「おい、森羅」
「駄目だ」
それは、朝の起床時の歯磨きの時に。
「おい、森羅」
「だから、駄目だ」
それは、日中の訓練中の時に。
「おい、森羅」
「いや、だからぁ!!」
それは夜の食事当番の時だ。
「だから、森羅」
「だから、駄目だと言っているだろうがぁ!!!」
アーサーは、まるでストーカーのようにしつこく森羅に迫っていた。
それに対して、森羅は激昂と共に、叫んでしまう。
「お前ら!うっさいぞ!」
「こいつに文句を言え、環!!」
そんなアーサーの様子を見て、環は文句を叫んでしまう。
その事に対して、森羅は思わず言ってしまうが。
「おい、アーサー、さっきから何を森羅に頼んでいるんだ」
「こいつの持っているジャケットを俺にも着させろと言っているだけだ」
「・・・ジャケット?何の話をしているんだ、お前は?」
環は、それに関して、本当に何を言っているのか分からずに思わず首を傾げた。
そんな環に対して、アーサーは。
「こいつがかめんらぁ!!」
「おらぁ!!」
アーサーが思わず零してしまいそうな言葉を、森羅はドロップキックを喰らわす事で、それを無理矢理止める事に成功した。
「・・・ジャケットにカメラ?一体、何を言っているんだアーサーは」
「こいつは馬鹿だから、そういう聞き間違えだろ」
「・・・まぁ、確かに」
森羅の言葉に対して、一瞬だけ首を傾げてしまう環だったが。
「アーサーって、とんでもない馬鹿だから、可笑しくないか」
そう、環は納得した。
「とりあえず、こいつとは話をつけるから」
そうして、森羅は、その場からアーサーを連れて、離れる事にした。
「おい、いい加減にしろよぉ」
「いい加減にするのはお前だ、なんでそこまで隠すんだ」
森羅がジャケットを着させない訳に対して、アーサーは、問い詰める。
それに対して、森羅はため息を吐く。
「そもそも、俺が着ている仮面ライダーになる為の相手は一つしかない。しかも、変身をするには、俺にしか持っていない物が必要だ。それは、身体に埋め込まれているから、取り出す事は出来ないんだ」
「だから、俺にはジャケットを着させろと言っている」
「そのジャケットだって、レスキューになった状態で初めて着られる代物だ。それに、着れたとしても、車を背負った状態で現場でどうやって、活動するつもりだ」
「むっ」
それを言われて、アーサーは少しだけ理解した様子を見せる。
「とにかく、分かってくれ、じゃあな」
森羅がそう呟いた。
だが。
「だが、試した訳じゃないだろ」
「あのなぁ、だから」
そう、アーサーに再度、言おうとした時だった。
彼らの元に、ビル崩落の通報が聞こえた。