怠けたがりVtuberは天下取るのに大忙し 作:レイメイミナ
ㅤ前回、紆余曲折ありつつなんとかチュートリアルを終えた私は、無限に広がるフィールドへと駆け出そうとした。
ㅤしかし、その直後にあることに気付いたのだ。
ㅤ…………配信時間が、4時間に迫っていたことに。
ㅤホラゲーかと思った。
「今回のサムネね、私の心の叫びですよ。本当にもういくつあっても足らん。時間が」
・わかる
・わかる
・休日返上ゲー
・ちょっとやってたら日付変わってた
「いやさすがに気付け」
ㅤチュートリアルですら4時間弱使うのにそれすらも忘れてしまうほどの臨場感。これが、オープンワールドの金字塔……ってコト!?
ㅤそんな私は現在、おじいちゃん(もとい王様)に言われた通り、ふたつの山を超えた先にある村に向かって進んでいる。道中にあるダンジョンを攻略したり、魔物のアジトにちょっかいをかけたりしているが、おおむね想像通りのペースで進めていると思う。
「これさ、何が怖いって続編もあることなんだよね。あとスピンオフも。……怖くね?」
・スケジュール大丈夫そ?
「いやー、キツいわ……ガチ忙しいんだけどちょっとヤバいねこのゲーム、やめらんねぇ」
ㅤ色々と怖いが何が一番恐ろしいって、このゲーム、マジで面白いことなのだ。
ㅤドハマリしているうちに時間が溶けに溶けて気付けば一日が終わっている。怖すぎるって。
「……あ、あの不自然に突き出した岩は……」
ㅤ現れたな、クソボス。
ㅤ前回私を散々苦しめた挙げ句手持ちの武器をほとんどぶっ壊してくれた(旅人の剣以外ロクなのなかったけど)憎き相手……イワロック!
ㅤしかーし、今の私は違う!(ギュッ)ㅤ道中かき集めた武器はあの時とは全くもって格が違うのだ!ㅤついでに手に入れた採掘用のハンマーは、恐らく奴にとっては特攻武器!ㅤオラァこのまま一族郎党皆殺しじゃあッ!!
『GAME OVER』
・草
・草
・何が余裕だって?
・わからせられてて草
「ちきしょうッ……!」
ㅤ雨で滑るんは聞いてねぇって……。
ㅤでもハンマーが効くことはわかった。他と比べてHPの減り方が尋常ではなかったからだ。そうとなればやり方はひとつ……。
「よし、ここをキャンプ地とする!」
ㅤ適当な場所に焚き火を作って、雨をやり過ごす!ㅤリアルではどう考えても無理だがこのゲーム内では時間がスキップされるので問題ないのだ。行くぞー!
※
ㅤイワロックを倒せるようになってひとつ気付いたことは、あのボスくっそつまんねぇなということです。
ㅤやることは矢で弱点を狙って倒れたところをよじ登り、特攻武器で殴るだけ。しかも奴はずっと弱点を隠そうとするので結果ひたすらグルグル回りながら攻撃を避け続ける死ぬほど地味な絵面になる。その癖火力はきっちり高いので1歩間違えれば普通に死ぬ辺り、本当に強い上につまんねぇなこいつという感想しか湧きませんでした。でも報酬の宝石多分美味しいから見つけたらぶっ倒します。
ㅤそんなわけで私は宝石をたんまり(というほどではないが)持って村までやってきた。人気のひの字もないくらい寂れた草原だったのが一変、侘び寂びの趣深い和風建築や賑わっている村人、お店や宿屋もあってこれぞまさしくRPGという感じで、ようやくこのゲームらしくなってきたという感じだ。
「ここにいる老婆を訪ねろだのなんだのだったっけ。分かりやすい建物はあるけど後でいいや。それより人だよ人!」
ㅤうっひょーい!ㅤこれでダッサイ服ともお別れだ!ㅤ宝石売った金で装備一新してやるぞ!
『600ルピー』
『700ルピー』
『120ルピー』
「たっけ……」
ㅤ格安なのはあるがそれにしたって120……今の手持ちが370なので(ゲームとしては)痛い出費というわけではないがそれにしたって高い。特に隠密性が上がる装備なんて富豪の買い物だ。まぁ私が素寒貧なのもあるが。
「まぁとりあえずこのオシャッなやつを買おう。フードも、あとズボンも新品のやつ」
ㅤ装備の値段に面食らったが、まぁなんとか初期装備からは脱することができた。しかしこれからも寒い場所なんかはダサい防寒着頼りだろう。まぁ無いよりはいい。
ㅤその後、門番に一瞬引き止められたりはしたが無事例の老婆と会うことができ、ストーリーのあらすじを知らされた。
ㅤということで、私はこれから四地方を回って各地にある『神獣』とやらを解放せねばならないらしい。
「すっっっげぇたらい回しなんだけど……」
・別に行かなくてもラスボス倒せる
「マジで?」
・その場合ボスラッシュあるから頑張れ
「なるほど……」
ㅤおい、コメ欄見ないみたいな話はどこ行ったと自分に言い聞かせつつ、それを無視して(?)コメ欄のアドバイスを見てルートを考える。
ㅤなるほどね、つまり各地方の神獣を操ってるボスをボコしておくとラストダンジョンが楽になるけど、別に行かなくてもラスボス自体を倒すことはできるんだ。その代わり本来倒すべきボス(多分4体)が一斉に襲いかかってくると。ふむふむ……。
「正直ラスボス直行したい気持ちもありつつ、でもこれ配信なんでちゃんと巡りますか」
ㅤというわけで、四地方の神獣に向かってレッツゴー!!
ㅤの、前に……ちょっともうひとつの村にいるらしいかつての仲間とやらに会いに行きます。いや結局たらい回しじゃねぇか!
ストーリー面はあんまりネタバレにならないようにするつもりです。いや実際のゲームとは関係ないけどね?存在しないゲームですよ?