大王転生   作:イヴァ

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この時代の悟飯と未来の悟飯を文章で書き分けるのが難しいです。
現代の少年悟飯=悟飯
未来の悟飯=未来悟飯
でなるべく統一するようにしておりますがそうでない文章もあります…、分かりにくかったら申し訳ございません。


もう一つの覚醒、放て、親子かめはめ波!

 胸を撃ち抜かれた孫悟空が地面に倒れる。

 その光景がスローモーションのように、ゆっくりと見えた。まるで時間の流れそのものが遅くなったかのように。

 

「かはっ…」

 

 仰向けに倒れた悟空が血を吐くのを見て、錯覚していた時間の流れがもとに戻る。

 倒れた悟空に仲間たちが駆け寄る。それに釣られるように俺はふらつく体を引きずって皆のもとに向かう。倒れまいとふらふら歩く俺の姿をセルはただ静かに笑いながら見ていた。

 

「悟空! おい、しっかりしろ悟空!?」

「ぁ…、クリ…リ…、ぅぅ…」

 

 悟空は辛うじて生きていた、咄嗟の判断で身を捩り急所を撃ち抜かれるのを避けたのだろう。それでも胸に大穴が空いていることには変わりない。

 夥しい量の出血、このままでは確実に悟空は死んでしまう。

 ピッコロがクリリンに怒鳴りつけるように問いかける。

 

「おい! もう仙豆は残ってないのか!?」

「あ、ああ、さっき皆の傷を治すのに全部…」

「くそっ!」

 

 そういえば俺がセルにやられ、目覚めたとき、クリリンは最後の仙豆を使ったと言っていた。

 おそらくセルジュニアとの戦いでダメージを受けた皆を回復させるのと、セルにやられた俺に使ったので全部だったのだ。

 つまり今ここに悟空を助ける方法はない。

 

(っ!? な、なんだ!?)

 

 その時、背後で気が膨れ上がるのを感じた。

 振り返るとこの時代の、少年の悟飯が目を見開きながら、倒れた悟空を呆然と見つめていた。

 

「お、お父さん…」

「ご、ごは…、ゴホッ…!」

 

 悟飯の呼びかけに対して悟空は血を吐くことしかできない。

 そんな自らの父の姿を前にして、悟飯の気がどんどんと膨れ上がっていく。やがて纏う気のオーラにスパークが迸り、その瞬間が訪れた。

 

「うわあああああああああ!!」

 

 爆発的に高まるエネルギー、高まった気がまるで大嵐の様な暴風を巻き起こす。間違いなく今ここに2人目の超サイヤ人2が誕生したのだ。

 そしてそれはセルにとっても想定外のことだったのだろう。奴もまた俺たち同様に目を見開きその光景をみていた。

 

「あれは、この時代の孫悟飯…! まさか…あいつもか!?」

「絶対に許さないぞ…、セル!」

 

 そしてそのまま悟飯は激昂しながらセルへと向かっていく。

 突如現れた新たなる挑戦者に驚いていたセルもすぐに気を取り直して悟飯を迎え撃つ。

 

「いいだろう! 未来の貴様も、この時代の貴様も纏めて殺してやる!」

「その前に、僕がお前を殺す!」

 

 上空で激しくぶつかり合う2人。

 その衝突によって薄れていた意識が戻ったのか、悟空が絞り出すように微かな声を零した。

 

「は…、はは…、セル…、お…めぇは、間違え、た…」

(そ、そうだ、このままじゃ悟空が…)

 

 悟飯の覚醒に意識を取られたが、今は悟空を何とかする方法を探さなければいけない。

 胸に空いた穴から血を流し続ける悟空を前に頭を回す。しかし仙豆を使い果たした以上、彼を回復させる手段なんて何も思いつかない。

 

「なんとか神殿まで連れて行けばデンデに治してもらえるんじゃ…」

「無理だ! それまで孫が耐えれるとは思えん、瞬間移動でも使えれば話は別だが、当の本人がこれじゃあ…」

(ど、どうする、どうすればいい!? 仙豆が…、仙豆さえあれば! 仙豆…?)

 

 ふと、あの時の事を思い出す。

 合体13号に辛くも勝利した俺と未来悟飯。あの時俺はダメージを回復させるために仙豆を使ったが、未来悟飯は確か仙豆を食べていなかった。

 余った仙豆はクリリンに返そうと思っていたが、返した記憶がない。合流するや否や大急ぎでカメハウスに移動することになりすっかりその事を忘れていたのだ。

 大急ぎでそれを探す、もしかしたら俺は仙豆をまだ一粒持っているかもしれない。そして幸運にもそれはすぐに見つかった。

 

「…あった、あったぞ! 皆、仙豆があった!」

「なに!? 本当か、コルド! しかし何故…?」

「細かい説明は後だ、さぁ孫悟空よ、こいつを飲み込むんだ」

「ぅぅ…ぁ……」

 

 もう意識を保てているかも分からない悟空、その口に祈る思いで仙豆を押し込む。俺の祈りが届いたのか、悟空の喉が何かを飲み込んだように動いたのが見えた。

 次の瞬間、悟空が意識を取り戻す。

 

「かはっ…、はぁっ…はぁっ…、オ、オラ助かったんか…? な、なんで…仙豆は全部使ったんじゃ…?」

「未来の悟飯に感謝するのだ。あいつが念の為にと残しておいた仙豆がお前の命を救ったのだ」

「未来の悟飯が…、そうだ! 悟飯は、セルは!?」

 

 胸の傷も塞がり、体力を全回復させた悟空が立ち上がり上空を見上げる。それに釣られるように俺や他の戦士達も上を見る。

 そこでは依然として大きな2つのエネルギーが衝突し続けていた。

 

「はぁっ…はぁっ…セル…!」

「くっ…このガキ…、思いのほか粘るじゃないか…!」

(…どういうことだ、セルもダメージを受けている?)

 

 この時代の悟飯とセルの戦い、それは予想に反し、悟飯は想像以上に善戦を繰り広げていた。

 まさか未来悟飯よりこの時代の悟飯の方が強いのか?という考えが頭を過るが感じられる悟飯と未来悟飯の力に殆ど差は感じられない。

 だというのに何故、変身して更なるパワーアップを遂げたセルと互角に戦えているのかが分からない。

 

(…まさかセルも消耗してきているのか?)

 

 考えてみれば当然のことかもしれない。

 奴はセルゲームが始まってから一人で戦い続けている。

 悟空と戦い、そして多数のセルジュニアを生み出した後に俺とも戦った。更に超サイヤ人2に覚醒した未来悟飯を相手取り、追い打ちをかけるようにこの時代の悟飯とも戦っているのだ。

 原作のように仙豆による回復もなしにこれだけの戦士と戦い続けている、そして俺はもう一つの心当たりが思い浮かんだ。

 

(そうか! セルのあの姿、あれはあくまで俺の変身と同じもの…。だとしたら間違いない、奴は消耗し、パワーダウンが始まっている!)

 

 おそらくセルのあの変身は17号達を吸収した際の生物としての根本的な進化と違って、一時的なパワーアップの手段なのだろう。それこそ俺の変身と同じ原理、それなら付け入る隙はある。

 不慣れな姿での戦闘は自分が思っている以上に消耗が激しいことは俺自身がよく理解している。

 積み重なる戦闘、加えて変身による消耗速度の増加、この局面で当初の孫悟空の作戦が実を結び始めたのだ。

 

「だだだだだだだ!」

「ぐっ、…調子に乗るなよ小僧!」

「な、か、体が…!」

 

 セルが手をかざすと同時に悟飯の猛攻が止まる、また俺のサイコキネシスを使ったのだろう。

 消耗し、明らかにパワーが減少してきているセル。しかしそれでも尚奴を倒すには至らないというのか。

 

「貴様のようなガキにこのセルが倒せると思うなよ!」

「く、くそっ…!」

 

 悟飯の心臓をその手刀で貫こうとするセル。動きを封じられた悟飯に回避する術はない。

 しかし、意外な人物がその手刀を受け止めた。

 

「させるか!」

「み、未来の僕…!」

「く、貴様! まだ生きていたのか!」

 

 セルにやられ、先程まで倒れていた未来悟飯がいつの間にか立ち上がり、この時代の悟飯を守ったのだ。

 突然の乱入者、倒したと思った相手が再び立ち上がったことにセルの表情が驚愕に染まる

 

「今だ、やれ!」

「はぁぁぁぁぁぁ!」

「なぁ!? ぐぉっ!」

 

 その隙に自らの動きを封じていたサイコキネシスを振り払い、悟飯は全身を回転させた渾身の回し蹴りをセルに叩きこんだ。

 その蹴りはセルの顔を見事に捉え、そのマスクを叩き割った。

 砕けたマスク状の外骨格が舞い散る、吹き飛ばされたセルは露わになった口元から血を流しつつ立ち上がる。

 

「おのれぇ! 死にぞこないがっ、息を吹き返しおったか…! 鬱陶しい奴らめ!」

 

 大きな手傷を負わされたセルが怒りを剥き出しにしながら気を高める、激しい気の高まり、しかし先程と比べて確実に気が減っているのが分かる。

 そんなセルに対して2人の悟飯が並んで構える。

 

「悪いな、任せきりになってしまって…、でもこれからは一緒に戦おう!」

「はい!」

 

 2人の悟飯、2人の超サイヤ人2。そんな二人もまたセル同様に消耗している。傷つき、受けたダメージも大きい。

 それでも不屈の意思で、そして大切な仲間を、父親を傷つけられた怒りで立ち上がる。

 2人の悟飯の底力にセルが僅かに気圧される。

 

「ぐぬっ…、…ん? ちぃっ、いつの間にか孫悟空も回復しているではないか…」

 

 悟空が回復したことに気が付いたセル、その表情がさらに歪む。おそらく奴自身も気づいているのだ、自分が少しづつ追い詰められていることに。

 それが不味かったのだろう、突然セルは上空に飛び上がった。

 

「ふざけおって、いい加減にしろ! 倒しては蘇る堂々巡りにこれ以上付き合ってられるか! セルゲームはもう終わりだ、そして、この星もな!」

「な、あいつ、まさか…!」

 

 そしてセルは右手を上げ、人差し指を掲げると大きなエネルギーの球体を作り出した。

 スーパーノヴァ、だったか、フリーザやクウラ、俺達一族の技であろう太陽が如きエネルギー球。恐ろしいほどまでに膨大なエネルギー、もしあれが地上に着弾すれば間違いなくこの地球は消し飛ぶだろう。

 セルは勝負を決めるつもりだ。自分が消耗していることに気が付いた奴は、余力が残っている間に全力の一撃で俺たちを葬り去る魂胆なのだ。

 

(俺たちにあの技を止めることはできない…あの2人を除いて!)

 

 あれに対抗できるのは超サイヤ人2に覚醒した2人の悟飯だけだ。

 情けない話だが俺ではどうすることもできない、縋るように2人の悟飯に目を向ける。

 

「…過去の俺よ、もう少しだけ力を貸してくれ!」

「分かりました、やれるだけのことはやってみます!」

 

 セルに対抗するように2人の悟飯が気を高める、そして同じ構えで気を集中させる。

 

「「か~め~は~め~…」」

「まだ抵抗する気か…、いいだろう! 貴様ら全員、この星と共に消えてしまえ!」

「「波ぁぁぁぁ!!」」

 

 セルのスーパーノヴァと2人の悟飯のかめはめ波が衝突し、世界が光に包まれた。

 

 

 

(な、なんて威力! 立っているだけで精いっぱいだ!」

「お、おい、見ろ!」

 

 2つの気のぶつかり合いにより巻き起こる暴風、もはや暴力ともいえるそれに吹き飛ばされないようになんとか堪えながらも視線を前に向ける。

 

「お、押されている…! 悟飯たちが押されているぞ!」

「ま、まずいぞ、このままでは…」

 

 2つの大きなパワーのぶつかり合い、その力の天秤はセルの方に大きく傾いていた。

 徐々にセルのスーパーノヴァが悟飯たちに、そしてこの地球に迫る。やはりセルの消耗も大きいとはいえ、2人の悟飯はそれ以上だ。このままでは間違いなく負ける。

 その時、悟空が嵐の中心に歩みを進めた。

 

「ま、待てよ、悟空! いったい何処に行くつもりなんだ!?」

「ん? 決まってるじゃねぇか、悟飯達を助けに行くんだ」

 

 どうやら悟空は2人の悟飯を助太刀すべく、あの気の嵐に飛び込むつもりらしい。だが、もはやここにいるメンバーで太刀打ちできる領域の戦いではない。

 あの戦いの前では俺も含めて、例えあの悟空の力でさえも大きく見劣りする。助けに行ったとしても焼け石に水だ。

 

「正気か!? あれほどの気のぶつかり合い…、近づくだけでもバラバラになるかもしれんぞ!」

「そんなこと分かってるさ。でもよ、あの2人があんなに頑張ってんだ、見ているだけじゃいられねぇよ」

 

 悟空の意思は固い、たとえ自分じゃ力不足と分かっていながらも悟飯を助けに行くつもりなのだ。この星のため、そしてなにより2人の息子の為に。

 額に指を当てる悟空、瞬間移動で悟飯達の側まで一気に移動するつもりなのだろう。

 

「…待て、ワシも連れていけ」

「…いいんか? 死んじまうかもしんねぇぞ?」

 

 あのとんでもない力と力のぶつかり合い、その中心に飛び込むなんて正直な話恐ろしくてたまらない。

 それでも精一杯の虚勢を張り、不敵に笑ってみせた。

 

「フッ、それはこのまま見てても同じこと。それにお前も言ったではないか、あの2人の姿を見て見ているだけでいられるものか」

「…へへっ、そうか。じゃあ行こうぜ!」

 

 死地へと飛び込む腹は括った。

 悟空の肩に手を置いた瞬間、景色が切り替わる。そして瞬く間に、2人の悟飯の背後へと移動した。

 

「よっ、大丈夫か、悟飯」

「お、お父さん!?」

「コルドさんまで…!?」

 

 突如現れた俺たちに驚愕の声を上げる二人、対して悟空はいつも通りに軽い調子で声をかける。

 悟空の調子に反してとんでもない状況だ。あれだけ離れていても凄まじかった気の圧力、その最も激しい場所にいるのだから当然だろう。凄まじい暴風に吹き飛ばされないように踏ん張るので精一杯だ。

 

「お父さん、そしてコルドさんも、ここは危険です。離れていてください!」

「くっ、フ、フフフ、そう言うでない。随分と苦戦しているではないか、どれ、ここはこのワシも手を貸そう」

 

 正直、立っているだけでもやっとだ。それでも悟飯達を不安にさせないように笑みを浮かべてみせる。浮かべた笑みは引きつっていたかもしれない、それでも一緒に戦う意思は伝わったはずだ。

 

「よく頑張ったな悟飯、…でも悪いけどよ、もう少しだけ力を貸してくれねぇか」

「お、お父さん…」

 

 依然としてじりじりと迫りくるスーパーノヴァ、このままでは押し切られるのも時間の問題だ。

 それに対抗すべく悟空は、そして俺も共に目一杯に気を高めて対抗する。

 

「でも、ここからは父ちゃんも戦う。一緒に頑張ろうぜ、悟飯!」

「うむ、この星の命運、なにもお前たち二人で背負うこともあるまい。今こそ共に戦う時だ」

 

 そして悟空と同じ姿勢で構え、気を集中させる。

 実を言うと、この世界に来てからこっそりと練習していたのだ。その甲斐もあり、なんとか習得にこぎ着けた。

 まさかこんな場面で使うことになると思ってはいなかったが、この3人と肩を並べるならばこの技が最も相応しいだろう。

 

「「かめはめ…波ぁぁぁぁ!!」」

 

 俺と悟空の放ったかめはめ波は、2人の悟飯の放ったそれと合わさり、セルのスーパーノヴァへと伸びていく。

 この星を賭けた、俺、いや、俺達の最後の戦いが幕を開けた。




親子かめはめ波(異物混入)
まぁ3年居候しているし家族みたいなものということで…家族かめはめ波?
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