フリーズ・ロイミュードの体が青白い光に包まれ、その姿が変容していく。紳士的な老人の面影は消え去り、鋭い氷柱が突き出た体表に白い装甲が纏われた雪の結晶のような姿へと進化する。
胸元に埋め込まれた001の数字が青く光を放つ。進化したフリーズ・ロイミュードの口元から冷気が漏れ、周囲の空気が凍てつく。
「この姿こそ私の真価……フリーズ・ロイミュード!」
新門の表情が僅かに緊張する。
「また新しい進化形態か。面倒くせぇな」
フリーズが両腕を広げると、猛烈な吹雪が発生した。
雪の刃が渦を巻き、建物の窓ガラスを粉々に砕いていく。
新門は剣を構えると、身を翻して吹雪の直撃を回避した。
剣を横薙ぎに振るうと、赤い光が弧を描き、冷気の一部を切り裂く。
「ちっ……こいつの氷は普通じゃねぇな」
新門は足元の床を蹴り、一気に間合いを詰めた。剣の柄を握る右手の小指から親指まで順に力を込める。
基本の剣技「抜き打ち」の要領で、腰の回転と共に剣が鋭く前へと飛び出した。
フリーズは予想外の速さに一瞬反応が遅れたが、体を傾けて剣先をかわす。
「遅い!」
新門が叫ぶ。
剣を引き戻す動きは流れるように滑らかだった。刃先が地面を僅かに擦りながら半円を描き、体勢を立て直したフリーズの足元を狙う。相手の着地の瞬間——最も防御が薄い刹那を狙った攻撃だ。
フリーズは咄嗟に片足を上げて剣を避けたが、バランスを崩す。その隙を見逃さず、新門は剣を垂直に持ち上げた。腰を沈め、全身の重みを乗せた突きの構えだ。
「シグナル……ジェットアタック!」
鋭い突きがフリーズの胸元を狙う。だがフリーズは両腕を交差させ、氷の盾を形成した。剣先が盾に当たると同時に赤い火花が散る。
「この程度か?」フリーズが嘲笑する。
新門は剣を引きながら後方に跳び、防御と攻撃の切り替えを一瞬で行う。
剣の柄から赤い光が走り、刀身が炎に包まれた。
「行くぞ!」
炎の剣が弧を描きながらフリーズに迫る。フリーズは腕を交差させたまま氷の盾を展開したが、炎の剣が盾に当たると、氷の表面が溶け始める。
「くっ……」
フリーズが後退する隙に、新門はさらに踏み込んだ。剣を回転させながら横薙ぎに振るう「フライヤーアサルト」だ。回転する炎の刃がフリーズの左腕を掠め、装甲に浅い傷を付けた。
フリーズは一旦距離を取り、冷たい笑みを浮かべる。
「なかなかやる。だが……」
突然、フリーズの目が鋭く光った。
「もう飽きた。お前では私は超進化する事が出来ない」
新門の眉が上がる。
「何を言ってやがる。意味が分からねぇ」
フリーズは両手を広げ、周囲に吹雪を巻き起こした。
「さようなら、新門。次に会う時は……」
フリーズの姿が吹雪の中に消えていく。
「逃がすか!」
新門が剣を振り上げるが、その瞬間、フリーズは両手を突き出し、全方位に氷の針を放出した。無数の針が新門だけでなく、周囲の一般職員たちにも向かって飛んでいく。
新門は咄嗟に剣を地面に突き刺した。
剣から炎が噴き出し、新門と近くの職員たちを守る炎の壁が形成される。
氷の針は炎の壁に当たって溶けていくが、フリーズはすでに姿を消していた。
炎の壁が消えると、新門は舌打ちをした。
「あの野郎……一般人まで巻き込みやがって」
剣を鞘に収めながら、新門は周囲を見渡した。