ベジータ「な、ナッパのことかーー!!」モノマネー
・・・
世の中そんな甘くはないのです
最終回じゃありません。
後書きに書く場所なかったので前書きに書いておきます。
ベジータは不敵な笑みを浮かべフリーザへと殴り掛かる。
変身前に繰り出した一撃よりもさらに速い攻撃。しかし、フリーザはそれを易々と掴み上げる。
「おやおや、随分と力の差がついてしまったようですね」
「…っ!?」
ベジータは必死にフリーザを振りほどこうと藻搔くが、掴まれた腕はピクリとも動くことはなく、フリーザは顔色一つ変えることはない。
やがて、フリーザはニヤリと笑みを浮かべると
「さっきのお返しです」
無防備な腹へと強烈な一撃を叩き込んだ。
あまりの痛みに腹を抱えベジータは呻き声をあげる。
その姿を見てフリーザの表情が愉悦に染まる。
「ほっほっほ。私の時代が終わったですって? くだらない冗談はよしてください。貴方ごときが私に勝とうだなんて、一生かかってもできるわけが───なにっ!?」
さっきまではダメージを受け痛みに悶えていたベジータが、急に何事もなかったかのように再度殴り掛かってくる。
あまりの変わりようにフリーザは驚愕するが、戦闘力が上がっているわけではない。
ベジータが次々と繰り出す攻撃を楽々と避け反撃に転じる。
ガードの上から蹴り飛ばして岩場へと叩きつける。
顔を殴りつけタコ殴りにする。
ベジータ渾身のエネルギー波を蹴り飛ばし、ベジータ本人へと命中させる。
念力で動きを固定し大岩で押しつぶす。
だが、これだけやってもベジータにダメージはない。
どれだけ攻撃を加えようと、どれだけの血を流そうと、攻撃を加えた数秒後には何食わぬ顔で反撃に転じてきて、一切の恐れを見せずにフリーザへと突撃していく。
「何度も何度も同じような攻撃をしやがって……しつこいんだよっ!」
フリーザはベジータを甚振って殺すつもりだった。
無駄に高いプライドを粉々にへし折って、受けた痛みを何倍にもして返して……そして、もしも泣いて謝ってきたらもう一度部下として働かせてやってもいいと考えていた。
だが、まったくダメージを受けた様子がないベジータを見て気が変わった。
何度も何度もゾンビのように蘇ってはイライラも募る。
フリーザは怒りのままデスビームを放ちベジータの心臓を貫いた。
「がはっ…!」
胸を押さえ血を吐くベジータ。
異常なタフさも致命傷を受けては意味がない。
これでようやくベジータを殺すことができたと嘲笑を浮かべていると
「効かんな」
フリーザを
これにはフリーザも驚愕を隠せない。
出血が止まるどころか、傷口が完全に塞がっていたのだから。
「ベジータ貴様…! 何をしやがった!」
「簡単な話だ。オレは貴様の軍を離れている間にいい発見をしたんだ」
「いい発見だと…?」
「ああ。貴様を倒すために不死身の肉体を手に入れたんだ!」
「なにっ…!?」
不死身……不死身だと…!?
そんなバカなことがあってたまるか。
そう思いベジータの心臓や脳天をデスビームで撃ち抜くが、次の瞬間には傷口は再生し何事もなかったかのように襲い掛かってくる。
「たとえ惑星ベジータを滅ぼせても、このベジータ様を滅ぼすことはできん! キサマが死ぬまで戦い続けてやるぞ、フリーザ!」
殺しても殺しても殺すことができない。
そんなベジータを前にいて、フリーザは余裕の笑みを崩さない。
「ふふ、どうやら不死身というのは本当らしいね」
「……」
「どうかな? 不死身になった方法を教えるというのなら、特別サービスでもう一度部下にしてやってもいい」
「フリーザ様ともあろう御方が命乞いか?」
「違うよ。勘違いしているようだから言っておくけど、ボクは全然本気を出していないんだ。Maxパワーの1割も出していない。不死身になった程度でこのボクに勝てるとでも?」
「勝てるさ。キサマは必ずこのベジータ様の手で殺してやる」
「弾けて混ざれっ!」
ベジータはパワーボールを生成し上空へと放り投げる。
ある程度の高さまで浮上するとピカッと眩い光を放ちながら弾け、人工的に作られた満月が顕現する。
ドクンッと脈打つ鼓動。
興奮と高揚感から逆立つしっぽ。
身体の内から溢れ出てくる原始的な力の奔流。
シッポをアンテナとしてブルーツ波を受信したベジータの身体は、みるみるうちに大猿の姿へと変貌を遂げていく。
「きええっ!!」
だが、それを許すフリーザではない。
即座にベジータが生成した満月をデスビームで破壊する──が、ベジータの変異は止まらない。大猿化に必要なブルーツ波は既に浴びている。
ならばとベジータのシッポをデスビームを乱射して根元から切り落とすがこれも失敗。
切り落とした数秒後にはシッポが再生してしまう。
「ベジータ様を殺さなかったことを後悔するがいい…!!」
低く重厚な声。
血に染まったような紅い瞳。
体躯15メートル以上の全身が茶色い体毛に覆われた怪物。
理性の欠片もなさそうなバケモノの姿となっても人と同じ言葉を話し、その動きは動物のように本能のままに動くのではなく、理性を以て制されていた。
◆
大猿と化したベジータは強かった。
フリーザとかけ離れていた戦闘力を大きく縮めることができる程度には。
それもそのはず。
大猿化は戦闘力を10倍にまで高めるという破格の変身。
サイヤ人が宇宙一の戦闘民族だと称される所以はこの大猿化にこそあった。
これにより、10に満たない子供でも大きな戦闘力を発揮することが可能となり、飛ばし子というシステムが出来上がった。
だが、そんな変身をしてもなおフリーザを上回ることはできない。
現に大猿と化したベジータが放った大振りの一撃を、フリーザは片腕で受け止めてしまったのだ。
「言っただろう? まだ本気の一割も出していないって」
自身の胴体よりも大きな腕を片腕で受け止める。
傍から見ればあり得ない光景だが、強さを測るのは身体のサイズではなく戦闘力だ。フリーザが競り勝つのは当然のことと言えた。
戦闘力を10倍にまで高めてもフリーザには届かない。
それほどまでの絶対的な力の差が両者にはある。
だが、この事実を受けてもなおベジータが絶望することはなかった。
「だったら、キサマが倒れるまで戦い続ければいい話だ!」
「いい加減しつこいんだよ!」
直後、ベジータが大きな口をカパリと開き破壊光線を放つ。
フリーザは咄嗟にエネルギー波を放ちこれに競り勝つが、これに息つく間もなく大猿が突進してくる。
タフさも上昇しているのか。
あるいはダメージは回復するからと突っ込んできたか。
いずれにせよ掴まれでもしては厄介なので、繰り出されたパンチを超スピードで避け、そのまま足の間を潜ってベジータの背後を取る。
シッポでも掴んで振り回してやろうか。
そう思い手を伸ばしたところで、その手は空を切ってしまう。
シッポを狙われていることを察知したベジータは、前方へと宙返りして飛び上がり再度口から破壊光線を放ったのだ。
「っ…! コイツ…!!」
フリーザは思わず歯噛みする。
不死身となってもベジータの戦闘センスは健在か。
攻撃など受けてもダメージが通らないはずなのに、ダメージを受ける前提の立ち回りは極力避けている。
いっそ割り切って形振り構わず攻撃してくれば…。
そうすれば攻撃はもっと単調になるから、相手をするのは楽だと言うのに。
「きええええっ!!」
フリーザはベジータの放った破壊光線を蹴り上げる。
そして、大猿のパワーをも上回る出力で超能力を使用すると、ベジータは金縛りにあったように動けなくなる。
「ほっほっほ、ベジータ。貴方の倒し方がようやく分かりましたよ」
フリーザは右の手にエネルギーを込められるだけ込める。
そして、放たれた赤いエネルギーは音もなくベジータの腹部へと侵入し
「──それは、二度と身体が修復しないよう粉々に吹き飛ばすことです!」
突如として、ベジータの身体は遥か上空へ浮上。
フリーザの手の動きに合わせるように空高く浮き上がり、開いていた手の平をフリーザが閉じると同時──大猿のベジータの身体が大爆発し粉々に吹き飛んだのだ。
「綺麗な花火ですねぇ。私の勝利を祝うには、ちょっとばかり不足している気もしますが…」
ベジータは粉々に吹き飛んだ。
いくら不死身とはいえこれでは生き返ることはできまい。
そう思ったフリーザは肩を撫でおろし、急激にフルパワーを出したことによる疲労を回復しようとほっと一息つこうとして──
「──誰の勝利だって?」
直後、復活したベジータに殴り飛ばされた。
今まで受けた中で最も強く感じた痛み……特別強い力を生まれ持ったフリーザは痛みというものを感じたことが殆どなかった。
だが、今こうして痛みを感じている。
しかも、よりによってサイヤ人なんかに。
「今のは痛かった……痛かったぞーー!!」
フリーザは怒りのままにベジータを攻撃する。
大猿の頑丈な身体には生半可な攻撃ではダメージが通らない。
そのため、フリーザは出し惜しみすることなくフルパワーを出し切り、ベジータに攻撃を加え続けた。
だが、おかしい。
攻撃を続ければ続けるほど段々と攻撃が通らなくなっていった。おまけに、かつてないほどに動悸が激しくなり、息切れが止まらなくなる。
「くっくっく……この時を待っていたぜ。オレのパワーがお前のパワーを上回る瞬間をな」
「このボクを上回るだと…?」
「そうだ。フリーザ、キサマのそのフルパワーはかなり身体が無理をしているんだろう? キサマのパワーはどんどん落ちていくが、オレのパワーが落ちることはない。むしろ、死の淵に追いやられたことで大きくパワーアップしたんだ」
「……」
「はっはっはっ! 流石のフリーザも成す術がなくなったようだな! これでキサマの時代はおしまいだ!」
「ふふっ、ソレはどうかな?」
体力の低下。
それによる大幅な戦闘力の低下。
それを受けてもなおフリーザは不敵に笑う。
「褒めてあげるよ。キミはボクに最終手段を使わせたんだ」
「最終手段だと…?」
「そうだよ。ボクは宇宙空間でも生き延びることができるけど、ベジータ、キミは無理だろう?」
「ま、まさか…」
「この星を消す…!!」
直後、フリーザはデスボールを惑星へと放つ。
まるで天変地異でも起こったかのように地面が揺れ空気が揺らぎ、あちこちから真っ赤なマグマが勢いよく吹き出し──その数秒後、大爆発を引き起こした。
惑星の爆発に巻き込まれベジータは木端微塵になるが、不死身であるがために肉体は再生し元通りになる。
しかし、そこは宇宙空間。
気温にしてマイナス270℃。
そこに、生身の人間が何の装備もなく放り出されればどうなるか?
答えは2分以内での死亡。
その原因はマイナス270℃という超低温による凍死ではなく窒息死。
なにも、酸素がないから窒息死するわけではない。息を止めていればセーフなんていう単純な話ではないのだ。
窒素や酸素などの大気にも重さはあるため、
そのため、宇宙空間は大気が枯渇し真空に近いほぼ空っぽの空間。
そんな場所では当然ながら大気圧がかかることはなく、極端な減圧により体内の水分は沸騰し、それに合わせてすべての組織が膨張し始める。
物質を固体や液体から気体へと昇華・蒸発させる方法は高温だけではない。
減圧することでも可能なのだ。
これにより人体の60%を占める水分は余すことなく沸騰。
他の40%もあらゆる物質が昇華・蒸発することで最大で2倍の大きさにまで膨張。
地球人とサイヤ人はかなり酷似した肉体を有している。
細かい部分に違いはあれど、大まかな部分のつくりは同じと言える。
いかに屈強な身体を持つサイヤ人であろうと、人体が膨張するのを生き残ることはできない。
(くそったれが…!!)
意識が持つのは10秒ほど。
その時間を使ってベジータは近場の惑星への漂着を目指す。
空気がないため声を出すことはできず、誤って口を開いてしまえば唾液が沸騰し急激な喉の渇きが襲ってくる。
そのため、口には出すことなくかすかに見える惑星へと何度も再生を繰り返しながら進み続けるが──
「……っ!!」
──次の瞬間、ベジータが目指していた惑星が爆発する。
何事かと思い凝視してみると、そこには真っ暗な宇宙に浮かぶ白い影──フリーザがいた。
「ほっほっほ、これで貴方が辿り着ける惑星は破壊し終わりました。この周辺にはほかに惑星もありませんから、どうぞごゆっくり宇宙旅行を楽しんでください」
そう言ったきりフリーザは飛び去って行く。
惑星のない真っ暗な宇宙空間にベジータは一人取り残されたのだった。
Bad End…?
【戦闘力一覧】
・ベジータ:500万⇒550万
大猿化:5000万⇒5500万
※永久エネルギー式
※不死身
※超速再生
※瀕死パワーアップは肉体が粉々に吹き飛んだときのみ適用とする
・フリーザ:1億2000万
80%:9600万(継戦可能ライン)
フリーザは宇宙空間でも生きられるということなのでガス交換は不要なのは確定。
ただ、そうだとしたら息切れしてるのは意味不明だし、そもそも宇宙空間で話せるのもおかしな話になる。
ただまあ、面白ければOKということで。