1970年
どうも、二年前の私に「発」の開発を丸投げされたクォーツです。
ここ最近で変わったことといえば、母さんの体調です。今まではサポートさえあれば日常生活を送れていましたが、本格的に病院での生活に切り替わりました。
そして新たに作り上げた「発」で観察したところ、体調悪化の原因は、何らかの念の可能性が出てきました。
まあ、それはまたの機会にでもお話しましょう。
そうです、やっとのことで「発」が出来上がりました。
と言ってもやっていることは単純なものばかりですが。能力考案の期間は考えを浮かばせて消しての繰り返しだったため割愛するとします。
まず能力を考える際に考えたことは「自分自身の性質」と「他系統の妄想が一つも達成できない心残り」でした。
自分自身の性質、つまり私がどういう人間であるか。
想像力は高め、前世持ち、前世の影響か事務作業や計算は得意、特にこれと言ってない特徴、特質系らしくない特質系。
やはり覚えるとするならば「能力を補助するタイプの能力」でしょうか。
得てして特質系は攻撃に向く能力は少ない傾向があります。少なくとも作中に直接攻撃を行える能力はありません。
他系統の妄想が一つも達成できない心残り、これをどうすべきか悩みました。最終的に出た結論が「全部覚えりゃ良いじゃない」だったのが救いようがないと思いますが。
しかしそのための方法を考えるのはそれこそ難しく、何の制約もなくクラピカのような全系統100%は流石に無理でした。
そして、出来上がった「発」がこの三つです。
【
系統:特質系
メモリ使用率:15%
必要適正値:特質0%
・能力の説明
物事を単純化して物覚えを良くする。
念能力においては、能力の基本となる部分のみを抜粋して単純化する(使用メモリ数を減らす)ことができる。
具体例を上げると『(010)₂²/sin30°×(log₆4+log₆9)−(1/49)/7⁻²』が『15』と計算できるように、念能力の細かい条件を単純にして覚える。
・制約と誓約
制約:根幹となる【
誓約:一つ以上つけた場合、使用メモリ量と使用オーラ量が著しく増加する。
【
系統:特質系
メモリ使用率:10%
必要適正値:特質0%
・能力の説明
あらゆる数値を瞬時に弾き出すことができる。
この能力は『定める大まかな概念』と『指定したい数値』を決めることで発動する。
現実的な数値にも、念のような曖昧なものにも、条件さえ正しければ使用できる。
・制約と誓約
特になし。
【
系統:特質系
メモリ使用率:25%
必要適正値:特質0%
・能力の説明
念能力の適正値を全ての系統へ自由に振り分けることができる。
・制約と誓約
制約:すべての系統の適正合計値が100%に固定される。
誓約:特になし。
まあ、有り体に言えば「メモリの圧縮」「念能力の数値化」「数値化した才能の再振り分け」ですね。
「数値化した才能の再振り分け」ですが、割と思いきった事をしたつもりです。
なぜなら、系統の才能とは自身の適性となる100%の隣の系統でさえ80%はあります。その他も20%ずつ減るとはいえ、確かに存在します。
それらをまるっと、計320%を捨てて、100%だけならばいつでも自由に振り分けられる
現状の私と比べてみると、やはり【
そして能力を作って初めて分かったことですが、私は膨大なメモリ量を持っていたらしいです。
具体的に言えば、通常の念能力者のメモリ量が『1000〜500』とするならば、私は『10000』くらい。
……知ったのが能力を作って【
これで、準備は整いました。さっさと他の能力も作ってしまいましょうか。
1973年
どうも、この世に生を授かり25年。やっと戦闘できる準備が完了したクォーツです。いやぁ長かったです。
まだコストの重い能力は詳細を決めあぐねていますので途中ではありますが、中々に感慨深いものがあります。
さて……では、唯一残っている喉のつっかえを取り除きに行きますか。母さんに掛けられている謎の念を除念していこうと思います。
眼の前では病院のベッドで母さんが寝ています。かれこれ2ヶ月も目が覚めていません。体も痩せ細り、かつてのたおやかな笑顔は見る影もなく、真一文字に結ばれた口も相まって、端的に言って痛々しいです。
現在創っている能力で除念ができるものは二つ。
変化系能力の【
それぞれの能力の詳細はこちらです。
【
メモリ使用率:微
必要適正値:変化60%
・能力の説明
祈りによって邪念を浄化するオーラへと変化させる。
・制約と誓約
特になし。
【
メモリ使用率:3%
必要適正値:特質0%
・能力の説明
他人の使用する念においても使用者のオーラは干渉できるようになる。
・制約と誓約
特になし。
なおこのメモリ使用率とは【
これらの能力の根幹となっている【
必要適正値は【
【
特質系の適正値は常に100だが能力上での割り振り量は0である、と考えてもらえればいいと思います。
この【
しかし、思わぬ収穫がありました。能力の詳細を確認して気がついたのですが……【
イメージとしては、皮膚をケアしたい時に【
……最悪、非念能力者ではショック死します。なんて酷い能力でしょう。
そんな訳で、今回の除念は【
どのような念に侵されているか確認し、治るように祈ります。祈る内容は相手のためを思うモノであれば、何でも構いません。
その仕様上、私がどうでもいいと思っている相手だと使用できませんが、まあいいでしょう。その時は【
まず母さんの体を【
……彼女自身の生命エネルギーと同質のものに変化した淀みが、絶えず流れ続けていますね。
淀みの影響箇所は全身、核は心臓でしょうか。そこから淀みが流れ、全身の生命エネルギーが少しずつ、しかし着実に淀みに喰われて減っていく念のようです。
しかし時間が経ってやっと死ぬような、ねちっこく相手を恨んでいるような念の割に、母さんが痛みを訴えている様子はありませんでした。母さん単体を恨んでいるわけじゃない?
詳細もわかりましたし、祈りを始めます。脳裏には今までの思い出や、交わした会話などが過ぎります。やっぱ、死んでほしくないのは本心ですから。
膝を付き、両手を合わせて、顔を俯かせます。祈る気持ちがあればどんな格好でもいいのでしょうが、形から入ってみるのもまた一興でしょう。
そして気になった事が一つ。
もしかして……あーありましたか。
私自身の心臓に同質のものがないか調べてみるとドンピシャ。やはり「血を受け継いでいる」などの条件で発動するタイプだったようです。
タチが悪いことに、今のところ一切の危険がなく、ただそこにあるだけの念ですね。
手っ取り早く【
手元にオーラを集めて心臓に狙いを定めて、引き抜く!
グシャ、と音を立てて
できなかったらそれでいいですし、ちょっと無害化を試みましょうか。【
元の能力者との繋がりは切れてますね。むしろだからこそこれほど容易に無害化できたのでしょう。死んでしまっているのか、接続を一瞬で切ったのかは分かりませんが。
事前に気付いて良かったと戦々恐々しながらも、祈り続けます。この調子で行けば、二週間ほどでしょうか。
どうか、母さんが助かりますように。