怠けたがりVtuberは天下取るのに大忙し   作:レイメイミナ

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オーラス家にお泊まり①

ㅤ特番も終わって、私は伸びをして事務所のソファでくつろいでいた。

 

「んん、はぁー……。終わったぁ」

「子洗井ちゃんおつかれ。最年少ながらよく頑張った!」

「ありがとうございます朱夏先輩」

 

ㅤそれにしても、流石1期生だ。2時間近い配信時間だったのに衰えひとつ見せないその出で立ち……やはり場慣れというやつなのだろうか。

 

「でさ、今更聞くんだけど大丈夫だったの?」

「え、何がですか?」

「門限とか。未成年だしそういうのあるんじゃない?」

「あー、今日両親は親戚の集まりに行ってるので全然──」

「あと補導とか」

「補導………………あ」

 

ㅤ時計を見る。

 

ㅤ時刻、午後10時43分。

 

「……お家、間に合う?」

「無理、ですね……」

 

ㅤしまった……!!

 

ㅤ私はすぐにスマホを取り出して、マネージャーさんに電話を繋いだ。そして、帰宅どうこうについて話す。

 

『あ、すみません。てっきり誰かの家に泊まるか、親御さんが迎えに来てくれるのかとばかり……』

「いや、完全に頭から抜けてた私のミスです。え、えっと、どうしましょう?」

『今すぐ泊まらせてくれる方を探すしかないですね……すみません。私が出張中じゃなかったらすぐにお迎えできたんですが』

「いえいえ!ㅤマネージャーさんは悪くないですって。こっちこそこんな時間にかけてごめんなさい。じゃ、失礼します」

 

ㅤ電話を切る。そして、朱夏先輩の方へ「助けて」の眼差しを向けてみた。

 

「……ごめん、今から案件の打ち合わせが……」

「こんな時間にですか?」

「今月、スケジュール詰め詰めでさ。それが終わったら歌の収録やって帰るから……多分待つとして3時ぐらいになっちゃうかも」

「まじですか……」

 

ㅤ1期生すげぇ……。

 

「じ、じゃあ他の人に頼むしか……とら子先輩とか」

「とら子ちゃんも多分打ち合わせじゃないかな。新しい歌みたの」

「……来未先輩は?」

「どうだろう……」

「残念ながら無理だ。すまぬ」

「うおっ!?」

 

ㅤ横から来未先輩がやってきた。何故かバッチリとした格好に着替えている。

 

「私もカバー収録とかMVのアレコレとかで今日は帰れないんだ」

「そ、そうなんですね……」

「くっ、これでは後輩にいい顔できない……!」

 

ㅤ2期生も大概忙しそうだな……となると残るは4期生の、同期orオーラス姉妹か。

 

「あ、ナーマリーン!ㅤしゅーかせんぱーい!」

「噂をすれば元気なやつが……」

 

ㅤ選ばれたのは同期の舞華でした。よりによってお前かぁ。

 

「くるみ先輩もいた!ㅤ今日の反省会ですか?」

「ううん。子洗井ちゃんが補導のことすっかり忘れちゃってて」

「それで泊まる場所探してたんだけど、2人ともダメらしくって」

「え?ㅤここで泊まればいいんじゃない?」

 

ㅤ確かにそうだ。いやでも高校生が事務所で寝泊まりって、いいのか……?

 

「んー、多分社長がいい顔しないんじゃないかな。あの人、そういう意識高いから」

「し、しゃちょうが」

 

ㅤそういや会ったことないな社長。どんな人なんだろうか。いい人だったらいいんだけど……。

 

「となるとー……やっぱりあたしの家じゃない?」

「変なことしないって約束するなら泊まるけど」

「…………」

 

ㅤあ、ダメなやつだこれ。お前なんで黙るんだそこで!

 

「お前さぁ……」

「いやぁ、でもちょっと教育に悪いものが沢山……」

「何、アダルトグッズでも散らばってんの?」

「ち、ちゃんと片付けてますよ!」

「あるのかよ!?」

 

ㅤあーダメだ!ㅤこりゃ行っちゃダメなやつだ!ㅤ地上波にお届けできなくなる!

 

「あれ、なんの騒ぎですか?」

「あ、メイ先輩とユニ先輩!」

 

ㅤ身支度を済ませた2人がこちらを怪訝な目で見ていた。やめて。バカ騒ぎしてると思われるから。

 

「えっと、実はカクカクシカジカでして」

「それで伝わるわけ……あ、もしかして子洗井さんの帰宅云々ですか?」

「伝わったじゃん……」

 

ㅤなんと時計の時間だけで全てを察してくれた。すげぇ。

 

「先輩方も一緒に悩んでるってことは……」

「そう、都合つかないんだよね」

「Me too」

「あたしの家も正直狭すぎて2人寝るにはちょっと……って感じなんですよねー」

 

ㅤなんだ、舞華にもちゃんとした理由があったのか。狭いって六畳ぐらいだろうか。

 

「まぁ、という感じで」

「親御さんはどう言ってるの?」

「今日は家いなくって……」

「なるほどー……どうする、ユニ?」

「うーん、まぁ、(うち)入れるしかないかなぁ」

「よっしゃ!」

 

ㅤやったぁ!ㅤこれでなんとか寝床はゲット!ㅤ学校は……まぁ、しゃーなし。遅刻するしかないかな。

 

「それで、どっちの家に泊まれば?」

「どっちも何も、わたし達ルームシェアだから」

「結構広いし偶に知り合いが遊びに来たりもするから、急でも全然大丈夫!」

「そ、そうなんですね」

 

ㅤ確かに配信の度にお互いの家行って……は面倒だろうしなぁ。

 

ㅤまぁ、何はともあれ、これにて泊まれるとこを無事Gotしたわけで。早速、レッツゴー!

 

 

 

「でっっっっっっっか……」

 

ㅤマンションがね?

 

ㅤいや、広いって聞いてたけどさ、まさか50階まである高層マンションだとは思わなかった。エントランスめっちゃ綺麗だし、入口はタッチパネル式でめちゃくちゃハイテク仕様だ。お家賃はさぞかし度肝抜くような金額なんだろう……。

 

ㅤで。

 

「舞華、なぜ貴様がここにいる」

「お泊まり楽しそうだったから!」

「はぁ……」

 

ㅤ何故か私の隣には舞華がいた。何も変わらない屈託のない笑顔である。はぁ、黙ってりゃ美人なのに口開いた瞬間下ネタ飛び交うせいで……はぁ。

 

「全然いいよ。人多い方が楽しいだろうし」

「メイー、これどうやるんだっけー」

「おっと、ちょっと待っててね。……もー、ユニったらまた忘れたのー?」

「ごめん……」

 

ㅤ天使だ……天使がここにいる……。

 

ㅤそうか、諸々の言動がおかしかったのも全て彼女達が天使だからなんだ。そうかそうか、じゃあ世間知らずでも無理はない。

 

「こんな同期だったら良かったのにどうして神様はこんなドスケベ大魔神を私の傍らに……」

「失礼な!」

 

ㅤ何が「失礼な!」だ。自分の胸に手を当ててよく考えてみろ。

 

「あ、開いた!ㅤありがと、メイ」

「んーん。ユニもそろそろ覚えなよ」

「うん。……あ、ごめん。手こずっちゃって。じゃ、案内するからついてきて!」

 

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