怠けたがりVtuberは天下取るのに大忙し 作:レイメイミナ
ㅤということで。
「おかえり!ㅤ亜刃時雨復活祭の時間だぁーっ!」
「うおー……」
ㅤ体調面も特に問題なく、コラボ凸配信は始まったのだった。
「本日最初のゲストはこちら!」
「ちわーっす!ㅤ御門アイリでーす!」
「明るすぎて失明する……!」
ㅤこれが圧倒的光のVtuber……!ㅤ実は共演したことが無かっただけに焼き付けられてしまう……!
「しぐちゃぁぁぁん!ㅤやっと会えたねぇぇぇ!」
「お、オフだと結構会ってるじゃない」
「でもでも!ㅤ配信で会うのは今回が初めてじゃん!ㅤデビューから1年と4ヶ月ずっとおあずけ喰らってたじゃん!」
「うぐぐぐ……」
「認めなよ、自分がいかに愛されていたことを」
「ぐぅ……」
ㅤナマリの件でそれはもう充分理解したつもりだったが、まさか御門アイリにまでこれほどの矢印を向けられるとは……。
「今度オフコラボしようね! 3Dで! 一緒に殺陣やろ!」
「あなたって演技系もできるの……?」
「スケートやってたからちょっとだけー。ライブもあるしパフォーマンスなら任せろ! って感じ!」
「いいなースケート。NGがなければボクもできたのに……」
「この二人だけ一日が36時間あるんじゃないかしら……」
ㅤ続けてやって来たのは私と同じ3期生、ミスリル・リール。
「3期生のー!ㅤ肩身が狭かった方ー!!ㅤミスリル・リールでーす!!!」
「まずいぞ恨み言だ!」
「ここに来て心の傷抉りにきやがったわね!」
「ぶっちゃけると本当に風当たりがキツくって、先輩達に励まされ続けて今日までやって来れたけど!ㅤホントに!ㅤ息苦しかった!」
「返す言葉もないわ……」
「帰ってきてくれてありがとう!ㅤ今度一緒にス〇ブラコラボしよう!」
「なんとなく察しがつくね」
「話は持ち帰らせてもらうわ」
ㅤ鬱憤晴らしと強めの抱擁感覚でボッコボコにされる未来しか見えなかった。
「まぁ冗談は置いといて。帰ってきてくれてほんとに良かったよ……わたし達と初対面のときを思うと泣けてくる」
「わかる、わかるよミスちー……」
「あの頃はメタルス〇イムもかくやって感じだったわね。まぁでもこの通り無事復帰できたわけだけれど」
「よかったよかった。後輩ちゃんがきっかけなんだっけ?」
「そう。あの子の訴えがなければ私は今頃卒業してたってぐらいにはあの子のおかげ」
「いやぁ採用したかいがあったってものですよ。あの子には今度ハイエンド級のパソコンかゲームハードでも送ってあげよう」
「困惑するだけだからやめたげて……」
ㅤその後も新人達の話が続いていく。
「そういえば、ミスリルって3Dお披露目のとき新人にボコられてなかったかしら?」
「そうなんだよー。思ったより攻撃力のある子で……」
「あれ、あなたちゃんと答えないといけない質問多かったんじゃ……」
「うん、普通に多忙過ぎて忘れてた」
「あぁ、お疲れ……」
「後から聞いたんだけどあのクイズ作ったのマルさんらしいんだよね。戦慄したよ」
「え、何それ知らん……」
そうだったのか……。ナマリもとんでもない逸材だと思ったけど、その同期達も負けず劣らずらしい。
「いいよね新人ちゃん、まだ一ヶ月でとてつもない輝きを示してるよ……」
「はいストップ。ステラ先輩そこからもう止まらないから」
「はっ! 確かに、ここは雑談配信ではなくしぐちゃん復活記念パーティー……」
「そうよ、私以外を見てはだ・め♡」
「違うの、これは浮気なんかじゃなくて、ボクはすべてを平等に愛しているだけで……『Vtuber』っていう箱を推しているだけなんだよ!」
「規模でか」
ㅤそして3人目、現在絶賛多忙であるはずの2期生、吾妻リカ。
「あなたよく来れたわね」
「いやー、自分と対極に位置する人間が帰ってきたらそりゃ顔見に来たくもなるよ」
「さすがは格ゲーマー、アオリがキレッキレすぎる」
「どうも煽りのプロです」
「不名誉でしょそれは……」
「それよりどう?ㅤ調子。復帰したてで結構あれじゃない?」
「ステ姉はじめあなた達先輩の力を全力でお借りするつもりよ」
「ボクはボクの推しのために尽くすと決めたからね」
「なるほどー……頑張れ。私も頑張るから」
「あなたも本戦が控えてるものね」
「そうだよー、スポンサーがおだてまくって広告出しまくってて、重いプレッシャーが……」
「まー、その……終わったらゆっくり休みなさい」
ㅤ久しぶりに人と関わった気分だった。今までも何人もの人と会話をしてきたし、沢山迷惑をかけたけど、今日初めてちゃんとした意味で、復帰できたんだと思えた。
ㅤやはりステ姉の力は凄い。同じ箱のライバーになって、敵わないことを何度も実感する。私すらも魅了してみせるそのカリスマ性……憧れない者はいない。
ㅤさて、後は最後の禍根をどうにかするだけだ。
ㅤ炎上の発端……私の友達との、決着を。