大魔王妃と呼ばれた女 作:初恋を忘れられない強キャラは良いぞ中学
「待てッ!バーン!!」
空を裂く大魔王の要塞。その名も“バーンパレス”。
そこで遭遇した敵の首魁に圧倒され、仲間を蹴散らされたポップは切り札を繰り出した。
「……ほう」
(きっ…効いてくれッ!!この極大消滅呪文が効かなきゃ、もう大魔王に通じる攻撃呪文は無くなっちまうッ──)
(効いてくれよおおっ!!)
起死回生の極大消滅呪文。その名は───
「メドr「して、ポップとやらよ」」
───叫ばれるその寸前で、標的の問いかけに止められてしまったのだった。
「あァ!?」
「その呪文……命名したのはマトリフといったか?お前はその弟子か」
「訳知り顔で人様の来歴ほじくり返しやがって……ああそうさ!俺の師匠が創った最強の呪文で、今からお前の土手っ腹をブチ抜いてやるッつってんだよぉ!!」
「
「何がおかしいッ!!」
師弟の絆その物ともいえる呪文に対し、返された失笑を受けてポップは怒る。引き絞る右手に力が入り、両呪文のバランスに僅かな乱れが生じた。
それを知ってか知らずか、いや敢えて見逃した上で、バーンは尚も言葉を紡ぐ。
「その様子では“バルコート”の事も知らんと見た。余の推測ではおそらく、いや確実に極大消滅呪文の発明には奴が絡んでおる筈だ。構想を遺したか、或いは名付けだけを後世に任せたのかは知らぬがな」
「…何が言いてぇ。長々と喋ってくれた割には要点が掴めねぇぞ、大魔王サマ」
「“発明者”を気取るのは勝手だが、お前達は“発見者”ではないという事よ」
その瞬間、ポップは絶句した。彼が会話で稼いだ時間により、倒れた仲間を介抱していたマァム達も同様だった。
バーンが
「……バーン様。こちらを」
傍に控えていた側近、ミストバーンが
「はッ……な、テメェまさか!!?」
「余はヒャド系の呪文に秀でぬゆえ、このような形を取らせてもらう。尤も余が“これ”を使う事自体が幾万年ぶりかという話だが…!」
「ポップ!!凌げーー!」
言われるまでも無い。クロコダインの絶叫に対し、ポップは己の呪文にそそぐ魔法力をもう1発分だけ練り上げる事で応じた。最早返事する余力すら惜しい。
そうしなければ、死!
「勘違いするでないぞ。余は嬉しいのだ、まさか……」
「メドッッッ」
「
「ロォォオアアアアァァッ!!!」
放たれた力の奔流は無造作な物だ。弓矢の形に洗練されたポップの物とは違い、正面に合わせた両掌から強引に指向性を宿らせただけの、技の完成度としてはおよそお粗末な物だった。
しかしそこは大魔王、そこに込められた力量とそれ由来の威力は計り知れず。ポップが普段の倍の力を捻じ込んだメドローアと衝突し、互角以上にせめぎ合った所からもそれが読み取れるだろう。
ぶつかり合い捻じれ狂う極光。その余波に揉まれる勇者一行を、ほくそ笑む大魔王の背を、ミストバーンはただ静かに見守っていた。
利き手に不得意な方の呪文。違う手に得意な呪文。
(そーそー、曹操。後は真ん中でグチャグチャしてギュッと引き絞って、最後にミスト君のタイミングでボーンって寸法よ)
雑過ぎませんか!?
(私の体を使ってる時点でセンスも私のを共有できるからダイジョーブ!ほらほら、男の子は度胸!)
そんな大雑把な。というか私に性別は……ええい、儘よ!!
(ヒャ~メ~は~め~、波~~~!!)
──度し難い内心の合いの手から一拍遅れて、というか意図的にズラして、突き出した両掌から飛んでいく光の塊。それは遥か遠くの山肌を大きく削り取り、煮え滾るマグマを表出させた。相変わらず恐ろしい威力だ、この……ううん、何と呼べば良いのか。
(だからヒャメはめ波だって)
「大変すみませんが却下の方向で……」
(……そんなにダメ?)
「品位を疑う程度には著しく駄目かと」
(嘘でしょ……前の“ドヒャラメ砲”は絶対に超えてると思ったのに)
伝わってくる落胆から逃げるように憑依を解除。これでも一番最初よりかはマシだが……この人のネーミングセンスはまさしく“玉に瑕”という他無い。
嗚呼、そうだ。
この方は正しく、珠のように麗しい御人だったのだ。
「──ふぅ」
解き放たれた余波に靡く金髪。この魔界から失われて久しい“月”とは、きっと彼女の髪のように静かに煌めくのだろう。
数拍を置いて開かれた両の眼は、光届かぬこの地底を写してなお輝かしい。この希望亡き世界に彼女が何を見出しているのかなど、私には到底考え及ばなかった。
「ミスト君にとっては残酷な話かもだけど……この世界にはやっぱり、太陽が必要だね」
「太陽とは、それほどまでに素晴らしい物なのですか」
「命の源、生きる糧……っていうのは感嘆だけどさ。
輝かしかった。眩しい程だった。
太陽だの月だの、本当はどうでも良かったのだ。何故なら私にとって、彼女こそが月であり。
そして太陽は───
「ハドマ様。客人です」
「うん。ありがと、バル君」
彼女の弟子が投げ掛けた一声。それはこの一時の終わりを意味していた。
赤茶けた大地を踏み締め、我が主が来る。銀の髪を威風堂々と靡かせて来る。
我が仰ぐ太陽。その威容を現すが如く、双角が空を裂く。
「出迎えも無しか?」
「生憎茶葉を切らしててね」
「援助は欠かしてはおらん筈だが」
「だったらアポぐらい取ってから一昨日きてって話よ。急に来られてもお湯の一雫だって沸かせないじゃない」
「容赦の無い女だ……ミスト」
「はっ!」
呼ばれるや否やすぐさま傍へ。するとまるで対抗するかのようにバルゴートも彼女の傍に控えた。我々はそれぞれ、主の影に徹する者なのだと主張し合うように。
「……さて。本題に移るとしよう」
「察しは付いてる。近く大きな戦を仕掛けるんでしょ」
「その通りだ。延いては最後の一押しとなる戦力が欲しい」
そして我が主は指差した。彼が今欲するものを、眼前に立ちはだかるその者を。
「我が物となれ、ハドマ。余の隣で、余の為にその力を奮え」
「助力はすれど協力はしない、それが私達の対等な関係。貴方の物にはならないよ、バーン」
刹那、バーン様の右手が閃き。
時を同じくして、ハドマ様の額に第三の瞳が開かれる。
前者から迸る炎熱、後者から放たれる冷気。それらは各々を取り巻きながら形を成し、やがて互いに巨大な鳥の姿を得るに至った。熱気と冷気に見舞われ、周囲の大気には軋みを上げ大地は溶融。かつ即座に凍て付きガラス化してゆく。
皇帝が制す不死鳥と女帝が御す神鳥。
銀の髪と金の髪。
鬼角と鬼眼。
(───美しい……)
対となるような御二方だった。ああそうだとも、彼女だけがバーン様に正面から相対し、そしてその隣に立つ事を赦された存在だったのだ。
ハドマ様。鬼眼族の姫君。大魔王妃の座に就くとすれば、それは貴女以外あり得なかったというのに。
Q.この世界線において、メドローア現象を最初に発見したのは誰?
A.ハドマ。
Q.凍れる時の秘法を発明したのは?
A.ハドマ。
Q.天地魔闘の構えは?
A.バーンとハドマ。
Q.コイツ何なんだよ
A.バーン様夢小説の主人公だぞ、盛らない訳無いだろ。ついでに言うとバルゴートの師匠だし、バーン様の鬼眼も元はコイツの
Q.ふざけんなよボケが
Q.で、作者が一番好きなダイ大CPは何?
A.マトカノ。強者男の一生に傷跡になる女は最高や!!