ゴルドドライブこと、蛮野が引き起こそうとしている第2のグローバル・フリーズ。
それが、近いうちに起きる事。
「・・・それで、俺達に何をしろと言うんだ」
紅丸はそう言いながら、目の前にいる人物に対して問いかける。
彼の元に、突然現れた人物。
それは、本来ならばこの場で倒すべき相手である事は理解していた。
だが、その目を見て、彼は話を聞く事にした。
「おそらく蛮野は私達を利用し、何かを企む。それは決して、私達が望む物ではない。だから、それを阻止する為に協力して欲しい」
「そう言うがよ、ここでてめぇを倒せば、それも阻止出来るんじゃないのかよ、ブレン」
紅丸は手に持った剣を真っ直ぐと突きつける。
これまで何度も戦い、その卑屈さをよく知っていた。
ブレンはそれに対して、眼鏡をかけ直す。
「確かに私は弱い存在かもしれない。けれど、それ以上に私は我が主の、我が友の為に戦いたい」
浅草の街角に吹く秋風が二人の間を駆け抜けた。夕暮れが朱色に染まる空の下、ブレンの眼鏡のレンズに夕陽が反射している。
「……お前も俺たちと同じだな」
紅丸は突きつけていた剣をゆっくりと下げた。刃先が地面に向く鈍い音が響く。
「自分の居場所がねぇってのに、他人のためだけに命張ろうってか」
ブレンは静かに眼鏡を押し上げた。その指先が微かに震えている。
「貴方のような力があれば……あるいは」
彼は自嘲気味に口元を歪めた。
「私は確かに優秀な知識もあり、毒を操る力もある。そして超進化体となったが、それでも友を助けられない」
一呼吸置いて、ブレンは紅丸を真正面から見据えた。赤錆びた夕日を背にしたその姿は、いつもの陰湿さが薄れていた。
「ハートとメディックを道具として扱おうとしています。それは……耐え難い」
その言葉に紅丸の眉がわずかに動いた。火消しの本能が警鐘を鳴らしていた。目の前の男は確かに敵だ。だが今、その魂の底から湧き上がる何かを感じた。
「道具……か」
紅丸は頬を撫でる。浅草の喧騒が遠くに聞こえる。寺の鐘の音が三回鳴った。
「まぁいい。俺はな、昔から嫌いなんだよ。自分より弱いやつを踏み台にする輩がよ」
彼は大きく息を吐き出し、腰に帯びた剣を鞘に収めた。
「だがな、勘違いすんなよ。俺が手ぇ貸すのはあくまで第2のグローバル・フリーズを防ぐためだ」
紅丸は指を突き立てて続けた。
「その過程でお前らのボスがひっくり返るのは単なる副産物だ」
ブレンの目が僅かに見開かれた。彼は咳払いを一つして答えた。
「……感謝いたします」
「礼なんかいらねぇよ。それより話を進めろ。蛮野は何を企んでる?」
ブレンが見せたのは画像。
「ここでおそらく何かが起こる。だからこそ、あなた達にはそれを確実に破壊して欲しい」