大王転生   作:イヴァ

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ここ数話、視点の切り替わりが多く少し読みにくいかもしれませんが何卒ご容赦を。もう少しで合流できる…はずです。


勇者と大王、幻魔人ヒルデガーンを倒せ!

 神殿を出発した俺とタピオン、しばらく飛んでいると遠くに見えた都市から大きな気を感じた。間違いない、ヒルデガーンだ。運よく攻撃を免れていた都市を見つけて人々を襲っている最中なのだろう。

 

「くっ、ヒルデガーンめ。好き放題に暴れおって…!」

「急ごう、コルド。これ以上被害を広げるわけにはいかない!」

 

 炎が燃え盛り、煙が立ち上る都市を見て俺達は飛ぶ速度を上げる。やがて俺達は都市の中で大暴れをするヒルデガーンを見つけた。奴は逃げ惑う人々を尻尾から伸びた触手のようなもので絡め取り、吸収していた。

 

「見ろ、人々が…!」

「(これ以上パワーアップさせてたまるか!)波ぁっ!」

 

 咄嗟にエネルギー波を放ち、攻撃を仕掛けるも寸でのところで気づかれ、奴は煙のように消えて俺の攻撃を避けた。

 消えたヒルデガーンが俺達の前に姿を現す。尻尾で人々を呑み込みながら、唸り声をあげて俺達を睨みつけるヒルデガーン。その視線からは明らかな敵意が感じられる。

 

 自分を倒しに来た敵、という理由だけではないだろう。俺は先日こいつと戦っている。その時に手傷を負わされたことを奴も覚えているのだろう。片やタピオンは奴にとって因縁の相手だ。千年もの間自分の半身を封印し続けてきた、奴にとっては恨み深い怨敵と呼べる存在だ。

 そんな俺とタピオンを前にして、ヒルデガーンは早速俺達に襲い掛かってきた。

 

「来るぞ、コルド!」

「ぐるるるるるるるる…、がぁっ!」

「(速いっ!?)ちっ!」

 

 想像を超えた速度で放たれたヒルデガーンの拳。巨大なそれを俺はタピオンを引っ張り、辛うじて回避する。空ぶったヒルデガーンの拳が高層ビルに突き刺さり、ビルを粉々に吹き飛ばした。

 多くの人々を吸収したことにより、先日俺と戦った時よりも明らかに力を増している。スピードもパワーも一段階上だ。

 

「な、なんて速度だ…。すまない、コルド、助かった」

「タピオンは援護を、ワシが前に出る!」

 

 俺はタピオンを置いてヒルデガーンの前に躍り出る。タピオンも弱くないとはいえ、今のヒルデガーンとまともにやり合えるレベルではない。あくまで主だって奴と戦うのはこの俺だ。もし彼が倒されてしまえば封印作戦も破綻してしまう。

 

「ヒルデガーンよ、貴様のしでかした事…忘れたとは言わさんぞ」

 

 奴は俺達を敵視しているが、恨みがあるのはこちらも同じだ。こいつは地球を滅茶苦茶にして、多くの人間を殺した。ベジータもその一人だ。俺にとっても許せる相手ではない。

 全身に力を、そして怒りを込めて俺は最終形態に変身する。出し惜しみは無し、最初から全力だ。

 

「この星のためにも、そしてタピオンのためにも、貴様はここで殺す!」

 

「がああああああああああああ!!」

 

 ヒルデガーンは俺のことを自分を殺し得る脅威と判断したのか、奴は完全に俺に狙いを定めた。再び振るわれる奴の巨大な拳を俺は全身で受け止める。

 

「ぬぐっ!」

 

 相も変わらず凄まじい威力だ。しかし力を増したのは何もこいつだけではない。俺も精神と時の部屋でゴテンクスとの修行でパワーアップしたのだ。急ごしらえの修行で壁を越えたような飛躍的なパワーアップはなかったが、確かに効果はあった。今の俺なら力を増したヒルデガーンにも対抗できる。

 

「ぐぐぐぐっ……! かぁっ!」

 

 受け止めた拳を殴り返したことで奴の巨体がバランスを崩した。すぐさま追撃、指先から何発もデスビームを撃つ。しかし無数の光の筋はヒルデガーンに命中することなく奴をすり抜ける。だが奴が能力を使用して攻撃を回避することは予想済みだ。

 

 俺は向いている方向を180度反転させ、腕を薙ぎ払い広範囲を爆撃する。もうこの都市に生き残っている人は誰もいないということもあり、被害を気にせず攻撃を繰り出せる。

 殆ど無差別の広範囲攻撃は多くの建物を吹き飛ばしながら、俺の背後に回り込んでいたヒルデガーンを確かに巻き込んだ。

 

「がぁっ!? ぐっ、がああああああああ!」

 

 攻撃を受け、頭に血が上ったのか更にヒルデガーンの攻撃が激しくなる。振るわれる大腕を、尻尾を、なんとか回避しながら俺は考える。

 

 今のようにダメージを与えられないわけではない。だがさっきの爆撃は狙って命中させたわけではないのだ。奴が消えたのを確認してから一か八か後方に向けて広範囲の攻撃をしただけに過ぎない。それが運よく命中したのだ。もし奴が現れたのが俺の真上だったのなら手痛いダメージを負ったのは俺の方だ。それに今みたいな広範囲攻撃は消耗も多く、あまり連発はしたくない。

 

 映画の悟空のように攻撃を避け、瞬時にカウンターを叩きこめればそれが最善だ。しかし奴の巨体と速度を相手に俺の技術ではそれができる自信はない。

 だが今みたいな運任せの広範囲攻撃もそう何度も通用はしないだろう。だとすれば思いつく手段はあと一つ。

 

 俺は迫りくる尻尾を殴り落とす。殴りつけられた尻尾が地面に叩きつけられた。同時に俺の腕が衝撃にびりびりと痺れるような感覚に襲われる。

 

「ぐっ…、大した威力だ。(…だがこの方法なら確実にダメージを与えられる!)」

 

 俺の考えた対ヒルデガーンの攻略法、それは攻撃に対して攻撃で返すこと。このやり方ならヒルデガーンの厄介な能力を気にせずに戦うことができる。デメリットは俺にもダメージが積み重なる事だ。だが俺には回復の手段、仙豆がある。奴の攻撃で即死しない限りは多少の余裕があるのだ。

 小細工が通用する相手ではない。泥臭い戦い方だが、これしか奴にダメージを与える方法が思いつかなかった。

 

「す、すごい…! まさかヒルデガーンと正面から戦えるなんて…、コルド、君がこれほど強かったとは…」

「タピオン、離れていろ! 巻き添えをくらうぞ!」

 

「がああああああああああああ!」

 

 突如、ヒルデガーンが火炎を吐き出した。咄嗟に飛びのき、攻撃を避ける。奴はやたらめったらに炎を撒き散らし、辺り一帯が火に包まれた。

 

「ちっ…、む? しまった、奴がいない!? いったい何処に…」

 

 炎を目くらましに消えたヒルデガーン、おそらく能力で姿を消したのだ。こうなってくると厳しいものがある。360度、何処から攻撃を仕掛けてくるのか見当もつかない。

 

「(空中戦では警戒する範囲が多い、せめて地面に降りて狙いを絞る…!)」

 

 ヒルデガーンの攻撃に備えて地上に降り立つ、その瞬間だった。地面を突き破り、現れた巨大な尻尾によって俺は上空に突き上げられた。

 

「かはっ! こ、こいつ地中から!?」

「があっ!」

「しまっ――がはぁっ!」

 

 宙に浮いた俺に何処から現れたのかヒルデガーンが拳を振り下ろす。振り下ろされた拳と地面に挟まれて身動きが取れなくなる。

 

 強い、舐めていたわけではないがこれほどまでとは思わなかった。闇雲に暴れているように見えてこいつには知性のようなものがある。俺の攻撃に当たらないように明らかに攻め方を変えてきた。凄まじいパワーにこの状態から脱出することも困難だ。

 

「ぐっ、ぬぬぬ…!」

「ぐるるるるるるるるる…っがぁ!?」

 

 突然、俺を押さえつけていた拳から解放される。

 

「無事か、コルド!?」

「あ、ああ、助かったぞ」

 

 どうやらタピオンが助けてくれたみたいだ。ヒルデガーンの腕に切られた跡が見えた。おそらく俺を抑えていた腕をタピオンが切りつけたのだろう。なんとか窮地は脱した、だがじわじわと追い詰められてきている実感がある。果たしてこのまま戦い続けて勝機はあるだろうか。

 

「コルド、俺に考えがある」

「なにか作戦があるのか?」

「ああ。上手くいくかは分からないが、一つ試してみたい技がある。成功すれば必ずヒルデガーンを倒せるはずだ」

「よし、話してくれ」

 

 タピオンが試してみたいという技を聞いてみる。確かにこの技が成功すれば戦況は一気に好転する。それどころか奴を倒してしまうこともできるだろう。

 

「君にはヒルデガーンの注意を引いてほしい。危険な役目だが…やってくれるか?」

「任せろ、体を張るのは得意技だ。このコルド、生半可な攻撃で沈むほどやわな鍛え方をしておらんさ」

 

 作戦会議を終え、再びヒルデガーンと対峙する。

 剣を構えて、目を瞑り、精神を集中させるタピオン。彼の雰囲気が変わったのを感じたのか、ヒルデガーンがタピオンに攻撃の狙いを定める。奴は俺を無視してタピオンに殴り掛かるが俺がそれを許さない。

 

 タピオンの前に立ち、両手を広げて気でバリアを張る。俺のバリアはヒルデガーンの拳を弾き飛ばした。奴は俺のバリアを破壊しようと何度も殴りつけてくる。流石に奴のパワーを防ぎ続けるのは難しい。障壁が少しづつひび割れていく。

 止めと言わんばかりに拳を大きく振りかぶったヒルデガーン。

 

「行くぞ!」

「ああ!」

 

 その巨大な拳が振るわれた瞬間、俺はバリアを解き、拳を避けてタピオンと共にヒルデガーンに向かって突貫した。突然の俺達の攻勢にたじろぐヒルデガーン。

 

 僅かに隙を晒したヒルデガーンに俺は剣を抜き襲い掛かる。だがヒルデガーンも一筋縄ではいかない相手だ。奴はすぐさま気を取り直し、眼前に迫る俺を迎撃にかかる。放たれたヒルデガーンの拳に呆気なく俺は吹き飛ばされる。

 

「がはぁっ……、今だタピオン!」

 

 しかしそれは想定内。先陣を切る俺の背後に隠れるように続いていたタピオンが姿を現す。ヒルデガーンは俺を迎撃するために実体を現している。その一瞬をタピオンは見逃さなかった。

 

「もらった! はぁっ!」

 

 一閃、ヒルデガーンの胴体が切り裂かれ、上半身と下半身に分断される。

 

 どう考えても致命傷、しかし残念なことにこの技に物理的なダメージを与える効力はないらしい。この技の本質は別にある。振りぬいた剣を鞘に戻したタピオンがすぐさまオカリナを取り出す。そしてそのまま演奏を始めた。

 すると2つに切り裂かれた奴の肉体、その片方、下半身がタピオンに向かって吸い込まれていく。

 

「ぎっ!? があああああああああ!?」

 

 何が起きているのかを察したヒルデガーンがタピオンに向かって手を伸ばすが咄嗟に俺が割り込み、その手を受け止める。みるみるうちに奴の下半身はタピオンの体に取り込まれていった。

 

 これが先程タピオンが試してみたいと言っていた技の正体だ。

 タピオンが千年前に受け継いだ剣技でヒルデガーンを切り裂き、半身のみを封印してしまう。聞けば大きな力を持つ存在を2つに斬り裂き、弱体化させる技らしい。本来であれば分断された体はすぐに元通りになってしまうらしいが、オカリナを用いた封印技と組み合わせることで真価を発揮するとのことだ。

 実際にヒルデガーンの下半身を封印することに成功した。問題は上半身がまだ残っていることだが、それは大した問題ではない。

 

「ククク、どうした? 随分とパワーが落ちている、な!」

「があぁっ!?」

 

 奴の巨大な拳を殴り飛ばす。そう、残された上半身は俺が倒してしまうのだ。半身を失ったヒルデガーンのパワーは文字通り半減、今のこいつであれば確実に倒しきることができる。タピオンも半身のみであればある程度の時間封印を維持し続けることもできる。

 上半身を跡形もなく吹き飛ばし、その後に下半身を相手にする。それが俺達の作戦だ。

 

 浮遊したヒルデガーンの上半身に向かって俺は突撃する。接近してくる俺を両手で掴みかかるヒルデガーン、俺はその両手をそれぞれの手で掴み取る。奴は俺を握りつぶそうとしてくるが無駄だ、奴の巨大な手は俺に掴まれてピクリとも動かない。

 そんな奴に向けて俺は目からビームを放つ。ビームは奴の顔に着弾、爆風で視線を潰すことに成功した。瞬時に俺は拘束を脱出、奴の胸板を蹴り飛ばしてやった。ヒルデガーンの巨体が廃ビルに突っ込んでいく。

 俺の力とタピオンの技、2つが合わさり奴を追い詰めた。

 

「(勝てる! 力が半減したこいつなら確実に倒せる。上半身と下半身、連戦にはなるがこっちには仙豆もある。戦闘力的にも体力的にも俺達が有利だ!)」

 

 俺が勝利を確信した、その時だった。

 

 

 

「パッパラパー!」

 

 

 聞き覚えのある不愉快な声が俺の後方から聞こえてきた。

 

「ぐわっ…! な、何者だ!?」

「ようやく見つけたぞ…! コルドとか言ったな、よくもこのボクを殺してくれたな!」

 

 振り返るとタピオンがバビディの魔術によって拘束されていた。

 

「バ、バビディ!? どうしてここに…」

 

 いや、聞くまでもない。地獄に落ちたバビディがジャネンバの起こした異変によって蘇ったのだ。フリーザやセルに気を取られてこいつのことを完全に忘れていた。大きな戦闘力こそ持っていないが、能力の厄介度合いは決して無視していいものではない。

 

「へっへっへっ、ボクのヒルデガーンを倒そうとしているみたいだけどそうはいかないぞ!」

「ちっ、今更貴様がでてきたところで何ができる! 見たところ部下を連れてきているわけにも見えん、大人しくこの場から失せろ!」

「バカめ! 誰がヒルデガーンの封印を解いたと思ってる、このバビディ様をなめるなよ!」

 

 バビディの言葉に嫌な予感がする。大急ぎでバビディを倒すべく、引き返そうとした俺に瓦礫の中からでてきたヒルデガーンが襲い来る。

 

「ヒルデガーン!? 邪魔を…!」

「お前達がヒルデガーンに何をしたか、じっくり見ていたよ。ひひひひ、物凄く高度な封印の術だけどボクなら解くことができるぞ…! そら、でてこい、ヒルデガーン! 早く元の姿に戻れー!」

「ぐわあああああああああ!」

「し、しまった!? 封印が…!」

 

 バビディの魔術によってタピオンの体から封じていた下半身がはじき出されるように飛び出した。下半身は煙となり、上半身へと纏わりつくと瞬く間に半身同士が引っ付き、ヒルデガーンは元の姿に戻ってしまった。

 バビディの手により、好転しかけていた状況がまた元通りになってしまう。

 

「おのれ! バビディめ、余計な真似をしおって!」

「ヒヒヒヒ、よし、もう一度魔術でコントロールしてやるぞ、ヒルデガーン!」

 

 バビディがヒルデガーンをコントロールしようと魔術をかける。だからこそバビディは異変にいち早く気がつくことができたのだろう。

 

「…なんだ? コントロールが効かない? どういうことだ?」

 

 困惑した様子のバビディ、その姿を見て俺も何かがおかしいことに気づいた。ヒルデガーンが動いていない、そして奴の体が茶色に変色している。何が起こっているのか、俺にはすぐに分かった。

 

「ま、まずい、こいつ進化するつもりか!?」

 

 気づいた時にはもうすべてが遅かった。

 茶色く変色したヒルデガーン、その体をまるで脱皮するかのように突き破り、中から新たなヒルデガーンが姿を見せた。

 

「ぐおおおおおおおおおおお!!」

 

 進化したヒルデガーン、奴から感じられる力は先程よりも更に増大している。先程の姿でもかなり苦戦を強いられた。そんなヒルデガーンが更にパワーアップしてしまったのだ。ますます勝ち目が薄くなってしまった。

 唸り声をあげながら俺を睨むヒルデガーンが口を開いた。嫌な予感がして俺は咄嗟にタピオンのもとに向かった。

 

 瞬間、ヒルデガーンの口から火炎放射が放たれる。

 

「くっ間に合え…!」

「お、おい、ヒルデガーン! まだここには僕が…!?」

 

 バビディの拘束魔術により身動きの取れないタピオンを庇うように俺は気でエネルギーの障壁を張る。俺の行動に釣られてバビディも慌てて自身の周囲にバリアを展開した。

 そんな俺達をヒルデガーンの放った業火が吞み込んだ。

 

「くっ! なんて桁違いの威力だ…!」

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!? た…、助け………」

 

 辛うじてヒルデガーンの攻撃をやり過ごした俺達。バリアを張ったというのに防ぎきれないほどの威力。体の至る所が焼けてしまった。

 隣のバビディの姿は酷いものだった。奴のバリアでは威力を殺すことができずに全身が黒焦げになってしまっている。炭の塊と化したバビディはヒルデガーンの咆哮によりバラバラに崩れ去っていった。

 

「はぁっ…はぁっ…、バビディめ、自分で蘇らしたヒルデガーンに殺されるとは…。貴様らしい惨めな最期だ」

「コ、コルド…」

「タピオン、お前も無事…とは言えんか。大丈夫か?」

 

 俺の体の陰にいたおかげか、タピオンも多少のダメージを受けたものの命に別状はなさそうだ。しかしこれ以上戦うのは難しいだろう。

 俺もタピオンもボロボロ、体を煤塗れにさせながら俺達は会話する。

 

「…すまない、コルド。まさかこんな結末になってしまうなんて…、俺達の問題に巻き込んでしまったばかりにこの星は…、本当にすまない…!」

 

 一歩、また一歩と地面を揺らしながら歩いてくるヒルデガーンを前にタピオンの心は完全に折れてしまっている。崩れ落ち座り込むタピオン、あれほどのパワーを前にすれば無理はないだろう。

 

「…タピオンよ、お前は神殿に戻るのだ」

 

 タピオンに神殿に帰るように促す。

 今の神殿も安全かどうかは不明だ。俺の予想通りなら今頃セルに強襲されているはず、しかしゴテンクスとピッコロ達なら必ず奴を倒せるだろう。それにこの地球上で彼らの側が最も安全だろう。

 

「…君はどうするつもりだ?」

「ワシはここに残って戦い続ける」

「なっ!?」

 

 座り込んだタピオンに背を向け、俺もまたヒルデガーンに歩みを進める。まだ諦めるわけにはいかない、勝つ可能性が限りなく零に等しくても俺は戦わなければいけないのだ。

 

「無理だ! ヒルデガーンの力は異常だ! もはや俺達にはどうしようもない、君も早く逃げるんだ!」

「…悪いが、そういうわけにもいかん。友人からこの星のことを頼まれていてな、ワシには地球を守り続ける使命がある」

「しかし奴を相手にどうやって…! 勝てる見込みなんてどこにもないだろう!?」

 

 悟空達のことを思い浮かべる。もし彼らがあの世から帰ってきたとき、この星が無くなっていたなんてことだけは絶対に避けなければならない。

 

「なに、勝つ必要はない。奴にほんの少しでもダメージを与えておけば後から来るワシの仲間の勝率が上がる。それだけで戦う意味があるというものだ」

 

 ブウと違いこいつには回復能力があるわけではない。奴も生物である以上、ダメージは受けるし疲労も積み重なるはずだ。悟空達が帰ってきたとき、その時にヒルデガーンが弱っていれば彼らの戦いが楽になる。

 

「そんな…、まさか君は死ぬつもりじゃ!?」

「話は終わりだ。タピオン、早くこの場を離れろ。何もお前までワシに付き合う必要はあるまい」

 

 タピオンとの会話を打ち切り、俺はヒルデガーンに向かって走り出す。雄叫びをあげながら奴もまた俺に向かって走り出した。俺に勝ち目はないだろう。それでも戦いを投げ出すわけにはいかない。

 俺は負けても構わない、最後に俺達が勝てばそれでいいのだ。

 

「ぬおおおおおおおおお!!」

「があああああああああ!!」

 

 仲間を、友を、地球を守るために、俺は捨て身の戦いに身を投じる。

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