「孫選手の身体を紅いオーラが包みました! これは何なのでしょうか! 凄まじい強風が吹き荒れております!」
悟空の放つ気に空気が揺れる。
武道会の武舞台がひび割れ、大地を揺らす地鳴りが鳴る。
そんな中、天下一武道会の審判はバランスを崩すことなく、滑らかな実況を続けていた。
「界王拳…!!」
まるで、地表から噴き出すマグマのように。
熱く激しい紅蓮のオーラを身に纏い、勢いそのままベジータへと攻撃を仕掛けるが
「たいした戦闘力だ。随分と腕を上げたようじゃないか」
その表情は余裕。
悟空の渾身の右ストレートをベジータは余裕の笑みを浮かべたまま片手で受け止めたのだった。
続けざまに空いた手で攻撃を加えようとするも見切られ受け止められる。
紅蓮のオーラを一層強め押し込もうとするがベジータの腕はピクリとも動かず、一瞬にして悟空は苦悶の表情に染まる。
「だが、その程度ではオレをこの場から動かすことさえできんぞ。このまま場外へと突き飛ばしてやろうか?」
「ッ…!?」
身震いがした。
ベジータのその言葉に、プレッシャーに。
その行動は本能に近かった。反射的に悟空は飛び上がってベジータとの距離を取ろうとして──
「──遅い!」
直後、背後から攻撃を受け地面に叩きつけられた。
(あ、あの一瞬で回り込まれたのか…!? ベジータの動きが速すぎて気を捉えられねえ!)
気を抜けば身体は崩れ落ちる。
界王拳は諸刃の剣だ、そう長くは持たない。
それに、ベジータはオラが倒れてるのを見逃すほど甘い奴じゃない。
「そぉら!」
投擲するようなモーションからの気弾。
放たれたと認識した次の瞬間には、既に悟空の眼前へと迫っており
(回避……いや、間に合わねえ!)
急いで起き上がりながらベジータの放った気弾へと手を翳す。
直撃すればただでは済まない。めいいっぱいの力を右の手へと込め──
「──10倍界王拳…!!」
界王拳の出力を上げて応戦!
ベジータの放った気弾を掌で握りつぶす。
「なるほど、まだ力を隠し持ってやがったか」
一気に跳ね上がった戦闘力。
これを見てもなおベジータの余裕は崩れない。
むしろサイヤ人らしい好戦的な笑みを深くし悟空を見据える。
「来いカカロット! 貴様の全力とやらを見せてみろ!」
殴る、蹴る、殴る、殴る、蹴る。
されどその攻撃は防がれ避けられる。
ならばと悟空は超高速で空を駆けベジータを翻弄する。
一撃を叩き込む、フェイントを挟み直角に急旋回し強襲、さらに背後に回り込んで追撃。
直角に曲がるという通常ならばあり得ない軌道でベジータを翻弄し、反撃の隙を与えることなく縦横無尽な攻撃を続け──
「──そう上手くいくと思ったか?」
「ッ…!?」
「オレは全力で来いと言ったはずだがな。それとも、今この瞬間も強さが増しているとでも言うのか?」
ベジータのダブルスレッジハンマーが炸裂する。
一瞬吹き飛ぶ意識。しかし即座に持ち直し再び決死の界王拳。
ベジータの繰り出す拳を地を蹴り空を回転して避け、背後から強襲。
しかし当たらない。
残像拳──気付いたときには横合いから強烈なタックルがお見舞いされた。
(な、なんてやろうだ……。ベジータのやつ、パワーもスピードもオラとは比べ物にならねえ! で、でも、こんなやばい時だっていうのに、わくわくしてきやがった……!)
湧き上がる歓喜。
抑えきれない高揚感。
界王拳の負担はまだ限界まで至っていない。
(ベジータにはオラの全力を出してもてんで敵わねえ…。だったら、全力以上のパワーを引き出すしかねえ……!!)
一瞬、悟空は静止する。
ベジータもそれを攻撃のチャンスとは捉えず、何か仕掛けてくるつもりだろうとジッと見ている。
数秒後、先ほどとは比べ物にならないほどの紅のオーラが吹き荒れる…!!
「身体持ってくれよ…! 20倍界王拳だ!! だああありゃあぁああ!!」
悟空が咆哮を上げベジータに突進する。
ベジータもそれに応じるように右の拳を振りかぶり──直後、空が爆ぜた。
高速で戦闘を続ける二人の姿は常人には……いや、この場にいる誰も見えていない。
大砲のような爆発音が空で爆ぜ、時折赤い紅蓮の軌跡が空を彩り、打撃の音と衝撃が四方八方から空を揺らす。
打撃の音が四方八方から遅れて響くのは音さえも置き去りにした戦闘が展開されている証拠だった。
「い、いったい何が起こっているのでしょうか…!? 海は荒れ大地は揺れ空気が振動しています! こ、これはまるで天変地異! 地球はこのまま終わってしまうのでしょうか…!!」
エアカーを乗り回し審判はプロ根性満点の解説をする。
あまりの異常事態に逃げ惑う観客もいる中、ひとり業務を全うしていた。
「見えるか天津飯」
「いいえ、見えません」
いつの間にか選手控室へと移動してきていた亀仙人が近くにいた天津飯へと話しかけるが、天津飯は苦い顔をしながら正直に答えていた。
「ご、悟空のやつ……いったいどんな修行をしたってんだ!?」
「見えないなんてもんじゃないな。た、戦いの次元が違い過ぎる…!」
その隣ではクリリンとヤムチャの亀仙流コンビが目で追いきれないながらも戦いの次元の違いを肌で感じ取っていた。
悟空が紅いオーラを発しているからどこにいるかの見当がつくものの、それがなければ何処にいるのか後追いすることすらできなかっただろう。
「おっとぉおお!! ベジータ選手の蹴りが孫選手の鳩尾にヒットしました! これは痛い! 今までの勢いがウソかのように孫選手の纏っていた紅いオーラが消えました!」
審判の一言に観戦していた天津飯、亀仙人、クリリン、ヤムチャが「あっ!」と声を漏らす。
少し遅れてチチも状況を把握したのか「オラの悟空さが…!!」と悲痛な叫びをあげていた。
「底が見えたな、カカロット」
「がっ……」
動け、動け、動け!
そう何度も念じるも身体は動かない。
赤い紅蓮のオーラは消え失せ、身体は鉛のように重くなり、内側から電撃のような激痛が全身を走る。
界王拳を使っていたのは1分にも満たない。
しかし、たったそれだけで全身が悲鳴を上げ今にも身体がはち切れそうになってしまった。
「どうやら試合はここまでのようだな。そんなボロボロの身体ではろくに身動きすらとれまい」
「ま、まだだ…!!」
「負けを認められんか? だったら、このオレ直々に武舞台から落としてやる」
「そ、そうじゃねえ! オラにはまだ必殺技があるんだ」
「必殺技だと…?」
ピクリ。
悟空の言葉にベジータが動きを止める。
「そうだ! ただ、この技には時間が掛かっちまう」
「ほぅ、面白い。だったらさっさと準備をすることだ。実力の半分も出さずに勝ってしまっては面白みもないからな」
「サ、サンキュー。ベジータ」
宣言通りに腕組みをして悟空を待つベジータ。
悟空はボロボロの身体に鞭を打ち、その両腕を天にあげ──
「──だ、大地よ、海よ、そして生きているすべてのみんな! このオラにほんのちょっとずつだけ元気をわけてくれ…!!」
悟空の声に応じてまずギネとラディッツが手を挙げる。
それに倣い、クリリン、ヤムチャ、天津飯、武天老師などの悟空の仲間たちが手を挙げる。
「こ、これはいったい何なのでしょうか? 孫選手の頭上に眩い光を放つ球体が形成されています」
一変した戦況に審判がナレーションを入れる。
そこに、同じくエアカーに乗ったブルマが近づいていき
「あれはみんなの元気……あぁーチカラを分けて貰ってるのよ」
「チ、チカラを…?」
「そう! みんなの応援が孫くんの力になるとでも思えばいいわ」
「な、なるほど…! あの技はベジータ選手を打ち倒す最後の切り札ということですね!」
「そういうこと」
物分かりの良いアナウンサーにブルマはウインクしてサムズアップ。
意味は分かっていないが状況を把握したアナウンサーは、すぐさまカメラを悟空へと焦点を合わせ
「皆さん! 両手を天高く上げてください! 孫選手は皆さんの応援をチカラに変えることができます! 皆さんの力で孫選手の後押しをしてください!」
アナウンサーの指示に従って観客の数人が手を挙げる。
一人、また一人とその数は増えていき、元気玉はどんどん大きさを増していく。
手を挙げたのはその場にいた観客だけではない。カメラ越しに、その中継を見ていた観客も両手を挙げ、悟空を応援していたのだ。
(聞こえる…みんなの声が)
みんなの声援は悟空のもとに届いていた。
絶対に勝ってほしいという思い、今度こそベジータにリベンジを果たしてほしいという思い、優勝してくれと言う思い。
それらを全部背負って悟空は元気玉を練り上げていく。
「……なるほど。地球人どもから少しずつエネルギーを集めているというワケか。コイツをまともに食らったら流石のオレ様もアウトかもな」
出来上がっていく元気玉を見てベジータは命の危機を感じていた。
あの技には地球を粉々にできるほどのパワーが集まっている。直撃すれば一溜りもない、直感がそう告げている。
「ちっ、形振り構っていられる状況ではないな」
ベジータはその手にエネルギーを集める。
気攻波とは異なる──眩い光を放つ元気玉のような球体。
──弾けて混ざれ!
ドクンッと脈打つ鼓動。
興奮と高揚感から逆立つしっぽ。
身体の内から溢れ出てくる原始的な力の奔流。
シッポをアンテナとしてブルーツ波を受信したベジータの身体は、みるみるうちに大猿の姿へと変貌を遂げていく。
ギネとラディッツはパワーボールを見ないように視線を逸らし、クリリンや亀仙人など一度見たことがある者は驚愕に目を見開いていた。
大猿を初めて見た天津飯や餃子は驚愕を隠しきれない。
そのあまりの変貌に地球人たちは恐れおののき、中には腰を抜かす者もいた。
「に、兄ちゃんが言ってたことは本当だったのか…」
そして、衝撃を受けたのは悟空自身もだ。
今の悟空にシッポはない。それは、地球の神が生えてこないようにしたからだ。
だが、シッポを抜く際にラディッツに言われたのだ。サイヤ人はシッポをアンテナとして満月の夜に大猿へと変貌すると。
もちろんラディッツは悟空が育ての祖父を踏み殺したことを知らない。
ただ、頭を打ってサイヤ人としての記憶をすべて忘れていることは知っていたので親切心から教えたのだが、知らず知らずのうちに地雷を踏みぬいてしまったのである。
その後、あの世へ行った際に悟飯じいちゃんに会うことができ、そのときのことを謝ることはできた。
じいちゃんも「なぁに気にすることはない!」とカラリと笑って許してくれた。
だが、悟空の心の奥底に、じいちゃんを殺したのは自分じゃないんじゃないかと思う心があったのは本当だ。
「……とにかく、今は勝つことだけ考えねえと!」
気を持ち直し悟空は改めてベジータを見据える。
そこには、既に変身を完了して、肩のあたりに両腕を組んで構え
「オレ様のギャリック砲で迎え撃ってやる!」
「オラとみんなの元気玉を受けてみろーー!!」
──激突!
その威力は互角。
しばらくの間押しつ押されつの攻防を繰り返し、そして爆発!
とてつもないエネルギー同士の衝突は大爆発を引き起こし、その爆風に悟空の身体は吹き飛ばされる。
すべての力を使い果たした悟空は身動きすることができない。
落ちた先は場外……勝敗が決した瞬間だった。
「人間離れした激闘を制したのはまたもやベジータ選手! 観客の応援を受けパワーアップした孫選手の一撃を、な、なんと! 化け物のすがたへと変身することで打ち倒して見せました!」
薄れゆく意識。
アナウンサーの言葉を聞きながら悟空は思う。やっぱり、ベジータはすごいヤツだと。
その後、ベジータはブルマが開発していた「ブルーツ波分解薬」を注射してすぐに元のすがたへと戻った。
【戦闘力一覧】
・悟空:5万
界王拳5倍:25万(通常使用)
界王拳10倍:50万(負担大きめ)
界王拳20倍:100万(限界突破)
元気球:6000万~8000万くらい
・ベジータ:600万
大猿:6000万(ギャリック砲:6000万~8000万くらい)
【悟空の修業について】
①神様とミスターポポによる気の概念の習得
②ラディッツとの組手稽古
③蛇の道を走破
④界王様による特訓
①&②を1年くらいで終了。
③は原作より戦闘力が高いため3か月ほどで走破し、残りの1年7か月ほどを④に費やす。
界王様のもとでの修行期間が原作の3倍ほどあるためその分習熟度も高い。
筋斗雲もビックリな超スピードの修業スケジュール。
目標が目標だから仕方ないね。
【元気玉の仕様】
元気を集めれば集めるほど威力が上がる。
その威力は実質無限大。手傷を負った原作ベジータを倒せないくらいの威力の時もあれば、魔人ブウを消し飛ばすほどの威力が出ることもある。
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トランクスの年齢は?
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原作通り
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悟飯と同い年くらい