ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

27 / 33
第二十七話 新装備

 

 

 探索帰りのファミレスで軽い食事をしながらこの週末の冒険について話している中で太一が新たな提案を口にする。

 

「そろそろ自前の装備が欲しくないか?4階層に狩場を移して結構な稼ぎになったし」

 

「そうね、武器もだけど、防具はもっと重要よ。ダンジョンの階層が上がるにつれてモンスターも強くなるし、防御力が低いといつか事故るわ」

 

「確かに4階層に入ってから利益が跳ね上がったな。3階層まではバイトの方がマシなくらいだったのに」

 

「だろ。掲示板とか見てると、有名な生産スキル持ちが作った装備は性能が段違いらしい。特注で作ってもらえばモンスター素材も活かせるし、ギルドショップの装備よりも強いのは間違いない」

 

「でも、そういう人に頼むにはコネとか信用が必要なんでしょ?私たちみたいな新人には無理よ」

 

「そもそも、俺たちが用意できる素材なんてたかが知れてるし、依頼しても受けてくれないだろ?」

 

「だよな……だったら、現状はギルドショップで探すしかないか」

 

「来週は、ギルドショップに行って、良さそうな装備を探してみよう」

 

 

 

 翌週、3人はギルドショップに立ち寄り、探索者用の装備を見て回る。

 武具やポーションなどが並ぶ中、圭斗たちは商品の値札を見て思わず顔をしかめる。

 

「げっ、剣ってこんなに高いのかよ。初心者が最初に買うべきっておすすめされてたやつでも今までの儲けが吹っ飛んじまう」

 

「俺の槍もだ。防具なんて一式揃えようと思ったら全く足りないぞ」

 

「でも、しっかり準備を整えないでこれ以上進むのは危険よ。しばらくは今の階層で稼いで少しずつ装備を揃えていきましょう」

 

「それしかないな。今日はとりあえず太一の槍だけ買って、ダンジョンに行くか」

 

「何を言ってるんだ?圭斗。俺の予算じゃ買えないんだけど…」

 

「先週の儲けは全部太一の槍に使う。それなら買えるだろ?」

 

「なっ、ダメだろ!あれは俺たち三人で稼いだんだ。俺が全部もらうわけには!」

 

「バカ!やるなんて言ってないだろ」

 

「へっ?」

 

「しばらくは稼ぎを全部パーティーの共有財産にするってことだ。少なくとも全員の装備が揃うまでな」

 

「そうね、私も賛成。新しい装備を早く使えれば狩りの効率も上がるし、結果として全員の装備が揃うのも早くなるでしょ」

 

「分かった。でも、俺の槍が最初で良いのか?」

 

「ああ、俺の剣や加奈子の弓を新しくするより、槍の方が火力が上がりそうだからな」

 

「モンスターを手早く倒せるようになれば、稼ぎも増えるし、しばらくは火力優先でいいと思うわ」

 

 今回の買い物は太一の「鋼の槍」を買うことにした。

 

「サンキュー、二人とも。この礼はダンジョンで働いて返すぜ!」

 

 新しい武器を手に入れてテンションが上がってるみたいだな。

 まあ、気持ちは分かる。

 加奈子を見ると彼女も太一の様子に苦笑していた。

 

「もうすぐ夏休みだし、ダンジョンに潜る時間を増やして、必要な物を揃えるって感じでいいんじゃない?」

 

「賛成。特に防具はしっかりしたやつを揃えないと、この先の階層は本当にヤバそうだしな」

 

「そうだな……今はいいけど、この先、毒対策とかも必要になってくる。まずは装備を揃えることに集中しよう」

 

「そうね。安全第一で、無理せず進めていきましょう」

 

 三人は今後、探索を進めていく上で必要な物をリストアップ。時間的に余裕がある夏休みに揃える計画を立てていく。ステップアップの準備は着実に進んでいた。

 

 

 

 圭斗たちはギルドショップで購入した新しい装備を試すべく、再び渋谷ダンジョンへ向かっていた。太一が手に入れた新しい槍はグループ全体の戦闘効率を大幅に向上させることとなるはずだ。

 

 

 4階層の奥、待ち構えていたのはおなじみのグレイウルフとゴブリン、そしてコボルトの混成部隊だった。

 

「よし、新しい槍の威力、試させてもらうぜ!」

 

 太一が新しい槍を構え、真っ先に前線へ飛び出す。

 

「無茶するなよ!でも、頼んだ!」

 

「私は後ろから援護するわ!」

 

 

 新しい槍は、刃先が鋭く加工されており、さらに軽量化されていたため振り回しやすかった。その効果はすぐに現れる。

 

 太一は素早くグレイウルフの動きを読み取り、1体を正確に突き刺して仕留めた。

 

「すごいじゃないか、太一!一撃だ!」

 

「これなら数が多くてもいける!どんどん来い!」

 

 その後も、太一はコボルト2体をほぼ一撃で倒すなど、短時間でモンスターの数を減らす戦い方が出来るようになった。

 

 これまで、敵の数が多い場合はどうしても押される場面があった。しかし、新しい槍の火力によって短時間で敵を倒せるようになり、余裕が生まれる。

 

「火力が上がると、私の矢も当てやすくなるわね。敵に集中する時間が減るから、ずっと戦いやすい」

 

「俺もだ。太一が敵を減らしてくれるおかげで、ゴブリンやコボルトの連携を分断しやすくなった」

 

「はは、俺が頼れるメイン火力になったってわけか?もっと褒めてもいいぞ!」

 

「調子に乗るのはまだ早いわ。次の階層ではもっと強い敵が出るんだから」

 

 

 戦闘を終え、安全地帯で休憩を取る3人。

 

「新しい装備のおかげで、思ったより戦闘が楽になったな。この調子なら、装備を揃える計画が早く終わるかもしれない」

 

「だよな!これなら夏休みの間に10階層のボスを倒せるかも!」

 

「ダンジョン探索に集中出来たらね。夏休みの前には期末試験があるのよ。あんた、大丈夫?補習でダンジョン行けませんなんてことにならないでしょうね?」

 

「うぐ、だ、大丈夫だって!流石に赤点取るほどじゃねえよ」

 

「まあ、太一は受験組じゃないものね。私はこのまま成績を維持すれば問題ないわ。圭斗は?」

 

「俺も難しい大学を目指しているわけじゃないから、今のペースなら問題ない」

 

「来週は試験対策のためにダンジョン探索はなし。探索の再開は夏休みに入ってからにしましょう」

 

「まあ、仕方ないな。赤点取って補習なんてことになったら夏休みの計画がおじゃんになる」

 

「ちぇ、せっかく新しい槍が手に入ったのに来週はお預けか」

 

「太一、お前が一番赤点の可能性が高いんだぞ」

 

「分かってるよ。来週は皆で試験対策にするか」

 

 太一はそう言っているが、結局俺と加奈子で太一に教えることになる。

 いつもの事だな。

 

 

 新しい装備の威力を実感した圭斗たちは、次の探索でさらに深い階層に挑むための準備を進めていく。

 彼らが順調に探索を進めることが出来るのか?

 それは、期末試験という試練を無事に突破できるかにかかっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。