パニック・コンピュータ   作:PCエンジン

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パニック・コンピュータ

コンピュータが飾られていた。

「今更コンピュータなんて何に使うんだい?」

 

トミーは少し舌を前歯の裏側に押し付けて顔をしかめる。

トミーの周囲にはスクラップやら廃品回収業者が集まってマーケットプレイスが出来上がっており、泉を中心にして円周の配置でテントがまばらに設営されていた。

 

「おう、兄ちゃんいらっしゃい。こんなご時世に客だなんて珍しいね」

しゃがれたペットボトルの音を口から吐きだしてテントの垂れ幕から顔が現れた。

 

俺の目が正しければ生首がテントの垂れ幕から出現したようにも見えたな。俺は驚いたことを顔に出さず店主らしき人物に視線を合わせた。

 

「俺はただここに居合わせただけだよ。何か金になるヒントがないかとね」

 

「そいつぁいいねぇ兄ちゃん。じゃあ兄ちゃんの目の前にあるこいつはすごいぜ?」

 

デコ頭に赤黒いグラサンを乗せて顔のどこに目がついてるのかわからないような毛むくじゃらの男店主だろうか?そいつが指をさしたのはついさっき俺が見ていたコンピュータだった。

 

「店主、俺はあいにく手持ちの金がねぇんだよ。だから悪いけど客にはなれねぇって」

 

 

店主はカッカッカと咳き込むような笑顔で煙草をポケットから取り出す。

「兄ちゃん、コンピュータは仕事が出来るんだぜ?とりあえず使ってみな?こんなのうちじゃあ結構直せるから腐るほどあって邪魔なんだ。こいつをタダでやるから今度来た時の客になってくれや」

 

汚ねぇ手で店主はその辺の紙袋にコンピュータを包み込んで俺に渡してきた。

「まぁくれるなら貰ってやるよ。」

 

タバコ臭い匂いとゴムタイヤが焦げる匂いがきつくなってきた。

俺はその場を離れてほかの店を探ったが残念ながら目当ての金儲けのアイデアは手に入らなかった。

 

あれから時刻は18時を過ぎたところか?俺は自分のバラック小屋に帰っているところだ。

バラック小屋に戻るまでの間に脱法のドラッグやら胡散臭い野菜の押し売りやらがやってきたがことごとく無視してやった。

 

俺のバラック小屋は屋根が半分吹き飛んでおり、緑色の雨が降る季節は寝る場所を引っ越さねばならん。

まあ、電気は今のところ引き込めているから夜でも行動したり仕事はできる。

 

小屋の扉を開き、持ってきた紙袋を広げた。

「さぁて、こいつの中身は何が入ってるんだ?」

 

口にくわえた自家製のタバコで空腹感を紛らわして袋からコンピュータを床に投げ置いた。

「でかいな・・かなり古いやつか・・?」

 

あの髭野郎、実は廃品を処理したかっただけじゃねえのか?

そう愚痴りながら俺は電源をつけると画面には警告マーク的な奴と赤色の背景でデスクトップ画面が示された。

 

その時だった。

「おいトミー!てめぇいるんだろ!?」

野太い声が地ならししながら聞こえてきた。あぁ?てめぇなんて知らねえよ?

「5秒以内に扉を開けて顔を出せ!さもなくば俺がこの栄養失調な扉を爆破してやるぞ!!」

 

 

 

わかったわかったって。お前は借金取りのピートだろ?

「待てよピート。落ち着け落ち着け今行くから。な?」

 

「4!」

 

 

だめだこりゃ、この太っちょ野郎め。ちょっとくらい待てよ!!

「3!」

 

「まじでやめろピート!居留守してねぇって!!」

 

 

俺はコンピュータをテーブルクロスで隠して隅っこに置く。

「2!」

 

 

そして走る走る!!急いで床を蹴り上げてドアノブをつかむ

「1!」

 

「居留守してねぇって言ってんだろ。なあピート少しは余裕を身につけろよ」

俺は汗を頭から滝のように垂らして顔を扉から開けた。

 

 

扉を開けると忌々しい糞豚野郎のピートがいてニヤッと上から俺を見下している。

「トミー?てめぇこそ余裕をもって借金を返せよ。今月は利息しか払ってねぇよなぁ!!!良い医者が俺のトモダチでいるんだ。お前のような無価値の屑でも社会に貢献できて借金も返せるんじゃねえか?」

 

「今日のジョークはいつもより面白くねぇなピート?栄養失調の俺でも社会貢献できるとか言うなら、その辺に転がっている孤児からくり抜いておいてくれや」

 

この糞野郎はマックス・ピートっていう違法な闇金野郎だ。法外な借金をマッチポンプで作らせて自分にとって都合のいい手札を増やすことに目がない最低な男で背丈は190センチの糞ったれな白人だ。

 

自分のビジネスに失敗した俺は信頼がゼロになり毎日をきつい日雇いで生計を立ててきた。だがギャンブル中毒になっちまった親友の法定代理人になって借金が膨らんで、今ではピートの駒も同然このザマよ。

 

「軽口はそこまでだトミー、俺はお前に借金返済のチャンスを与えてやろうといってるんだ。」

 

 

ビール腹の白豚は胸ポケットから宝地図を取り出すように古びた紙をつかんで俺に渡した。

 

「このリストに書いた収入とクスリの種類の効率的な組み合わせを改善してみろ。いいか?警察はすでに俺様の味方に付いてるから、バカな考えは無駄だからな?」

 

見透かした細目が俺をじっと見つめてくる。こいつ・・俺を犯罪に加担させるつもりか?

「わかったら取り組め!!トミー、明日の夜に俺の部下が取りに来るから手を動かしやがれ!!」

 

糞豚が強く肩をがっしりつかんで投げ飛ばし、俺はコンクリートの冷たい床に顔から擦れる。

 

ガッハッハという声が聞こえディーゼルエンジン音がうなりだした。ピートが悪趣味なローライダーで跳ね回りながら道路を逆走して消えていくのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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