自作シナリオ置き場   作:藍沢カナリヤ

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【自作シナリオ】

「知ってる? 死者の夢の話」

 いつだったか誰かから聞いたことがあった。死者を誘い、導く夢の話。そこは視界のすべてが真っ赤な彼岸花で覆われているのだという。
 それがまさか、自分たちに起こり得るとは、過去の自分たちは予想もしていなかった。

 これは彼岸花の咲く楽園で、2人が選ぶ結末を見届けるお話。


システム:クトゥルフ神話TRPG6版(7版に改変も可)
プレイ人数:1人+KPC or 2PL
     両ロストした2人/どちらかがロストしたうちよそ
プレイ時間:1時間~。RP次第でどうとでも。
推奨技能:三大探索技能
    2人で一緒に生きたいという何よりも強い気持ち
後遺症:可能性あり
ロスト:救済/永久ロスト可能性あり


彼岸花の追憶

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KP情報として

 KPCあるいは両PCはロストした。

 2人の死ぬのを偶然、観測していたのは邪神『ニャルラトテップ』。2人の死に様を面白がった彼は『魂の束縛』(6版ルルブP271)を使用し、2人の魂が肉体から離れる瞬間に、2人の魂の入れ物を作って魂を入れ替え、ある場所に閉じ込めた。それが本シナリオの『彼岸花の楽園』である。

 『ニャルラトテップ』は自分が愉快であれば、倫理観も人の想いも踏みにじる。劇的で感動的な別れを選んだ2人だろうと、蘇らせてもう一度その愉快な人生を歩ませることも容易い。そして、彼あるいは彼女にとって、死んだ者が生き返るなんて混沌以外の何物でもない出来事は大好物なのである。

 KPC及びPCはここを死後の世界と思い込んでいるかもしれないが、『精神交換』(6版ルルブP266)を使用することにより、元の肉体へ精神を戻すことが可能である。

 

①『魂の束縛』

→本シナリオの『ニャルラトテップ』が2人の魂に対して使用した呪文。人間の魂を容器に閉じ込めることによって、肉体をコントロールしたり、消滅させることができる。

 

②『精神交換』

→他の人間と精神を交換することができる。

 呪文の使用には正気度1d3と対象のPOWと同じ値のMPを消費する。

 この呪文の対象となる者は、使い手に強い感情をもっている必要がある。使い手への感情が消えたとき、この呪文の効力は切れる。

 本シナリオにおいては、互いへの愛情が完全になくなった瞬間に、入れ物を失っている魂は行き場を失い、両ロストとなる。

 

③『死者を送る』(6版ルルブP259)

→対象に死をもたらす呪文である。

 本シナリオにおいては、PC・KPCに完全なる死をもたらすものである。

 

④『ニャルラトテップとの接触』(6版ルルブP261)

→『ニャルラトテップ』と交流するための呪文である。

 呪文の使用には正気度1d6と1POWを消費する。

 本シナリオにおいては、PCたちをこの場に束縛している本人(端末の1つにすぎないが)と接触する行為である。そのため、交渉によっては生存ルートもあり得る。PCたちを生き返らせる判断としては、探索者たちが彼の愛する『混沌』に値するかどうかにある。

 

⑤『身体部分の転移』(6版基本ルルブP264)

→肉体の一部を意図的に取り替える呪文である。

 本シナリオにおいては、【シーン6】でのみ『ニャルラトテップ』が使用する。『混沌』を選んだ場合は、探索者たちを気に入り、この呪文で2人の心臓のみを入れ替え、生き返らせる。それも1つの『混沌』の形であり、この2人がこれ以後も神話的事象に巻き込まれ、自らを楽しませてくれることを期待してのことである。

 

ーーーーーーーー

 

【導入】

 ぼんやりと覚醒していく。ここはどこだろうか。頭が痛むせいか、思い出せそうで思い出せない。そんなあなたの視界の端で何かが揺らめく。それは『彼岸花』だった。体を起こせば、そこには一面に広がる『彼岸花』。

※いきなり現れた寒気すら感じる真っ赤な景色にSAN値チェック0/1

 

「PC?」

 

 少しの間、呆けていると、声がした。声のする方向を見れば、そこにはKPCがいた。その瞬間にあなたがたは思い出す。自分(たち)が死んだことを。

※自らが死んだ場面を思い出した。

 →ロストした方はSAN値チェック1d5/1d10

  ロスとしていない方はSAN値チェック1d3/1d10

※RPをどうぞ。

 

☆RPが終わり次第

「私たち、どうなったんだろう……?」

 そうだ。あなたたちは知らなくてはならない。自分たちに何が起こっているのか。

 

 

【シーン1】

KP情報として

 PC及びKPCの体は『ニャルラトホテプ』が作った仮の肉体である。この肉体には体温と匂いがない。そのため、相手の体温や匂いを確認する場合、それぞれがないことを提示してよい。

 

〖探索場所〗

・自分自身

・KPC

・周囲

 

〖自分自身〗

 自分の体だ。四肢はなんの問題もなく動くし、視界は良好だ。(死因がある場合の例:自分は確かに体に穴が空いて死んだはず)

※『聞き耳』を振ることができます。

 成功→匂いをまったく感じない。『知識』を追加で振ることができます。

 失敗→匂いをまったく感じない。

※『知識』成功→彼岸花はほぼ無臭、とはいえ、ここまで何も匂わないものだろうか。

 

〖KPC〗

 KPCだ。いつもと何も変わらないように見える。

※確認したいことがあれば、確認してもよい。

 

〖周囲〗

 彼岸花が咲いている。

※『目星』を振ることができます。

 成功→遠目に見れば、彼岸花に見えるが、よく見ればところどころ作りがおかしいことに気付く。

 

 

【シーン2】

 キィィ、と音がした。そこには扉があった。花畑に扉のみが置いてあるのだ。

 

☆扉を開ける場合

 扉を開け、くぐる。目の前にはさっきまでと変わらない真っ赤な彼岸花の花畑が広がっていた。だが、気付く。さっきまではなかった木の机があることに。そして、あなたたちが開けた扉は瞬きをする間に消え、それとは違う装飾のついた別の扉があった。

 

☆木の机を確認する場合

 1枚のメモ用紙が置いてあることに気付く。そこにはこう書かれていた。

『選択肢は3つ。正解は1つだけ。神様からのプレゼントだ。ありがたく選ぶといい』

 

 

【シーン3】

 扉をくぐる。彼岸花の花畑とまた別の扉が目の前に現れる。ただ明らかに先程までとは違うものがある。望遠鏡だ。その望遠鏡は空ではなく、地面を向いている。(動かそうとしても動かない)

 

☆望遠鏡をのぞく場合

 望遠鏡の向こうに見えたのは、あなたの部屋だった。そこには自分がいた。ただ様子が少しおかしい。虚空を見たまま動かない。まるで人形のようだ。

※『目星』or『アイデア』を振ってください。

 成功→よく見れば、瞬きなどはしている。もしかしたら、あの体は生きてはいるのかもしれない。

 

 

【シーン4】

 扉を開け、くぐる。その先は、変わらない真っ赤な花畑。そして、本棚とまた違う装飾の扉があった。

 

☆本棚を調べる場合

 本棚の本を見てみれば、そのほとんどが空白だった。だが、3冊だけ文字が書いてある本を見つけることができた。

※ここでKPCとPCは合計3回『図書館』を振ることができます。合計成功回数によって、本の内容が分かる。

1回→①~③から1つ選んで開示

2回→①~③から2つ選んで開示。

3回以上→①~③のすべてを開示。

 

①『死者を送る』

→対象に死をもたらす呪文である。

 死者をあるべき場所へ送ることもできる。

②『精神交換』

→精神を交換することができる呪文である。

 人間同士はもちろん無生物と人間の魂も交換することができる。

③『ニャルラトテップとの接触』

→『ニャルラトテップ』と交流するための呪文である。

 

 

【シーン5】

 扉を開けると、もう見慣れてしまった真っ赤な花畑。

 けれど、明らかに違うのは扉が3つあるのだ。

 

☆扉を調べる場合

 扉にはプレートのようなものがついており、そこには文字が書いてある。『死者を送る』『精神交換』『ニャルラトテップとの接触』。

※最終決定です。扉をくぐりますか? どの扉をくぐりますか?

 

くぐらない場合→【エンドC】へ

『死者を送る』→【エンドB】へ

『精神交換』→【エンドA】へ

『ニャルラトテップとの接触』→【シーン6】へ

 

 

【シーン6】

 『ニャルラトテップとの接触』と書かれた扉を開ける。その瞬間に天地がひっくり返った。空が地面に、花畑が天に変わる。空に立つあなたたちと視線が合う花畑に立つ1人の女性。真っ赤なドレスの女を見て、あなたたちは本能的に理解する。目の前の『それ』は人ではない、と。

※『赤の女王』と遭遇したあなたたちはSAN値チェック1/1d8

 言葉の出ないあなたたちを見て、愉快そうに話しかけてくる。

「やぁやぁ、探索者諸君。よくぞここまで辿り着いたね。ボクこそがこの地を作り出した神様だよ」

「ボクは優しい神様でね。君たちの願いを叶えてあげようじゃないか! 生き返りたいのだろう?」

「ならば、ボクが言う条件を飲んでもらおうか」

「なに、簡単さ。君たちを生き返らせた後に、君たちの世界を一度壊す。そうだなぁ、人類と同じ数の『歩く屍』でも放とうか。その世界で生き抜いてみせてよ!」

「フフフ、『混沌』に満ちた世界さ。きっと楽しいよ」

「さ、どうする? 生き返って世界を滅ぼすか。生き返らずここで死を迎えるか。さぁ、選ぶといい!」

 

生き返って世界を滅ぼすを選んだ場合→【エンド真】へ

生き返らずここで死を迎えるを選んだ場合→【エンドB】へ

 

 

【エンド真】

 そう答えると、女は声をあげて笑い出す。

「アッハッハッ! そうか、いいね。世界を滅ぼしても自分達の生にしがみつく。嫌いじゃないよ、その醜さと傲慢さ!」

「いやぁ、君達ならこれからもいい『混沌』を見せてくれそうだ」

「いいよ、特別サービスつきで、君達を生き返らせてあげる」

 パチン、と指を鳴らすと、視界が揺れ出す。立っていられないほどの眩暈と吐き気。あなたたちは膝を落とし、体を真っ赤な花の絨毯に預ける。そうして、真っ赤な彼岸花たちに抱かれながら、意識を失った。

 

 あなたは目を覚ます。そこはあなたの部屋のソファの上であった。テレビはショッピング番組のオーバーなリアクションを流し続けている。どの局も平和そのもので、特異なニュースなどはないようだ。例えば、ゾンビが現れたとか、死者がよみがえったとか、そんな話は一切やっていなかった。

 あなたはふと自分の左胸に手を当てる。どこか違和感があった。その中にあるものがまるで自分の物でないような奇妙な感覚だ。

「…………ねぇ、PC」

 声のした方を見れば、あなたのベッドからKPCが起き上がったところだった。

「…………夢、じゃないよね」(文言は自由に変えてください)

 そう言われて、やっと理解する。自分(たち)は生き返ったのだと。

※RPをどうぞ。

 

【エンド真:明日も、共に2人で】

〖生還報酬〗

両探索者、ロストから帰還。

後遺症:共に2人で

呪文『身体部分の転移』により、お互いの心臓が入れ替わっており、今後、PCが刺されるなどした場合、KPCも死亡する。KPCの死亡により、PCも自らの心臓機能が停止するため、死亡する。

つまりは、どちらかがロストすると、片方もロストする。

 

 

【エンドA】

 扉をくぐった瞬間に、意識が揺らぐ。

※SAN値1d3、相手のPOW分MPを消費する。

 同時に、どこかに引っ張られる感覚があった。立っていられないほどの眩暈と吐き気。あなたたちは膝を落とし、体を真っ赤な花の絨毯に預ける。そうして、真っ赤な彼岸花たちに抱かれながら、意識を失った。

 

 あなたは目を覚ます。そこはあなたの部屋のソファの上だった。ぼーっとしたまま、テレビを見れば、ショッピング番組のオーバーなリアクションを流し続けている。どの局も平和そのもので、特異なニュースなどはないようだ。例えば、死者がよみがえった、なんて。

「…………ねぇ、PC」

 声のした方を見れば、あなたのベッドからKPCが起き上がったところだった。

「…………夢、じゃないよね」(文言は自由に変えてください)

 そう言われて、やっと理解する。自分(たち)は生き返ったのだと。

※RPをどうぞ。

 

【エンドA:明日も、2人で】

〖生還報酬〗

両探索者、ロストから帰還。

後遺症:精神の代償

呪文『精神交換』により、どちらかが相手への強い感情を失った場合、両ロストとなる。また、この呪文で使ったMPの半分の値だけ、上限値を減らすこと。

 

 

【エンドB】

☆【シーン6】を通っている場合

「あっそ、じゃあ、お帰りはあちらから」

 彼女がそう言うと、扉が現れる。そこには『死者を送る』と書かれた扉があって。

「別れの言葉でも言えば? じゃあね」

 彼女は興味を失ったような口調でそう言うと、いつの間にか姿を消していた。

※あなたたち2人の最期のRPをどうぞ。

 

☆扉をくぐる場合

 扉をくぐる。その瞬間に理解した。今ここにある自らの肉体が、精神が、魂が、そのすべてが無に帰していくことに。

 そう。あなたたちは死んだのだ。

 死者を送るように、彼岸花は未だ咲き誇っていた。

 

【エンドB:彼岸花の追憶】

〖通過後〗

両探索者、永久ロスト。

 

 

【エンドC】

 あなたたちは扉をくぐらなかった。選ばなかった。それはきっと英断だ。こうすれば、きっと2人でここにいられるのだから。

 その選択を祝うように、彼岸花はあなたたちを見守っていた。

 

【エンドC:彼岸花の夢の中で】

〖通過後〗

両探索者、永久ロスト。

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