その鬼灯は人を喰らう。
鬼灯が各地で咲き誇る鬼灯村。あなたは、KPCの母方の実家があるその村へとKPCとともに訪れることとなる。
システム:クトゥルフ神話TRPG6版(7版に改変も可)
プレイ人数:1人(KPCとのタイマン)
プレイ時間:1時間半~ RP次第でどうとでも。
推奨技能:目星、聞き耳
ロスト:低~中
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KP情報として
鬼灯村には元々、江戸時代から明治時代前期までとある因習が存在した。それは土地神・『鬼灯様』に豊作と村の平穏を願い、生贄を捧げるというものであった。明治後期になり、当時の村長の手により撤廃され、神は信仰を失い、この地を去った。だが、現在より2年前、この村に住み着いた神が生贄を直接要求するようになった。
元の神の正体は『ヨグ=ソトース』(基本ルルブ6版P)である。この神が去った後、2年前に現れたのは『ヨグ=ソトースの息子』(基本ルルブ6版P)であり、大量の人肉を食す習性がある。『ヨグ=ソトースの息子』は村に入ってきたPCを見て、あまりの旨そうな匂いに、PCの虜となる。餌として確実に食すために、KPCを誘拐・監禁し、姿を真似て成り代わった。
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【導入】
初夏のことである。あなたは{KPC}にお願いされ、{KPC}と一緒に彼/彼女の母方の実家がある鬼灯村に向かっていた。というのも、実家の片付けで人手がほしいらしい。本来は{KPC}の両親が行く予定だったのだが、両親ともにぎっくり腰になってしまい、{KPC}とあなたに白羽の矢が立ったのだ。
「せっかくの休日にごめんね、{PC}」
電車の座席で隣同士に座る{KPC}がそう言って謝ってくる。あなたはどんな風に返すだろうか。少しだけ電車に揺られながらRPをどうぞ。
【シーン1】
『次は鬼灯。鬼灯。出口は右側です』
2人、会話をしていれば、もう目的地である鬼灯駅に着くところだった。忘れ物がないように確認し、駅のホームへ降り立つ。木造の駅舎、その無人の改札に置いてあるボックスに切符を入れた。駅舎を出ると、出迎えてくれるのは大自然の緑。心なしか空気が美味しい。
「んー!! はぁ、なかなか気持ちいいね。大自然って感じ!」
そう言って伸びをする{KPC}。あなたもそれにはきっと同感だろう。
「って、そうだ。ええと……」
{KPC}はふと辺りを見渡す。すぐに1台の軽トラを見つけ、声をあげるだろう。運転席から出てきたのは、{KPC}の祖父。柔和な雰囲気の彼は、あなたにようこそいらっしゃったと歓迎してくれる。荷台に乗ってと言われ、あなたたちは少し悪い道に揺られて{KPC}の母方の実家へと向かうことになる。
【シーン2】
蔵の片付けはそれなりに大変だったが、どうにか終わる目処がたった。明日、もう少し頑張れば終わるだろう。今日はこのまま夕飯や風呂をいただいて、客間に敷いてもらった布団にぼふんと倒れ込む。ほどよい疲れがあなたを包み、すぐに意識を手放した。
ゴトン、と音がした。
大きな音というわけではない。だが、あなたはその音で起きてしまう。妙な胸騒ぎがする。慣れない中で手を伸ばし、電気をつける。
※『聞き耳』をどうぞ。
成功→ズルズルと何かを引きずる音がした。客間から繋がる廊下から聞こえてくるようだ。
失敗→ズルズルと何かを引きずる音がした。
KP情報として
ここでヨグ=ソトースの息子がKPCを襲った。本来は喰おうとしたのだが、どうしてもKPCの匂いがダメで拉致することにした。
☆客間の襖を開ける場合
音が気になったのか、あなたは襖を開ける。だが、特段変わったところはない。月明かりに照らされた薄暗い木の廊下が続いているだけだ。夢かと思いつつ、あなたはまた夢の世界へ戻ることだろう。
KP情報として
もし追うとしても姿は見えない。これはヨグ=ソトースの不可視の特性によるものである。
【シーン3】
KP情報として
もしKPCと会話する場合、この時点から【シーン】までは『ヨグ=ソトースの息子』と入れ替わっているため、一人称や口調などを変えておくこと。また、祖母のことについても、貼り付いた笑顔を浮かべるだけで、動揺などもしない。
翌朝、あなたは自然に目を覚ます。バタバタとなにやら慌ただしい音で起こされたのだ。
「おはよう、{PC}」
なにかと思っていると、ガラッと襖が開き、{KPC}が顔を出した。いつもと変わらない笑顔だった。
※『アイデア』を振ることができます。
成功→その笑顔にどこか違和感を感じる。
「ああ、{PC}さん、すまんねぇ。朝食まだ出来てないんだよ」
茶の間に行くと、{KPC}の祖母はそう言った。なにやら忙しそうで、多少顔色も悪い。なにかあったのだろうか。
〖以下、KPCの祖母との会話例〗
・なにかあったのか?
→「……うーん、ちょっとねぇ」(村の因習についてなので、あまり話したくはないと思っている。何回かは言い淀む)
・教えてほしい。
→「実は、この村には昔、人身御供のようなことがあったんだよ。神様……『鬼灯様』に贄を捧げるような……。あたしが生まれるずっと前に『鬼灯様』は姿を隠された、はずだった」
・それとなんの関係が?
→「ここ数年、『鬼灯様』がこの村に戻ってきたようで、また贄を求めてるんだ。その要求が昨日の深夜にあったそうでなぁ。恐らくだが、うちから1人……まぁ、年齢的にはきっと、あたしかねぇ」
・どうにかならないのか
→「その頃の記録によれば、贄を拒否すれば災害が起きとった。こんなばあさんの命でいいなら、安いもんだよ」
・それでも助けたい
→「ありがとねぇ。なら、そうさねぇ……村長のところにでも行ってみるといい。なにかわかるじゃろ」
☆村長宅に行く場合
{KPC}の祖母から教えてもらった鬼灯村の村長宅へ向かう。少し歩けば、古いが立派な日本家屋が見えてきた。どうやらここが村長の家らしい。
呼び鈴を鳴らすが、出てこない。中に気配はあるため、声をあげてみる。すると、バタバタと慌ただしい様子の後、60代くらいの初老の男性が出てきた。
※この村の因習について聞くことができる。
〖以下、村長との会話例〗
「ええと、なんだい? 今、少し忙しいんだが」
・KPCの祖母の孫だ。
→「ああ、鈴木さんとこの……なんて間の悪い時に。ええと、ばあちゃんの件かい?」
・そうだ。助ける方法を知りたい。
→「助ける? 馬鹿言っちゃいけない。相手は神様なんだ。逆らったら天罰が下る」
・その因習はどんなもの?/神様ってなに?
→「江戸時代から明治前期までの間、この村ではとある因習が存在した。神様……『鬼灯様』に豊作と村の平穏を願い、生贄を捧げるというものだ。明治後期になり、当時の村長の手でそれ撤廃された。だが、明治後期に一度、この村からいなくなったあと、ここ数年で『鬼灯様』はこの村に戻ってきて、それから1年に一度、贄を要求するようになった」
・どうにかして助けられないのか?
→「…………明治後期、この贄を撤廃した時の村長が残したものが公民館内の図書館にあるはずだ。あとは『鬼灯様』を信仰していた神社がある。そこになら、なにか残っているかもしれん」
「これ以上は…………すまないね」
【シーン4】
〖探索場所〗
・公民館→秘密基地
・(小川)→神社
〖公民館〗
村長の話にあった公民館へやってきた。なかなかに年期の入った木造建築で、村役場も一緒に入っているらしく、それなりに広さはあるようだ。案内板を見て向かうは村立の図書館。色褪せた児童書や村の歴史などが書かれた書物が置いてある。司書らしき中年の女性に聞けば、当時の村について書かれた資料を見ることができる。
〖以下、資料の内容〗
『明治 年、5月。今年の『鬼灯様』への贄を撤廃することを決定した。廃藩置県が施行され、都市部では文明開化が進む昨今に贄を捧げ続けることは、我が村にとっても悪影響であると考えたためである。この決定は私の独断であり、村民会議は関与していない。そのため、万が一のことがあれば、私を贄として捧げ、『鬼灯様』の怒りを沈めてほしい』
※『目星』or『図書館』を振ることができます。
成功→その後の記述を見るに、当時の村長はその後も生きているらしい。つまり、『鬼灯様』による制裁は訪れてないのだろう。
失敗→その後の記述を見るに、当時の村長はその後も生きているらしい。
☆資料を読んだ後
「おや? そこにいるのは……」
調べものを終え、公民館を出ようとするとあなたたちに、白髪の男性が声をかけてきた。柔和な表情に、今起きていることをつい忘れてしまいそうな雰囲気があった。なにやら{KPC}を見て、声をかけたようだが。
「{KPC}くん/ちゃんかい? ああ、ほら、覚えているかな。5年くらい前かな。君に助けられた者だよ。竹を切っている最中、熱中症倒れた私を、君は助けてくれたんだよね」
KP情報
このKPCは偽者であるため、もちろんそんなことは記憶にない。適当な相槌で誤魔化すだろう。PCがこのことについて言及する場合、偽者としての立場でやり取りをすること。
「ああ、そういえば、あの時は君の秘密基地に連れていってもらったんだったね。懐かしいなぁ」
「まだあの場所はあるのかい? って、5年前だから覚えていなくても無理はないか。もし時間があるなら、行ってみるといいよ。ええとねぇ」
そういうと人の良さそうなその男性は、公民館の入り口にあった村のマップに赤ペンで丸をつけてくれた。その〖秘密基地〗は、ここからそこまで離れていない場所にあるようだ。
※探索場所追加:〖{KPC}の秘密基地〗
〖KPCの秘密基地〗
マップを見ながら、秘密基地とやらへ向かう。どうやら{KPC}はそのことを覚えていないのか、秘密基地に関することには曖昧な答えしか返してこなかった。少し歩くと、竹藪に行きつく。どうやらこの中に{KPC}の秘密基地があるようだ。竹藪と崖の境に目を凝らせば分かる。竹の緑や地面の茶色に紛れるように、迷彩柄のぼろ布が被せられたほら穴があった。中を覗いてみれば、古くはあるが、机らしき大きな木の板や椅子のような切り株があり、ここが例の秘密基地なのだと分かるだろう。ただ{KPC}に確認してみても、うろ覚えらしく、たぶんそうだと頷くだけだ。
※『目星+20』を振ることができます。
成功→ぼろぼろのノートを見つけることができる。中はだいぶ古く、また、雨にさらされたのか文字がにじんでいるところもある。
※『図書館』or『日本語』を振ることができます。
成功→この筆跡は{KPC}のものだと分かる。さらに一文読み取れる。
『村人のニセモノがいた。あれはなんだったのだろう』
〖小川〗
神社へ向かう途中に流れる小川だ。水は澄んでおり、小さな魚の影もある。水質のよさから上流に近いのだろうと分かる。辺りの様子を伺っているあなたとは対照的に、{KPC}は川の淵に座り、靴を脱ぎ、川に足を投げ出して浸かっていた。
※『目星』を振ることができます。
成功→今いるところより少しだけ下流に近いところで何かが引っ掛かっている。
☆もし引っ掛かっているものを取りに行く場合
それは靴だった。子供用ではなく、明らかに大人用のそれ。
※『アイデア』を振ることができます。
成功→{KPC}が履いているものと同じだと分かる。今、{KPC}の靴は……彼/彼女の近くに乱雑に置かれている。
失敗→どこかで見覚えのある靴だ。
☆神社へ向かおうとする場合
小川にかかった粗末な木の橋を渡り、山道を登っていく。その途中、{KPC}が足を止めていた。
「ごめん、ちょっと疲れたから。ここで待ってるよ」
(2、3言やり取りをしたら)
※『アイデア』を振ってください。
成功→{KPC}の顔色が少し悪い。木々に覆われてそれなりに涼しいというのに妙な汗をかいている。
失敗→{KPC}の顔色が少し悪い。
☆異変を指摘する/身体に触れようとする場合
「っ」
あなたが{KPC}に近づこうとすると、{KPC}はバッと離れる。
「ごめんごめん。避けたわけじゃないんだ。そう……そうだ、少し熱があるような気がしてね。ここで待っているから、神社へはキミ1人で行ってもらえるかい?」
KP情報として
神社には『AF:魔除けの守り刀』が置いてある。それは偽者KPC『ヨグ=ソトースの息子』にとっては毒になるものである。また、このAFは以前の神『ヨグ=ソトース』に対してはあまり有効ではないが、神性の弱い『ヨグ=ソトースの息子』にとっては致命傷にもなりうるものである。そのため、神社には近づきたくない。また、このAF自体にも近づきたくないという感情を本能的に感じている。
〖神社〗
石製の鳥居をくぐり、あなたは神社へと足を踏み入れた。神社は不気味なほどに静まり返っている。そのまま本殿の近くに行けば、賽銭箱の向こう側にある本殿の扉が少し開いているのに気づく。
☆中に入る場合
声をかけるか、無言で入るかはあなた次第だが、少し開いていた扉をそっと開ける。中には誰もいない。人を探し、手がかりを探るべきだ。そう思うよりも前に目を引き付けられてしまう。そこには御神体があった。石像にも関わらず、脳はそれを虹色の球体だと認識している。視覚ではない何かに訴えかけてくるそれを見ているあなたは、どこか意識がふわりと浮かび上がるような気さえした。
※SAN値チェック1d5/1d10
☆発狂した場合
御神体から溢れ出る何かの気配をあなたは感じ取ってしまう。
☆処理が終わった後
意識がはっきりとしていく。気づけば、あなたの手には1本の小刀が握られていた。
【シーン5】
「おかえり。収穫はあった?」
神社から戻る山道で、{KPC}はあなたを待っていた。が、あなたに近づくや否や少し仰け反って続ける。
〖以下、KPCとの会話例〗
・どうしたの?
→「…………キミから何か変な気配がするんだ。何か持ってる?」
・誤魔化す
→「いいや、嘘だね。何か持っているだろう」
・小刀を見せる
→「それは捨てた方がいいよ。ほら、小川があったろう。あそこに捨てて、もう家に戻ろう」
・これは手がかりなんだ
→「でも、『鬼灯様』については聞けなかっただろう? これは僕達に解決できる問題じゃなかったんだよ。そうだよ、こんなことに首をつっこまずにもう帰ろうよ」
※あなたは小刀をどうするか決めることができる。また、その後どうするか行動を決定してほしい。
KP情報として
この{KPC}を怪しむ場合はRPを続けてほしい。『AF:魔除けの守り刀』を向けたり、本物の{KPC}でないことを指摘できた場合は【シーン7】へ
また、『AF:魔除けの守り刀』を直接突き刺した場合は【エンドA】へ
【シーン7】
「…………はぁ、仕方ないなぁ。本当はこのまま誤魔化して、キミを生きたまま喰いたかったのに」
{KPC}は、いや、{KPC}の姿を真似たそれの声が徐々に変わっていく。{KPC}とは似ても似つかないしゃがれた声だ。やがて、その姿すらも変わっていく。自分よりも明らかに大きな体躯と奇妙に長い手足。顔面には顔のパーツはなく、まるでのっぺらぼうのようだった。だが、口に当たる部分がポッカリと開き、ギョロリと玉虫色の眼球が現れ、あなたと目が合う。
※{KPC}の偽者の正体、『ヨグ=ソトースの息子』の本当の姿を見たあなたはSAN値チェック1/1d6
※戦闘前に『アイデア』を振ることができます。
成功→普通に戦っては殺されてしまうだろうということが分かる。何か有効な手はないだろうか。
失敗→普通に戦っては殺されてしまうだろうということが分かる。
〖以下、『ヨグ=ソトースの息子』のステータス〗
耐久値60
STR23 CON35 DEX14 SIZ26
CCB<=50 【つかんで吸う】 ダメージ1d6
CCB<=40 【回避】
〖戦闘ルール〗
①『ヨグ=ソトースの息子』には物理的な攻撃が通じない。
②倒すためには『AF:魔除けの守り刀』を突き刺すしかない。
③『こぶし』or『DEX×5』で突き刺すことができ、自分が決定的成功or相手が回避に失敗した場合、【エンドA】へ。
④PCの耐久値が0になった場合、【エンドB】へ。
【エンドA】
小刀を突き立てれば、{KPC}の姿をしたそれは断末魔をあげながらドロドロと形を失っていく。やがて、それは、まるで水溜まりのようにあなたの足元に溶けていった。{KPC}の偽者はこうして消え去ったのだ。
一連の出来事を村人に伝えると、すぐに村人が総出で{KPC}を発見することができた。多少の脱水症状や擦り傷はあったが、大きな異常もなく、{KPC}は帰ってきた。さらに、例の生贄騒動は元凶らしきあの偽者がいなくなったことで終わりを告げた。それもこれもすべて、{PC}、あなたのおかげだ。またいつでも来てくれと{KPC}の祖父母や村人たちに見送られ、あなたたちは帰路へと着いた。
※最後に日常に戻っていく2人のRPをどうぞ。
【エンドA:】
〖生還報酬〗
・SAN値回復1d8
【エンドB】
意識が飛ぶ。薄れゆく意識の中、声が響く。
「ああ……やっぱり、美味しそう。いただきまァァス」
〖通過後〗
・KPC、PC両者ロスト。