ブルマ「ステキな恋人が欲しい!」   作:フェレーデ

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長いです…
しかも、ほとんど話が進みません。




17:波乱の天下一武道会②

 時は第23回天下一武道会の開催から3年ほど遡る。

 場所は地球から遠く離れたとある惑星。スカウターに通信が入り、フリーザ軍からの指示だろうかと思いながら応答すると

 

『聞こえるか、ラディッツ』

 

 聞こえたのは懐かしい声だった。

 もう長らく顔も見ていないし声も聞いていないオレ達の王子、ベジータの声。

 3年ほど前に失踪したと聞いてからは何の音沙汰もなく、もしやフリーザに秘密裏に殺されでもしたかと思い何度か探りを入れてみたが、何の情報もなし。

 どうやら本当にフリーザも王子の居所を掴めていないようで、見つけ次第通信を入れるようにと軍全体に通達が回っていたのだ。

 

『っ!! そ、その声は王子か!? いったい今までどこに──』

『カカロットは生きている。フリーザが動きだす前にさっさと逃げることだ。間に合わなくなっても知らんぞ」

『えっ、ちょっ…!?』

 

 ブチッ 

 

 

 正直、ワケが分からなかった。

 カカロット……っていうのはオレの弟のカカロットか? 何でそのことを王子が知っているんだ? カカロットのことを話したことすらないし、そもそもオレ自身も今名前が出てくるまで忘れていたというのに…。

 今までどこに行っていたんだとかフリーザに反旗を翻したというのは本当かとか聞きたいことは山ほどあったのに、それらも聞けずに通信は切れてしまった。

 使用者の居場所を逆探知することもできるはずなのだが、どういうわけかベジータの居場所を特定することはできなかった。

 逆探知できないようブロックが掛かっているのか、それとも既にスカウターが破壊されたか…。

  

 だが、そんなことよりも気になることもある。

 

「フリーザが動き出す前にさっさと逃げろって……どういうことだ?」

 

 ベジータ王子の口から逃げろという言葉が出たのに驚きだ。

 一緒に任務をやったことがあるから分かることだが、ベジータ王子は何処までもサイヤ人らしい奴だった。

 戦闘力の高い敵が相手でも怯むことなく戦いを挑むような戦闘バカで、少なくとも敵から逃げるなんていう発想すら持たない。

 

 そんな王子が柄にもなく逃げろと言ったのだ。

 何かある、サイヤ人屈指の慎重派である(弱虫)ラディッツはベジータの言からいち早く危機を感じとり、フリーザ軍に見つからぬよう姿を隠したのだった。

 

 そして、それは功を奏することになる。

 なんとフリーザはサイヤ人狩りを始めたのだ。

 それによりただでさえ僅かしかいなかったサイヤ人の残党は綺麗にいなくなってしまった。

 

 ……予想ではあるがオレが最後の生き残りだ。

 フリーザは軍全体を使ってサイヤ人を捜し出している。その徹底ぶりは途轍もないもので、わざわざ惑星の住人に聞き込みまでしているのだ。

 何でだよ、サイヤ人を捜すだけならスカウターを使えば十分じゃないか。

 そうは思うものの、聞き込みまで徹底しているせいで何人か飛ばし子も見つかっており、そのたびに無惨に殺されている。

 いったいベジータとフリーザの間に何があったというのか。

 フリーザは文字通り血眼になってサイヤ人を捜している。

 

(……こうなったら辺境の惑星にでも行くしかない)

 

 ラディッツは決意した。

 このまま見つかって殺されるくらいなら、死ぬまで逃げ切ってやろうと。

 

 

 

 

 

 そうしてやってきた辺境の惑星は地球。

 北の銀河のはずれにある青い惑星だ。

 わざわざこんな遠い惑星にまでやってきたのはカカロットが送り込まれた星だからだ。それに、ベジータのやつもカカロットの名を口にしていたから、少し気になったというのもある。 

 

 さて、カカロットは何処にいるか…。

 取り敢えず最も戦闘力の高い奴のところに行けばいいだろうと、スカウターのボタンを押そうとして──

 

 

「──お前がオラの兄ちゃんか」

 

 背後から声が聞こえた。

 気配はなかった。スカウターに反応もない。そのことを怪訝に思いながらも振り向くと、そこには

 

「お前がカカロットか」

 

 山吹色の道着。

 スカウターもシッポもなく、サイヤ人とは思えない恰好をしているが、親父の生き写しのような風貌がカカロットであると確信させた。

 

「ちょうど良かった。今お前のところに出向こうとしていたところだ。さあ、オレと一緒に──」

「──兄ちゃん!! オラと手合わせしてくれねえか!」

「……は?」

 

 カカロットの急な言葉にラディッツの思考が止まる。

 そして、同時に今まで何故か作動していなかったスカウターが戦闘力を表示する。

 戦闘力387。サイヤ人としては貧弱としか言いようのない数値だ。

 

「じゃあ、早速行くからな!」

「おい! まだ話が──」

 

 ──ドンッ!

 次の瞬間には悟空はラディッツに肉薄していた。

 ラディッツはそれを片手で軽くあしらいながら、空いた片手でエネルギー波を放つ。

 悟空はこれを大きく飛び上がることで回避。咄嗟にラディッツのいたところに目を向けるも、そこにラディッツの姿はない。

 

「後ろだバカめ」

「ッ…!!」

 

 強烈な肘打ちが炸裂する。

 悟空が飛び上がるよりも速く動いたラディッツが回り込んでいたのだ。

 

「カカロット、どういうつもりか知らんが、その程度の戦闘力でオレに勝てると思っているのか?」

「思ってねえよ。兄ちゃんの方がオラより何倍も強いみたいだからな」

「ほう? では、負けを認めるとでも?」

「そうじゃねえよ。オラ、勝つことは諦めてねえ」

「なに…?」

「言ったじゃねえか。手合わせをしてくれって。何度も戦えば、いつか勝てるかもしれねえ」

「……そんな生温いことを言っているから情けない戦闘力のままなのだ」

 

 悟空は腰のあたりに手を組みエネルギーを溜め始める。

 スカウターの数値が大きく変動し、余裕だったラディッツの表情に陰りが見える。

 

「戦闘力862……!! 戦闘力が大きく変動しやがった!」

 

 一点に練り上げられた気は本来以上の力を発揮する。

 一時的に2倍以上まで膨れ上がった戦闘力。そこから放たれる一撃。しかし──

 

「ちっ、生意気なっ!」

「オ、オラのかめはめ波を受け止めやがった…」

 

 倍以上まで高められた戦闘力。

 それでも、ラディッツにはまだまだ及ばない。

 

「今度はオレがプレゼントしてやるっ!!」

 

 投げつけるように気弾を投擲する。

 被弾──悟空は攻撃を見切ることができずに直撃を許してしまう。

 

「ふん、どうやらさっきの一撃で力を使い果たしてしまったようだな。戦闘力が大きく低下している」

 

 ラディッツは疲弊した様子もなく悟空に歩み寄る。

 

「何故この惑星(ほし)の住人を皆殺しにしていないのかは知らんが、好都合だ。少々事情が変わったからな。ベジータ王子を捜すまでの間、しばらくは──」

 

 ──ボンッ!

 その瞬間、ラディッツのスカウターが爆発した。

 爆発する直前に見えたのは10万を軽く上回る戦闘力の表示。場所は北西に2400キロほど。何故こんな辺境の惑星にこんな戦闘力が…?

 

「ありえない。スカウターの故障に決まってる」

 

 カカロットの戦闘力が小さくなったからと照準をカカロットから外し、戦闘力のサーチ機能をオンにしたのだ。

 だが、表示されたのは有り得るわけがない戦闘力。

 爆発したこともあるし、スカウターの調子が悪かったのだろうと先ほど表示された数値を忘れようとして…

 

「ラディッツ!」

 

 そして、ラディッツは懐かしい声を聞いた。

 それはベジータ王子よりもずっとずっと遠い昔を思い出させるもの。

 

「あり得ない。なんで……」

 

 どうやらオレの目も故障してしまったらしい。

 惑星ベジータと共に死んだはずの母親が目の前にいるのだから。

 

 

 

 

 

 それから、ラディッツは事情を聴いた。

 ドラゴンボールという不思議な願い玉のおかげで母親が生き返ったこと。

 カカロットが幼い頃に頭を打ってしまったこと。

 惑星ベジータを滅ぼしたのは、巨大隕石の衝突ではなくフリーザの仕業だということ。

 飛ばし子というのは建前で、実際はカカロットを辺境の惑星に逃がしたのだということ。

 そして──

 

「──ベジータ王子が不死身になってフリーザに挑んだというのは本当か?」

「うん、間違いないよ。まあ、今は色々あって不死身じゃなくなってるけどね」

 

 その言葉を聞いてラディッツは確信する。

 

「なるほどな。フリーザが急にサイヤ人狩りなんてのを始めたのはそのためか」

「サイヤ人狩り…?」

 

 頭に疑問符を浮かべるギネにラディッツは説明する。

 フリーザが急に態度を一変させて、今までサイヤ人を顎で使うのを止め、殺し始めたのだと。

 

「オレは、ベジータの通信があったからいち早く危機を感じ取ることができたんだ。正直運がよかった。惑星ベジータが滅んだときも、今回も」

 

 そういえば、惑星ベジータが滅んだときもベジータ王子と一緒に任務を受けていたのだったか。

 帰還命令を受けて帰ろうとしたのだが、ベジータ王子が面倒だと言うから命令を無視して惑星の制圧を続行したのだ。

 これで、ベジータ王子には二度も命を救われたということだ。

 アイツに救った自覚はないだろうが。

 

 

「それで、カカロットのやつはベジータ王子を超えることを目標にしていると…?」

「うん、そうだよ!」

「……高すぎないか? その目標?」

「何言ってるのさ! 目標は高く持った方が強くなるはずだよ!」

 

 ギネはそう言うがラディッツはベジータ王子を超えられるとはまったく思っていない。

 スカウターに一瞬だけ表示された10万越えの戦闘力。故障ではないのなら、あれがベジータ王子の戦闘力で間違いない。

 大猿になっていなくてあの戦闘力なのだ。

 下級戦士のカカロットが越えられるわけがない。

 

「でも、実際あり得ない話じゃないと思うよ。たしかにカカロットは下級戦士だけどさ、バーダックみたいに強くなるかもしれないじゃない」

「それはそうだが…」

 

 親父は別じゃないか?

 ラディッツの脳裏にそんな言葉がよぎるがぐっと堪える。

 

「それでさ、ラディッツに頼みごとがあるんだけど…」

「頼みごと…? なんだ?」

「カカロットの稽古をつけてくれないかな?」

「稽古だと…?」

 

 その言葉にラディッツは眉を顰める。

 ギネはそれを気にすることなく話を続ける。

 

「私はもう戦闘の勘ってやつが完全にダメになっててさ。カカロットを強くしてやりたいとは思うんだけど、教えられるほど戦いが上手くないし…。ラディッツならちょうど良いかなと思って」

 

 ……生温い。

 稽古だの手合わせだの、親子揃って生温いとしか言いようがない。

 

 サイヤ人たるもの戦闘にすべてを捧げるべし。

 それはサイヤ人全員が持っていた共通認識で、もちろんラディッツ自身も持っていた。

 しかし、ギネは違う。サイヤ人らしからぬ穏やかな気性を有していて、戦闘を一番に置くことができなかった。

 

 そんな母親がラディッツは苦手だった。

 サイヤ人らしくなくてなんとなくイヤだったのだ。

 きっと子供ながらの反抗心だったのだろう。心配されるのも、自分が弱いと思われているようで煩わしく思っていた。

 

 だが、こうして成長して…。

 そして、フリーザ軍を離れることになって…。

 こういうサイヤ人らしくない生温い行為も悪くないんじゃないかと思えるようになったのだ。

 

「いいだろう。オレもこの惑星(ほし)にしばらく世話になることだしな。弟の稽古くらい手伝ってやる」

 

 このとき、ラディッツは思いもしなかった。

 まさかこの言葉が地獄への片道切符になるなんて。

 

 

 

 

「本当か! 本当の本当に兄ちゃんが組手してくれるんか!」

 

 そう、初めこそよかったのだ。

 戦闘力で大きく劣る弟を軽くあしらい、そんなスピードではまだまだだ! もっと殺す気でかかってこい! と檄を飛ばしていた。

 だが、それも1週間も経てば状況が一変した。

 爆発的なスピードで戦闘力を増したカカロットはあっという間にオレの戦闘力と肩を並べ、勝率は五分五分にまでなってしまったのだ。

 

「はあ……はぁ……は、ぁ………今のは危なかったぜ」

「く~~!! やっぱ兄ちゃん強いなぁ! じゃあ、第2ラウンド行くか!」

「ちょ、ちょっと待て! もう3時間はぶっ続けで戦って──」

「──じゃあ行くからな!」

「話を聞け!」

 

 そして、一番しんどいのはカカロットが修行バカであるということ。

 コイツは疲れを知らない。いや、実際には疲労は仙豆という簡易版メディカルポッドのような道具で回復できるのだが、それでも限度というものはある。

 サイヤ人は戦闘民族であって修行民族ではないのだ。

 戦いも技も実戦の中で磨いてこそ。強くなるには、より多くの実戦を積むしかないというのが一般的である。

 

 カカロットを見ていて思ったのはそもそも戦いへの認識が自分と異なることだ。

 オレ達は『戦い=殺し合い』だが。カカロットにとってはそうではない。奴にとっては『戦い=試合』なのだ。

 認識が違えば目的も違う。

 オレにとっては勝つための戦いも、カカロットにとっては強くなるための戦いだ。

 だから、修行への身の入り方が違う。

 ただ強くなるために己を高め続けるのだ。

 

 そして、1ヶ月ほどが経った頃

 

「ま、参った…」

 

 結果は10戦10敗。

 オレは完全にカカロットに敵わなくなった。

 

「もうオレでは相手にならなくなってしまったな…」

 

 ラディッツとしては悔しい気持ちもある。

 だが、それよりも納得の気持ちの方が大きかった。

 カカロットが修行に打ち込んでいたのを知っているからだ。自分ではああいう風に打ち込むことはできない。

 

「私からも言わせてもらおうか。孫よ、もうお前に教えることは何もない」

 

 地球の神がカカロットの実力に太鼓判を押す。

 そして、私のもとでこれ以上修行しても大きく成長することはできんだろうと言う。

 

「でも、オラもっともっと強くなりてえ!」

「そう言うと思ってな。危険を承知するというのなら、当てがないこともない」

「本当か!」

「界王様のもとへ行くのだ。世界を救ったお前にはその資格がある」

 

 そうして、カカロットは界王という奴のもとへと修行へ行ったのだった。

 

 

 

 

 

 それから約2年後。

 迎えた第23回天下一武道会。

 カカロットとベジータは決勝で激突することになった。

 

『最初から全力でかかってくることだ。このオレを失望させるなよ、カカロット』

『ああ、そのつもりだ』

 

「ふん、相変わらず楽しそうな顔しやがって」

 

 ラディッツはその試合を見ていた。

 その隣にはギネもおり、興奮しているのかシッポがそわそわと落ち着かない様子だ。

 

「ねえラディッツ! どっちが勝つかな!」

「ベジータに決まってるだろう。お袋も気を感じ取れるんだから分かってるだろうに」

「う、うるさいなあ! そういうところバーダックそっくりだよ!」

 

 試合など遊戯のようなもの。

 その認識はラディッツの中で変わっていないし、きっとこれから変わることもない。

 命の取り合いをする感覚は幼い頃から染みついたものだ。これから先地球で長く暮らすことになろうとも、無くなることはないだろう。

 

 だが、これだけは思う。

 ああやって楽しそうに戦うカカロットを見ているのは悪くないと。

 

 カカロットは不思議と人を惹きつける。あの自由奔放さがそうさせているのだろう。そんな弟の戦いを見ていると、不思議と気分が高揚するのだ。

 言葉を借りるならば、ワクワクした気分にさせられる。

 それもこれもサイヤ人だからだろうか。少なくとも自分が戦っているときには感じない感覚だ。

 

「カカロットー! 頑張れー!」

 

 隣でギネが声援を飛ばす。

 片手を振り上げて応援する様はとてもサイヤ人には見えない。

 むしろ、地球人の服を着て生活するお袋は似合っていた。穏やかな気性が地球にマッチしていたのだろう。完全に地球人に溶け込んでいた。

 

「ほら! ラディッツもカカロットのこと応援しないと!」

「勝敗が分かっている戦いを応援する必要などないだろう」

「またそんなこと言って! そういうところが──」

 

 ギネの言葉を聞きながしながらラディッツは心の中で思う。

 

 

(頑張れカカロットお前のチカラを見せてやれ!)




【第23回天下一武道会 対戦表】
第1試合 天津飯 VS 桃白白
第2試合 悟空 VS 匿名希望
第3試合 クリリン VS マジュニア
第4試合 ヤムチャ VS ベジータ

シェン「まさか予選でベジータに当たるとは…」


【戦闘力一覧】
悟空:5万(気の感知習得)
クリリン:280
ヤムチャ:260
天津飯:320
餃子:160
チチ:130
ベジータ:600万

ラディッツ:1500⇒2000(気の感知習得)
ギネ:1400⇒1600(気の感知習得)
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