大王転生   作:イヴァ

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忍び寄るセルの魔の手。大王、必死の抵抗

 とうとうセルと17号達が鉢合わせてしまった。

 結局17号も18号も破壊することはできていない、2人を破壊してセルの進化を防ぐ作戦は失敗してしまった。

 

「なんだあの化け物は?」

「し、しまった、戦いに気を取られ接近に気が付かなかった…!」

 

 突然の乱入者、ピッコロと17号が戦いの手を止める。

 セルは17号と18号の姿を確認すると不気味に笑いながら隠していた気を解放する。

 

「くくく、はぁぁぁぁ!!」

 

 膨れ上がるセルの力。

 奴から感じ取れる気の大きさはジンジャータウンの時に感じたそれよりも比較にならないほど上昇している。

 人々から生体エネルギーを吸収し、加えて俺の細胞のせいで基礎的な戦闘力も大きく上昇しているのだ。もはや16号でも、いやこの場にいる全員でかかっても歯が立たないだろう。

 

「まずは貴様からだ17号! この俺の一部となれることを光栄に思いうがいい!」

「な、なんだと!?」

「くそったれ! させるものか!」

 

 17号に襲い掛かるセル、17号を助けるために割って入るピッコロ。

 だが力の差は歴然だ、このままではなすすべもなく吸収されてしまうだろう。

 

「な、なんというパワーだ…! あの化け物はいったい!?」

「…奴の名はセル、ドクターゲロの作り上げた未完成の人造人間で17号と18号を狙っている」

「なんだと!?」

「奴は完全体になるために17号を吸収し、そしてすぐに18号にも襲い来るだろう。16号、お前は18号を連れて今すぐこの場を離れるのだ!」

 

 事情を知らない16号に簡潔に状況を説明する。

 こうなってしまった以上、せめて18号だけでもこの場から遠ざけたい。

 ベジータとトランクスが精神と時の部屋での修行を終えるまで持ちこたえることができればなんとかなるかもしれない。

 

「…だめだ、このままでは17号がやられてしまう。俺はあいつを見捨てることはできない」

「――っ! もし2人が奴に吸収されてしまえばこの地球は終わりだ! 早くしなければ何もかもが手遅れになるぞ!」

「ぐ、しかし…!」

 

 17号を見捨てることに抵抗があるのか、頑なに16号はこの場を動こうとしない。それどころか17号に加勢するべくセルのもとに向かおうとしている。

 なんとか16号を説得しなければこの場で全員が殺されてしまう。

 俺は17号のもとに向かおうとする16号の肩を掴み、その歩みを止めさせる。

 

「…16号よ、さっきお前は何故ワシが18号を殺すことを躊躇ったのか聞いたな」

「…?」

「単純な話だ。悪人ではないのだろう? 17号も18号も」

「…ああ、こいつらはいい奴だ。決して徒らに命を奪うような真似はしなかった、死なせたくない」

「ワシとて同じ気持ちだ。安心しろ、一か八かになるが17号はワシが連れて逃げる。可能性は低いが助かるかもしれん」

 

 16号の目をまっすぐに見つめながら真摯に訴えかける。

 思いが伝わったのか、16号は踵を返して18号を抱きかかえた。

 

「お、おい、16号、こいつを信用する気かい!?」

「…17号のこと、任せていいんだな?」

「全力を尽くすと約束しよう、…悪いが保証はできんがな」

「何故、そこまでする。お前と俺たちは殆ど初対面、赤の他人同士だろう?」

 

 …やっぱりその質問に答えることはできない。

 前世の記憶、原作知識、俺はこの事を誰にも話す気はない。この世界の住人に説明することはできないし、したくないというのが俺の本音だ。

 

「申し訳ないがさっきと同じ答えを返すとしよう。それを語る必要はあるまい」

「…そうか」

 

 そして16号は18号を連れてこの場を離脱した。

 これですこしは時間が稼げる、後は約束通り俺が17号をなんとかしなければいけない。

 

「ハーッハッハッハ、無駄な抵抗はもう終わりか!」

「ち、ちくしょう、なんなんだこいつは…!」

 

 もうピッコロも17号もボロボロだ、今も2人が生きているのはセルが手を抜いているからに他ならない。しかし、18号がこの場から逃げたことでセルも容赦なくその力を振るうだろう。

 

「む…、ちぃっ、18号め逃げやがったな、余計な真似を…。遊びは終わりだ、いますぐ吸収してやるぞ17号!」

 

 もう立ち上がることのできない17号に歩みを進めるセル。

 俺は17号のすぐ側に立ち、セルの前に立ち塞がる。

 

「はっ、コルド大王、今更お前がこの私を止められるとでも…、なぁ!?」

 

 そして俺は17号を抱えると16号と18号が逃げた方向の真逆に向かって全速力で飛び出した。

 

(戦う気なんてない、とにかく今は17号を18号から引き離しつつ逃げ回る!)

「おのれ、小癪な真似を! く、ピッコロ、まだ生きていたか!?」

「はぁ、はぁ、き、吸収はさせんぞ…!」

「ちぃ、邪魔をするな!」

(すまん、ピッコロ、少しだけでもいい、なんとか耐えてくれ!)

 

 俺の意図に気づいたピッコロが満身創痍ながらもセルに食らいつく。

 ほんの少しでも今は時間が欲しい、ピッコロの献身に感謝しながらも全速力で飛翔する。

 

「は、離せ、お、俺はまだ…、戦える…」

「暴れるな17号! 今は逃げることだけを考えろ!」

 

 力なくもぞもぞと暴れる17号を抑えつける。

 少しでも距離を稼がないとあっという間にセルに追いつかれてしまう。

 

(…! ピッコロの気が極端に小さくなった…! まずい、やられたか!?)

「追いついたぞコルド大王! 大人しく17号を渡せぇ!」

「な、なんて速度だ…!?」

 

 ピッコロの気が感じれなくなるとともにセルが瞬く間に追いついてきた。

 とんでもない速度だ、セルは俺の頭上に陣取ると容赦なくその拳を叩きつけた。

 

「がぁっ…(っ、なんて威力だ!)」

 

 そのまま近くの孤島に17号もろとも叩き落される。

 たった1発の攻撃だというのにその凄まじい威力に俺は立ち上がることもままならない。

 

(く、くそ、17号、17号はどこに!?)

 

 ふらふらと壁に手をつきながらも立ち上がり共に落ちた17号を探す。

 セルに17号を渡すわけにはいかない。しかし俺が17号を見つけたとき、何もかもが手遅れだった。

 

「くくく、吸収してやるぞ、17号!」

「~~~っ!」

「し、しまったぁ!」

 

 セルの尻尾に呑み込まれてゆく17号、俺の悪足掻きも空しく、セルは17号を吸収してしまった。

 体から光を放ちながらその姿を変化させるセル。

 第2形態へと進化したセルは俺に興味を示すこともなく、18号達の飛んで行った方向を見つめている。

 

「18号め、かなり遠くまで逃げられてしまったが…、まぁ今の私ならすぐに追いつけるだろう」

「ま、待て…、セル…!」

「ん…?」

 

 17号に続き18号まで吸収されるわけにはいかない。

 ほんの少しでも時間を稼ぐため、セルの行く手を塞ぐ。

 

「…コルド大王、もはや貴様でどうにかできる相手ではなくなったということは分かっているだろう。これ以上邪魔をするな!」

「お、お前を完全体に…させるわけにはいかん…! ここは通さんぞ…!」

 

 今の俺ではどうしようもない相手だということは分かっている。だからといってそれは諦める理由にはならない。

 持てる力を振り絞り、奴を殴りつける。しかしセルは避ける素振りすらみせず俺の拳を顔面で受け止めた。微動だにしないセルはうんざりしたようにため息をついた。

 

「はぁ…、お前には随分と邪魔をされた。この進化した私の力を試すついでだ、いい加減消えてもらうか」

 

 そういって俺に手をかざすセル。

 その掌が光り輝いた瞬間、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 地面に倒れ伏すコルド、意識を失いその体はだらんと力なく横たわっている。

 

「ちっ、しぶとい奴だ。まだ辛うじて生きているな。…また邪魔されても面倒だ、止めを刺してしまうか」

 

 セルは再びコルドへと手を向ける、そしてエネルギー弾が放たれた。

 それは倒れたコルドに吸い込まれるように飛んでいき、

 

「気功砲!」

 

 横合いから飛んできた別の気功波によってその軌道が逸らされた。

 セルの放ったエネルギー弾が海に落ち、海中で起きた大爆発が島を大きく削り取る。

 

「天津飯! ふん、余計な真似を」

「く、な、なんて威力だ。見かねて飛び出したのはいいが、お、俺ではどうすることも…」

 

 コルドの窮地を救ったのは天津飯だった。

 セルが17号を襲い始めたとき、なにか力になれるかもと現場に駆けつけ、ずっと様子を見守っていたのだ。

 その行動がコルドの命を救った。

 

「どいつもこいつも鬱陶しい! 貴様もすぐに殺してやるぞ!」

 

 自らの行動が邪魔され続け、セルの怒りのボルテージが上がる。

 邪魔者を殺すべく圧倒的な速度をもって天津飯にまっすぐに向かう。

 

「太陽拳!」

「な、く、目がぁ!」

 

 強烈な光による目くらまし、原始的な手ではあるが実力差を問わないその手段にセルの動きが止まる。

 

(ど、どうする、目をくらましたとはいえ俺の攻撃が通用する相手ではない、逃げてもすぐに追いつかれる! それにコルドを放っておくわけにも…!)

 

 圧倒的な力の差、攻撃は通じず、逃げることも、ましてや倒れたコルドを連れて逃げ遂せる相手ではない。

 セルが視力を取り戻すのも時間の問題、焦る天津飯、そこに想定外の人物が現れた。

 

「天津飯! こっちだ!」

「な、孫!?」

 

 いつのまにか現れた孫悟空が倒れたコルドを担ぎ上げていた。

 瞬間移動、距離を無視して移動できる強力な技、その技を以てこの修羅場に駆けつけたのだ。

 

「なに!? 孫悟空だと! いつの間に…」

「天津飯! オラの手を掴め、瞬間移動で離脱する!」

 

 返事も待たずに天津飯のもとに向かう孫悟空、その意図に気づき天津飯もまた悟空に手を伸ばす。

 

「何を企んでいるのか知らんが、逃がしはせん! 纏めて殺してやる!」

 

 そして視力が回復したセルもまた、悟空と天津飯を殺すべく2人のもとに飛翔する。

 セルが2人を攻撃すべく拳を振り上げたその時、悟空と天津飯の手が触れた。

 その瞬間、

 

「な、消えただと!? いったい何処に…!?」

 

 セルの拳が空を切る。

 悟空と、天津飯、そして担ぎ上げられたコルドの姿が一瞬のうちに消え去ったのだ。

 消えた3人を探すべくセルは周囲を見渡すが、その姿は何処にもない。

 

「瞬間移動、と言っておったな。孫悟空め、妙な技を使いおる…、まぁいい。今は18号を吸収し、完全体へとなるのが最優先だ」

 

 そしてセルもまた18号を吸収するべくこの場を去る。

 ただ荒れ果てた孤島だけがこの場に残された。 




12/17 読み返してみるとピッコロが死んでいるようにしか見えなかったため、少し改稿しました。
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