「魔進チェイサーは、倒さなければならない」
その言葉と共に、進ノ介は乗り気な様子ではない。
進ノ介だけではなく、霧子もまた同じ表情をしていた。
「確かに俺も共闘した事があるから分かりますけど、だけどロイミュードだから「それだけじゃないんだ」えっ」
森羅はすぐに戦うように言葉を続けようとした時、ベルトさんがその言葉を止める。
「彼、チェイスは確かに魔進チェイサーではあるが、同時に最初のドライブでもあるんだ」
「最初のドライブ」
それと共に、語られるのは、彼が行った行動。
かつて、ロイミュードが引き起こしたグローバル・フリーズ。
そのグローバル・フリーズによって、多くの被害が起きた。
だが、それを食い止めたのが、プロトドライブこと、チェイスだった。
「でも、なんでロイミュードであるはずのチェイスがドライブに?」
「彼は元々、全てのロイミュードの原型となった試作品であり、他のロイミュードと違って根幹プログラムに「人間を守る」という完全なる正義の心がプログラムされていた」
「・・・全てのロイミュードの原型、それって」
呟くと共に森羅は、その胸に手を伸ばす。
「あぁ、君の心臓は、プロトゼロのデータを元に作り出す事が出来たんだ」
「・・・それじゃ、俺にとっても命の恩人なのか」
それを聞き、森羅は迷ってしまう。
「どうにか、元に戻す事は」
「出来ない」
ベルトさんは、そう断言した。
「メディックによって、改造されてしまった今のプロトゼロは、かつてのように人を守らない。もしも、このまま暴走したらいずれ、彼は人を殺してしまう」
その事実を聞いて、森羅は俯く。
「・・・俺は、どうすればいい」
「森羅・・・」
「叔父さんは、俺にどうさせたいんだ?」
そう尋ねるが、ベルトさんは答えられない。
そんなベルトさんに、進ノ介と霧子もまた顔を俯かせる。
「俺・・・は」
それと共に、どうすれば良いのか分からず、その場で座ってしまった。
未だに、プロトゼロを倒したくないという意思。
けれど、チェイサーを倒さなければ、多くの人を危険に晒す。
どれだけ考えても、答えが出なかった。
「・・・今は、ゆっくりと考えてくれないか」
ゆっくりと、時間はある。
だから、ゆっくりと考えて欲しい。
そんなベルトさんの意思に頷きつつ、森羅はソファにゆっくりと座る。
「俺は、倒せるのか」
先程の話で聞いて、彼のチェイスへの印象が大きく変わってしまう。
かつて世界を確かに救い、さらには自分自身の命を紡いでくれた存在。
彼を。
「ヒーローを殺さなきゃいけないのか」