ダンジョンメーカー   作:ソロモンは燃えている

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第三話 精霊化

 

 

 

 渋谷のスクランブル交差点で、真人は必死に玲奈を守ろうとしていたが、モンスターたちは次々と迫ってきた。玲奈を引き寄せ、なんとかその場を離れようとするが、モンスターの足音が背後から迫る。

 

「お兄ちゃん、早く…!」

 

 玲奈の声が震えている。だが、すでに彼女の周りはモンスターだらけだった。その一匹が爪を伸ばし、玲奈の胸に突き刺さった。真人は絶叫し、全力でそのモンスターを振り払ったが、すでに遅かった。

 

「玲奈!」

 

 妹は、血を流しながら倒れた。真人はその場に膝をつき、妹を抱きかかえる。涙が止まらない。

 

「玲奈、お願い…大丈夫だ、何とかするから!」

 

 だが、玲奈はうっすらと微笑み、彼に最後の言葉をかけることなく、静かに息を引き取った。

 

「玲奈…!」

 

 その瞬間、彼の中で何かが崩れた。妹を守れなかった、助けられなかった自分を責め、心の中で何度も繰り返す。

 

「どうして…どうしてこんなことに…!」

 

 その痛みと喪失感に押し潰されそうになりながら、真人はただ茫然とその場に立ち尽くしていた。

 

 その時、不意に視界が歪み、周囲の景色が変わり始めた。光が流れ、次第に空間が変わり、再びあの青白い光の粒が漂う不思議な空間に迷い込んでいった。

 

「ここは…?」

 

 それでも、真人は意識を失うことなく、目の前に広がる異空間を見つめていた。ひとまず、あの恐ろしいモンスターたちからは逃げられたようだった。しかし、腕の中の妹に目を向けると、彼女はすでに息を引き取っていた。

 

「玲奈…」

 

 彼女を抱きしめ、涙を流す真人。自分がどうしようもなく無力に思え、彼は何度も何度も涙を拭っては妹の顔を見つめた。その死を受け入れることができない、できるはずがない。

 

「お願いだ、玲奈…」

 

 真人は、心の中で無意識に願った。誰かに、何かに、玲奈を生き返らせる力があれば、そんなことを。だが、彼の中にそんな都合の良い力などなかった。

 

 その時、突如として、空間が静まり返り、何かが動き出すのを感じた。光の粒が集まり、彼の胸の中に突き刺さるような感覚が走った。そして、マナが彼の目の前に集まり、玲奈の体に流れ込むのを見た。

 

「マナ…?」

 

 その流れは、まるで彼女が新たな命を得るかのようだった。玲奈の体は、次第に光を放ちながら変化していく。真人はその光景を目の当たりにし、驚きと混乱の中で、その現象を見つめていることしか出来なかった。

 

 玲奈の体は、光に包まれ、徐々に肉体が掠れていく。光が満ちていき、最後にはその姿が透明な輝きに変わり、まるで精霊のような存在へと変貌していった。

 

「玲奈…?」

 

 その変化を見届けた後、真人は再び声を震わせながら呼びかける。

 

 だが、玲奈はかつての姿ではない。彼女は、彼の前に浮かぶ小さな精霊となり、その存在を示すかのように、穏やかな光を放ちながら微笑んだ。

 

「お兄ちゃん…」

 

 その声は、もう妹の口からではなく、彼の内側から響くように感じられた。それは、かつての玲奈の声、でも少し違う、少し遠くから聞こえるような不思議な声だった。

 

「玲奈…お前…」

 

「私はもう、死んじゃったけど…精霊として、お兄ちゃんを助けるためにここにいるの」

 

「玲奈、どうして…?」

 

「マナの力が私を精霊として目覚めさせたのよ。これからは、お兄ちゃんを守るために力を貸すわ」

 

 玲奈は優しく微笑み、そう言った。彼女は新たな姿となり、もう肉体を持たない。だが、真人の胸の中には、確かに彼女の温もりが感じられるような気がした。

 

「ありがとう、玲奈…」

 

 その言葉とともに、真人は涙を流しながら、精霊化した姿を見つめた。

 

「これからも、一緒に戦おう…!」

 

 その誓いとともに、新たな力が彼の中に宿った気がした。今、彼は一人ではない。妹が精霊として、彼の傍にいてくれる。その力が、これからの戦いを支えてくれると信じて…。

 






人物紹介

神崎 玲奈《かんざき れな》
15歳、中学3年生。
真人の妹で、本人はそう思ってないが側から見るとかなりのブラコン。
髪は肩にかかるくらいの黒髪で、かわいい系の顔立ち。
性格は明るく、楽天的。
精霊になった後の姿は、銀髪で神秘的な光をまとっているため外見的な印象は全く異なる。
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