ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

2 / 33
第二話 狂乱の宴

 

 

 昼下がり、神崎真人は自宅のリビングでボーっとテレビを見ていた。何気なくチャンネルを変えていると、ニュース番組が急に変わり、警察や消防が渋谷で発生した異常事態に対応している映像が映し出された。

 

「え…?」

 

 目を凝らして画面を見つめると、渋谷のスクランブル交差点のど真ん中に、巨大な光のゲートが現れ、その中から異形のモンスターたちが次々と溢れ出しているのが見えた。モンスターは街中を徘徊し、人々を襲い、街を混乱に陥れていた。

 

「な、何だこれ…」

 

 真人は、目の前に現れた衝撃的な光景に言葉を失っていた。だが、すぐにその現実の重さが頭に浮かぶ。あの夢の中で見た「マナ」の存在、そして「モンスター」の出現。そのすべてが現実となった今、彼はそれが単なる夢ではなく、何か大きな力が働いているのだと感じ取っていた。

 

 その時、突然、スマートフォンが震えた。画面に表示されていたのは、妹・玲奈からの電話だった。

 

「玲奈…?」

 

 慌てて電話を取ると、玲奈の声が耳に飛び込んできたが、その声には明らかな焦りと恐怖が混じっていた。

 

「お兄ちゃん! こっち、渋谷にいるんだけど…モンスターが…! ゲートから次々と出てきて、もう逃げられない…!」

 

 そう言えば玲奈は今日、友達とショッピングに行くと言っていた。よりによって渋谷だったのかよ!

 

「玲奈! 落ち着け! どこにいるんだ?」

 

「スクランブル交差点近く…周りの人たちも怖がって逃げてるんだけど、道が塞がって…!」

 

 玲奈の声は、涙を含んだものだった。その状況を想像すると、胸が締め付けられる。モンスターが溢れ出し、街が混乱する中、妹が危険な目に遭っているという現実が、今ここにある。

 

「玲奈! 絶対に無事に戻ってこい、待ってろ! 今すぐ行くから!」

 

 電話を切った瞬間、真人はすぐに家を飛び出す。渋谷へ行かなければならない。妹を助けるためには、何としてでも渋谷に向かうしかなかった。

 

 渋谷に向かう途中、街は異常なほど静かだった。モンスターによる恐怖が広がっていることが、さらにリアルに感じられる。真人は急いで渋谷の中心部に向かい、現場に到着すると、目の前に広がる光景に言葉を失った。

 

 スクランブル交差点は、まるで戦場のようになっていた。巨大なモンスターが街を徘徊し、人々が逃げ惑っている。その中に、玲奈の姿は見当たらなかった。

 

「玲奈、どこだ…?」

 

 真人は、必死に周囲を見回しながら、人々の間をかき分けて進む。そのとき、目の前に一匹の巨大なモンスターが現れた。鋭い牙と爪を持つ、そのモンスターは、街を蹂躙しながら進んでいる。

 

「くっ、こんな奴に構ってる暇はない!」

 

 真人は、一瞬そのモンスターに立ち向かうべきか迷うが、冷静さを取り戻し、さらに先へと急ぐ。

 

「玲奈、どこだ!?」

 

 その時、ふと耳をすますと、遠くから彼女の声が聞こえた。

 

「お兄ちゃん!こっち、こっちだよ!」

 

 その声を頼りに、真人は迷わず向かう。その先に、スクランブル交差点を挟んで、倒れた人々を避けながら、玲奈が必死に身を隠している姿が見えた。

 

「玲奈!」

 

 真人が叫び、駆け寄ると、玲奈はその場に立ち尽くしていた。周囲には、数体のモンスターが近づいてきていた。玲奈はその恐怖に震えていたが、目の前にいる兄に気づくと、少しだけ安心した表情を浮かべた。

 

「お兄ちゃん…!」

 

「大丈夫だ、玲奈。絶対に守るから!」

 

 真人は玲奈を引き寄せ、後ろから迫るモンスターたちに目を向けた。今、彼の中で何かが変わる予感がした。モンスターを生み出していた「マナ」を思い出す。その力を使えば、何とかこの状況を打破できるかもしれない。

 

「お願いだ、力を貸してくれ…」

 

 心の中で必死にそう願いながら、マナを感じ取る。それが、今後のすべての始まりとなるのだと、彼はその時にはまだ理解していなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。