ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

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第十四話 ダンジョンと魔王?

 

 

 中級ダンジョンで様々なモンスターを倒し、それなりの数のダンジョンコアを作成し、そろそろ行動しようとした頃にそれは起きた。

 

「よし、これで50個目。玲奈、そろそろダンジョン設置を始めようか」

 

「そうだね、日本の立場もヤバそうだし」

 

 ダンジョンが日本の渋谷にしかない状況で魔石やモンスター素材の有用性に関する情報が漏れたことで各国からの圧力が高まっていた。このままでは、人間同士の争いに発展してしまいかねない。

 

 そんな状況を変えるために世界にダンジョンをばら撒こうとした矢先にニューヨークでモンスターが溢れた。

 その数日後、今度はパリがモンスターに襲われた。

 

 

「これが環境激変か…なぁ、玲奈、ニューヨークもパリも軍隊が出て、すぐに鎮圧したみたいだし、これなら人類は環境激変を乗り越えることが出来るんじゃないか?」

 

 真人の希望的観測を玲奈は鎮痛な表情で否定する。

 

「無理だよ。今、起きているのは環境激変の予兆でしかない。本番はまだ始まってもいないの」

 

「これで本番じゃないのか?」

 

「過去の大量絶滅の時だっていきなり変化があったわけじゃない。最初は局所的に小さな変化があるだけ。それが少しずつ増えていって、ある日突然、破滅的な変化に繋がるの」

 

「じゃあ、今のこれは…」

 

「局所的魔物災害《モンスターハザード》…このままマナが増え続ければ世界各地で同じことが起きる。その行き着く先は…」

 

「世界を埋め尽くす勢いでモンスターが発生する破滅的魔物災害《モンスタークライシス》か…」

 

「……うん」

 

「計画を進めないとな。でも、モンスターの被害が出ている以上、ダンジョンを設置する姿を見られたらまずいことになる」

 

 真人は手元の素材を見つめた。モンスターから得た素材はまだいくつか残っている。彼は「マナクラフト」を再び起動し、武具以外の選択肢を模索した。

 

 クラフト可能アイテム

  •フード付きマント(隠匿効果付与)

  •マスク(音声変調効果付与)

 

「これなら、俺の顔を隠せるし、声も変えられる……」

 

 

 完成した装備を試着してみた真人は、鏡を見て呟く。

 

「これで俺だとは思われないな……だけど、まるで悪い魔法使いみたいだ」

 

 玲奈が苦笑する。

 

「怪しいけど、これが最善だと思うよ。バレるよりはいいし……ダークヒーローに見えなくもないよ?」

 

「なんで疑問系なんだよ」

 

 真人も苦笑で返した。

 

 

 

 ディスプレイには「ダンジョン設置候補地域」として、世界中の主要都市がリストアップされていた。ニューヨーク、ロンドン、上海……どの都市も多数の人口を抱え、マナの消費には最適だった。

 

 真人は考え込む。

 

「渋谷に続くダンジョン……次はどこがいいかな」

 

 玲奈が提案する。

 

「渋谷と同じくらい注目される場所がいいんじゃない?今ならニューヨークとパリとか」

 

「そうだな、すぐにダンジョンに潜って調査してくれるだろうし」

 

 ディスプレイ上で「ニューヨーク」を選択すると、不思議な空間に大量のマナが渦巻き始めた。そして、青白く光るゲートを形成していく。

 

 真人はローブ姿でゲートを潜り、その先にあるニューヨークにダンジョンコアを設置する。

 こうして、世界各地を赴き、新たに50のダンジョンが生まれた。

 

 各国は新たに出現したダンジョンの調査に夢中になり、狙い通り日本への圧力は解消された。

 

 ただ、全てが思惑通りになったわけではない。これだけ動いたのだから、やはり綻びは出てしまう。いくつかの都市でダンジョンを設置する姿が路上の監視カメラに映ってしまっていたのだ。

 

 真人が正体を隠すためにフードを被っていたことで、ひとまず自身や家族に危険が及ぶことは避けられた。

 しかし、ダンジョンを作る存在がいるという情報が拡散することはもう止められない。

 

 

 ダンジョン設置から数週間後、世界中のネット上である噂が急速に広がり始めていた。

 

「路上監視カメラに謎のローブ姿の人物が映っている!」

 

「奴が地面に何かを置くとダンジョンができてた。ダンジョンを作ってるのは奴だ!」

 

 SNSや掲示板はその話題で埋め尽くされ、動画や写真が次々とアップロードされていく。

 

「見ろよ、こいつが例のローブのやつだ!」

 

「ダンジョン設置の瞬間を映したって本当か?」

 

「モンスターで人類を攻撃するためにダンジョンを作るなんて、これは魔王だろ!」

 

 中には加工された画像や悪ふざけも多かったが、一部の映像には明らかに真人の姿が映っていた――顔はマスクで隠され、フード付きマントで全身を覆っているが、設置の瞬間を捉えた動画は否定しようのない証拠となっていた。

 

 玲奈が掲示板を見ながら険しい表情で言った。

 

「お兄ちゃん、これヤバいよ……完全に注目されちゃってる」

 

「これ以上注目されるわけにはいかない。しばらくは大人しくしていないとな」

 

 玲奈が頷く。

 

「でも、何もしないでいるのは難しいよね。世界中に設置したダンジョンがどうなるか分からないんだもん」

 

「分かってる。だから、もし俺が追い詰められたときのために……別の手段も考えておこう」

 

 真人はフードとマスクを手に取りながら、静かに呟いた。

 

「俺が敵だと思われてもいい。けど、この世界を守るために、俺は絶対に止まらない」

 

 そして、世界中の注目を浴びながらも、真人のダンジョン設置計画は着実に進行していった。

 

 

 

 掲示板の反応

 

 

【速報】ダンジョンを作ったのはローブの人物!?【魔王か?】

 

  1. 名無しさん:

「渋谷のダンジョンも、このローブ野郎が作ったので確定だな」

 

  2. 名無しさん:

「人を襲うモンスターを生み出しているダンジョンを作るとか、 完全に魔王だろこれ」

 

  3. 名無しさん:

「いや、モンスターの討伐で手に入る魔石とか素材ってすげぇ物らしいし、敵とは限らないだろ?」

 

  4. 名無しさん:

「お前、それ、渋谷事件の被害者遺族の前で言えるの?」

 

  5. 名無しさん:

「ダンジョンを調べている自衛隊からも犠牲者が出てるって聞いたぞ」

 

  6. 名無しさん:

「正体を暴くべきだな。誰か監視カメラから追跡できないのか?」

 

 

 モンスターによる被害が出ているため、ネガティブなコメントが多くを占めた。

 世界の敵、魔王というイメージが広がっていくことになる。

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