ブルマ「ステキな恋人が欲しい!」   作:フェレーデ

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03:不老不死の夢②

 天下一武道会が終わったパパイヤ島にて、人々の目をいっそう集めるものがあった。

 場所は食堂、この島にあるもっとも大きな食堂の一席であった。

 

 注目を集めるのはシッポが生えた子供二人。

 大人と比べて一回りも二回りも体格の小さい子供が次々と運ばれてくる料理を猛スピードで平らげ、その顔が見えなくなるほど高く高く皿を積み上げていた。

 2人の胃袋はまさにブラックホールの如し。

 食べるスピードはまったく数十分経ってもなお衰えず、むしろ今もなお一段とヒートアップしているようにも見える。

 口に物を入れたまま喋るという無駄に高度なテクニックを用いて次は何を注文するかを言い合っており、見かねたブルマがメニューを片っ端から持ってきてと注文することでようやく黙って食べるようになったのだった。

 

「ふぅー! 食った食った!」

 

 そして、食事の時間は悟空の一声により終わりを告げた。

 未だにウェイターが慌ただしく行き来し、店のオーナーらしき人が順番待ちの他の客に今日はもう作れる料理がありませんと平謝りする中、幸せに満ちた悟空の一声が響き渡ったのだ。

 ベジータも声には上げないが、腹が膨れたのか右手でお腹をさすっている。

 

「お、お会計108万ゼニーです…」

 

 会計金額はまさかの優勝賞金のダブルスコア。

 50万ゼニーはベジータが支払い、足りない分はブルマが支払ったのだった。

 

「それにしても、あんたと孫くんってよく食べるわよねぇ。ねぇ、サイヤ人ってみんなそうなの?」

「そうだ。あと数時間もすればまた腹が空く」

「へぇ~、あんたたちの胃袋どういう構造してるのよ」

「知るか。むしろ地球人は食べなさ過ぎて不気味だ」

 

 思えば地球に来てからは食べ物に困ったことはなかった。

 そのうえ、この星の食べ物はやたら美味く、宇宙随一であると言ってもいい。

 重力室でのトレーニングでかなり腕を上げることもできただろうし、地球に来てからもう1年ほどになるが大した不満を覚えたこともない。

 不老不死を得てフリーザを倒したら、その後は地球に移り住むのもいいかもしれない………ん? 1年?

 

「おい、ドラゴンボールが復活するまでの期間は1年だったか?」

「え? そ、そのはずだけど…」

「まだ復活してないのか?」

「さあ? 私が調べた文献では約1年とだけ書いてあったわ」

「レーダーは?」

「持ってきてるわよ。ほら」

 

 ブルマから差し出されたレーダーの表示をカチッカチッと切り替える。

 すると、そこにはいくつかの反応があった。

 

「よぉーーし!」

 

 ニヤリと笑みを浮かべる。

 反応があるということはドラゴンボールが復活したということ。

 以前レーダーを見せてもらった時は反応がなかったため、復活の時を今か今かと待ち望んでいたが……そうか、復活したか。

 

 

「きゃあああぁああ!!」

 

 ベジータが歓喜に満ちた表情を浮かべる中、悲鳴が上がった。

 何かに怯え逃げ惑う人々と、次々に上がる第二第三の悲鳴。その悲鳴の先には、大きな猿の化け物の姿があった。

 

「な、何よあれ…」

「チッ、バカめ。油断して満月を見やがったな」

「満月…?」

「サイヤ人は満月を見ると大猿に変身する。その大きさに寄らず、満月からは1700万ゼノ以上のブルーツ波が放射されている。シッポをアンテナとしてそれを取り込み変身するんだ」

 

 ベジータが大猿の説明をしていると、大猿は口から破壊光線を乱射し建物を掴んでおもむろに放り投げた。

 

「完全に理性を失っていやがるな。ふん、やはり下級戦士か」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ベジータ、あんたなら孫くんを止められるのよね。ちょっと止めてきなさいよ」

「断る。オレにそんなことをする義理はないからな」

「……ドラゴンレーダー貸してやらないんだから」

「なにっ!? ちっ、ならば仕方がない」

 

 大猿へ超スピードで接近したベジータは、ヒトの胴体くらいの太さはあるそのシッポを手刀で切断した。

 すると、大猿化が解けみるみるうちに悟空は元の姿に戻っていった。

 恰好は生まれたままの姿だが。

 

「食後の運動にもならんな。ブルマ、ドラゴンレーダーを借りていくぞ」

 

 放心した様子のブルマを置いて、ベジータは空を駆ける。

 ドラゴンボールを求め一直線に突き進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

「よーし、こいつがドラゴンボールとやらだな」

 

 悟空を大猿から戻して1分と経たぬうちにベジータはドラゴンボールを1つ発見していた。

 赤い星の模様があしらわれたオレンジ色の半透明の球。

 大きさは拳くらいで星の模様はどの方向から見ても星の形に見え鋭い光を放っている。

 星の粒は6粒。ということは、六星球か。

 

「あっ、まさかドラゴンボール!」

 

 だが、ドラゴンボールを狙っているのはベジータだけではなかった。

 見るからにガラの悪そうな連中がドラゴンボールを見て驚きの声を上げた。

 

「やけにあっさりみつけてくれるじゃねえか。おい小僧、その球オレたちによこしな」

「死にたくなかったら俺の気が変わらんうちにさっさと消えろ」

「な、なんだと!?」

 

 ベジータの言葉に激昂し殴りかかってくるが、ベジータは絡んできた連中を躊躇いなく気弾で吹っ飛ばし始末した。

 地球に来てからはヒトを殺していなかったが、それはベジータが丸くなったからではなく殺す必要性がなかったが故。

 その本質は大して変わっていない。

 

「ふん、ドラゴンボールさえ手に入ればこんなところにもう用はない」

 

 ベジータの手にはドラゴンレーダー片手に空を駆ける。

 ジェット機よりも速く飛ぶベジータに障害物などないのだった。

 

 

 

 

 一方、ベジータに絡んできたガラの悪い連中───レッドリボン軍の総本部は大慌てであった。

 なにせ、シルバー大佐の担当していたドラゴンボールが超高速でホワイト将軍担当のドラゴンボールの方角へと移動し始めたのだから。

 すぐさまレッド総帥はシルバー大佐に確認を取る。

 

「どうなっている! シルバー大佐!」

「そ、それが…。突然、爆発音が聞こえたと思ったら、そこには焼き焦げた後しか残っておらず……。私の部下も2人行方不明です」

「そんなことを聞いておるのではないわ!」

 

 レッド総帥は怒りに身を震わせる。

 いったい何が起こっているのか、シルバー大佐からは不明瞭な返事しか得ることはできなかった。

 だが、そんなレッド総帥にブラック補佐は助言を入れる。

 ドラゴンボールを奪った何者かをホワイト将軍に討ち取らせればいいではないかと。

 それもそうかと気を取り直したレッド総帥はすぐさまホワイト将軍に連絡を入れる。

 ドラゴンボールを持った何者かを返り討ちにせよと。

 

「承知しました……っ! な、なんだ!?」

 

 ホワイト将軍の待つマッスルタワーで爆発が起こったのはその直後だった。

 何が起こったのかと監視カメラを覗いてみると、4階の塔壁に大穴が開いていたのだった。

 奇跡的にマッスルタワーは崩れていないがそれも時間の問題だろう。

 塔に大穴を開けて侵入するという大胆な方法を取った侵入者は次々と塔内部を破壊して回っている。

 なんとか取り押さえようと全軍に侵入者を撃退せよと命令を下すが、メタリック軍曹もムラサキ曹長も怪獣ブヨンも1秒と持たずやられてしまった。

 控えめに言って悪夢である。

 

『ホワイト将軍! そちらに例のボールを持った奴が着いたと思うがどうなった?』

『ぜ、全滅です…!?』

『なに…?』

『し、シッポを持った子供が次々と塔を破壊して……ぎゃああああ!』

「何があった! ホワイト将軍、応答せよ!』

『……』

『ホワイト将軍!』

 

 何度も呼びかけるがホワイト将軍からの応答はない。

 無線が切れた音がツーツーとなるのみで、悲鳴を上げていたことからもう生きてはいないだろう。

 あまりの事態にレッドリボン軍総本部はシンッと静まり返っていた。

 

「ホワイト将軍はシッポが生えた子供が塔を襲撃したと言っていたな」

「はい、確かに」

 

 言質を取ったブラック補佐はレッド総帥をちらりと見る。

 そこには、右の拳を握り締め、怒りに身を震わせるレッド総帥の姿。

 

「レッドリボン軍全兵士に命令だ! シッポが生えたガキを見つけたら抹殺するんだ! 達成した者には報奨金と相応の地位を与えてやる! 何としてでもガキを抹殺しドラゴンボールを奪い取るのだ!」

 

 激情そのままに抹殺命令を下すレッド総帥。

 子供を殺すだけで報奨金と相応の地位が手に入ると聞いて浮足立つ兵士たち。

 そして、続いて入ってきたドラゴンボールを持ったガキがそちらに向かっているとの一報を聞き、ブルー将軍はニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「抹殺対象の子供はもうすぐここにやってくるわ! 超高速のジェット機を使っているようだから、絶対に見逃さないこと! いいわね!」

 

 ブルー将軍が檄を飛ばした数秒後、早速報告が上がった。

 

「将軍! ドラゴンボールがあると思われる方向で、海上に大きな水飛沫が上がりました!」

「何ですって!? 飛行船や潜水艇の姿は!?」

「影も形もありません!」

「使えないわね! まったくもう!」

 

 実際、報告通りにその兵士はずっと目を逸らすことなく監視していた。

 ただ見えなかっただけなのだ。猛スピードで海へと突っ込むベジータの姿が。

 

「将軍!」

「今度は何よ!」

「先ほどと同じ方向で再び大きな水飛沫が上がりました!」

「飛行船や潜水艇の姿は…?」

「み、見えません、影も形も…」

「もういいわ! 指揮系統を乱すあなたは処刑よ! ただちに刑を執行しなさい!」

「ひええっ! お助けくださーい!」

 

 これで邪魔者はいなくなったと清々するブルー将軍。

 そこに、本部から連絡が入る。

 

「ブルー将軍、例の小僧はどうなった? お前の担当するドラゴンボールを持って既にイエロー大佐の担当するドラゴンボールの方へと進んでいるようだが」

「な、何ですって…!?」

 

 例の小僧がもう出発した…?

 そんな姿を見なかったブルー将軍は困惑する。

 そして、ありのまま起こったことを話し、その小僧はステルス性のある高性能なジェット機、潜水艇を有しているのではないかとの推測を述べる。

 

 何もできずにドラゴンボールを奪われるなんて失敗もいいところ。

 降格処分や処刑もあり得ると悪い想像を膨らませていると、ややあってレッド総帥から次の指令が下る。

 

『総本部にて例の小僧を迎え撃つ! 決戦に向けて全軍退避するのだ! もう一度繰り返す。総本部にて──』

 

 幸運なことに名誉挽回のチャンスはすぐにやってきた。

 ブルー将軍は部隊に撤収命令を下し、本部へと急ぐのだった。

 

 

 

 レッド総帥はかつてなく慎重だった。

 いつもなら感情に身を任せて処刑命令を下すところを寛容に見逃したり、的確な判断は軍の総司令官として正しい姿であった。

 実際、その指示はどれもが的確であった。

 相手の素性が割れていない中で、全戦力をかき集めて迎え撃つという方法は最善手といえるだろう。

 世界一の殺し屋である桃白白にも依頼を出した。

 世界最恐と恐れられた軍隊と世界一の殺し屋と言われる桃白白。

 この2つがあれば、殺すことのできない相手など世界のどこにもいないだろう。

 

 しかし、相手が悪かった。

 

「ここがレッドリボンって奴らの総本部だな」

 

 どこまでも広がる森林の中に巨大な基地が一つ。

 それを上空から見下ろすベジータはニヤリと笑みを浮かべ

 

「はああああ……」

 

 連打、連打、連打!

 両腕に力を込めエネルギー波を放つ。

 1度や2度では終わらない。何度も何度も連続してエネルギー波を放ち、レッドリボン軍総本部を空襲爆撃する。

 遥か上空から攻撃するベジータにレッドリボン軍は成す術もない。

 突如として上空から雨あられのように降り注ぐ弾丸に撃たれ、ワケも分からずその命を散らしていった。

 ボロボロになったレッドリボン軍基地からベジータはドラゴンボールを拾い上げる。

 

「くっくっく、これであと1つだ」

 

 くつくつと笑いながら野望の達成はすぐ近くだと笑みを浮かべる。

 そして最後の1つのドラゴンボールの在処を探し出そうとレーダーの表示をカチッカチッと切り替え──

 

「──なに?」

 

 しかし、レーダーにボールの反応が表示されることはなかった。

 おかしい、途中までは確かに7つすべて表示されていたのだ。いきなり表示されなくなるわけが……

 

「ちっ、故障しやがったか」

 

 思えば水に潜ったり空を飛んだり避けられる銃弾を避けずにわざと突っ込んだりしていたのだ。

 壊れてしまったのかもしれない。

 オレとしたことがお遊びが過ぎたようだ。

 

「仕方ない。カプセルコーポレーションに戻るか」

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、退避命令が下ったレッドリボン軍各部隊はまだ本部に到着していなかった。

 無理もない、命令が下って10分もかからずに総本部が襲撃を受けたのだから。

 そしてそれは桃白白も同様であった。

 殺害依頼を受けて本部に足を運んでみれば、既にそこは壊滅していたのだから。

 

 シッポのあるガキを必ず殺す。

 残されたレッドリボン軍はそう決意を新たにし、桃白白もシッポのあるガキについて調べ始めるのだった。




ドクターゲロ「こうしちゃおれん! 何としてでも奴を倒す人造人間を作り上げなければ…!」

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