フリーズ・ロイミュードの逃走後、進ノ介たちは施設内の監視カメラ映像を確認していた。映像には新門とフリーズの激しい戦闘が記録されている。
「奴の逃走経路は?」
霧子が尋ねる。
「建物の北側から外へ。その後は不明だ」
泊は答えながら映像を巻き戻した。
「問題は奴の能力だ。氷の針で記憶を凍結させる——その特性を分析する必要がある」
「データベースを検索した結果、同様の失踪事件が過去12年間にわたって20件確認されました」
進ノ介はデスクに置かれた資料に目を通す。20人の失踪者は全員、偽のウイルス流行騒動及びそれを利用した集団検診を受けていた。
「フリーズ・ロイミュードは12年前から活動していた……」
「・・・親父の殉職していた時期と同じだとすれば」
「その人がロイミュードと対峙した時に何かあった」
「・・・あの時、あの野郎はこれ以上は成長しないと言っていた。つまりは、あの野郎の目的は進ノ介と戦う事が目的だったかもしれないな」
「俺と?」
それに対して、進ノ介は新門の言葉に首を傾げる。
「あぁ、なぜ、そうなのかはまるで分からないがな、けど」
そのまま新門は進ノ介を睨む。
「なっなんですか」
「・・・奴を倒す事に関しては、てめぇの方が適任かもな」
「それって、どういう「仇なんだろ」っ」
新門の言葉に、進ノ介は止まる。
「・・・別に敵討ちを否定するつもりはない。だが、市民を守る為と重なっているんだったら」
「・・・分かっています」
その言葉と共に進ノ介は眉をひそめる。資料の一つに目が止まった。12年前の殉職事件の報告書だ。
「最初の犠牲者だったのか」
霧子が資料を指さす。
「何らかの形でフリーズ・ロイミュードの能力に関する情報を知っていた人物です」
「記憶を操作する能力……」
泊は拳を握りしめる。
「奴は最初から計画的に動いていたんだ」
そして、ドライブビット。
環が緊張した面持ちで機器を操作している。
「氷の針を採取します」
「マッドドクター、準備はいいか?」
「オールクリア。だが治療には激痛を伴う」
マッドドクターの腕が自動で動き出す。進ノ介は覚悟を決めた表情で診察台に横たわった。
「始めてくれ」
マッドドクターの精密な操作で針が進ノ介の体に侵入する。鋭い痛みが走るが彼は歯を食いしばる。
「耐えろ!これは人々の記憶を取り戻すためだ!」
環が画面を見つめながら叫ぶ。
マッドドクターが針を引き抜くと同時に進ノ介が息を荒げる。
「記憶を読み取る装置を起動します」
画面に氷の針から抽出されたデータが映し出される。
「これは……脳内記憶を氷結させるコードか!」
環が驚きの声を上げる。
「これを解析すれば解毒剤が作れる!」
そうして、解毒剤の完成まで、進ノ介は苦痛を感じる。