民間人の立ち入りを厳禁とする。交通網も規制され、多くの市民が混乱する。

 

  2. モンスター討伐の試行

 自衛隊による初めての「ダンジョン探索」が行われる。このために編成された部隊が内部へ侵入し、出現するモンスターを制圧しながら進み、最奥を目指す。

 

  3. 魔石の回収と研究

 討伐されたモンスターから回収された魔石は即座に研究施設に送られ、そのエネルギーを実験的に利用する技術が模索される。

 

 

 

 一方、封鎖された渋谷の状況に対して、メディアや世論はさまざまな憶測を飛ばしていた。

 

「突然現れた“ダンジョン”と呼ばれる現象は、一体何なのか?」

 

「政府が情報を隠しているのでは?」

 

「モンスターの正体は? 渋谷はもう戻れない場所になるのか?」

 

 SNSや掲示板でも、目撃情報やモンスターとの遭遇談が拡散され、人々は恐怖と好奇心の間で揺れていた。

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