6月。連日、雨が降り続き、うんざりするような気分のあなたたち。そんなあなたたちは共通の知り合いから、こんな依頼をされる。
「五月雨の黒幕を探すのを手伝ってほしい」
「見つけられなければ世界が滅ぶんだ」
意味は分からなかった。だが、その『五月雨の黒幕』の影響はすぐにあなたたちに襲い掛かる。
これは梅雨の一時に遭遇した雨と怪物にまつわる出来事。
システム:クトゥルフ神話TRPG6版(7版に改変も可)
プレイ人数:KPC+1人or2PL
プレイ時間:2時間~ RP次第でどうとでも。
推奨技能:三大探索技能、鍵開け(なくてもよい)
ロスト:低
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KP情報として
ある『吸血鬼』(基本ルルブ6版P231)は、太陽を酷く疎んでいた。そこで『吸血鬼』はある屋敷に住み着き、『天候を変える呪文』(基本ルルブ6版P273)を研究・運用し、連日、雨続きにしている。このまま太陽の姿を隠し、いずれ太陽を飲み込む邪神を招来しようとしており、それを邪魔しようとする者を眷属(蝙蝠)によって捜索し、排除しようとしている。本来『天候を変える呪文』は非常に制約の厳しい呪文だが、今回は吸血鬼が特別なAFを使うことで長時間の天候操作を実現している。
〖使用呪文〗
1『天候を変える』
→天候を穏やかにしたり、悪化させたりする呪文である。1レベルごとにMP10とSAN値1を消費することで天候を変えることができる。また、変えられる時間は30分程度、範囲は半径3.2kmである。今回使用する可能性のあるものを一部抜粋する。
降雨量のレベル:①晴れ(乾燥)→②霧雨→③雨
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【導入】
6月某日。あなたとKPCは共通の知り合いに呼び出されていた。呼び出し場所は焼き肉チェーン店。ご馳走するから頼みを聞いてほしいのだという。その知り合い曰く、
「色んな不思議なことに巻き込まれてきたあなたたちにお願いがあります。連日、止むことのないこの五月雨の黒幕を探すのを手伝ってほしいんです!」
「そうしないと、世界が滅ぶんですよ!」
突然、意味の分からないことを言われ、困惑はした。だが、知り合いが言うには、調査に少し協力するだけでいいらしい。進んでかしぶしぶかは分からないが、あなたたちはその依頼を受けるだろう。
それから2日後、目を覚ますと、薄暗くせまい見慣れない洋部屋に、あなたたちはいた。
※RPをどうぞ。
【シーン1】
手足が縄で縛られており、自分だけではほどけそうにない。もし手の縄をほどきたいなら、『DEX×5』でお互いの縄をほどくことができそうだ。
☆ほどいた場合
部屋は6畳もない。扉と窓は1つずつ。小さな机と椅子が置いてあるだけの殺風景な部屋だった。
〖探索場所〗
・机
・窓
・扉
〖机〗
古い木製の机だ。椅子に少し力を入れればギィッと音がする。座ったら壊れそうだ。また、机には引き出しがある。
☆引き出しを開ける場合
中にはプラスドライバーと手帳が入っていた。
☆手帳を調べる場合
その字に見覚えがある。例の調査を持ちかけたあなたたちの知り合いのものだ。彼/彼女はオカルトライターをしていたということもあり、手帳にはびっしりとオカルトにまつわることが書かれていた。ふとその中の3つの単語に丸がついている。『歩く屍』『吸血鬼』『ヘビ人間』とあった。
〖窓〗
木の板が打ち付けられている。1枚の板に釘が何十本も使われており、開けるところか日の光すらも入ってこない。辛うじて聞こえてくる雨音で、外が雨なのだろうという予想だけはできる。
〖扉〗
鍵がかかっている。だが、たてつけはあまりよくはなく、少し工夫をすれば開きそうではある。
(『鍵開け』や『STR×5』に成功することで扉は開く。また、机にあったドライバーを使ってもよい)
☆扉を開く場合
扉が開く。目の前の光景は特に代わり映えはない。部屋の雰囲気と同じ、古びた洋館が広がっていた。壁にはすすけたこの洋館の内観図が貼られている。
(館内の地図を提示し、自由に探索してもらう)
【シーン2】
〖大広間〗
この洋館に入ると必ず通る大広間。床は汚れ、天井にはクモの巣も張っている。入り口の扉がある。
→扉は開かない。施錠されているようだ。
〖1階客間〗
客間と記されていた部屋に入る。古びたベッドの枠組みと木の板で打ち付けられた窓。なんの変哲もない洋室だった。ただポツンと端に置かれている金庫が気になった。ダイアルを回すタイプの金庫だ。鍵がかかっており、開けることはできない。
※『鍵開け』を振ることができます。
(『目星-10』に成功することで、金庫底面に貼られている開け方メモを見つけて開けることもできる)
成功→鍵を開けることができる。
失敗→鍵は開かない。どこかにこのダイアルの開け方が書いてないだろうか。
〖中にあるもの〗
中には、1発のみの弾丸が込められた拳銃とスタンガンが置かれていた。持っていくことはできそうだが……。
(PLから拳銃について調べたいという場合のみ、『オカルト』を振ってもらう。成功の場合、弾丸が銀製であることがわかる)
〖厨房〗
一目で年数を重ねていることが分かる年期の入った厨房だ。だが、使用されていない割には小綺麗だ。古そうだが、刃が研がれた包丁。重厚な寸胴鍋。厨房全体にどこか使用感がある。
※『目星』を振ることができます。
成功→大きめの冷蔵庫があり、低い駆動音が鳴っている。
☆冷蔵庫を開ける場合
冷蔵庫を開けた。中は空、ということはなく、しっかりと詰まっていた。だが、それは食材ではないのは一目で分かる。赤い液体がパッキングされ、冷蔵庫にビッシリと詰まっている。
※『アイデア』を振ってください。
成功→分かってしまう。これは血液だ。人のものか獣のものかは分からない。だが、少なくともここにある血液は数十の肉体から抽出されたものだろう。目の前の異様な光景にSAN値チェック0/1
〖書庫〗
そこまで広くはないが、壁一面に本がぎっしりと詰まった書庫だ。ぱっと見て分かるが、呪術や怪異、化物など、オカルトチックな本が並んでいるようだ。
※『図書館』or『オカルト』で怪物について調べることができます。
『歩く屍』→自我を失った練り歩く死体。嗅覚のみがよいため、匂いを誤魔化すことができれば逃げることができる。
『吸血鬼』→人の血を吸う化物。にんにく、十字架、銀製の代物が苦手。一番効果があるのは日光。数秒浴びせれば、そこが崩壊するらしい。
『ヘビ人間』→ヘビの頭、人間のような体躯を持つへびの化物。温度変化に弱く、低温では活動が鈍る。
※『目星』を振ることができます。
成功
→本棚の中で1冊だけ、背表紙に何も書かれていない本を見つける。中を見るのであれば、どうやらこの屋敷の主の日記のようだ。内容は取引や来客の記録など。その中で気になる記述を見つけた。内容は以下の通り。
『最近雇った者の様子がおかしい。夜の警備ということで雇ったのだが、夜な夜な厨房で何かをしているようなのだ。ゴンゴンと出刃包丁の音が響く。気になり、物陰に隠れて覗き込むと、彼は獣を捌いていた。彼は猟師や料理人ではない。にもかかわらず、それをしているのは正直、不気味だった。秘書伝いに止めるように言ったのだが、一向に止めない。解雇するように秘書に伝えたが、どうにもそれが伝わってないようだった。結局、痺れを切らして、私も直接彼と話した。しかし、不思議なもので一言二言喋ると、その気も失せてしまうのだ。気味が悪い』
〖2階〗
2階に上がると、部屋が2つあった。片方は鍵が閉められている。もうひとつは鍵は開いているようだが、なにやら人の気配がする。
※『聞き耳』を振ることができます。
成功→なにかが唸る声が聞こえる。
☆扉を開ける場合
そこにいたのは、失踪した君達の知り合いであった。手足と口にガムテープが巻かれており、ばたばたともがいている。
〖ほどくなら以下知り合いとの会話〗
・なぜここに?
→「ここに例の『五月雨の黒幕』がいるって突き止めたんですけど、逆に捕まっちゃって」
・正体は掴めたの?
→「たぶんですけど、人ではないです。とりあえず分かってるのは、光に弱いこと。ここの窓枠が全部塞がれてるのがその証拠でしょう」
・どうすればいい?
→「残念ながら、私はふらふらするんで、あまり力になれませんよ。ただたぶん時間はないです。ここの窓の枠をどうにか壊しておくので、ここまで引き連れてきてください」
・退治してくる。
→「これ、使ってください。改造してあるのでかなり光量が強い懐中電灯です。化物の目眩ましくらいはできるでしょう。あと、これ! どこの鍵かは分からないですが、屋敷で拾ったものです」
(この鍵は2階の書斎の鍵である)
『2階書斎』(鍵を入手している場合)
鍵を差し込めば、カチャリと静かな音がして鍵が開く。中に入れば、そこは書斎のような場所だった。木の机と椅子が1組だけ置かれており、他にはないもない。だが、他の場所に比べて埃も少なく、現在まで使われている様子が見られる。また、机の上に本が1冊だけ置いてある。
☆本を読む場合
中はあなたたちには読めない言語で書かれている。だが、3箇所だけ読める場所がある。
①『天候を変える』
②『立ち込める夜霧』
③『カーの分配』
☆読んだ場合
読めない言語のはずだ。だが、あなたたちは『それ』を理解することができる。理解してしまう。SAN値チェック0/1d5。
〖地下〗
地下への階段の前にあなたたちは立つ。覗き込めば分かるが、灯りも窓もなく、完全な暗闇だ。ここをこのまま進むのは得策ではないだろう。
懐中電灯を手に入れている場合→【シーン3】へ
【シーン3】
コツンコツンと階段を降りていく。灯りはなく、手すりとスマホのライトだけが頼りだ。やがて、扉が現れる。扉は少しだけ開いており、隙間から中を覗き見るもしくは突入することができる。
☆突入する場合
あなたたちはそのまま扉を勢いよく開け、突入する。目の前には1人の男がいた。青白い肌、血走った目、鋭い犬歯。そして、床に無数に転がっている人間の首からじゅるじゅると血を吸うその男は一目見て分かる『怪物』であった。
※『怪物』を見たあなたたちはSAN値チェック1/1d6
☆覗き見る場合
開いている扉の隙間から覗き見る。部屋の中には1人の男がいた。青白い肌、血走った目、鋭い犬歯。そして、床に無数に転がっている人間の首からじゅるじゅると血を吸うその男は一目見て分かる『怪物』であった。
※『怪物』を見たあなたたちはSAN値チェック1/1d6
※なにか1行動することができる。
※ここでは直接戦闘か逃走して2階の部屋へ連れていくか選ぶことができる。
☆戦闘の場合
〖吸血鬼ステータス〗
耐久値15 STR15 CON15 POW14 SIZ14 DEX12
噛みつき35% ダメージ1d3
吸血40%(噛みつき後派生) ダメージ1d6(吸収)
吸血鬼は日の光や銀の弾丸に弱い。そのため、それらに当たると耐久値に関係なく死亡する。にんにくや十字架がある場合は、ダメージはないものの次のラウンドの行動順が最後になる。
☆逃走の場合
①DEX順に行動する。
②『DEX×5』を3回振り、2回以上成功したら逃走成功。
③2人とも成功するまでこれを続ける。
④1人が成功し、もう1人が続ける場合、成功した探索者はアクションを行い、補正をかけることができる。
部屋に逃げ込んだ場合→【シーン4】へ
探索者の耐久値が0になった場合→【エンドA】へ
吸血鬼を倒した場合→【エンドB】へ
【シーン4】
2階の彼女の待っていた場所に駆け込む。扉を閉じると、ドンドンと扉を叩く音がする。このままでは扉は保たない。すぐにでも壊れてしまうだろう。
「木の板ははがしました! ただ……」
彼女の視線をたどれば、打ち付けられた板はなくなっていた。けれど、陽の光は射していない。未だに小雨が降り続いている。どうすれば……?
『天候を変える』呪文を使う場合→【エンドC】へ
【エンドA】
あなたたちの視界が霞んでいく。感覚がなくなる直前、首筋に強い痛みが走った。それでもあなたは起き上がれない。
【エンドA】
〖通過後〗
・ロスト
【エンドB】
怪物が倒れる。ビクリと一瞬、跳ねた身体はそのまま音を立てることなく、その場に横たわっていた。怪物を倒した。その実感が少しずつやってくる。
「…………お、おぉ、まさか力業で倒すとは」
地下室の入口を見れば、あなたたちの知り合いが信じられないものを見る目で立っていた。
「正直、想像以上でしたよ」
そう言って、彼女は笑った。
とにもかくにも、こうして『五月雨の黒幕』騒動は幕を閉じたのだった。
※最後に、日常に戻った探索者たちのRPをどうぞ。
【エンドB:五月雨探し、これにて解決!】
〖生還報酬〗
・SAN値回復1d8
・倒した際に使った技能の成長1d4
【エンドC】
あなたたちは『天候を変える』呪文を唱えた。その直後、陽の光が射し込んでくる。それと同時に、扉が破られた。
「う、アぁぁ……」
光に当たった怪物の腕がじゅっと燃える。怪物はそれから逃れようと、1歩後退るももう遅い。燃えた腕から肩へ、胴へ、そして、頭を焼いていく。ほんの十数秒後には、恐ろしい怪物は灰になっていた。
「いやぁ、本当に……流石です。あなたたちに相談して正解でした」
疲れきった様子で、あなたたちの知り合いはその場にへたり込み、息を吐いた。とにもかくにも、こうして『五月雨の黒幕』騒動は幕を閉じたのだった。
※最後に、日常に戻った探索者たちのRPをどうぞ。
【エンドC:五月雨探し、これにてお仕舞い!】
〖生還報酬〗
・SAN値回復1d8
・呪文:『天候を変える』取得。