怠けたがりVtuberは天下取るのに大忙し   作:レイメイミナ

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(デビュー前)うちの同期はやばいやつしかいない②

ㅤ前回のあらすじ。

 

ㅤ同期のアイドルが重い過去持ちのドスケベ女だった。

 

ㅤじゃねぇよ!ㅤ畜生一瞬だけお涙頂戴する癖に自分は平気で下ネタ吐きやがって……!

 

「お、ナマリンも中々良いねぇ……。特に膝まで伸びてるスカート!ㅤ歩いてるときに揺れたスカートの中からチラリと見える太もも……エッチ!」

 

ㅤ果てはおっさんみたいなことまで言い出しやがった。なんだこいつ。同期じゃなかったら本気でぶん殴ってたぞお前。

 

ㅤどうしよう……こいつ、陽キャな上に元アイドルで脳内ピンク。私と噛み合う要素が1ミリもねぇ……。

 

ㅤ誰かぁ、助けてくれ。この状況をなんとかしてくれる人具体的にはマネージャーさん!ㅤこいつやばいです!ㅤ同期に平気な顔してセクハラしてます!ㅤ悪いがR18なことはNGなんだ何故なら私は現役女子高生だから!

 

「あ、もうこんな時間!ㅤボイトレ行かないと!」

「ボイトレ?」

 

ㅤ私も一応行ってるが、こいつは見たことない。違うとこか、時間がズレてるとかか。

 

「じゃじゃ、またねナマリン!ㅤこれからよろしく!」

「は、はい。じゃあ」

 

ㅤ舞華は足早に部屋を出ていった。

 

ㅤなんというか、嵐みたいなやつだった。ベタな言い方だけど。

 

ㅤこれからアレと一緒にやっていくことになると思うと色々気疲れしてくるが、まぁそのうち慣れると思う。多分。

 

 

 

ㅤ数時間後。

 

ㅤ暇すぎてひたすらゲームをしていたら、もうお昼時だった。土曜だからまだゆっくりできる。とはいえ、空腹はどうにもならない。

 

「何か買ってくるか……」

 

ㅤ近くのコンビニに行こうと立ち上がると同時に、ドアが開かれる。さっきのやつもそうだけどノックぐらいしないのかよ。

 

「おや、先客がいましたか」

「あ、ど、どうも」

「どうもどうも」

 

ㅤパッツン、メガネ。いかにも一部の層に刺さりそうな見た目だった。あれ、似たようなのを見たような……あ、資料に立ち絵が載ってた『てんから』の3人目!ㅤ確か名前は……。

 

「もしかして、『(つぶら)マル』さんですか?」

「お、そうですよ。いやぁ、見た目をVに寄せれば意識も寄るかと思いましたが、そうすぐ見破られると身バレが怖いですねぇ」

「合ってた……」

 

ㅤよし、よしよしよし。

 

ㅤこの人はさっきの人より陰に寄ってる!ㅤコミュ障というわけではないが少なくともサブカル系!ㅤこーれは早期に仲を深められるんじゃないだろうか……!?

 

「して、貴女は?」

「あ、私は『子洗井ナマリ』です。あのボサボサした」

「ほー貴女が!ㅤその制服はやはり女子高生Vtuberだから?」

「いや、普通に高校生なだけですけど……」

 

ㅤファッションとかわからん自分にとって制服はこれ以上なく”それっぽい”服装なのだ。なので休日でもこれで外に出る。

 

「現役女子高生……ほほぉ、面白い!」

 

ㅤ何が?

 

「片や華のJK、片や元アイドル……ただ演じるだけなのと実際に経験しているのとでは天と地ほどの差がありますからねぇ」

「……え、舞華のことですか?ㅤなんで知って……?」

「あぁ、さっきまで一緒でしたからね。マネさんに連れてかれてましたけど」

「はぁ……」

 

ㅤ言い方的にきっとろくなことじゃないんだろうな……。

 

「まぁ彼女ももうすぐ来ると思いますよ。少なくともシナシナの干し柿のようになっているでしょうけど」

「そうですか」

「……敬語でなくても大丈夫ですよ。ワタシ達は同期、即ちヴァーチャルの中では同い年なのですからね」

「え、あ、うん。わかった」

 

ㅤ年上っぽそうだから敬語にしてたわけじゃないんだけどな……。砕けた口調だと油断して要らんことまで言いそうで怖いだけ。

 

「隣、いいですか?」

「あ、どうぞ」

 

ㅤそういえば今空腹だ。どうしよう、このままだとお昼買いに行けない……。

 

「あ、お昼のお弁当はマネさんが持ってきてくれますから心配しなくてもいいですよ」

「モノローグに介入してきた!?」

「読心術には少し心得がありましてね」

 

ㅤこいつも中々濃ゆい……!ㅤ流石100人のオーディション参加者を打ち砕いてきただけはある。

 

「そういえば、ナマリはデビューしたらどのように活動したいっていうのはあるんですか?」

「え?ㅤそりゃまぁあるけど……。そうだな、FPSとかの対人ゲーメインにはしていきたいね。結構腕には自信あるし」

「ほうほう」

「それ以外にもRPGとか、今までやってきてないジャンルのゲームもやってみたいかなぁとは思ってるよ。ま、ゲーム配信がメインなのは確実かな」

「なるほどなるほど……」

「そういうつぶ…………えっと、マルマルは?」

「まるまる?」

「えっと。あ、あだ名」

 

ㅤ2秒で思い付いた。

 

「いいですね。ワタシは映画紹介はマストで入れたいと思っていますよ。ワタシ自身映画好きですし、キャラ設定も『映画監督を目指す専門学生』とありますからね」

「映画かぁ」

「ナマリは映画、どんなのを見ますか?」

「うーん……」

 

ㅤ実は映画ってあんまり見ない。子供の頃ニチアサのやつを見に行っていた記憶があるけどそれくらいで、ゲームに出会ってからはゲームしかしてない気がする。特に気になってるタイトルがあるわけでもないし……。

 

「あんまり見ないかなぁ。今の今までゲーム三昧だったし」

「なるほどなるほど……」

 

ㅤその瞬間、マルマルの纏っていた空気が変わる。

 

「実はゲーム好きのナマリにオススメな映画に心当たりがあるのですが……」

「オススメの映画?ㅤ聞かせて聞かせて」

 

ㅤこのときの私は、彼女がいかにイカレているかもつゆ知らず、気軽に「ちょっと醤油とって〜」みたいなノリで、聞いてしまった。

 

ㅤその後に待っているのが、地獄とも知らず。

 

 

 

「ごめーん遅れた!マネちゃんにボイトレ勝手に入れてたの怒られちゃってさぁ…………って、あれ?」

 

ㅤそこにあったのは鼻息荒く興奮状態のマルマルと、壁際に追い詰められて灰と化している私だった。

 

「うぅ、舞華、たすけて……」

「一体何が……!?」

「おぉ来ましたか舞華!ㅤさぁ舞華もどうですかこの映画!ㅤこちらの映画VRゲームを題材としたデスゲームものでしてライトノベルで見たような設定なのですが原作者が本格ミステリーを得意としているだけあってとても重厚な世界観や思わず考察せざるを得ない展開、緻密な人物描写!ㅤ凄惨でハイクオリティなスプラッタシーンが人を選んでしまうのですがそれあってこその凄まじい臨場感が演出に込められておりどこを取っても素晴らしい映画であることこの上なく──」

「あ、えーと……」

 

ㅤこの女、映画好きではあるがただの映画好きではなかった。

 

ㅤそう、正しくド級の映画好き……映画狂いなのであった。

 




円マル
・『Virtual Stars』所属4期生
・ユニット名『天下 la peace!』所属
映画監督として『映画の天下』を目指す専門学生。映画のことになると口が止まらなくなるくらい映画が大好きで、配信が映画のようだと感じて配信者になった。
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