元ハンター協会中間管理職、ハンターとなる   作:錆びた氷

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念系統が分かったとしても、だからこそ悩む第三話

 どうも、水見式の結果で「特質系」とかいうクソ系統であることが判明して少々ショックなクォーツです。

 まだしばらくは基礎の修行を積み重ね、「練」が不十分で視認できるほどの変化を起こせなかったという微かな望みにかけ、数年したらまた水見式を行ってみましょう。

 

 大丈夫、念の応用である「周」「凝」「堅」「円」「硬」「流」を習得するための時間は無駄にはなりませんから……気にしてません、気にしてませんとも、ええ。

 

 未だにムスッとした顔なのは理解していますが、動かなければ何も始まりません。

 盛大に何も始まらなかったコップを手にし、キッチンまで向かうと背後のドアが開きました。顔を普段通りにして振り向くと今世の母、プルーネがこちらへと歩を進めてきました。

 

「どうしましたか、母さん」

 

「それはこっちのセリフ。どうしたの、その顔」

 

 母さんがゆったりと笑いながら私の頬をつついてきました。ううむ、やはり隠しきれていませんでしたか。

 「うりうり」と私をからかうように触れる手を優しく降ろさせます。

 

「えぇまあ、先程までこのコップで実験を行っていたんですが……思ったような結果が出なかったんですよ」

 

「良いじゃない、別に。それで人生終わるわけでも無いんだし、気楽に行っちゃいましょうよ」

 

「いくら何でも楽観的すぎませんか?」

 

「それが私に取り柄だって、あの人もいってたもーん」

 

「……ふふっ、父さんと母さんらしいですね」

 

 眼の前で両親のやり取りを幻視していると、母さんが花が咲いた笑顔で「笑ったー!」と喜んでくれていました。

 そうですね、特質系だからといって死ぬわけでもなし。気楽に行ってもいいですよね。

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 1968年

 

 どうも、クォーツです。20歳になりました。

 水見式騒動のあとも地道な基礎修行を積み重ねていくことで、そこそこ強くなれているのでは?と最近になりやっと自信がついてきました。

 てか本収集が趣味の母さんの本棚に、念の基礎修行に関する本があったんですよね……まさか、本当に秘伝ガバガバ心源流でしたか。

 

 応用である技も、つい先日なんとか習得できました。私が十五年かけた修行を、師がいるとはいえ一年足らずで身につけてしまっていたゴンたちには脱帽です。

 そして念を習得するに連れて、身体の成長速度も緩やかになってきた気がします。これで年齢には頓着せずに済みそうです。

 

 あと、逆にこの頃は母さんの体調があまり芳しくありませんね。常日頃からサポートは心がけてはいますが、適度な運動と健康的な生活、栄養のある食事以外には手の施しようがなく見つかったことがない症例、らしいです。

 まだ、快活な笑顔を見せるだけの余裕があるようで。苦しんでいないだけマシなのかもしれません。

 

 

 さて、昨日水見式にもう一度挑戦しましたが何も起こらず。

 流石に「練」も生活の一部となり始めた今でも何も起こらないのであれば、それはどの系統にも属さない反応を起こす「特質系」なのでしょう。

 それは仕方ないです。諦めました。

 

 系統が決まったのであれば、次に行うのは「発」の開発です。

 ここまでは念修行の基本。つまり今までは念能力者ならば誰でも行える部分なわけです。

 しかし発は念能力の集大成であり「完全個人の能力」となります。これの優劣が勝敗に大きく影響することは間違いありません。

 

 ではどう能力を決めるのか。

 いくつか方法はありますが、まず最初に考えるべきは「系統の才能」です。これまでに行っていた水見式によって自分の系統を判別し、そこを起点として考えます。

 次に「自身の興味、技能」です。中には系統の才能が離れているにも関わらず強力になる場合があり、それは思い入れや興味、元々取得していた技能に関係することが多いです。

 

 最後に挙げるのは「本人の性質、才能」です。

 特に特質系の人物がこれに当てはまる場合が多いのが、私が特質系を「クソ系統」と断じた理由になります。

 

 話は変わりますが、能力には取得のためには何らかの「取っ掛かり」が必要となります。

 ゴンのジャジャン拳であれば「じゃんけんのグー、打撃」という発想であり、キルアの電気への変化であれば「電気を体に浴び、体感すること」です。他にも旅団メンバーだとシャルナークの操作系能力は「携帯の操作」で、シズクのデメちゃんは「掃除機の吸い込み」。

 どれも容易に想像がつくものばかりであり、連想して能力の作成の一助に充てることができるのです。

 

 しかし特質系のキャラたちの能力をはどうですか。

 「記憶を読む」ってどうすればいいのでしょう。「能力を盗む」とか、もはやただの概念ですよね。「運命を占う」のも想像はできても実行は無理ですし。「全系統100%」とかもう念の限界超えちゃってますよ。

 そう、具体的にどうすればいいのか取っ掛かりが全く無いんですよ。

 ギリギリでパクノダの「記憶を読む」能力が、元々雰囲気を読むことが得意な性格だったとかで納得できるくらいです。しかしそこから完全な記憶を読む能力になぜ化けるのか……訳が分かりませんね。

 よって特質系能力者は「本人の性質、才能」がそのまま念能力になることが多いです。

 

 では、私の性質や才能とは?

 正直に言いますと、転生者であることと転生した際に性別が変わっていること。後は辛うじて原作知識を持っているくらいで、私自身に関するモノは何一つありません。

 ……まあ、転生してからは専ら特質系以外の各系統の能力やらを考えてばかりでしたし、趣味さえも無いんですよ。

 

 前世では石が好きでしたし、それを操作するのも悪くはないんですが、系統の才能80%をメインにするなんて勿体ない気がしてなりません。

 加えてヒソカが「容量(メモリ)」と呼んでいた、能力を覚えられる絶対容量の問題もあります。

 

 ……しばらく考えればいい案も浮かぶでしょう。明日の私に任せます。

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