怠けたがりVtuberは天下取るのに大忙し   作:レイメイミナ

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【A○ex】ねらいうつぜ。【子洗井ナマリ/ぶいすた】

「ちーっす。ども、子洗井ナマリでーす」

 

ㅤ穏やかで変な感じ(?)に舵を切った初配信に続いて、この子洗井ナマリが立てた2枠目はFPS配信だ。例の超有名なやつ。

 

「ってわけでやっていきます。野良は……ちょっとアレだけどまだリスナーとも参加型やるような親睦深まってるわけでもないしな……、野良でいいか」

 

・全然参加型でもええのよ

・楽しみ

・強いとみせかけて弱そう

 

「弱そうだと?ㅤ貴様、ダイヤ3の私に向かっていい度胸だな?」

 

・!?

・!?

・ダイヤ3!?

・エグくて笑う

・つっよ

 

ㅤそう、既存のアカウントがもう使えない私はこのデビューに向けて必死にランクを上げていたのだ!ㅤ元々ダイヤ3にはギリ入れてるぐらいだったから割とスイスイ上がったのもあるが、それは私が名ばかりというわけではなく、れっきとした実力があるという証左……フッフッフ、見ていろリスナー。この子洗井ナマリの神プレイが炸裂しちゃうからな!

 

 

 

ㅤということで最初のマッチ…………9位。

 

「敵つえー……」

 

ㅤこのランク帯になるとどのキャラ使ってようが関係なくどいつもこいつもすばしっこくて弾が当たらない。諦めてスモーク投げてもらって逃げたり漁夫ったりして点を稼いだがチーム数が半分切るところで全滅。しかしこのランク帯でよく粘った方だとは思う。

 

・ガチ上手くて草

・よう頑張った

・俺の画面と違う……

 

ㅤリスナーも怒号ではなく労いと絶賛のコメントで埋まっている。ドン勝ではなかったがまぁ、私の実力はわかってくれたみたいで何よりだ。

 

・《野良乃とら子》君FPS上手いね……(ニヤニヤ

 

「とら子先輩!!?」

 

ㅤオイオイオイとら子先輩と言えば『ぶいすた』でも四天王の1人・蕃地葉子先輩に次ぐナンバー2の実力を持った2期生のゲーム上手い枠じゃねぇか!?

 

「いやぁ先輩方、いつかコラボで一緒にやりたいとは思ってるんですけど……でも実はまだ1回もお会いしたことなくって」

 

ㅤ私は高校生なので事務所にいる時間が限られる。しかし先輩方はその限りではないため、すれ違いで事務所に入ってるなんてことがザラなのだ。おかげで私はまだ先輩方にロクに挨拶ができていない……。

 

・《野良乃とら子 》来いよ子猫ちゃん、今夜は寝かさないぜ☆

 

「コアラです」

 

・草

・冷静

・動じてなくて草

・草

・草

 

ㅤ嬉しいけどね。今度会ったらコラボの予定取り付けてみよう。

 

 

 

ㅤ2マッチ目。

 

ㅤこのゲームは最初、空高くからダイビングし、そこをスタート地点として探索し武器を拾う。その武器は強かったり渋かったりとまちまちだが、あり物で戦うゲリラ的な戦いもFPSの特徴だ。

 

「……ん、あっ!ㅤあれは!?」

 

ㅤそんなときに見つけてしまったのだ。銃弾飛び交うこのゲームに似つかわしくないようである意味象徴を成しているかのようなあの伝説の剣……!

 

「バスターソードじゃん!ㅤ大雑把すぎるやつ来た!」

 

ㅤ圧倒的火力!ㅤザ・パワー!ㅤよしよしよし、これで勝つる!

 

(この後普通に負けた)

 

 

 

ㅤ4マッチ目。

 

ㅤ3マッチ目はなんの撮れ高もなく瞬殺されたため、多くの切り抜きでカットされること請け合いであるがめげずに再挑戦。こうなったら1位取れるまで頑張りたいね。

 

「喰らえ必殺!ㅤ32分ストレートミドル!」

 

ㅤスコープ付きライフルで敵をなぎ倒す。バッタみたいな勢いで飛んでいく敵を軌道をなぞるように追いかけ、ついに撃破。やったぜ。

 

「よーし進むぞ!ㅤオラァカチコミじゃあ!」

 

ㅤ野良さんもこのランク帯は流石に優秀な人が多い。よーし私もさっき拾ったバスターソードでぶん殴ってやる!

 

・《アーストロン・ゾディア/ASTRUMS》君リズム感いいねぇ……(ニヤニヤ

 

ㅤよし全滅!ㅤだいぶシールド削られたが倒した残骸からぶんどればよし!

 

「ゾディア先輩は多分諸々履き違えてるんでごめんですけど帰ってください」

 

ㅤ3期生『ASTRUMS』の赤い方、それが『アーストロン・ゾディア』。『ぶいすた』随一の廃音ゲーマーで有名であり、アーケード、スマホ問わずあらゆる音ゲーに手を出している。けどこれはFPSなんで。リズム感とか関係ないんで。

 

 

 

ㅤ7マッチ目。

 

ㅤ配信開始から時間も経って腕が温まってきた。安定してバンバン敵を倒せている気がする。

 

「お、あんな所に潰し合ってるチームが」

 

ㅤ2つのチームがお互いに銃を乱射したりキャラのスキルを使ったりしてドンパチやっているのを確認。見たところこちらには気付いていない様子。

 

「これじゃあ復活させられないじゃん……どうしよ」

 

ㅤこのゲームでは倒された仲間のアイテム諸々が入った箱をリスポーン地点に持っていくことで復活させることが出来る。欠点としてその地点は大体開けているのと、復活には時間がかかること。なので仲間を復活させるにはまず敵がいないor来てもすぐに討伐できる状態でなくちゃいけないのだ。しかし、あそこでおっぱじめられてはそれも不可能。

 

「ん?ㅤどうした野、良……あー!」

 

ㅤ野良くんがスナイパーライフル持ってるー!

 

「最高すぎるお前。行け!ㅤ漁夫れ!ㅤバレても私がぶち殺したる!」

 

ㅤ持つべきは優秀な仲間とはよく言ったものだ。

 

ㅤということで決着が付いたタイミングで遠距離からズドン。シールドが剥がれたのでもっかいズドン。この野良エイム良いな。

 

「フハハハハ、見ろ!ㅤ人がゴミのようだ!」

 

・JKの姿か、これが……?

・お手本のようなゲス笑いで草

・ム○カ大佐!?

 

「よし全滅!ㅤアイテム漁りに行──いた、いてててて!」

 

ㅤアイテム回収に行こうとした瞬間、横から大量の弾が飛んでくる。いやちょっと!?ㅤマジですか!?

 

「ふざっっっけんなよお前!ㅤシバく!ㅤその臓物引っこ抜いて庭に飾ってやるわぁ!!」

 

ㅤサディスティック過ぎる発言をかました自分は横に置いてバンバン銃を撃って反撃するが、やはりFPSは後手に回った方が不利。抵抗虚しく全滅してしまった。

 

「…………スーッ」

 

ㅤバンッ!

 

「ふざけるのも大概二世!」

 

・草

・草

・草

・草

 

 

 

「昨日の配信、良かったですよ」

「良くないですよ……」

 

ㅤ翌日、事務所にてマネージャーさんと会合。今後について色々話しているところ、昨日の配信が掘り返された。私としては、あそこまで暴言撒き散らしといて良いわけがないんだけど。

 

「本当にお上手ですよね。大会、出られるんじゃないですか?」

「運営さんが見つけてもらえるくらい知名度上がればいいですけどね」

「ウチの括りでは結構話題に上がっている方ですよ。特に今までは規模を縮小していた分、『ぶいすた』のファンの皆さんにとって『てんから』の登壇は喜ぶべきものですから」

「すごいユーザー目線ですね」

「……コホン」

 

ㅤまぁそれもそうかという話かもしれない。『ASTRUMS』はたった2人、『オーラス姉妹』は姉妹で兼用のチャンネルが1つだけだから、ファン視点では『てんから』はかなり大掛かりな方なのだろう。まだ公表はしてないけどオリジナル曲の企画や歌ってみたの制作も進んでるわけだし。

 

「それで、明日はとうとう『新人歓迎特番』の本番ですね」

「うがっ……」

 

ㅤそうか、そうだった。

 

ㅤ明日、だったか……。




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