大王転生   作:イヴァ

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評価、感想ありがとうございます!
前回の未来コルドのお話、想像以上に好評のようで嬉しいです。


大王と人造人間、戦いの幕開け

 トランクスが未来へと帰り、あれからあっという間に3年の月日が流れた。

 いよいよ決戦の日、戦士たちは人造人間が現れるという南の島の街に集い、その時が来るのを待っていた。

 

「それにしても驚いたなぁ、まさかブルマさんがヤムチャさんとじゃなくてベジータとくっつくなんて……」

「もうその話はいいだろうクリリン。…それより悟空、修行の成果は期待してもいいんだよな?」

 

 自らの恋模様にあまり触れられたくないであろうヤムチャが話を変えるため悟空へと話しかける。

 人造人間との戦い、キーとなるのは間違いなく孫悟空だろう。戦士たちの注目が悟空に集まる。

 

「ああ、ばっちりだ。オラに悟飯、それにピッコロもかなり強くなったと思う。もちろん、コルドもな」

「げげ、こいつもかよ…。ほ、本当に大丈夫なんだろうな」

「安心しろ。少なくともこの3年間、奴が何か企てているような素振りは見せなかった。…いまのところはな」

 

 やはり地球の戦士達の中はまだコルドに対する疑念は拭えないでいるのだろう。修行により更に強くなったというコルドに恐れ交じりの視線が向けられる。

 

「ふふふ、そう案ずるな。人造人間にこのワシのパワーが如何ほど通用するのか。お前たちも興味が湧かんか?」

「ま、まぁまぁ、とりあえずこいつも今は味方ってことでいいじゃないですか。強い仲間が一人でも多い方が皆もいいだろ?」

「そうですよ、僕も3年間一緒に暮らしましたけど、全然悪い人じゃありませんでした」

「…そうだな、人造人間って奴らも相当強いみたいだし、お前が味方なら心強いぜ」

 

 とりあえずコルドを含め、戦士達は一丸となって人造人間と戦うこととなった。

 話がまとまったその時、街で大きな爆発が発生した。

 

「なっ爆発!? まさか人造人間か!」

「そんな…、でも何処にも大きな気を感じないぞ!」

「……おそらく人造人間に気なんてものは存在しないのだろう。この目で直接見つけるしか手はないようだな」

「よし、皆で散って探そう。ただし、深追いはせずに見つけたら皆に知らせるんだ。行くぞ!」

 

 戦士たちは現れた人造人間を見つけるためにそれぞれ街へと飛び立つのであった。

 

 

 

 

 というわけで俺も人造人間を探しているところである。

 空から降りてきた俺に、そして俺の姿に二度驚いている住民たちを無視して適当に歩き回る。

 

(…まぁ俺の出番はないだろう)

 

 さっきはいかにも人造人間と戦いたくてうずうずしてますみたいな発言をしたが、正直な話、俺に戦うつもりは殆どない。

 何せ俺の生存こそが第一目標なのだ。そのためには原作通りに事が進むのが一番望ましい。下手に手を出して原作から展開が逸れてしまえばそれこそ何が起こるか分からなくなる。俺の命も勿論そうだし、下手したら俺以外の戦士の生き死にに関わってくるかもしれない。

 しかし、都合の良い言い訳を心の中で考えながらだらだらと歩いているとそうも言ってられない事態になった。

 

(ん? あれはヤムチャか、げっ、人造人間もいる!?)

 

 ふと、向けた視線の先には、ヤムチャが、そしてそのすぐ近くまで忍び寄る二人の人造人間の姿があった。

 そして老人の姿をした人造人間、20号ことドクターゲロがヤムチャに手を伸ばしその顔を掴み上げた。

 

(ど、どうする、放っておけばヤムチャが腹をぶち抜かれてしまう! …でも死ぬことはないし静観するか? 下手に手を出せばこの後の展開が予測し難くなるし……ええい! 迷ってる場合か!)

 

 一瞬の逡巡、しかしこの状況、見捨てるのはあまりにも酷だろう。

 ヤムチャを襲撃中の人造人間のもとに高速で接近し、その二人を殴り飛ばした。

 

「無事かっ、ヤムチャ!」

「ごほっ、す、すまん、助かったぜコルド。こいつらが人造人間だ! すぐに皆を呼ぼう!」

「……コルド? 何者だ、貴様も孫悟空の仲間か?」

 

 人造人間の二人は平然とした顔で立ち上がり、こちらへと近づいてくる。

 それにしても、やはり俺の事は知らないらしい。ということはデータを収集していたのは原作通りベジータとの戦いまでなのだろう。

 思考を回しながらも油断なく人造人間たちを睨んでいるとやがて騒ぎに気が付いたであろう悟空たちが駆け付けてきた。

 

「二人とも、大丈夫か! …おめぇ達が人造人間だな」

「何故私たちが人造人間であることを知っている? それにあの男も我々のデータにはない…。いろいろと答えてもらわねばな、孫悟空」

「…どうやらおめぇらもオラたちの事を知っているらしいな。ここじゃ人が多い、場所を変えるぞ」

「いいだろう、好きな死に場所を選べ、孫悟空」

 

 

 そして俺と仲間たち、そして人造人間は街から遠く離れた荒野までやってきた。

 ここから孫悟空と19号の戦いが始まる、巻き込まれないようにちょっと離れとくかなんて考えていた時だった。

 

「20号、どうかそこのコルドという男を私に始末させてください」

(へ、俺? なんで!?)

 

 何故か俺が指名されてしまった。なんでだよ、お前らの目的は孫悟空だろ!?

 

「よかろう、データにはないがそいつも孫悟空の仲間、孫悟空抹殺の障害は消してしまわんとな。ただし、油断はするなよ、先程の一撃を見る限りかなりの達人のようだ」

(…やべぇ、さっきヤムチャを助けたときの攻撃でヘイト向けられちまったか?)

 

 正直全然戦う気なんてなかった、なんなら悟空やピッコロの後ろで腕組みして見物する気満々だったというのにまさかこんなことになるなんて。

 

「ふん、どうやら奴らは貴様をご指名のようだぞ、コルド」

「気をつけろ、さっき掴まれたとき妙な感覚がした。こいつらに掴まれるときっとエネルギーを吸われるぞ!」

「吸収か、厄介な能力だけど掴まれなきゃいいんだろ? まぁコルドなら大丈夫だ、おめぇの力見せてやれ!」

 

 しかもとてもじゃないが断れる空気じゃない。完全に俺が一番槍で戦う流れだ。

 …やっぱヤムチャを見殺しにすべきだったか?

 

「というわけだ、コルド、我々人造人間の性能をお前で実演するとしよう」

「…いいだろう、ワシも貴様らがどれほどのものか気になっていたところ。その性能とやら、是非見せてもらうとしよう」

 

 うだうだ考えても仕方ない、3年間も真面目に修行したんだ。

 こうなったらやるしかないだろう。

 

「ひゃほほほ!」

 

 独特な掛け声とともに俺に突っ込んでくる19号、その拳を腕でガードする。

 腕に重い衝撃が伝わる、がこの程度なら許容範囲だ。すぐさま殴り返す。

 

「ぐっ、ひゃはぁ!」

 

 俺の拳をもろに顔面で受け止めた19号、しかし奴はその場で堪え、両手を広げ俺に掴みかかってきた。エネルギー吸収狙いの安易な行動、それに捕まるほど俺もバカではない。

 

「甘いわ!」

 

 俺の前蹴りが19号の腹に直撃する。たまらず吹き飛ぶ19号。

 こういうときコルド大王の大きな体格は役に立つ、何せリーチが倍以上にあるのだ。19号の体格では俺に掴みかかるのは一苦労だろう。

 

(そう易々と捕まるもんかよ、エネルギー吸収は厄介だが、種が割れてりゃ戦いようはいくらでもあるんだ)

「ぎ……! はぁっ!」

 

 それからの攻防も終始俺の優勢だった。

 吸収されると分かっているなら気功波の類は使わない、直接掴んで吸い取ろうにもリーチの差に加えて俺もそうさせないように立ち回るのだ、19号からすれば戦いにくくてしょうがないだろう。

 次第に人造人間たちの表情に焦りが見えてくる。

 

「…まさかこれほどの実力者が仲間に加わっているとは、完全に計算外だ」

「す、すげぇ。コルドの奴、とんでもない強さだっていう人造人間に圧倒的じゃないか! これならなんとかなりそうだぞ!」

「当然だ、奴は超サイヤ人に変身した孫と互角にやりあえる実力を持っているんだ。奴の実力はまだまだこんなもんじゃないぞ」

「……へへ、コルドの奴、まだまだ力をセーブして戦ってやがるな…」

 

 俺たちの勝負を観戦している戦士たちの間に楽勝ムードが漂っているのを感じる。

 …正直俺は戸惑っている、勿論負けるつもりはなかったが、なんというか、予想以上に圧倒できているのだ。もしかして俺ってかなり強いのでは?

 なんて油断して負けたら笑い話にもならない、ここは容赦なく勝負を決めさしてもらおう。

 

「どうやら貴様らの性能とやらも大したものではなかったな。このワシには到底及ぶものではない、そろそろ終わらせるとするか」

 

 決着を宣告し、大袈裟な素振りで手にエネルギーを集中させる。それを見た19号が表情に歓喜の色を浮かべる。

 それもそのはず、奴らはこの攻撃を待ち望んでいたのだから。

 

「ずぁっ!!」

「しめた! 吸収しろっ19号!」

「ひゃは!」

 

 俺の放ったエネルギー波を手から吸収した19号、その光景に戦士達が驚愕する。

 

「な!? こいつら、直接触れるのではなく気功波の類も吸収できるのか!」

「はぁーーーっ……?」

「馬鹿め、今更気づいてももう遅い! ………どういうことだ、19号のパワー値が殆ど変化していない?」

 

 直接対象に手を触れずとも、気功波などのエネルギーを吸収する、奴らにとっては初のお披露目だろうが俺はそれを既に知っている。

 驚くことでもないし逆にそれを利用することが俺の作戦だ。

 追い詰めたところで敢えて威力の低い気功波を放ち、それに注意を向けさせる。おかげで簡単に奴の背後に回れた。

 

「っまずい! 19号後ろだ!」

「ふはははは、終わりだ!」

 

 ドクターゲロが声を上げるがもう遅い。

 19号がそれに反応するよりも早く俺の剣が振り下ろされた。

 

「じ、人造人間が、真っ二つに……」

「ば、馬鹿なっ! 19号をこうも簡単に倒してしまうなんて!?」

「や、やった、コルドの勝ちだ!」

 

 決着は付いた、縦に一刀両断された19号はもはやその機能も停止し、地面に倒れ伏している。

 

(マジであっけなかったな、楽勝だったぞ…?)

 

 想像以上の快勝に少し戸惑う、まぁ原作でも悟空が心臓病に冒されていなければ順当に勝てる相手みたいだったしこんなものなのかもしれない。

 一人残されたドクターゲロに意識を戻す。

 

「さぁどうする人造人間よ、貴様のお仲間はあっけなくワシが倒してしまったぞ?」

「ぐっ…、…ふふ、確かに貴様は想像以上に強いようだが、その程度では人造人間には絶対に勝てんぞ」

「(17号と18号のことか…)ほぉ、とてもそうは思えんがな」

 

 冷や汗をかきながらも怪し気に笑うドクターゲロを前にして思考を巡らせる。

 

(さて、どうする。多分だけど俺だけでもここでゲロを倒すのは可能だと思う。…でもそうすると原作から大きく流れが変わってしまう、後々の事を考えると見逃すのがやはり正解なのか?)

 

 ここでゲロを倒してしまい、17号達を起動前に破壊してしまう、そうすれば後に現れるであろうセルも大した脅威ではない。しかしそうすると戦士たちの成長がどうなるかが想像できない。それこそ、後のブウ編でダーブラ相手に全滅なんて可能性もでてきてしまう。

 思考を巡らしていると悟空の身に異変が起きた。

 

「はぁっ…、はぁっ…、ぐ、苦しい…」

「ご、悟空? どうしたんだよ」

「お、お父さん?」

(しまった、心臓病か!)

 

 今後の展開への思索、そして悟空の心臓病、その二つにより俺の意識が逸れたことをドクターゲロは見逃さなかった。

 

「……今だっ!」

「し、しまった! 奴が逃げたぞ!」

「まずい、岩山に逃げられた、あれでは探しようが…いや、今は孫が先だ!」

(くそ、油断した。…でもこれで原作通りだ、慌てる必要はないはず)

 

 慌てて悟空に駆け寄る一同、そして俺たちは悟空のことについて話し合った。

 

「くっ、例の心臓病がまさかこんなタイミングで発症するとは…、誰か孫を家に連れていけ! あの時受け取った薬を飲ませてくるんだ」

「よし、じゃあ俺が連れていく。情けない話だが俺が一番役に立ちそうにない…」

 

 名乗り上げたのはヤムチャだ。原作通り彼が悟空を連れて離脱することになった。

 悟空を担ぎ上げたヤムチャはこの場を離れようとする。

 

「皆、頑張ってくれ! …っとそうだ、コルド、さっきはありがとな。まさかお前に助けられるとは思わなかったぜ」

「…なあに、気にするでないヤムチャよ。我々は今や仲間同士、助け合うのは当然ではないか」

「はは、正直さっきまではお前にびびってたが俺が間違ってたぜ。お前がそう言ってくれるなら心強いよ、俺が言うのもなんだが皆を頼んだぞ!」

 

 そう言ってヤムチャは悟空の家に向かって飛んで行った。

 …すまんヤムチャ、実は見捨てようか迷ってましたなんて考えていた俺を許してくれ。

 

「よし、俺たちは奴を追うぞ! まだそれほど遠くまで逃げてないはずだ、手分けして探すんだ!」

 

 ピッコロの号令で戦士たちが散らばる、俺もそれに続いて周囲の捜索を開始するのだが。

 

(…本当に奴を逃がしてよかったのか?)

 

 言い知れぬ不安が、何かとんでもない間違いをしてしまったそんな感覚が俺を襲う。

 …大丈夫だ、今のところ概ね原作通り、なにも問題はないはず。

 そう自分に言い聞かせドクターゲロを探し続けるのだった。




コルド大王の戦闘力は超サイヤ人と同じくらいで考えております
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