大王転生   作:イヴァ

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合体!変身!激化する戦い!

 14号と、15号に突き立てられた13号の両腕。

 13号はその突き刺さった両腕を勢いよく引き抜く。同時に二体の人造人間が崩れ落ちる。

 

「な、あいつ、何のつもりだ…?」

「ま、まさか…」

 

 両手を掲げる13号、その両手にはそれぞれ丸い機械部品が握られている。

 そして奴は、その機械部品を自らの胸に押し当てた。呑み込まれていくように消えゆく部品。

 

「悟飯! 攻撃だ!」

「え、は、はい!」

 

 咄嗟の判断で悟飯と共に気功波を13号に撃つ、それは着弾と共に爆発、地面に倒れた14号と15号の残骸を吹き飛ばしながら爆風が13号を包み隠した。

 

(ま、まずいぞ…、間に合ったか?) 

 

 奴らの同士討ち、その理由は明白だ。13号は己を強化すべく、自ら仲間の中から部品を抜き取ったのだ。

 祈る思いで爆風で舞い上がった煙を見つめる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 雄叫びとともに煙が吹き飛ばされた。

 再び姿を現した13号は大きくその形を変えていた。

 隆起した筋肉により巨体となったその肌は青色に染まっている。白い髪は赤く変色し、その白い目に理性があるのかも疑わしい。

 劇的な見た目の変化、そしてその姿から感じられる圧力。

 仲間の部品を吸収し、合体13号へと変身した奴が俺たちの前に現れた。

 

「そ、そんな…、人造人間が変身した…!?」

(くそっ、間に合わなかった! この展開だけは避けたかったのに!)

 

 事前に考えていた作戦、13号を最優先で撃破することは叶わなかった。

 まさか、自ら仲間を破壊して合体するとは考えていなかった。

 

(俺の考えが甘かった、防げなかったのは俺のせいだ…)

「ちっ、戦闘データチップは回収できなかったか、余計なことをしやがって。…まぁいい、どうせ貴様らのデータは碌に集まってないんだ。動力炉さえ手にはいればそれでいい」

 

 どうやら先程の咄嗟の攻撃も完全に無駄ではなかったようだ、おそらく完全な合体には至らなかったのだろう。しかし、奴の言う通り、肝心な部分は取り込まれてしまった。

 気を察知できないとはいえ、さっきまでの13号とは比べ物にならない圧を奴から感じる。大幅にパワーアップをしてしまったのは間違いない。

 

「貴様ら、この俺に奥の手を使わせるとは大したものだ。誉めてやろう」

「仲間を取り込んで強くなるなんて、なんて奴だ…」

「ふ、ハハハハハ、まさか俺たち人造人間に仲間意識があるとでも思ったか? ただ任務の遂行だけが俺たちの役割、それが人造人間だ!」

 

 凄まじい勢いでこちらに突っ込んできた13号が悟飯を殴り飛ばした。

 

「悟飯!」

「よそ見している暇があるとでも?」

 

その勢いのまま薙ぎ払われた腕をなんとか屈んで躱す、そして立ち上がる勢いを乗せた拳を奴の顎に向けて打ち出す!

 

「ふん、この程度か」

 

 顎に直撃した俺の拳は奴の体を僅かに揺らすのみだった。

 13号はそのまま俺の拳を手に掴み握りつぶそうとする。

 

「ぐわあああああああ! …っだぁ!」

 

 拘束から逃れるために、空いているもう一方の拳で奴の胸板を殴りつけるがびくともしない、拘束から抜け出すどころかもう一方の手も掴まれてしまう。

 

「無駄だ、このまま握りつぶしてやる!」

 

 俺の両腕が万力に挟まれたかのような圧力にミシミシと悲鳴をあげる。

 まずい、ぬけだせない、このままではやられてしまう。

 

「む?」

 

 突如、13号の背中に気功波が炸裂した、おそらく悟飯だろう。僅かに奴の気が俺から逸れた。

 

「(今だっ!)どりゃあ!」

「ぐっ…、余計なことを!」

 

 腕を掴まれたまま、両足でドロップキックの如く奴を蹴りつけた。

 大したダメージにはなってないだろうが、なんとか拘束から抜け出すことに成功する。

 拘束から脱出した俺のもとに悟飯が近寄ってきた。

 

「助かったぞ、悟飯」

「いえ、しかし俺たちの力ではこいつに…」

 

 油断なく構える悟飯、だがその表情は暗い。気持ちはよく分かる。今のやり取りで奴との力の差が分かったのだろう。

 このまま続けても勝ち目はない、そうこのままでは。

 

(…これを使うのは賭けだ、まだ俺はこれを完璧にものにできているわけではない。それに奴に通じるかどうかも、…でももう迷ってる場合じゃない!)

「ふん、無駄な足掻きを。まぁいい少し寿命が延びただけの事だ」

「無駄な足掻き、か。本当に無駄かどうか、その目で確かめてみるがいい!」

 

 全身に力を込め、己の気を全力まで高める。そして限界まで高まったエネルギーが肉体から溢れ出した。

 そして、溢れ出したエネルギーを再び肉体で包み込むように体を変化させる。

 

「かあぁぁぁぁぁ…」

「な、コ、コルドさんの体が…!」

 

 肉体が変化していく、体の至る所が伸び始める。

 肩パッドのような外骨格が、背中の突起が、一番著しい変化は後頭部だろうか。

 やがて変化が、変身が終わる。

 

「ふぅ、待たせたな、人造人間よ」

「へ、変身した…、コルドさんまで…」

 

 今までの大男の姿から、言い方は悪いがエイリアンのような化け物へと俺の姿が変わる。

 つまるところフリーザの第三形態が今の俺の状態だ。ただ、俺の場合先程の姿がデフォルトなのでこれが第二形態なわけだが、…ちょっとややこしいな。

 とにかく、第二形態へと変身した俺に悟飯が驚愕の声をあげる。

 

「凄い気だ…! まさかコルドさんも変身できただなんて!」

「その反応を見る限り、未来のワシはこの姿になれなかったようだな」

「は、はい。俺の知る限り一度も…」

 

 どうやら未来のコルド大王は変身できなかったらしい、修行不足か、修行環境が悪かったか、あるいはその両方だろうか。

 まぁ俺がこの姿を会得したのも、つい先日、人造人間襲来間近にきてようやく成功したのだ。

 いきなり実戦投入という形となってしまったが仕方ない。

 

(どうせ変身するんだったら最初からしとくべきだったか…? いや、今更考えてももう遅い、とにかく今はこいつを倒すことに集中しないと!)

 

 少なくともこの姿ならさっきまでとは違い、勝負の土俵には立てるはずだ。

 13号が忌々し気に俺を睨みつけてくる。

 

「ちぃっ、まさか貴様も変身するとは…どこまでも目障りな奴め!」

「ふっふっふ、奥の手を持っているのはお前だけではないということだ。データチップとやらによく記録しておくがいい」

「ほざけぇ!」

 

 激昂した13号が俺に殴りかかってくる、その拳を俺は受け止め、空いている手でこちらも殴り返す。同じく13号も俺の拳を受け止め、お互いに力比べの状態に移行する。

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

(っぐ、くそ、なんて出鱈目なパワーだ、押し負ける!)

 

 徐々に俺の体が後ろへと押されていく、変身しても尚この怪力には届かない、か。

 しかしこちらも負けてはいられない、勿体付けて変身したというのに呆気なくやられてしまうのは御免だ。

 大きく仰け反った体勢を利用して奴の顎を蹴り上げる。

 

「ぐぉっ…、貴様ぁ!」

 

 俺に顎を蹴り上げられたことで奴の手が緩み力比べは中断された。

 硬い、…でも確かに効いている、先程まで存在していた力の差が確実に埋められている。

 ダメージを負わされたことで13号が怒りに任せて殴りかかってくるが、それを腕で防御する。奴の拳を防いだ腕が、そして大気がそのあまりの威力にびりびりと振動する。

 

「ぬぅっ!(ガードしてもこの威力! まともに受けるわけにはいかないっ)」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 そのまま互いに殴り合いへと移行する。

 俺は避けることを主体に、奴の隙に蹴りを織り交ぜ攻撃する。

 それに対して13号は俺の攻撃が命中するのにも関わらず拳を繰り出す、超攻撃的なスタイルだ。

 一見、俺の優勢に見えるがこの状態が長引くのはまずい、長い目で見れば攻撃力と防御力で劣る俺がいずれ押し負ける。

 ましてや敵は人造人間、奴のエネルギーが無限なのか有限なのかは分からないが、スタミナ勝負に持ち込むのも厳しいだろう。

 

「く、なるほど、パワーがお前ならスピードはワシといったところか。ならば戦い方を変えよう!」

 

 どこかで聞いた台詞と共に戦闘スタイルを変化させる。

 まともに殴り合うのは不利、そうと分かれば付き合う道理はない。

 俺は奴の周りを高速で飛び回り、死角から攻撃することに専念する。頭上から、背後から、時折正面から、殴っては離脱を繰り返す。

 13号が反撃に腕を振るがその速度では俺を捉えることは不可能だ。

 

「ふははは、無駄だ、一生かかっても捉えられまい!」

 

 速度任せのヒット&アウェイ、力が劣っていると言ってもダメージを与えることはできている。

 決して大きくない威力とはいえ高速で、尚且つ一方的に殴り続けるのだ。着実に奴にダメージが積み重なっていく。

 

「ちぃっ! 鬱陶しい奴め、これならば避けれまい!」

 

 やがて13号が状況を変えるべく動きを見せる。

 両腕をクロスさせ、力を込め始める。そして周囲で奴のエネルギーがバチバチと音を立てて弾けはじめた。

 

(これは…、超爆発波か!?)

 

 前世の記憶。いつか、どこかの媒体で合体13号が使用していたのを見た記憶が蘇る。

 自らの周囲を纏めて吹き飛ばす大技だ、この距離でこれを躱すのは不可能だ。

 一か八か、全身に気を張り巡らせ全力で後退する。と同時に奴がそのエネルギーを解き放つ。

 

「消えてなくなれ!」

 

 爆発、膨大なエネルギーによるそれが周囲の氷山を、氷塊を吹き飛ばす。

 この威力、まともに食らえばただでは済まなかっただろう。

 

(危ねぇ、初見なら間違いなく当たってた…、前世の知識様様だなこりゃ)

 

 しかし、爆発の中心地から遠ざかったことで俺は難を逃れることができ、奴の爆発波を最小限のダメージに抑えることができた。

 前世の記憶により、相手の技が、ある程度の行動の予測がつくのはやはり大きなアドバンテージだ。

 煙が晴れた先で13号が驚いた顔でこちらを見ている。

 

「馬鹿なっ! 何故俺の技がっ、あの一瞬で見切ったとでもいうのか!?」

「…そういうことだ、このコルド大王にあのような単純な技が通じるとでも思うたか」

 

 嘘です。事前に何するか知ってたから躱せただけです。

 とまぁ馬鹿正直に答える必要もないだろう、精神的動揺を誘うのも一つの手だ。

 それにあいつの言う通り見切ったというのもまた事実。あの爆発波を警戒しつつも先程同様にヒット&アウェイ戦法を徹底する。

 

「(悪いが容赦しないぞ)…きぇい!」

 

 俺は右手を突き出し、二本の指から目にも留まらない速度でビームを撃つ。

 それは13号の体の表面で炸裂し奴の体を揺らす。

 

「がっ、なんという速さだ…!?」

「(よし、奴はこれを避けれない、それにダメージも与えている…)そら、もう一発!」

「ちぃ、舐めるなぁ!」

 

 同じく今度は左手からビームを撃ちだす。奴も反撃のエネルギー波を撃ってきたがこの速度と距離なら問題なく躱せる。結果、俺の攻撃だけが一方的に奴に命中する。

 

「そらそらそらそら!」

「ぐぅぅぅぅぅ…」

 

 そのまま両手の二本指から次々とビームを撃ちまくる。

 俺の姿も相まって完全に悪役の姿だが、そんなこと気にしていられない。

 時折、奴も反撃してくるが俺も左右上下に移動して的を絞らせない。

 奴が近づけば後退し、後退しようとすれば近づく。一定の距離を保ちながらビームを撃ち続ける、この距離ならさっきの爆発波にも対応できる。

 

(…だが奴のタフネスが想像以上だ。それにこの姿、思った以上に消耗が激しい、下手したらこっちが先にへばっちまうかもしれん)

 

 さっきから一方的に攻撃を仕掛けている俺に対して13号は攻撃を受け続けている。だというのに一向に倒れる気配を見せない。戦況こそ優位だが俺のスタミナ切れも近づいている、じりじりと追い込まれるような感覚に焦りが生じる。

 

(このままじゃあまずい、もっと強力な攻撃じゃないと奴は倒せない…どうするっ!?)

「ぅぅぅ………、があぁぁ! いい加減にしろぉ!」

 

 一方的な状況が続き、13号の怒りが頂点に達する。

 俺のビームの雨を食らいながらも奴はお構いなしに技を繰り出そうとする。

 

「っ…その構えは!(またあれか!)」

「S.Sデッドリィボンバー!!」

 

 そして赤いエネルギーの球体が放たれる。球体から感じられる力はさっきのそれよりも比べ物にならないほど大きい。

 攻撃を中断し避けることに専念する、が振り切ることができない。

 

(さっきよりも速い…!)

「無駄だ! フルパワーで放ったS.Sデッドリィボンバーだ、威力も速度も先程の何十倍もあるぞ! 逃げ切れるものか!」

 

 凄まじい速度で俺に追いすがるエネルギーの球体、追いつかれないように必死に逃げ回る。

 

(どうする!? さっきみたいに上空で切り捨てるか? いや、無理だ。この威力、まともに受け止めるのは不可能だ!)

「ハハハハハハハ! さぁどうするコルド大王!?」

 

 受け止めることはできない、かといって振り切ることもできない。このままではいずれスタミナが切れ、速度が落ちて追いつかれる。

 俺に体力があるうちになんとかしなければならない、方法は…ないこともないが実行するのは躊躇われる。

 

(…危険な賭けになるがやるしかない、どうせジリ貧だったんだ。やってやる!)

 

 俺は急旋回し、球体のすれすれを通り過ぎる。背中の突起が球体に触れて焼けるような痛みが俺を襲うがそんなことを気にしている暇はない。

 球体も進路を変えて俺を追いかけてくるがそれでいい。

 そのまま高笑いを続ける13号に向かって俺は飛び込んでいく。

 

「ハハハ、…ん? ちっ、まさか俺にぶつける魂胆か? そんな見え透いた手が通じるとでも思ったか!」

「そのまさかだ!」

 

 ただそんな手段が通じる相手ではないこと百も承知だ。

 13号とすれ違いざまに奴の足に尻尾を引っ掛け、その遠心力を利用し奴の背後に回り、13号を羽交い絞めにする。

 

「安心せい、人造人間。ワシも付き合おうではないか!」

「な、正気か貴様! まさか自分ごとっ…!?」

 

 いくら俺が素早いと言っても13号だけにあの技を当てるのは難しいだろう。

 だがこのやり方なら間違いなく成功する。勿論俺にも当たるが覚悟の上だ。

 なんとか俺を振りほどこうと13号は暴れるが、最後の力を振り絞り奴をこの場に押しとどめる。

 

「は、離せ! 貴様も死ぬぞ!?」

「くっくっく、ワシと共に地獄を味わえい!」

 

 巨大なエネルギーの塊が目前まで迫る、もう逃げることはできない。

 そしてそれは俺と13号を飲み込み、大爆発を起こした。




コルドの変身についてですがかなり独自設定が入ってます。
あくまで原作の姿が第1形態、今回のエイリアン姿が第2形態ということでお願いします。
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