ベン10ってなんだ?知らないという方もこの作品を通じていただければ幸いです。
今から7年前の夏。
アメリカのとあるキャンプ場から、全ては始まった。
「これってもしかして人工衛星の破片か?」
とつぜん
「なんで宇宙から時計が落ちてくるんだよ?」
腕に巻きついた不思議なウォッチ
「うわぁっ!!なんだこれ!?離れろ!」
スーパーパワーを僕は手に入れた
「…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!?燃えてるよ!?燃えちゃってるよ!!」
BEN10
始業のチャイムがなるギリギリの時間帯に、一人の生徒が入って来た。
名前は南雲ハジメと言う。
「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
そんなハジメを囲むように近寄り、揶揄う言葉を吐いて笑い飛ばす男子生徒達。
声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のようにハジメに絡む生徒の筆頭だ。
近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人。
大体この四人が頻繁にハジメに絡みという名の陰湿なイジメをする。
「お、いた!おはようハジメ!」
すると、茶色の短髪に緑色の瞳と少し日本人離れした容姿の生徒が教室に駆け込んできた。
彼はハジメの姿を見ると、駆け足気味で向かってくる。
「あ、おはよう、ベンくん」
「なあ見てくれよ!ついに手に入れたんだ!念願のスモウスラマーのゴールドカード!」
彼の名は十勝弁司。
日本とアメリカのクォーターで、クラスのムードメーカー兼トラブルメーカー的存在である。親しい者からはベンと呼ばれている。
ベンは檜山たちを押し退けると、興奮気味に金色のカードを持ってハジメに見せつけてくる。
「え、本当に?ちょっと見せてよ。すごい…これってだいぶ前に販売終了になったシリアルのオマケなのに、よく見つけたね」
カードを受け取り、まじまじと見つめるハジメ。
スモウスラマーとは、アメリカで人気を博したアクションゲーム。
操作キャラが力士という一風変わったものだが、単純明快なストーリーやクオリティの高いアクション性が話題となり、発売から5年以上経った今でも、根強い人気を誇っている。
ハジメにとってはゲーム会社の社長である父の仕事を手伝うようになったきっかけとも言える思い入れ深い作品。
ベンは10歳の頃からこのゲームの大ファンであり、ハジメとも、このスモウスラマーがきっかけでよく話すようになったのである。
「おい十勝!今俺たちが話してんだろうが!邪魔すんなよ!」
「ん?なんだよヒヤマくん?あ、もしかして混ざりたいの?なんだよそう言ってくれればいいのに」
「はぁ!?なんでそう言う話になんだよ!」
「え、違うの?でもごめんねぇ〜。キミにスモウスラマーの面白さは理解できないと思うなぁ〜」
「こ、この野郎…!」
「べ、ベンくん…」
声を荒げて絡んできた檜山たちをこれでもかと煽りまくるベンに、ハジメは困惑してしまう。よく見ると檜山の額に血管が浮かんでいるのがわかる。
檜山たちがハジメにちょっかいをかけるたびに、ベンが割り込んでは檜山たちと言い合う。これがほぼ毎日繰り返されている。
ハジメ的には、内心ベンに感謝してはいるのだが。
「チッ、付き合ってられるかよ…!せいぜいキモヲタ同士でつるんでいやがれ」
「べーっだ!一昨日きやがれ!」
舌打ちとともに悪態をつき、その場を後にする檜山たち。舌を出して嫌味を返すベン。すると1人の女子生徒が近づいてくる。その生徒は不意にベンの右耳を摘むと、なんの躊躇もなく引っ張った。
「イタタタタタッ!?おい、なにすんだよジュリー!」
「はぁ…ベン。朝っぱらからくだらないことで喧嘩しないの」
ベンの耳を引っ張るのは、制服の上からピンク色のパーカーを羽織ったショートボブの少女。
彼女の名は山本朱里。ベンからはジュリーと呼ばれている。
アメリカからの帰国子女であり、学年でトップクラスの成績を誇り、さらにテニス部のキャプテンを務めている。
誰に対してもフレンドリーに接し、時には男顔負けと思えるほどに、大胆で強気な行動を見せる。
まさに才色兼備を体現したかのような、クラスの人気者である。
「檜山くんたちが南雲くんにちょっかいかけてきたからって煽らないの」
「だってあいつら、いつも僕やハジメのことキモヲタだのなんだのバカにしてくるんだよ?ムカつくじゃないか」
「子供みたいなこと言わない。ハジメくんもごめんね?ウチのベンがまた迷惑かけたみたいで」
「だ、大丈夫だよ山本さん…。むしろベンくんには助けられてるから…」
「ほら、ハジメもこう言ってる訳だしさ!はいもうこの話はおしまい!解散解散!」
「あんたは少しは反省する!」
そして何を隠そう、彼女はベンのガールフレンド。つまり恋人なのである。
良くも悪くもガキっぽいベンと、大人びたお姉さんな朱里。そんな2人不釣り合いに見えるこの2人。しかしその関係は非常に良好であり、部活の時間以外は基本的に2人でいる姿が目撃されている。そのためクラスの男子たちだけでなく、朱里をお姉様と慕う女子生徒たちも、ベンに対して妬みのこもったの視線が向けている。
少し困ったように微笑みながら、一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。
「あはは…。朱里ちゃん、もうその辺でやめてあげようよ?十勝くんも悪気があったわけじゃないんだから」
彼女の名は白崎香織。
腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。すっと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。
微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。
「香織に免じて許してあげるわ」
「へへっ、サンキューカオリ。おかげで助かったよ」
「南雲くん、おはよう!今日もギリギリだね?」
「あれ?シカト?」
彼女はとある一件からハジメに好意を寄せている。向けられてる本人であるハジメや周囲の人達はそれに気付いていないが、それなりに付き合いの長い朱里は彼女の恋心を知り、応援している。
ちなみにベンも朱里を通して知っており、2人の恋仲に全力でちょっかいかけようとしては朱里に咎められているのである。
「朱里、それに南雲君に十勝君、おはよう。毎日大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ない奴にゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
三人の中で唯一朝の挨拶をした女子生徒の名前は八重樫雫。香織の親友だ。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークである。切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与える。
次に、些か臭いセリフで香織に声を掛けたのが天之河光輝。
勇者っぽいキラキラネームをしており、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人。
しかし、少々ご都合解釈や思い込みが激しい面があり、ハジメは苦手意識を持っていた。
最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない典型的な脳筋タイプである。
「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」
雫達に挨拶を返し、苦笑いするハジメ。
「てめぇ、なに勝手に八重樫さんと話してんだ?」という言葉より明瞭な視線がグサグサ刺さる。雫も朱里や香織に負けないくらい人気が高い。
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
光輝がハジメに忠告する。光輝の目にもやはり、ハジメは香織の厚意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。
ハジメとしては「放っておいてくれ」と声を大にして反論したいのだが、光輝自身、思い込みが激しいところがあるので反論しても無駄であろうことも口を閉じさせる原因だ。
「いや~、あはは……」
「? 光輝くん、なに言ってるの?私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
香織の発言に、教室が騒がしくなる。男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりにハジメを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みにハジメを連れて行く場所の検討を始めている。
「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」
どうやら光輝の中で香織の発言はハジメに気を遣ったと解釈されたようだ。完璧超人なのだが、そのせいか少々自分の正しさを疑わなさ過ぎるという欠点があり、そこが厄介なんだよなぁ~とハジメは現実逃避気味に教室の窓から青空を眺めた。
「それに十勝もだ。学校に関係ないものを持ってくるんじゃない。それに、檜山たちにもちゃんと謝るんだ。山本さんに恥をかかせていることになっているとわからないのか?」
光輝はベンにも忠告する。彼はベンもハジメ同様に、不真面目な生徒と認識している。実際、ベンは頻繁に授業を欠席したり早退することが非常に多い。
ベン自身がその理由をうやむやにしたり誤魔化したりして話そうとしないことから、ゲームにうつつを抜かしている不真面目な奴なのだと、光輝はそう捉えているのだ。
そして、そんな彼が朱里という優等生と親密な関係にあること自体、甚だ疑問を抱いている節がある。
「はぁ?ちょっかいかけてきたのはあっちだろ?僕はハジメを助けただけ!なんで僕が悪いみたいになってるんだよ?」
一方ベンは光輝に対して、悪態をつく。
売られた喧嘩は買う主義であるベンは、ハジメのように反論しても無駄という考えは一切持ち合わせていないのだ。
しかし、その態度がより一層光輝の反感を買ってしまう。
「なっ!?あんな人をバカにしたような態度をとって、悪いとは思ってないのか!」
「はぁーヤダヤダ。アマノガワくんはすぐ自分の意見が絶対正しいなんて思っちゃってさ!ちょっとは頭柔らかくしなよ?試しにお酢でも飲んでみたらどう?」
「なんだと!?」
「なんだよ!?」
ご覧の通り、ベンと光輝は仲が悪い。
真面目で正義感が強い光輝と、お調子者で能天気なベン。水と油のような間柄。
しかし朱里は、この2人のことをなんだかんだ似た者同士と評している。ベンとしては大変遺憾なようであるが。
クラスメイトたちもすでに見慣れた光景に、「またやってる…」などと呟いている。
「だからやめなさいっての」
「ぐえっ!?」
一触即発にまでいきそうなところを見かねた朱里が、ベンの襟首を掴んで光輝から引き離す。
「ごめんね雫。ベンはこっちで引き取るから」
「お、おいジュリー!離せって!」
「気にしないで朱里、光輝はこっちに任せて。」
「あ、ああ…」
下級生からお姉様と呼ばれ、慕われている朱里と雫。
互いに手のかかる幼馴染みと彼氏の扱いに、すでに慣れ切っている。
そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り、担任の畑山愛子が教室に入ってきた。
教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか何事もないように朝の連絡事項を伝える。そして、いつものようにハジメが夢の世界に旅立ち、当然のように授業が開始された。
そんなハジメを見て香織が微笑み、雫はある意味大物ねと苦笑いし、男子達は舌打ちを、女子達は軽蔑の視線を向け、ベンはスモウスラマーカードを嬉しそうに眺めていた。
午前の授業が終わり、昼休みに入った頃。
ベンはゼリー飲料を飲んでいたハジメの前の席に座り込んでいる。
「ハジメまたそれ?そんなんじゃお腹と背中がくっついちゃうって。もっと美味しいもの食べようよ?」
「いいよ、別に。一食ぐらい抜いたって。てかベンくんこそ、それなに?」
「ん、これ?僕の大好物。さっき買って来た」
ベンから紙袋を渡されるハジメ。
袋を開けると中に入っていたのはチリフライとスムージー。どちらも明らかに学校の購買では売られていないものだった。
「チリフライにスムージーって、え、これどこで買ったの?学校からファストフード店まで結構距離あるはずけど…?」
「ん?足の速い友達に手伝ってもらった」
ハジメの当然の疑問に対して、何事もないかのようにスムージーを啜りながら答えるベン。
すると2人の会話を聞いていた朱里がベンに耳打ちをする。
「あなた、まさか
「速すぎて見えないから大丈夫」
そういう問題じゃないと目で訴える朱里。しかしこういうことは慣れっこなのか、ベンは特に気にしている様子は、全くと言っていいほどないのである。
すると香織がニコニコとハジメの席に寄ってきた。
「南雲くん、珍しいね教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」
「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」
そう言って、ミイラのように中身を吸い取られたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。断るのも「何様だ!」と思われそうだが、お昼休憩の間ずっと針のむしろよりは幾分マシだ。
少し困った表情を浮かべ、どうしようかとベンの方を見る。
しかし肝心のベンは朱里に連れられ、少し離れた席まで移動していた。
香織の気持ちを汲みとった朱里のささやかな心遣いである。ハジメからすればその行為は悪魔の所業のようにも思えた。
「ダメだよ、ちゃんと食べないと。私のお弁当分けてあげるね。ちょっと作りすぎちゃったんだ」
ここで周囲の視線が更に鋭くなる。声を掛けてもらってるだけでなく彼女の手作り料理まで頂けると来れば嫉妬と羨望増し増しになるのは仕方ないだろう。
おまけに朱里が、断ったら承知しないと目で訴えている。まさしく八方塞がりだった。
「香織、こっちで一緒に食べよう、南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
と、光輝の空気を読まない発言でまたしても香織の表情が険しいものに変わる。が、それはすぐに戻り、キョトンとした表情を光輝に向ける。
「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」
その至極全うな発言に雫は思わず噴出す。それもそうだ、弁当を作ったのは香織本人であり、それをどうするかなんて香織の自由だ。それでも光輝は食い下がり、香織にあれこれ言ってるが彼女に聞く様子は見られない。
ベンも流石に光輝の言い分には呆れており、面倒ごとに巻き込まれないために距離をとった。
「ハジメも大変だよなぁ…まあいいや。ジュリー、一緒に食べよっか」
「もう…」
朱里が呆れながらも向かいの席に座り、スムージーを受け取ろうとした。
その時
ハジメの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。
そしてこの時、クラスメイトたちは気づかなかった。
教室に異変が起きたと同時に、ベンの左腕が緑色の瞬い光を放ちながら、警告音のようなアラームが鳴り響いていたことに。し
そばにいた朱里もハジメも、そしてベン自身ですら、その異変に気づくことはなかった。
「えーっと……ここ、どこ?」
運命の悪戯か、それとも神の気まぐれか。
気がつくとベンはただ1人、誰もいない森の中に放り込まれていたのだった。
というわけでプロローグはベンだけ何故かハルツィナ樹海に送られるENDから始まります。
まぁベンはこれくらい理不尽な目にあっても違和感ないしなー(超投げやり)
ベン10懐かしい!このエイリアンヒーローが好き!等の感想お待ちしてます。