「ドアを壊したのはお前らなのか?なぁピート、俺は今疲れてるんだ。」
時刻は午前8時といったところか?俺とAIはセダンの旧型パトカーで後部座席に乗せられている。
「トミー?お前は俺の言う通りにしてりゃいいんだ。それにしても俺は悲しいぞ?先生の宿題を家に置いて消えちまうなんて!!」
糞豚野郎はジャパニーズ・ゲイシャになりきって悲劇ぶってやがる。顔を両手で隠して「俺は泣きわめいていますよ」とカッコつけたポーズってとこか?
だがこいつは偽善者だ、この間も平気で孤児をドライブしながら撃ち殺してたからな。
「先生なら殴っていいのか?それに宿題はもう少し待ってくれって!ほら左側を見ろよ!!」
俺は話題をずらすために黒煙の螺旋階段を指さし、バンバンと窓に平手を当てて注意を引き付ける。
ピートが顔を窓に映したかと思うと、じっと俺に目玉を合わせて唾を吐き捨てた。
「お前が言いたい事はすべて知っているぞ?トミーよ、貴様が俺のオトクイ様を奪おうとしたクソ黒服どもを邪魔したんだろ??」
「!!なんでそれを知ってるんだ?お前は空から見下ろしていたのかよ!?」
「馬鹿なことをいうなトミー?俺の勘だ。服から火薬とガソリンの匂いやらベッタリと血が着いた裾を見たらだれでもわかるってもんだ。ここ最近オトクイサマが俺のクスリを買わねぇからなぁ?調査したら黒服どもが牛耳っていてこのザマってやつだ!!」
歯ぎしりをしながら葉巻を手に持ったピートは、怒りを抑えるようにして鼻から煙を吐き出す。
数秒経ってから白豚は汚い人差し指を俺の鼻っ面まで近づけてきやがった。嫌な予感がするぜ
「そこでお前の出番だトミー!!これはお前にとってのチャンスでもある。黒服どもの組織的活動をぶっ壊してこい!!」
「あぁ!?ふざけるのもいい加減にしろよピート!!何で俺がそこまでしねぇといけねぇんだ!!」
当然俺は反抗したさ、もしこれを読んでいる超能力者がいたら俺の気持ちに同情してくれるだろうよ?白豚がガハハハッと腕を組んで見下している様子や付き添いの白人警察共がそれにつれて馬鹿笑いしている絵面がよぉ!!
馬鹿笑いを終えて真顔になったクソピートは大声で吠えた。
「これは決定事項だ。まずは黒服どもが集まる会合をぶっ壊してこい!!知恵遅れなバカ野郎どものパーティーを台無しにしてやるんだ!!」
「じゃあ今の宿題はもうしなくていいってことか?ピート先生よぉ?」
まるで教師と生徒が喜々として虐めてきやがるシーンだなぁ?
「それとこれの話は別だなぁ、トミー?貴様の成績は今のところ可もなく不可もなしってところだ。延滞料金は払わなくていいが忘れるなよ?お前は借金を借りたときに契約書にサインしたはずだ!!そこに書かれていることを理解しているなら先生の言う通りにするんだ!!」
そんな話をしているうちに俺は3階建てのコンクリートで固められた警察署へ到着した。
「車から降りろ!!貴様に殺人罪がふっかけられているからな!!留置所でしばらく頭を冷やしてこい!!」
白人警察の1人が俺をパトカーに押しつけて腕を後ろへ回してきた。
この野郎・・痛ぇ!手錠のサイズが合ってねぇって!!
「荷物とお金は全部ピート様が押収させてもらう。学校に持ってきたらいけねぇから俺がありがたく管理してやる!!」
「おいおい、俺の財布まで取るのかよ!?・・というか腕時計は取らねぇのかよ!!結構高い偽物ブランドだったんだぜ?」
俺はピートに腕時計をこれ見よがしに見せつけたが、ピートはフッと鼻で笑って答えた。
「そんなダサい時計なんてマーケットにいけば腐るほどあるんだ。さっさと留置所で事情聴取してこいよ?」
「ちくしょう・・ちくしょう!!屈辱だぜ!!覚えてろよピート!」
パトカーを蹴ってから俺は留置所へ向かって歩いていく。
時刻は10時を過ぎており、太陽が俺たちを見て馬鹿笑いをしているように見える。
留置所に着いた俺は赤錆で腐りきったような鉄の扉をこじ開けた。
「おい!警察に連れられてやってきたぜ?さっさと事情聴取ってやつを終わらせてくれや」
俺は扉を開けて薄暗い部屋に唾を吐き落とした。当然だが部屋にはすでに誰かがいたようで、机にくっついていた影が立ち上がるポーズをしていることに気が付く。
「カッカッカ!!ダンナ?久しぶりですなぁ?」
水分を飛ばした筆のようにカッサカサな声がした。目を凝らしてみると、そこにいたのはブラックマーケットで俺にコンピュータを押し付けやがった店主だった。
「店主!?何でこんなところにいるんだよ!?」
口を開かずにはいられない。普通そこにいていいのは警察だったりパワハラ気味な刑事だったりじゃねぇのか?
「お前さんのインストールしたAIに呼ばれたのさ。ことの成り行きはAIから移動中に聞いたんでねぇ」
店主は俺の腕時計が巻き付いた腕を指さして答える。
「あぁ!?何勝手に告げ口してるんだこの馬鹿AI?てめぇ家に帰ったら本体をぶっ壊してクーリングオフしてやっていんだぜ?」
俺は腕時計の液晶をバンバン!!と入口の赤扉に叩きつけた。
「待て!!待ってくれトミー!?俺は忠実なシモベさ?それに俺は黒服からアンタをナビゲートしただろ?」
おしゃべりAIは壁に打ち付けた衝撃で酔っているらしいな。ムカつくしもう1発叩くか?
「そいつの言う通りですぜダンナ。話を戻させてもらうがピートにシュクダイを追加で渡されたんじゃろ?黒服の撲滅・・!!カッカッカ・・・!!面白いねぇ?」
部屋に日光が差し込まなくなった。店主の顔をゆっくり見上げるとそこにいたのは新しい玩具をぶっ壊したがっている子どもの顔に見えちまうな?
「何が面白いんだ?こっちは何もかも大変なんだぜ?」
少し顔を歪めて俺は舌打ちした。
「ダンナ?黒服はワシの店やマーケットにも手を出している・・!!奴らの活動をぶっ壊すならマーケットでバカ客に混ざってくだせぇ?アイツらは仕事終わりや真夜中に宗教勧誘してくるからねぇ?」
「トミーよ?そういうことで事情聴取はオシマイだ。さっさとこんなボロい部屋から出るぞ?逮捕歴や犯罪歴はさっきハッキングして消去してやったからな。」
AIはニタニタとクソガキの声で笑いながら俺を促す。
「わかったわかったって。ったく昨日に続き今日もぶっ通しで起きているってか?」
俺は右足で扉を蹴り開けてマーケットへ行くことにした。