ブルマ「ステキな恋人が欲しい!」   作:フェレーデ

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02:不老不死の夢①

 地球に来たベジータを待ち受けていたのは退屈だった。

 今までフリーザ軍に所属し、奴の傲慢不遜な態度に苛立ちを覚えることはあったが、惑星の制圧を行っていたため戦闘に不足を覚えることはなかった。

 だが、戦闘とは強い相手がいるから成立するもの。

 地球人の戦闘力はあまりにも低く、ベジータがどれだけ手加減しようと戦いが成立するレベルではなかったのだ。

 

 だからと言って宇宙に強敵を求めようとしても、地球の文明レベルは明らかに低い。

 ブルマの父であるブリーフに行きたい惑星の座標を伝えたが、カプセルコーポレーションで一番性能の良い宇宙船でも数千年はかかると告げられ断念したのだった。

 

 だが、ここでベジータは思いつく。

 宇宙船ならばあるではないかと。

 孫悟空なんていうふざけた名前を名乗っていたあのサイヤ人。

 ヤツが飛ばし子としてこの地球に送られたならば、どこかに宇宙ポッドが残っているはずだ。

 

「えっ、孫くんが住んでた場所? それなら……」

 

 そして、幸運なことにブルマはそれを知っていた。

 パオズ山という辺鄙な場所に住んでいたらしいが、当然ベジータはそれがどこにあるのか分からない。

 ブルマに同行してもらい、パオズ山へと足を運ぶのだった。

 捜索すること数分、遂にそれを見つける。

 

「な、何よこれ……」

「宇宙ポッドだ」

「ポッド?」

「ああ。オレ達サイヤ人が使う宇宙船だ。あの孫悟空とかいうサイヤ人が乗ってきたのがコイツだろうよ」

「へ、へぇ~」

 

 ベジータは宇宙ポッドを慣れた手つきで操作すると、既にそのポッドは動かなくなっていることに気付く。

 長い間使わなかったから故障したか…。

 当てが外れて思わず歯噛みする。

 

「ちょっと見せてみて」

 

 すると、どこからかドライバー一式を取り出したブルマが部品を取り外し宇宙ポッドの回路を覗き込む。

 しばらくぶつぶつと何やら呟いていたが、やがて「何よこれ……見たこともない設計だらけだわ」と言葉を漏らしていた。

 

 ふん、当然だ。

 地球とフリーザ軍の科学力は相当かけ離れている。

 何年かかったところで解析などできたものではないだろう。

 

 そう高を括っていたのだが、半月ほど経った頃にブルマが驚くべきものを持ってきた。

 

「じゃ~ん!! これな~んだ?」

 

 それは、まごうことなき宇宙ポッドだった。

 しかもブルマはリモコンを取り出し、ポッドのハッチを開閉して見せる。

 

「何だこれは? もう修理が終わったのか?」

「そうよ。あなたたちの文明ってずいぶん進んでるのね。私が天才じゃなきゃ危うく挫折するところだったわ」

 

 ブルマは宇宙ポッドの側面にあるボタンを押し、ソレをカプセル状に変化させる。

 ホイポイカプセル──ブルマの父が発明したという、ありとあらゆるものをカプセルにして収納できるという発明品だ。

 修理するついでに宇宙ポッドにも組み込んだのだろう。

 地球の文明は遅れてはいるが、このカプセル技術のみはフリーザ軍を完全に上回っている。

 

「はい、コレ。ベジータ、あなた自分の惑星(ほし)に帰るんでしょ?」

「星に…?」

「ええ。だって、あなたサイヤ人っていうのの王子様だったんでしょ? 私がドラゴンボールを使って呼び寄せたせいで、今頃はパニックになってるはずだわ」

 

 ここで、ベジータはブルマが勘違いをしていることに気付く。

 そういえば、言ってなかったのだ。既にサイヤ人の星は滅んでしまっているということを。

 あの時は余計な情報は与えん方がいいと思い、自分が宇宙人であることだけを伝えて説明は最小限に留めたのだった。

 今さら黙っておく必要もない。

 ブルマの誤解を解いてやることにする。

 

「オレはしばらく地球に残るつもりだ」

「えっ?」

「そもそも、オレたちサイヤ人の星、惑星ベジータは巨大隕石の衝突により消滅している」

「えぇぇーー!!」

 

 お手本のような驚き方をするブルマ。

 まったく忙しない奴だ。

 

「じゃ、じゃあ、宇宙船は何のために…?」

「適当な星で暴れてこようと思っていたんだ。この星で暴れてもつまらんからな」

「暴れる…?」

「ああ。サイヤ人は戦闘種族だ。その強さを生かして、惑星の住民を皆殺しにして適当な宇宙人に惑星を売り生計を立てていた」

「へ、へぇ……」

 

 他の惑星ならばこんなことを話せばその場で撃ち殺されでもするだろうが、この地球ではその心配はない。

 奴らは力が弱いし武器の開発も大して進んでいない。

 たとえ寝込みを襲われようとも死ぬことはないだろうと思っていた。

 それに、惑星を売るだの住人を皆殺しにするだの言ったところで、サイヤ人もフリーザも知らんような平和ボケした惑星にそんな危機感があるとも思えない。

 包み隠さず話しても問題ないと思ってのことだった。

 

「も、もしかして地球を売り物にしたり…?」

「そんなことはせん。確かにこの星は退屈だが居心地は悪くない。食べ物も美味いからな。……重力が軽くて身体が鈍りそうだが」

「重力…?」

 

 小首を傾げるブルマに惑星ベジータはもっと重力が強かったと説明してやる。

 すると、ブルマは思いも寄らない提案をするのだった。

 

「じゃあ、トレーニング用の重力室でも作ってあげようか?」

「重力室を? 本当に作れるのか?」

「任せなさい! 私を誰だと思ってるの」

 

 宣言通り、数週間後には重力室をブルマは完成させた。

 地球の科学技術が低いと評価したのは訂正せねばならないかもしれない。

 カプセル技術といい重力室といい、コイツらはフリーザ軍にもないような技術を複数生み出している。

 もしくは、このブルマとかいう女がおかしいだけかもしれんが…。

 

 

 

 

 

 それからは重力室に籠り修行漬けの日々だった。

 地球の重力を1とすれば惑星ベジータの重力は10といったところ。

 ならばと修行は20程度から始めた。ズシンッと身体が鉛のように重くなり、トレーニングを続けるとびりびりとしたどこか心地いい痛みが全身を襲う。

 

 効果としては上々といったところか。

 惑星フリーザで強化栽培マンを相手にするよりずっといい。

 ラディッツを甚振るよりも、下手な星を制圧するよりも、よっぽど質のいいトレーニングをすることができたように思う。

 

 無論、目指すは打倒フリーザ。

 いくら不死身の身体を得たとしても、奴に攻撃が通らないのでは意味がない。

 トレーニングは必須だ。圧倒的に強くなって、あのイラつく野郎に地面を這いずらせてやる!

 

 そう意気込むベジータにブルマからとある知らせが入ったのは、ベジータが地球に来てからおよそ10か月が経過したころ。

 

「天下一武道会?」

「そうよ。世界中から腕利きの武道家が集まってきていちばん強いのは誰かを決めるの」

「ほう…」

 

 正直ベジータとしては微塵も期待していなかった。

 こんな平和ボケした惑星に大したやつがいるとも思えない。

 しかし、そのときのベジータは絶品フルーツポンチを食べたことで非常に機嫌がよく、気まぐれに参加することを決めたのだった。

 退屈しのぎにでもなれば御の字といったところか。

 

 

 

 そうして来たる天下一武道会。

 当然のことではあるがベジータは楽々と予選を勝ち進んでいった。

 どいつもこいつもガキだからと見くびってかかってきやがる。貴様らこれがお遊びでなければ既に死んでいるのが分からんのか?

 それに、サイヤ人は成長のタイミングが遅いんだ。

 あと少しすれば一気に背が伸びて体格も良くなるはず。

 ガキだのチビだの言っているヤツはぶっ殺されても知らんからな!

 

 心の中でブチ切れながらも、相手を殺してしまってはドラゴンボールを手に入れられないかもしれないからとなんとか力を押さえ、相手をワンパンで倒し着々とコマを進めていく。

 そして、予選の最終戦。

 

「まさか、予選でベジータに当たることになるとは…」

 

 ベジータの対戦相手はヤムチャだった。

 カプセルコーポレーションに居候していたはずだが、いつの間にかいなくなっていた男。

 何をしているのかもベジータは気にしていなかったが、ブルマから聞いた(聞かされた)話によれば武者修行のために道場破りをしていたらしい。

 まあ、ベジータにとってはどうでも良いことではあるが…

 

「ふん、ザコが…」

「ザコだと?」

 

 思わず口から出た言葉にヤムチャがムッとした表情を浮かべる。

 どうやらプライドだけは一丁前にあるらしい。

 

「いいぜ。悟空のとこの王子様だか何だか知らないが、このヤムチャ様がぶっ飛ばしてやるぜ! はぁぁあああ!」

 

 ベチンッ

 襲い掛かってきたヤムチャをベジータ場外へ叩き落とした。

 見事本戦への出場を決めたのだった。

 

 

 

 ベジータの勢いは本戦に進んでも留まることはなかった。

 1回戦ではジャッキー・チュンとかいうじいさんを蹴りの一発でノックダウンさせ、2回戦ではクリリンとかいう鼻と髪の毛のないガキを場外へと放り投げた。

 どちらも地球人の中ではかなり強いようだが所詮ベジータの敵ではない。

 圧倒的な強さで相手をワンパンする試合は、傍から見れば何の面白みもない退屈なものなのだろうが、不思議と観客受けは悪くなかった。

 曰く、相手をワンパンするのは爽快感があっていいとのこと。

 まったく地球人の感性はよく分からん。

 

 そうして迎えた決勝戦。

 余裕綽々でコマを進めたベジータの相手は悟空だった。

 

「へへっ、ベジータと戦えるなんてな。オラワクワクするぞ!」

 

 悟空は腕をぐるぐるとまわし興奮を抑えられない様子。

 なんともサイヤ人らしいその姿を見て、ベジータも少し遊んでやるかという気分になる。

 

「くっくっく……喜ぶがいい。貴様のような下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな」

「エリート? 何だそれ? エリンギならオラ好きだぞ!」

「エリンギか…。ふん、この試合が終わったら飯でも食いに行くか。どうだ? このオレに一発でも入れられたら地球で一番うまいものを教えてやる」

「本当か!?」

「このオレが嘘をつくわけがなかろう」

「よーし! オラ張り切っちゃうぞ!」

 

 結果から言えば、悟空は全力で戦ったもののベジータには敵わなかった。

 だが、ベジータの圧倒的な強さを目の当たりにし、もっともっと強くなるんだと決意を新たにするのだった。




【戦闘力一覧】
悟空:100(13歳)
クリリン:80(14歳)
ジャッキー・チュン:120(320歳)
ヤムチャ:20(17歳)
ベジータ:1万5000⇒10万(18歳)


ベジータ「おい、成長期はまだか?」
作者「まだです」


【ベジータの戦闘力について】
 重力修行のたまもの。
 惑星破壊して弱い者いじめするより伸びるのは必然。
 重力は既に100倍まで克服。悟空が6日で100倍重力をものにするのだから、天才のベジータならそのくらいできる。
 本人はスカウターがないのと仮想相手がいない故にかなり強くなったかなくらいの認識で、ギニュー隊長レベルに強くなったと自覚はしていない。
 かなり時代を先取りして修行している。
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