ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

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第十七話 増加するダンジョンと規制

 

 

 

「増えてきたな……」

 

 神崎真人は、自室でダンジョン関係のニュースを眺めながら呟いた。

 

 自衛隊が発見したダンジョン攻略のノウハウは政府に報告され、やはり各国へと流出していった。

 そのため、渋谷ダンジョンに続くようにダンジョン制覇を発表する国が増え始めた。

 

 真人がこれまでに設置したダンジョンは、すでに世界中で50を超えている。それに伴い、マナの消費も確実に増えていた。だが、ダンジョン増加による社会混乱は避けられず、渋谷ダンジョン制覇の報道以来、「ローブの人物」が掲示板やSNSで魔王として話題に上がることが増えていた。

 

「このままだといずれ追跡される可能性があるな……」

 

 真人は不安を感じつつも、同時に新たな案を思いついていた。

 

「なら、直接自分が動くのはやめればいい。自分を見られるリスクをゼロにして……人形にやらせればいいんだ」

 

 真人は、自身のスキル「マナクラフト」を駆使し、新たな創造に取りかかった。

 それは自分の意識を移して操ることのできる人形、いわゆる「パペット」だった。

 

 用いる素材は、これまで簡易ダンジョンで集めてきたモンスター素材と魔石。外装には黒い布地を貼り合わせ、ローブの姿を模倣。さらにフードを深く被せたデザインに仕上げた。

 

「見られたとしても、これなら誰も人間だとは思わないだろう。むしろモンスターがダンジョンを作っていると勘違いしてくれる」

 

 最終的に完成した人形は真人の身長とほぼ同じ大きさで、まるでフードを被った怪物のような不気味さを放っていた。

 

「よし、テストだ」

 

 真人は不思議な空間に入り、作りたてのパペットに意識を移す。

 

 人形の視界が開け、真人はその感覚に驚いた。

 

「なるほど……少し違和感はあるけど、十分動けそうだな」

 

 試しに軽く跳び上がると、まるで本物の自分の体のように軽やかに動けた。手にしたダンジョンコアの使用してのダンジョン設置も問題なく出来そうだ。

 

「これなら、ダンジョン設置にも使えるし、場合によっては戦闘にも対応できる」

 

 

 翌日、世界各地で設置された新たなダンジョンが再び話題となった。そして、いくつかの監視カメラが「フードを被った怪しい人影」をとらえたことで、再びSNSや掲示板で広まり始める。

 

「またあいつだ!」

 

「あいつが映った場所には必ず新しいダンジョンがある。もう違いない!」

 

「やっぱり魔王じゃないか!」

 

「形は人間に見えるけど……ローブの中でわからないな。やっぱ、モンスターなのかな?」

 

「俺は、モンスターであることを願ってるよ。もし、人間だったら渋谷事件を起こしたクズ野郎だぞ!」

 

 フード姿の「ローブの人物」は、ますます謎の存在として注目を集めていく。

 

 

「これ、本当にうまくいくの?」

 

 真人の隣でネットの反応を見ながら、玲奈がやや呆れた顔で言った。

 

「たぶん。これなら、もし監視カメラに映ったとしても、俺がやってるなんてバレない。むしろ、モンスターが自分たちの巣を作ってると思う方が自然だろ」

 

「……まあ、それも一理あるか」

 

 玲奈は肩をすくめつつ、真人の大胆な発想に感心していた。

 

 

 

 世界各地からダンジョン制覇の発表が続く中、再びニュースが騒然となった。札幌と福岡に新たなダンジョンが出現したのだ。これにより国内のダンジョン数は3つに達した。

 

 さらに、海外でもダンジョンの増加は加速しており、主要都市や人口密集地に次々とダンジョンが出現しているという。

 

 ニュースキャスターが緊迫した声で語る。

 

「現在、札幌市内では自衛隊が封鎖を進めていますが、現地では混乱が続いている模様です。一方、福岡でも同様に新たなダンジョンが確認され……」

 

 政府は引き続き自衛隊を中心とした対応を進めているが、対応が追いついていない状況だった。

 

 

 霞が関では、緊急の会議が開かれていた。

 議題は、もちろん札幌と福岡に新たに出現したダンジョン、そしてSNSで話題沸騰中の「フードの人物」だった。

 

 会議室には閣僚や高官たちが集まり、厳しい表情でスクリーンを見つめている。そこには、監視カメラがとらえたフードの人物がダンジョンを設置する映像が映し出されていた。

 

「これが……ダンジョンを作っているところか?」

 

「間違いありません。映像解析の結果、この人物がダンジョンの出現直前に現れていることが確認されています」

 

 総理が映像に目を向けながら、静かに口を開いた。

 

「このフードの人物は一体誰だ?個人なのか、それとも組織か……」

 

「それが……正体は不明です。ただ、動きや大きさから人間ではないかという者もいますが、人型のモンスターという可能性もあるため、詳細な分析が必要です」

 

 閣僚の一人が憤りを隠せない様子で声を上げる。

 

「余計なことをしおって!我々がダンジョンへの対応に追われているというのに、こんな謎の存在が出てきて問題の種を増やすとは!」

 

「確かに。この人物がダンジョンを設置しているとして、何を目的としているのかもわからないのは問題ですね」

 

「国を混乱させる行動は到底許せない。これは人類への攻撃とみなしてもいいだろう」

 

 総理が強い口調で言い放つ。

 

 

「まずは、札幌と福岡のダンジョンを自衛隊と警察で厳重に封鎖する」

 

 総理が指示を出すと、次々と対応策が話し合われていく。

 

「一般市民がダンジョンに近づくことは絶対に許されない。民間人がスキルを得るなどの事態は防がなければ」

 

「そうだ。魔石の価値がわかってきた今、民間人に力を持たれるのは危険だ。スキル保持者が増えれば、政府の統制が崩れる可能性もある」

 

「ダンジョン内で得られる魔石や素材は国家の管理下に置き、民間のアクセスを徹底的に規制するべきでしょう。これは国の安全保障に関わる」

 

「だが、これをどう国民に説明する?」

 

 総務大臣が困惑した様子で質問する。

 

「ダンジョンは危険だと周知させるんだ。すでに始めているネガティブキャンペーンを強化し、一般市民が興味を持たないように仕向ける」

 

「そして、必要とあらば力で排除する」

 

 さらにフードの人物への対策も話し合われる。

 

「このフードの人物を見つけ出し、排除する必要があるな」

 

「だが、問題なのは、その人物が何者で、どこにいるのか全くわからないことだ。モンスターならば、どこかに巣があるはず」

 

「監視カメラの映像を徹底的に解析し、その足取りを追え」

 

「加えて、SNSや掲示板での情報収集も強化する。このフードの人物が現れたら即座に対応できるようにな」

 

 会議の最後、総理が全員を見回して締めくくる。

 

「民間人がスキルを得て力を持つなど、国家として絶対に許されない。政府が権力を維持し、秩序を守るためにも、ダンジョンとこのフードの人物への対応を最優先課題とする。各自、やるべきことを進めてくれ」

 

 全員が頷き、一斉に動き始めた。

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