Blue Kenshi   作:外道カヤノ

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 本日は二話投稿しております。



25.何処までも果てしなく続く未来

 

『──いてのニュースです。先月に逮捕された、カイザーPMC理事ですが────依然罪を認めることはなく、無実を────基地内では、四肢を削る凶悪な装置が見つかっており、検察はさらに捜査を進める方針で──』

 

『──DNA鑑定で、刃に被害者本人の血液が付着していることも確認されています。見てくださいこれ、四方にあるスクリュー状の鉋で、装置に入れられた人の皮を剥くような機構になっています。これほど恐ろしい装置はミレニアムでも──』

 

『──カイザーコーポレーションは沈黙を貫いており、PMCを子会社から脱退させて以降、声明はありません──』

 

『──カイザーPMCは砂漠に存在した巨大自律兵器の鹵獲を狙っていたようです。勇気あるアビドス高等学校の生徒たちがこれを撃破しましたが、もしできなかった場合、カイザーPMCの手中に収まっていたでしょう────映像出ましたが、あの巨体が動くだけで地均しされ、大量のミサイルポッドによる面制圧攻撃……見ているだけでも脅威ですねぇ────もしアビドスの外へ持ち出されていたかと思うと、ゾッとしますよ──』

 

『──アビドス砂漠にて、『七囚人』ワカモの姿を見たという──』

 

『──本日の天気は~? 晴れ!──』

 

『──鬼夜行連合学園に来ており──』

 

『──ンジェル24♪ エンジェ──』

 

 

 

 

 

 

 

 

 △▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は──鉄杖アレサは──白いカッターシャツの上に、紺色のブレザーを羽織った。指定色の水色のネクタイを緩く締めて、鞘に納めた青い大剣を背負って寮を出た。

 

 やはり砂が運ばれて、地面が半分ほど黄色に覆われてしまっているが、それでも白を基準としたレンガで舗装した道は、綺麗なものだと感じる。これでも最初の殺風景よりかは幾分マシになっており、植えた防砂樹が育てば、砂で道が覆われることも少なくなるだろう。

 

「おはよう、エリ」

「よっ、アレサ」

 

 同じタイミングで出てきた、紺色の制服を身に纏った少女、洲端エリは軽く手を挙げて挨拶する。以前まで赤い似たような制服を着ていたが、今ではすっかり()()()()()()()()

 

「フリデとカトは?」

「もう登校してるってさ。スソノはまだ寝てるみてーだ」

「……仕方がない。私が彼女をおぶってくる。お前は先に行け」

「あんまり甘やかすなよ? んじゃ、行ってきまーす」

「あぁ、行ってらっしゃい」

 

 ──アビドスの大決戦から一ヵ月が経った。

 

 まず、『万屋Kenshi』は解体した。私はもはやアビドスと深く関わってしまい、フリーな立場ではなくなったからだ。あの時オフィスが爆破され、ホシノが私をアビドスの生徒だと宣言した時点で、私はこうなるだろうと思ってはいた。

 

 皆各々の学園へと帰り、あるいはアウトローな世界へと戻っていった。代わりに、幹部メンバーだったエリとフリデ、カトとスソノはアビドスへ転校し、私と一緒に『アビドス復興建築部』を立ち上げた。

 『アビドス廃校対策委員会』がいつもの五人ならば、私たちは新たにアビドスの一員として、アビドスの復興に携わることになったのだ。たまにかつて万屋Kenshiのメンバーだった者たちが来るが、その時は臨時ヘルパーとして部活動を手伝わせている。

 

「スソノ、もう登校時間だ起きろ!」

「うぅ……柴関ラーメン……」

「またか? ハァ……分かった。今日も連れて行ってやる」

「本当ですかっ!?」

「よし起きたな。学校行くぞ」

「にぎゃああああああああああああああああああ!!」

 

 ──借金問題は、未だに解決していない。

 

 だがいい方向に持ち込むことはできた。

 

 大元凶たる『カイザーPMC』は、理事長が起こした大犯罪や、ビナーを鹵獲しようとしていた……という出まかせで社会的信頼を大きく失い、そのままPMCは解体された。

 

 基地内にこっそり『皮剥き機』*1を設置し、元々PMCがかき集めていたビナーのデータを利用してそれらしい文書を置いていったのが、功を成した。アレらは今だニュースで話題に取り上げられており、人道、倫理的な問題で『皮剥き機』は禁忌の装置にされつつある。

 

 ついでに、アビドスの借金問題が世間にも広まり、理事長が私の四肢をもぎ取った罪*2もあってか、カイザーは世間から強く非難を受けた。暴利過ぎた利子や、月一の返済金額などが大きく見直され、以前より遥かに優しい返済条件にされた。

 それでも約九憶の借金は変わっていないが、張り詰めたような借金返済事業はしばらくしなくてもいいだろう。

 

 土地も大半と言わぬものの、PMCが所持していた土地や、他かつて柴関ラーメンがあった土地が、アビドスに返還された。それでもまだ九割以上もの土地がカイザーの所有物となっているが、未だに借金が残っている今のアビドスに、広大過ぎる土地を管理する力はない。ということで、()()大半の土地はカイザーに管理させている。

 土地の維持費は案外馬鹿にならないからな。そこはアビドスの面々も同意見だった。

 

「おはよう」

「ん、おはよう」

「おはようございます~♤」

「おはよっ、アレサ」

「おはようございます、アレサさん」

「んへぇ……おはよ」

"おはよう、アレサ、スソノ"

「あぁ、コイツはホシノの隣に置いておく」

ドサッ「「ぐへぇ!?」」

 

 ──アビドスは以前よりも注目を置かれた。

 

 私の存在もあるが、やはり先生──これまで情報が不明瞭だった【シャーレ】──の存在も大きかったのだろう。借金に喘ぐ廃校寸前の学校を持ち直した手腕が認められ、今や先生はどの学校にも引っ張りだこだ。あまり居なかったシャーレの『当番』に公募する生徒も増え、今では三十名以上もの生徒と交流をしているとか。

 

 その中でも、今最も先生と交流しているのは、やはりアビドスと言えるだろう。

 シロコとサイクリングに付き合ったり、ノノミと買い出しに行ったり、セリカと一緒に帰り道を歩いたり、アヤネと校内の整理を行ったりと、様々だ。ホシノとはなんと水族館デートしたらしい。まあデートは語弊なのだが、普通に水族館は羨ましかった。

 

 先生は、生徒一人一人の時間を大切にしているようだが、こうして呼び出されて、二人きりで絆を結び合うことがあるそうだ。アビドス以外の生徒も例外ではないようだが、一応先生は大人の男性であるわけで……将来的に刺されないだろうか。それだけが心配ではある。

 

「よし、復興部の皆さんも集まりましたね! では、これよりアビドス復興会議を始めます!」

 

 けれども、絆が固く結ばれたアビドスは、今や生徒数が十名。なんと今までの二倍である。

 私は一年生からの入学となったが、実年齢的にはもうジジィババァにも等しいので、全員に対等な扱いでと頼んだ。先生は元から『大人』と『子供』の垣根が無いように接しているが、ホシノは特に顕著だ。聞くに、同級生は居なかったらしいため、色々感情が籠った扱いを受けている。

 

 シロコは、今ではエリと共に剣術を習うメンバーの一人となった。特にシロコは刀に惹かれたようで、いずれは小刀をサブウェポンとするニンジャと化すかもしれない。サーベル武器を得意とするエリには、私の所持物であるメイトウの九環刀を、正式に譲渡した。あの男っ気のあるエリが涙を流すところは、ある意味見ものだった。私も少しほろりとしてしまったのだから。

 

 ノノミは、フリデと仲良くしてもらっている。私以上に影を薄くできるアイツは、ノノミの前ではハッキリと映るようで、今ではノノミの隣のポジションに付いている。膝を狙う猫のような人間になってしまったために、ホシノと膝のポジションを巡る仁義なき戦いが、毎度起こっているのはご愛敬だろう。

 

 セリカは、カトと一緒にバイト巡りをしているらしい。借金問題が幾分か緩くなったとはいえ、バイト戦士でい続けることには変わりないらしい。そこにカトも参加し、今では二人一緒に働く姿が、バイト戦士の間で名物になっているとか。

 

 アヤネとスソノは、同じ情報系ということもあって、二人で行動することが多くなった。オペレーター系なのもあって、小難しい議論は殆ど二人にお任せという空気がアビドスに流れている。たまにミレニアムで習った技術を教えたり、アヤネが思いついた計画をスソノが修正したりと、仲睦まじい姿をよく見るようになった。

 

「──というわけで、元々植林されていた箇所に根付くように、防砂樹を植林した。ただ、成長するまで効果がないから、一時的に風除け用の防壁を作成してある。景観の悪さは一時のものだから、少々勘弁してくれ。後は、定期的に掃除をしつつ、運よく砂嵐が来ないことを祈るだけだな」

「ありがとうございます。では、次はどのような計画を?」

「ひとまず学校周辺のインフラだけでも整えようと思っているんだが……元々柴関ラーメンがあった土地があるだろう? あそこに、いくつか企業を誘致しようかと考えている。土地代はありがたいことに今は安いし、ここ最近は何故か人がよく来ているからな」

 

 ……私は、アビドス復興のためのプランを、全力で吐き出している最中だ。尤も、もうネタ切れ気味なのだが。

 建築材料の特産化は現在も進行中で、今は砂漠化を止めるための防砂樹を植えるプランを実行中だ。他にもサボテンの栽培とか、砂漠だからこそできる農業とかの計画を考えていたが、殆どが現状進められないという点でボツになっている。

 あぁ、今だからこそかつての世界の麦やサボテンが欲しくなる。ついでに綿花も育てたいし、麻が育てばヤk……布の材料にもなるからな。

 

「はいはいはい! じゃあ水族館がいい!」

「ん! ん! トレーニングジム!」

「私は、ショッピングモールで☆」

「私は新しいバイト先!」

「図書館とかどうでしょう!」

「じゃあアタシはゲーセン! パーッと遊べるところ欲しいだろ!」

「飯屋飯屋飯屋飯屋飯屋飯屋」

「銭湯にしよう。幸い、近くに温泉源があるみたいだよ」

「勿論、ラーメン屋に決まってるじゃないですか!!」

 

「一斉に喋るな~~~~~!!」

"……一人ずつ言おっか”

 

 ──まあ、なんだかんだで。

 

 こうして未来を、夢を語り合うこの時間が、これまでの私の人生の中で、一番楽しく感じている。

 

*1
アレサ自作なのでDNAがべっとり付いた

*2
大嘘






 以上で、『アビドス廃校対策委員会編』第二章、完結となります。

 かつて完成までたどり着けなかったこの作品を、ここまで持って行くことがようやくできました。
 皆様のお気に入り、感想、ここすき、評価等を入れて下さった方、誠にありがとうございました!




 Vol2.時計仕掛けのパヴァーヌも執筆予定ですが、その前にいくつか閑話と、生徒情報を載せようかと思います。

 今後も、拙作を応援していただければ幸いです。

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