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目の前の光景、俺はその現実を未だに信じることができなかった。
(14,15、それに13号、ありえない! こいつらは劇場版の敵だろ!?)
人造人間13号達、それは本来なら原作に登場しない敵。
時系列も定かではない劇場版のみに登場する存在で出会うことはないと思っていたが、まさかこんなことになるなんて。
6人の人造人間を前にして俺はどうすればいいかまったく分からなかった。
「しかし、お前たちはよかったのか? 生みの親であるドクターゲロは見ての通り俺が殺してしまったが」
「問題ない。俺達の任務は孫悟空の抹殺、生憎だがドクターゲロの護衛は任務には含まれていないのでな」
「そうか、ならいいんだ。それじゃあ俺たちの目的は一致したわけだが…、一緒に来るか?」
「悪いが俺達は好きなように動く。…ついて来い、14号、15号」
「なんだ、つれないな。まぁお前たちとどちらが先に孫悟空を殺せるかを競うのも面白そうだ」
人造人間たちは話し合いが終わったのだろうか。13号が、14、15号を引き連れてこの場を離れていく。残されたのは17、18号、そして16号の3人。
「な、あいつらいったい何処に向かうつもりだ」
「あの方向は…ま、まずい! あいつらお父さんのもとに向かうつもりか!」
「な、なんだと!?」
13号達が飛んでいった方角、確かにその方向にはパオズ山が、孫悟空の家がある方向だ。
おそらくだが13号達は17号達と違って遊び心なんてものは持ち合わせてない、きっと孫悟空の抹殺を最優先に動くつもりなのだろう。
(ど、どうする、俺はどう動けば…)
「お父さんを殺させてたまるか!」
「ま、待て、悟飯!」
どう動くべきか、考えも定まらないうちに未来の悟飯が一人で13号達を追って行ってしまった。
…もう悩んでいる暇はない、とにかく俺も動かなければ。
「くっ、一人じゃ無茶だ。俺たちも追うぞ!」
「追うっても、あそこにいる人造人間はどうすんだよ!?」
「…ワシが追う、お前たちはあそこにいる人造人間の対処をするのだ」
悟空の家に向かった13号達、未来の悟飯と俺がそちらの対処に向かえばこの場に残るのは原作通りのメンバーだ。きっと負けてしまうだろうが、殺されはしないはず。
そして俺と未来悟飯の二人で13号達を倒してしまえば、なんとか本来の原作の流れに戻せるかもしれない。
かなり希望的な観測だが今はそれに賭けるしかないだろう。
「危険です! 飛んで行った人造人間は3人、コルドさん一人で追いかけても人数的に不利だ、僕も一緒に…」
「何も考えなしでいるわけではない、飛んで行った3人の人造人間は13、14、15号と呼ばれていた。おそらくそこにいる17号達よりも前に造られた古いタイプなのだろう。ならばこちらに戦力を集める方が賢いというもの。なあに、ワシに秘策がある。心配は無用だ」
もっともらしい理由を言い訳に援護を断る。
確かに戦力的に2対3の構図になってしまうのは厳しいものがある。しかし、それよりもこれ以上原作の流れが崩れてしまい状況のコントロールが困難になってしまうリスクの方が俺にとっては厄介だ。
奴らは俺と未来の悟飯でなんとかする、それが最善手のはずだ。
(秘策ってのも嘘じゃない。あいつらが合体する前に最優先で13号を倒してしまえばなんとかなるかもしれない。…それに切り札もある)
「…よし、クリリン、念のためコルドに仙豆を渡してやれ。コルド、飛んで行った13号達と悟飯のことはお前に任せる。俺たちはあの17号達をなんとしてでも食い止めるぞ」
「わ、分かった、…コルド、奴らが悟空の家に辿り着く前になんとか倒してくれ、頼んだぞ!」
「ああ、任せておけ」
クリリンから仙豆を2粒受け取り、悟飯の気を追いかける。
少し距離があるが急いで向かえば間に合うはずだ。
「作戦会議は終わったか? あまり退屈させるな、お前たちは孫悟空の仲間なんだろ? せっかくだ、暇つぶしに付き合ってもらおうか」
「暇つぶし…だと、舐めやがって。貴様らガラクタ人形如きがこのベジータ様に敵うと思うなよ!」
今にも戦いが始まりそうな空気を背に大急ぎでこの場を離れる。
…おそらく負けてしまうであろう仲間たちを見捨てるようで心苦しいが今はそれどころでない。
未来の悟飯を、そして現在戦うことのできない孫悟空を助けることが最優先だ。
俺が悟飯たちに追いついたのは研究所がある山岳地帯から少し離れた氷河地帯だった。
奇しくも映画で悟空たちが13号と戦いを繰り広げた舞台とよく似ている。
(見つけた! 悟飯と13号達だ、まだ戦いは始まってないな)
遠くに並び立つ13号達、そしてその行く手を塞ぐかのように立ちふさがる悟飯の姿が見えた。
「小僧、俺たちの目的は孫悟空の抹殺、しかし邪魔をするというのなら容赦はせんぞ」
「黙れ! 貴様ら人造人間にお父さんは殺させないぞ!」
「なに? お父さんだと…、孫悟空の息子は孫悟飯一人のはず、こんな奴データにはいないが…まぁいい。ならばお前にも消えてもらおうか」
一触即発の空気、今にも戦いが始まりそうな状況だがなんとか追いつくことができた。
俺も悟飯の横に並ぶように奴らに立ち塞がる。
「悟飯よ、あまり無茶をするでない。一人で戦うのは無謀というものだ」
「コルドさん! 来てくれたんですね」
「ちっ、次から次へと、…妙だな、あの男もデータに存在しないだと?」
幸いなことに19号やゲロ達同様、こいつらも俺のことは知らないみたいだ。同じく未来からきた悟飯も奴らにとって未知の相手だろう。
「いいだろう、任務の妨げとなる者は消すのみ。孫悟空を庇い立てするというなら誰であっても全て殺す!」
話し終えると同時に13号達が一斉に飛びかかってきた。
人数的不利、相手の具体的な実力も分からない、決していい状況ではないがこちらも黙ってやられるわけにはいかない。
「来るぞ、悟飯!」
「はい!」
超サイヤ人に変身した悟飯と共に奴らを迎え撃つ。
まず飛び込んできたのは14号だ、大柄な見た目通り力に任せた突進を俺が受け止める。
その陰から小柄な15号が飛び出し、手の塞がった俺に拳を繰り出すが悟飯がそれを防ぎ、反撃する。
俺と悟飯の手が塞がったところを待っていたのだろう、ここぞとばかりに13号が悟飯の背中を狙い撃とうとするが、それは想定内だ。
「ぬうぅぅぅぅっ、せいっ!」
「…っ!」
「なにっ!?」
俺は組み合っていた14号を力任せに持ち上げ、13号へと投げ飛ばした。攻撃を中断して14号を回避する13号。それを無視して、俺は悟飯と殴り合っていた15号に突撃し、剣を抜き切り払う。狙いは頭、一撃で終わらせる!
「…!」
「ちぃっ、躱されたか!」
宙を舞う切り裂かれた大きな帽子、頭部を狙った一閃は惜しくもすんでのところで回避されてしまった。できれば今の一撃で決めてしまいたかったが仕方ない。
電子部品でできた脳みそを晒しながらもファイトポーズをこちらに向ける15号、気づけば14号と13号もこちらを取り囲んでいる。
またも同時に飛びかかってくる人造人間たち。
3方向からの攻撃を悟飯と背中合わせに打ち払いながらも敵を分析する。
(数で負けてるわりに思ったよりかは戦える…、戦力は互角、個々の能力はこちらがやや上ってところか?)
映画では悟空たちはこいつらにかなり苦戦を強いられていた、それは事前に戦闘データを収集されていたのが大きいのだろう。
それに対して、俺も未来の悟飯も共に奴らにとってはデータにはない未知の相手、お得意のデータバトルが使えない以上単純な戦闘力で勝負するほかない。
俺は14号との力比べを制した、悟飯も15号相手に優勢に殴り合えていた。
現時点で13号達にそこまでの戦闘力差はないはず、個の能力はこちらが上とみてもいいだろう。
しかし奴らはリアルタイムでデータを収集し、分析することも可能なのだ、あまり時間はかけたくはない。
(あと厄介なのはこいつらのコンビネーションだ。対抗するには俺たちも連携しないと、…ちょっと危険だが賭けてみるか!)
しつこく3方向から殴り続けてくる13号達、俺は奴らの、3人の拳を一人で掴み取る。
「な、尻尾だと!?」
14号の拳を右手で、15号の拳を左手で、そして迫りくる13号の拳を尻尾で絡めとる。
少々危険な賭けだったが、ほんの一瞬だが奴らの動きを止めることに成功する。
その隙を見逃す悟飯ではない。
「うぉりゃあ!」
悟飯の渾身の蹴りが14号を捉え、派手に吹き飛ばす。そして返す足で同じように15号を蹴り飛ばす悟飯。
これで俺の両手が空いた、尻尾で腕を絡め取りつつも13号の頭を両手で鷲掴みにする。そして、
「ふんっ!」
「ごはっ!」
渾身の力を込めたヘッドバット、俗にいう頭突きを13号の顔面にお見舞いしてやった。
たまらずのけぞる13号を尻目に悟飯に目で合図を送る、俺の意図に気づいた悟飯が横に並んだ。
「消えろぉ!」
「魔閃光!」
「な!? ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…」
そして放たれる二つのエネルギー波、それは13号を瞬く間に呑み込み、氷河へと消えていった。
(やったか?)
できれば今ので倒れてほしいが、流石にそこまで甘くはないか?
しかしとっさの連携だったがよく決まったものだ。
「よくぞ合わせてくれた悟飯、見事なものだったぞ」
「俺は未来の世界でずっとあなたと戦ってきたんです。あれぐらい朝飯前ですよ」
「ほう、それは心強いな」
俺にとってはついさっき顔を合わせたわけだが悟飯にとって俺は良く知る相手ということか。
そこまで意図して援護に駆け付けたわけではなかったが、これは嬉しい誤算だ。
「っ! あいつ…まだ生きている!」
水の中から勢いよく飛び出た13号が近くの氷山の上に降りた。それを守るように14号と15号が並び立つ。
人造人間故か、息こそ切らしてないものの、その姿はボロボロで満身創痍といってもいいだろう。
「…まさか貴様らのような強者がデータに存在していないとはな、驚いたぞ」
(いける、このまま真っ先に13号を倒す。14号と15号はその後だ、それなら合体もできないはず!)
奴は隠しているつもりの切り札も俺にとっては筒抜けだ。卑怯でもなんでもいい、今は奴らを倒し、歴史の流れを元に戻すことが最優先だ。
「悟飯よ、少々きついかもしれんが13号の前に並んだ2体の人造人間の相手をしてくれ。ワシはその隙に13号を倒す」
「分かりました、なんとかやってみます」
奴らに聞こえないように小声で作戦を伝える。
このまま一気に押し切ることができれば…、しかし人造人間たちもそう甘くはない。
13号が手を前に突き出したかと思うと球体状の赤いエネルギー弾が生成されていく。
「S.Sデッドリィボンバー!」
そしてそれが放たれた。凄まじい勢いでこちらに迫るエネルギー弾を俺たちは飛びのいて躱そうとする。
(っく、狙いは俺か!)
互いに別方向に飛びのいた俺たち、赤い球体はその進路を曲げながら俺を追いかけてくる。追いつかれないように速度を上げる。
たしかこの技は執拗に相手を追跡する攻撃だったはず、逃げてばかりではどうしようもない。
(かといって地表で爆発させるのはまずい、それに俺がこの技に追われている間、悟飯が一人になってしまう)
はやくなんとかしなければ、流石に3対1の状況が続けば悟飯の身が危険だ。
手早く対処する。そう決心した俺は上空まで勢いよく飛び上がり、剣を最上段で構え、気を集中させる。
「はあぁぁぁぁぁ…」
相も変わらず追いかけてくる赤いエネルギーの球体、それに向かって剣を振り下ろす!
「ぬぅぅぅっ…、ぬん!」
一瞬の拮抗の後、赤い球体が真っ二つとなった。二つに裂かれたそれはやがて俺の背後で大爆発を起こし消滅した。
悟飯の気は変わらずに察知できる、まだやられていないはずだ。
「よし、すぐに行くぞ悟飯!」
悟飯の気を頼りに勢いよく地表へと高度を下げる、遠くに見えた氷河が瞬く間に眼前に迫る。
そして悟飯の姿を確認する、どうやら間に合ったようだ。
「悟飯、無事か!?」
「コ、コルドさん、あ、あいつ仲間を…」
「なに? なっ…」
そこには14号と15号の胸にその両腕を突き刺す13号の姿があった。
13号達、話し方も強さもよく分からない難敵です…
おそらく個々の強さは超サイヤ人以下だとは思うんですが、実際どんなものなのでしょうね。