あれからしばらく人のいる町や村に行ってはみたものの誰も私を人としてみてくれる人はいませんでした。むしろ、邪魔者厄介者など人を蔑むような目で見てくる人達が自分を人として認識している最後の人間のように感じました。
もちろん、私の言うことなどまともに聞いてるくれる人なんていません。
そんなことを続けている私に対して悪魔達は不信感を抱く者がだんだんと増えていきました。このままでは、私の唯一の居場所であるここに居づらくなってしまうと思い、悪魔達の活動に参加しました。
今の魔王には魔族にも敵がいて人間にも敵がいるような板挟みの状態でした。人間は今のところ脅威ではないのでこのところは手を出してません。しかし、同じ魔族は大きな脅威でした。魔王が生まれたのはこの世の悪魔達を統べるため、決して同族同士でやりあうことが目的ではないのです。そのため、卑怯な手でも何でも使い悪魔達を仲間にしていっていました。しかし、対立関係になる悪魔達も少なくありませんでした。今日の活動はその対立している悪魔達と戦う事です。
今回は珍しいことに、向こうから使者がやって来て戦いの日時、場所の指定と向こうの細かい種族構成や人数まで教えてきたそうです。これがどういう意味かわからない人はいないと思います。魔王はなめられているのです。これには魔王は黙っていませんでした。相手より少ない人数で、相手より劣っている種族で挑むと宣いました。
「魔王様、明らかにそれは無謀です。」
そう進言した者がいたそうですが、その後その悪魔を見たものはいません。その進言をまともには聞いていなかったが、どうやら無謀であることは承知の上だったらしく、部隊の人数を増やしていきました。その中の一人に私はいました。これは私がこの世界で生きていくためのお仕事です。正直私は争い事などは苦手です。私がここに来るきっかけになった、あの町での出来事も私は自力でなんとかできたとここに連れてきてくれた悪魔がいっていました。私はそれぐらい優れている種族らしいのです。
自分が吸血鬼だと認識してからはなるべく吸血衝動を抑えていました。それが限界を迎える時はすぐに来るとわかっていましたが、なるべくそうしていました。そんなとき、あの優しい彼の顔が頭によく浮かんでくるようになったのです。それも私が彼を吸血しているときの満足をしたような顔です。その顔は私の吸血衝動を掻き立てていきました。
そんなとき、やって来たのは今日の活動です。昔から私は体を動かすことは苦手でしたが、とても好きでした。体を動かしている間は何も考えなくてもよくなるからです。これで少しは吸血衝動を押さえられると考え参加しました。
決戦の地につくまでの間私はどうやらうずうずしていたらしく、嫌な目で周りの皆は私を見てきました。そのときにはすでに気持ちが高まっていて周りのことは全く気にはなりませんでした。
開戦しました。開戦したのはいいのですが相手が弱すぎます。一発殴ればどういうわけか相手は目の前から消えてしまいます。その直後に目線の先の方で大きな爆発が起こります。はて?これはどういうことでしょうか。
「やりすぎじゃないか?」
「私はただ目の前の敵を嫌々殴っているだけです」
「それにしてもあの威力はないぞ…」
「ん?」
「あの、遠くでの爆発はお前が殴って飛んでいった奴が爆発したあとだぞ…」
「え?」
「え?じゃない‼てか、もしかして何も意識せずにやったのか?」
「はい」
こいつはやっぱりヤバイかも、そう言う顔をされました。けれど、他の悪魔達はあまりいい顔をしてません。成り上がりってあまりよく思われないのですね。決して成り上がりたくはないのですが。今の生活を保てればいいのですよ。
私は向上心なんてないのです。今のままで十分なのです。何も求めてなんかいないのです。
「油断すんなアブねぇだろうが」
「すいません」
どうやらいつの間にか後ろをとられていたらしく、攻撃をされかけたらしいです。関係ないです。気にしてなかったのです。人間は死ねばそこまでです。悔いても仕方がないのです。あ、今は悪魔なのでした。忘れてました。
ん?あそこ、小さな何かがいますね。正直、殺生は苦手です。見るのもやるのも知ってて見逃すのも苦手です。
「と言うわけで助けに来ましたよ。」
人の子でした。
「お姉さんは誰なの?」
「誰なのかは関係ないです。さぁ早くここから立ち去りましょう。」
「うん……」
急に落ち込んでしまいました。どうしたのでしょうか 、知り合いが巻き込まれてしまったのか?それとも安心してしまい、腰が抜けたのでしょうか?どうであったとしてもここにいるのは危険です。
「おい、そこ何をしている!」
「人の子がいたので安全なところに連れていこうと思いまして。」
「そんな
「物だなんて酷いですよ」
「お前は何を言っている?そんないてもいなくても関係ないような物気にしてどうする?」
「そんなことないです!」
とりあえず連れていきます。早くここから離れるべきです‼
連れ出したのですが、この子はどうやら怯えていました。あのような争いを見た後です。怯えてて当然だと思いますけどどうして私を見て怯えているのでしょうか。
私は悪魔であっても見た目は人と変わりないはずです。なのにどうしてここまで怖がられているのでしょう?
「お姉さんは僕も殺すの?」
「どうしてそんなことしなくちゃいけないのですか?」
「だって、お姉さん吸血鬼なんでしょ?あのお兄さんのように僕も血を吸われるんでしょ?そのためにこんな人のいないところに連れてきたんでしょ?」
私はそんなことしないです、してないです、したくもないです。もうあんなことやりたくないです。何か満たされてる感じはしたのですが、それと同時に酷く悲しい虚無感が襲ってきたのです。だから私はもう人の血はすいません。
「結局信じてもらえないのですね」
「だって、悪魔は信じられない……」
「私は悪魔じゃありません!」
「悪魔だよ、吸血鬼って悪魔だよ!」
そうでした。吸血鬼って悪魔なのでした、忘れてました。それでも私のことは信じてほしかったです。
その後争いは激しくなりました。切っては切られ殴られては殴り返し魔力弾には魔力弾で応戦と、激しさが増していきどうにもならないくらいになっていました。
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