マッハは制御不能な怒りに支配されていた。周囲の景色が歪んで見え、自分の中の理性はすでに消えかけていた。
「許さない!許さない!!」
剛の叫び声が住宅街に響き渡る。ゼンリンシューターを握る手には異常な力が込められていた。
「えぇ、そうよ!そうよ!」
その一撃は、眼前にいるロイミュードへと確かにダメージを与えていた。
そして、そのロイミュードは、人間と融合している融合進化体だった。
融合している人間である令子。
彼女こそが、全ての事件の黒幕だった。
彼女はロイミュードと融合した人間の自分を剛が殺せば、父親が探究した最高の犯罪が完成すると考えていた。
「これでいいわ。これが私の勝利の形」
令子は薄く笑みを浮かべた。彼女の目には狂気が宿っている。
「お前らが!すべて!」
マッハは容赦なく攻撃を続ける。本来なら精密な動きで敵を圧倒する彼の戦い方は完全に崩れていた。ゼンリンシューターの連射は的外れになり、時には令子自身を狙うこともあった。
「剛!やめろ!」
チェイサーがようやく現場に到着した。彼は即座にマッハの腕を掴み、制止を試みる。
「人間ごと、ロイミュードを倒す気かっ」
「うるさい!ロイミュードは黙ってろ!!」
剛の怒りの矛先は今やチェイスにも向けられていた。チェイサーが必死に制止しようとした瞬間、マッハの肘打ちが彼の顔面を捉える。
「がっ!」
「邪魔をするな!」
続けざまにマッハの蹴りがチェイサーの腹部に叩き込まれる。仮面ライダーとはいえ、チェイサーにとってそれは致命的な一撃だった。
「ぐぅっ……」
倒れ込むチェイサーを見下ろしながら、マッハは令子に向き直る。その目にはもはや狂気しか残っていなかった。
「これでお前も終わりだ!」
ゼンリンシューターの銃口が令子に向けられる。
だが、その瞬間。
「剛!止めろ!」
マッハの攻撃を止めたのは、ドライブに変身した泊進ノ介だった。
「……進兄さん?」
突然現れたドライブの姿に、剛の動きが一瞬止まる。
だが、暴走は止まる様子はなかった。
それが、チャンスだった。
「今度は、逃さない」『ヒッサーツ!フルスロットル!』
アーサーは、既にレスキューギアを纏っていた。
その手に持つ剣には周囲の水素を集約させ、強烈な青白い光を放っていた。
そう呟くと同時に、アーサーの足元から水の渦が広がり始める。
集束された水素エネルギーが彼の全身を包み込み、巨大な青い龍の姿へと変貌していく。
「エクスカリバー!!」
アーサーの雄叫びと共に放たれた一撃は、大地を削り取りながらロイミュードと令子へと迫る。
その衝撃波は周囲の建物さえも震わせ、見る者の肌に鳥肌を立たせた。
令子と融合したロイミュードが最後の抵抗を見せようとした瞬間—
「遅い!」
アーサーの一撃が命中した。
ロイミュードの体から黒い霧のようなものが吹き出し始め、その霧が徐々に人の形を成していく。
「そんなっ、私の計画がっ!!」」
令子の声が弱々しく響き、その体が地面へと倒れ込む。