大王転生   作:イヴァ

6 / 56
評価、感想ありがとうございます!励みになります!



大王の3年間

「よし、悟飯。少し休憩にするぞ」

「はい、ピッコロさん!」

 

 フリーザ親子の襲来からしばらくして、俺たちは来るべき人造人間に対抗すべく、修行の日々を送っていた。

 悟飯との組手もひと段落つき、少しばかり休憩を挟むことにする。

 

「腕を上げたな悟飯、ナメック星の時と比べてさらに動きが良くなっているぞ」

「ほ、ほんとですかピッコロさん」

「ああ、この短期間でこれだけ力をつけることができれば上出来だろう」

「えへへ、…でもお父さんに比べたら僕なんてまだまだですよ」

 

 そう言って上空を見上げた悟飯につられて俺も空を見上げる。そこでは悟空とコルドの二人が激しい戦闘を繰り広げていた。

 コルド大王、フリーザと共に地球にやってきた謎多き宇宙人。未来からやってきたというトランクスの話が確かなら信用できる奴のようだがそれもどこまで信じてよいか。

 打ち合う二人を見上げながら悟飯に問いかける。

 

「悟飯、お前はコルドの事をどう思う?」

「え、コ、コルドさんですか。う~ん、悪い人ではないと思いますけど…」

(ちっ、孫といい悟飯といい親子そろって警戒心が低すぎる)

「そういえば、最近は修行が終わった後、僕の勉強を見てくれてるんですよ。意外と分かりやすく教えてくれるのですごく助かってます」

「な、べ、勉強をだと?」

 

 ますますあいつのことが分からなくなった。俺は悟飯の勉学に関しては関与することはないがまさかあの野郎が勉強を教えているだなんて想像外もいいところだぜ。

 フリーザと違い、悪事を働く気はないと言っているもののその戦闘力はフリーザに匹敵する化け物だ。手放しに信用するにはリスクがでかすぎるのもまた事実。

 そんな奴を見定めるために二人の戦いを見るのに集中する。

 

「だりゃあ!」

「ぬんっ、せい!」

 

 悟空の放った鋭い蹴りを受け止めたコルドがお返しにといわんばかりに、その大きな腕で殴りつける。

 

「うぁっ! へへ、はぁぁぁぁぁぁ」

 

 たまらず吹き飛ばされる悟空、しかしすぐに急停止したかと思うと全身に力をこめ始めた。

 やがて、黄金のオーラを纏ったかと思うとその髪が金色に染まる。

 

(ちっ、超サイヤ人か)

 

 超サイヤ人、孫悟空がナメック星でフリーザとの死闘を経て習得した姿だ。黄金色に輝くその姿からはとんでもない力が感じ取れる。かなりの距離があるにも関わらずそのエネルギーの圧力に押しつぶされてしまいそうだ。

 

(悔しいが、あの姿の孫と渡り合える戦士はこの地球にはいない。ただ一人を除いてな)

 

 凄まじい速度で急接近した悟空がコルドに向けて連撃を放つ。

 負けじとコルドも殴り返すがやがてその打ち合いの天秤は悟空へと傾いていく。とんでもない威力と速度をもったラッシュにやがてコルドは防戦一方となるが、しかし黙ってやられているわけではない。

 腕を交差し防御に徹していたコルドを殴り続けていた悟空の頬に衝撃が走った。

 

「だだだだだだだだだだ、っ!? くっ」

「ふはは、油断したな」

 

 そう尻尾だ、通常人間が持ち得ない種族特有の部位を生かした鋭い打撃が悟空を襲う。

 不意を突くことに成功し、不敵な笑みを浮かべるコルド。しかしその慢心が命取りだった。

 自らの頬を打ったコルドの尻尾を悟空は素早く掴み、そしてそのまま振り回す。

 

「な!? ぬおおおおおおおおお!」

 

 ジャイアントスイングの要領で何度も回転した後、悟空はその手を離しコルドを投げとばした。その先は…

 

「ちっ、避けろ悟飯!」

「え、あ、はい!」

 

 俺たちがいた地点にとんでもない勢いでコルドが飛んできた、かろうじてそれを躱す。弾丸のようなそれが地面に着弾するとそれは砂煙を巻き上げ大きなクレーターを作り上げた。

 

「孫! 貴様、いったいどこを見てやがるんだ!」

「わ、悪ぃ、ピッコロ、二人とも怪我はなかったか?」

「う、うん。平気だよお父さん」

 

 こちらに謝罪をしつつ地面に降り立つ悟空の姿が黒髪の、いつもの姿へと戻っている。俺はそんな奴を無視し、出来上がったクレーターを睨みつける。

 

(…気に食わんが超サイヤ人となった孫の修行に付き合えるのはコルドの野郎くらいだ。ちっ、二人してムカつく野郎だぜ)

 

 そんなことを考えていると穴からコルドが這い上がってきた。

 

「ぐ、孫悟空よ、お前は手加減というものを知らんのか…!」

「何言ってんだ、手加減なんてしたら修行になんねぇじゃねぇか。それよりまだまだ元気そうだな。よ~っし、それじゃあ続けようぜ」

「ま、待て、待たぬかっ」

 

 再び組手を続ける二人を見てピッコロは考える。

 今この星で最も強いのは悟空に違いない、そしてそれに次ぐのはコルド。悔しいが俺を含む他の戦士はまだこの二人に遠く及ばない。

 俺の中でその事実が、そして悔しさが、怒りとなって燃え上がるのを感じる。

 

「悟飯、休憩は終わりだ、修行を再開するぞ!」

「は、はい!」

 

 見ていろ孫、そしてコルド!随分と差をつけられてしまったが必ず追いついてみせる。このピッコロ様がこの程度で終わると思うなよ!

 

 

 

 

 …とまぁ最近のコルド大王、まぁ俺なんだが、の様子はこんな感じだ。

 トランクスが未来へと帰った後、俺はピッコロと共に悟空親子と修行の日々を送っている。それにともない俺は孫家のお世話になっているのだが、もちろん最初に難色を示したのは悟空の妻であるチチだ。

 

『大王だか大根だが知らねぇがなんで家で面倒見なきゃいけねぇだか!』

 

 はい、まぁ仰る通りです。

 年単位で帰って来なかった旦那がいきなり宇宙人のおっさん連れてきて一緒に暮らさないといけないなんてそりゃ怒りもするわな。少なくとも俺は嫌だ。

 それでも悟空の必死の説得もあってなんとか最後は納得してくれた。本当にこの人には頭が上がらない。

 しかし、俺が言うのもなんだが、孫一家の食卓にコルド大王が混ざってるのは違和感しか感じない。いや、本当に俺が言うのもなんだけど。

 

(すまん、チチさん。人造人間との戦いが終わるまでなんとか我慢してくれ)

 

 それと修行の方だが意外なことに驚くほど順調だ。

 といってもフリーザのように数か月の修行でゴールデンに、なんてことは勿論なかった。別に期待してたわけでもないからいいんだけど。・・・いや、実はちょっぴり期待してた。

 まぁあの例に比べると数段落ちるかもしれないが、この肉体の潜在能力もなかなか大したものだと思う。

 最初の頃は気のコントロールも格闘術も素人レベル、肉体の戦闘力任せに力を振るうことしかできなかったのだ。

 

『こんな奴がかつて宇宙を征服していただと? フリーザの父親と聞いてどんなものかと思えばまさかこの程度とはな』

『う~ん、戦闘力だけはあるから鍛えれば強くなると思うんだけどな~』

『ぼ、僕も最初はダメでしたけど、今はちゃんと戦えるようになりましたしコルドさんも大丈夫ですよ、…多分』

 

 3人の評価に泣きそうになりながらも、涙を堪え必死に修行を続けたのは記憶に新しい。

 それでもなんとか修行を続けていくうちに肉体に眠っていた記憶が目覚めてきた、とでも表現すればいいのだろうか、俺はどんどんとパワーアップしていった。

 その成長速度には3人も驚いてたしなんなら俺も驚いていた。まさかドラゴンボール屈指の噛ませキャラであるコルド大王にここまで才能があっただなんて。

 いまならなんと超サイヤ人の悟空とまともに戦えるほどまで成長できた。なんならこの時点で原作のコルド大王を超えたのは間違いないはずだ。

 

 ちなみにだが、フリーザ一族特有の変身能力に関しても分かったことがある。

 気のコントロールを身につけたことで何となく確信したが少なくとも現段階でコルド大王に変身能力はなかった、というよりかできる気がまったくしない。

 もしかしたら修行を重ねていくうちにできるようになるかもしれないがそれはまだまだ先の話だろう。

 

 それともう一つ収穫と呼べるものがあった。それは俺の背中に背負われた剣である。

 ある日孫一家にブルマが訪れてきたのだ。

 

『ねぇ、コルド大王いる?』

『む、ワシに何か用か」

『あんたの乗ってきた宇宙船なんだけど、あそこに放置しとくわけにはいかないでしょ? それでうちの会社でとりあえず引き上げたんだけどさ、やっぱり宇宙の技術ってすごいのね。もしよかったらこっちでいじってみてもいいかしら?』 

『(まぁ、別に宇宙に戻るつもりもないからいいか)うむ、好きにするといい。なんなら好きに分解でもなんでもしてくれて構わんぞ』

『あら、太っ腹ね。さすが大王様。あ、でももしあんたの私物とかあったら悪いから一応確認してくれない?』

 

 というわけでカプセルコーポレーションにお邪魔して、宇宙船の中身を確認することになったのだが、まー荷物の多いこと。

 大量のスカウターやら光線銃、戦闘服によく分からん装置の数々。並べられたゴツイ戦闘服はきっとコルド大王のものだろうか。

 とにかく数が多いものだからもうブルマの好きにさせるようにした。

 

『この鎧、戦闘服もいらないの?』

『…むぅ、人造人間との戦いに備えて何着かは持ち帰るとするか』

『何だったらあたしが新しいの作ってあげるわ。ベジータにも頼まれてたしちょうどサンプルが欲しかったのよね』

『おお、それは助かる。ならばもうこの船に積まれているものは全て好きにしてくれて構わん』

『オッケー、あ、でもこれはいらないかな』

『これは…、剣か』

 

 そこには一振りの剣が置いてあった。

 ロングソードというか大剣というか、とにかくコルド大王が持つのにちょうどいいサイズの剣である。

 

『うちじゃそういうのは扱わないからその剣は持って帰っちゃって』

 

 ということでなし崩し的に俺の背中に収まることになったのがこの剣である。どことなくトランクスの剣に似ている気もするがサイズが一回り大きいのが特徴だ。

 …もしかしてコルド大王は本当に剣を使っていた?

 原作にそんな描写一つもなかったが、まぁ貰えるものは貰っといていいだろう。そもそも船の中にあったんだし俺が持ってても何も問題ないはずだ。

 

「お~い、コルド~、そろそろ始めっぞ~」

 

 っと遠くから悟空の呼ぶ声がする。今日も今日とて修行のお時間である。

 せっかくだからこの剣を使ってみることにするか。もしかしたらめちゃくちゃ切れるかもしれん。

 ふはははは、超サイヤ人よ、我が剣の錆にしてくれるわ!

 

 

 

 

 余談だが、結構本気で振り下ろした剣は普通に指一本で受け止められた。

 …この世界で剣とか需要あるのか?

 




戦闘シーン、初めて書きましたが難しいですね…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。