大王転生   作:イヴァ

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いろいろと突っ込みどころの多い展開かもしれませんが大目に見ていただけると助かります。


そして別れの時、未来へ帰る戦士達

 セルを倒した翌日、俺は皆より一足先にカプセルコーポレーションに来ていた。その理由はブルマにある物を用意してもらうためだ。

 

 未来悟飯達はまだ悟空達と共にパオズ山の孫家にいる。

 彼にとっては久々の家族団欒。彼らの戦いはまだ終わっていないのであまりゆっくりもできないが、とはいえそこまで慌てて未来に帰らなければならないこともないはずだ。

 俺も昨日は一緒に帰り、久々に心の底からゆっくりとした時間を過ごしたものだ。

 ここまでくると悟空一家の中にコルドが混ざる異様な光景にも流石に慣れてきた、しかし冷静に考えると相変わらずよく分からん絵面だが誰も気にしてないしまぁいいだろう。

 

 そんなことを考えているとブルマが俺のもとにやってきた。

 

「あら、こんなところにいたのね。はい、あんたに頼まれてたもの、できたわよ」

「おお、素晴らしい、こんなにも簡単に用意してしまうとは…、流石だ」

「別に既存の船をカプセルに収めるだけだから大したことじゃないわ。ああ、それとあんたから聞いた座標も入力済みよ」

「それは助かる」

 

 これで準備は万端、後は用意したものを未来へ帰る2人に渡すだけだ。

 

「あれ、コルドさん? なぜこんなに早い時間に?」

「む、トランクス、なに、理由は後で話そう。それにしてもお前も随分と早いな、いったい何をしていたんだ?」

「俺はさっきまで父さんに修行をつけてもらっていたところです。」

「そ、そうか…(ベジータの奴、昨日の今日でもう修行してるのか…)」

 

 あれほどの激戦を経たばかりだというのに翌日には修行に精を出しているらしいベジータ。

 思えばセルには敵わず、2人の悟飯の潜在能力を目の当たりにして、更に悟空にも大きく水をあけられている状況だ。それにこの世界では悟空が生存しているのが大きいのかもしれない。ベジータの心情としてはこのままではいられないだろう。

 そしてそれはトランクスも同じ気持ちなのかもしれない、故にこんな朝早くから親子で修行をしていたのだろう。

 

「ま、まぁあまり無茶をするでないぞ、トランクスよ」

「はい、今日のところはこれくらいにしておくつもりです」

 

 その後、ブルマも加わり、3人で雑談していると見知った気がこちらに近づいてくるのを感じた。悟空達だ。視線をやれば孫親子がこちらに向かってきていた、勿論未来悟飯も一緒だ。

 

「あれ、コルドさん? もう来ていたんですね」

「うむ、少々やることがあってな」

「?」

 

 その後、クリリンやヤムチャ達も合流し、あっという間に別れの時がやってきた。

 その前に俺は用意したものを未来悟飯とトランクスに渡す。

 

「悟飯、トランクス、こいつを持っていくがいい」

「これは…カプセルですか?」

 

 渡したのはホイポイカプセルだ。怪訝な顔をする2人に中身を説明する。

 

「ああ、中身は宇宙船だ。この船にはナメック星人が移住した新ナメック星の座標が登録されている」

「…! それって…!」

「うむ、ここまで言えば説明は不要だろう」

 

 俺が2人に用意したもの、それは新ナメック星の座標が登録された宇宙船だ。これさえあれば未来の世界でも新ナメック星に辿り着き、ポルンガで死んだものを生き返らせることができるはずだ。

 

「ポルンガで未来世界のピッコロを生き返らせるか、或いはこの世界同様に新たな神を迎え入れてもいい。失われたものを、その全てを取り戻すのだ、悟飯、トランクス」

「お、俺たちの為にわざわざこれを…」

 

 驚愕に目を見開く2人。無理もないだろう、それは過酷な未来の世界で生きてきた2人が何よりも欲したものなのだから。

 固まる2人にニヒルに笑いかける。

 

「フッ、このコルドの手にかかればこの程度造作も…」

「ちょっと! なんであんたが偉そうにしてるのよ、宇宙船を用意したのは私よ!」

「そうだぞ、ナメック星の場所だってオラが界王様に聞きに行ったのをおめぇは待ってただけじゃねぇか」

 

 格好つけようとしたら悟空とブルマに全て暴露されてしまった。いや、実際にそうだから仕方ないのだが。

 俺は案を出しただけで主に動いてくれたのはこの2人だ。基本的に俺はただ待っていただけである。

 

「だ、大王とはそういうものだ」

「あ、あはは…」

 

 悟空とブルマに詰め寄られ、たじたじの俺は必死に言い訳をする。尤も言い訳にすらなってないが。現代の悟飯も乾いた笑いを浮かべている。

 

「…は、ははは、…お父さん、ブルマさん、それにコルドさんも、本当にありがとうございます…!」

 

 釣られて笑う未来の悟飯、彼の目が若干潤んでいるのに俺は気が付いたが、敢えて指摘する必要もないだろう。

 俺達に頭を下げる未来悟飯の肩に悟空は手を置いた。

 

「悟飯、おめぇはオラの誇りだ。そっちのオラもきっとそう思ってる。未来の平和、取り戻してこい!」

「…はい、お父さん!」

 

 悟空の激励に顔を上げ、力強く返事をする未来悟飯。時を超えた親子の別れに涙腺が緩むのを感じる。

 そしてそれはもう一方の親子、ブルマとトランクスも同じであった。

 

「トランクス、向こうに帰っても元気でね。それとあまり無茶しちゃだめよ?」

「だ、大丈夫ですよ、母さん」

「本当に? あんた真面目だから不安だわ…、あ、それとそっちの私にもよろしく言っておいて」

 

 別れ際の親子、その間に割って入るのは無粋かと思い、俺は一歩引いていたがそれはそれとして伝えておくべきことはここで伝えるべきだろう。

 

「2人とも、今のお前達なら17号と18号なんて敵ではないだろう。だが未来の世界のセルには注意するんだ。お前達のタイムマシンを狙って必ず強襲を仕掛けてくるだろう」

「はい、奴の乗ってきたタイムマシンからおおよその時期は分かってます。絶対に油断はしません」

 

 …ついでにこれも言っておこう。

 

「うむ、それとセルを倒した後も油断大敵だ。この宇宙は広い、もしかしたら更なる脅威がお前達の世界を襲うかもしれん。例えば…この宇宙に伝わる神話のようなものだが魔人と呼ばれる存在がいるらしい。遥か昔に封印されたらしいがその封印を解こうとする輩がいるとかいないとか、そんな奴らがいたら容赦なく叩き潰してしまうのだ!」

「は、はい、なんだか随分と具体的ですね…?」

 

 できれば具体的な時期も伝えたいが、未来世界での奴らの来襲タイミングが分からないので教えようがないのが悔やまれる。

 バビディ達は未来悟飯が超サイヤ人2に覚醒しているため戦力的にはきっと大丈夫だとは思うが、伝えておくべきことはまだまだある。

 それに13号の事もある、念のために劇場版の敵もやんわりと教えておくべきかもしれない。

 

「よし、それからだな…、ごふっ!」

「いつまで話しているつもりだ、貴様は」

「べ、ベジータ!?」

「父さん!」

 

 とりあえず思いついたことを捲し立てようとして横合いからベジータに蹴とばされた。

 てっきり木の陰からこっそり見送るつもりだろうと思っていたが、直接この場に現れるとはどういう風の吹き回しだろうか。

 

「父さん…、見送りに来てくれたんですね」

「ふん、勘違いするな。たまたま通りかかっただけだ」

 

 相変わらず素直じゃない奴である。何か言いたいことがあるのがバレバレだ。

 流石に邪魔するのも悪いので大人しく引き下がることにした。

 

「だがこれだけは言っておくぞ。もしお前がいつまでもカカロットの息子なんかに負けているようならただでは済まさん、それだけだ」

「そ、それは…」

「ちっ、あの時お前は戦い続けると言ったな。ならば戦い続けろ、お前自身がナンバーワンになるその時まで決して歩みを止めるな。分かったか、トランクス!」

「…はい、父さん! 俺、超えてみせます、悟飯さんも、父さんも!」

「ふん、なら早く帰って人造人間なんぞとっとと片づけてしまえ」

 

 言いたいことは言ったのか、ベジータは背を向けて歩き出してしまった。今のは彼なりの未来の自分の息子に対する激励なのだろう。まったく不器用なことだ。

 そしてブルマが目を丸くしてベジータの背中を見ていた。

 

「驚いたー…、まさかあいつがあんなこと言うようになるなんて…」

「ありがとうございます、…父さん!」

 

 思えば俺の持つ知識なんて今となっては不確定で曖昧なものだ。事実、人造人間との戦いでは参考になることもあったが、振り回されることもあった。

 未来は変化するものである、そうである以上、俺にできることはこの2人を信じて見送ることだけなのかもしれない。

 悟空が、そしてベジータが、本当に言うべきことは伝えてくれた。

 

(悟飯、トランクス…、お前達ならできる。頑張れよ!)

 

 それによく考えれば未来の俺が蘇ることができれば今ここで全ての情報を伝える必要はない。この時代の俺と未来の俺で知っている知識に差はないのだ。

 そして別れの時が来た。2人がタイムマシンへと乗り込み、機体が宙へと浮かんでいく。

 

「元気でなー!」

「気を付けるのよー!」

 

 飛び立つ2人を皆が見送る中、俺も皆に並んで大きく手を振り続けた。タイムマシンが見えなくなるその時まで。

 やがてタイムマシンが虚空へと消える。

 

「…行っちまったな」

「…ああ」

 

 別れは済んだ、未来悟飯とトランクスが未来に帰った以上、俺達も帰らなくてはならない。

 名残惜しいがブルマやクリリン達に別れを告げ、俺達も家に帰ることとなった。

 

「さっ、それじゃあ帰るか」

「そうですね、未来の僕達を無事見送れたこと、お母さんにも報告しないと」

「ああ、そうだな(…さて、これからどうしたもんか)」

 

 悟空と悟飯と並んで飛翔しながら俺は今後の事に頭を悩ませる。しばらくは平和だが、この平穏もいつまでも続かない。いずれ新たなる脅威は必ず現れる。次なる戦いに備えて準備しなくてはならない。そのためには俺の知識も、不確定で曖昧とはいえ参考にしなくてはいけないだろう。

 とりあえずの目下の脅威、それは…

 

「そういえば孫悟空、以前にチチ殿と約束していたが…仕事探しはどうなっているのだ?」

「うげぇー…、コルド、嫌なこと思い出させんなよ…」

 

 悟空がげんなりとした表情で項垂れた。こんな悟空の姿は始めて見た。

 この一件で悟飯を修行漬けにすることをチチに許してもらうために、悟空は人造人間の戦いが終わったら必ず働くと約束していたのだ。本来の歴史ではセルとの戦いで命を落としてしまったため有耶無耶となったがこの世界ではそうはいかない。

 

「ぼ、僕も帰ったら勉強を頑張らないと、随分と長い間サボってたし…」

「ハッハッハッ、よいではないか。ワシもいつまでもお前達に世話になるわけにはいかん、お前の仕事探しに付き合おうではないか」

 

 ちなみに俺は仕事もそうだし、住む場所も探さないといけない。流石にこれ以上孫一家に厄介になるのは気が引ける。

 しかし異星人の俺が家と職を探す、これは相当の難敵だ。

 

「あー…、どうすっかなぁ…」

 

 普段の頼れる姿は何処へやら、下手をすれば人造人間との戦いよりも頭を悩ましているかもしれない悟空。

 

「なに、ワシ達はあのセルにも勝ったのだ。この程度の苦境、なんてことないではないか」

「あはは、そうですよ!」

「はぁ…」

 

 楽し気に笑う悟飯、反して項垂れてため息をつく悟空。そんな2人と共に俺は帰路につくのであった。




これにて人造人間編は終了です。
ブウ編までしばらく間が空くかもしれませんが気長にお待ちください。

未来世界でドラゴンボールが復活しても死者蘇生は一年以内なのでは?
ポルンガにはその制限がない、デンデの言っていた最初の調整でどうにかできる、など上手いこと脳内補完していただけると助かります。
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