評価、感想ありがとうございます。
誤字報告もとても助かります。
人造人間20号こと、ドクターゲロの捜索を始めた俺たち、その捜索は予想外にもすぐに終わった。大きな気を持つ何者かが戦闘を開始したのだ。戦士達と俺はすぐにその場所に向かった。
「あそこにいるのはベジータ! 人造人間と戦ってるぞ!」
「あれは超サイヤ人!? な、なんであいつが超サイヤ人になれるんだよ!?」
そう、逃げたドクターゲロとベジータが戦っていたのだ。
しかもベジータは超サイヤ人に変身しており、ドクターゲロを圧倒していた。
「はぁっ、はぁっ、お、おのれ! まさかベジータがここまで腕を上げていたとはっ!」
「ふん、人造人間がどれほどのものかと思えば…、まさかこの程度だったとはな」
「…超サイヤ人となったベジータの実力はおそらく孫やコルドと並び立つだろう。まさかこんな結末になるとは…、やはり歴史は変わってしまったみたいだな」
「エネルギーを吸収するのには驚かされたが、それにさえ気を付けてしまえば大した敵ではない。…そろそろ終わらせるか」
ベジータが止めを刺そうとしたとき何者かがこちらに近づいてくるのに気が付いた
(この気は、トランクスか? いや、でももう一人いる、誰だ?)
他の皆も接近してくる二つの気を感じ取ったのだろう、そちらに意識が集中する。
そのせいか、接近するもう一つの小さな気の発見に遅れてしまった。
「あ、いたいた。ヤッホー、もう人造人間は倒したのー?」
「ブ、ブルマさん!? なんでこんなところに、危ないですよ!」
「…しめた! 貴様らがどれほど強くなろうと無駄だ、私の生み出した人造人間達がいまに貴様らを殺しに来るぞ!」
(人造人間達?)
ゲロの言葉に違和感を感じる、が今はそんなことを考えている暇はない。
飛行機に乗りこちらに向かってくるブルマ、その存在に気が付いたゲロがビームを放つ、それは周囲の岩肌を破壊し土煙をあげながらブルマの乗る飛行機へと向かっていった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「っ、母さん!」
それを助けたのはトランクスだった。原作通り再び未来から助っ人に来てくれたのだろう。
しかし、現れたのはトランクスだけではなかった。
「大丈夫でしたか!?」
「あ、ありがとう、君たち。助かったわ。…それでそちらの方は誰?」
(あ、あれは!?)
俺は事前に聞かされていたが、それでも実際に目にすると驚きが隠せない。
ブルマの、そしてトランクスと現れたもう一人のもとに戦士たちが集まる。
「…皆さんにとっては初めまして、ですね。俺は孫悟飯、20年後の未来からやってきた孫悟飯です」
「「「な、なんだって!?」」」
そこにいたのは未来の世界の悟飯、本来であれば人造人間との戦いで命を落としていた筈の戦士。所謂、未来悟飯といえば分かりやすいだろうか。
「…なるほど、話には聞いていたが、未来の悟飯よ。お前もトランクスと共に未来から来たというわけだな」
「はい、コルドさん。俺たちも人造人間との戦いに協力します」
「ま、待てよ、俺たちにも分かるように説明してくれよ! いったい何がどうなっているんだ!?」
「そうですね、もう隠す必要もないでしょう。皆さんには全てお話しします」
そして未来悟飯とトランクスは全てを話し始めた。
未来の世界は人造人間によって破滅させられたこと、そして自分たち二人はそんな未来を変えるために過去へやってきたという事。やはり、というべきだろうか。現代の戦士たちはその話に誰もが驚愕していた。
「ま、まさか未来からやってきたとはな…、でもそっちの悟飯を見れば嘘じゃないって分かる気がするぜ。お前から感じる気は大きさこそ違うがまちがいなく悟飯のものだ」
「な、なんだか不思議な気分だな。未来からやってきた自分に出会うなんて…」
「しかし俺たちの世界で人造人間を倒してもそっちの世界の人造人間が消えるわけじゃないんだろう?」
「それについては問題ないはずだ。こちらの世界でその方法を探し、未来の世界でもそれを参考にして戦うのがお前たちの目的なのだろう?」
「ええ、…しかし、想定外な事態になってしまいました」
未来から来た二人の表情が曇る。そしてさっき俺が戦った19号、そして20号が自らの知る人造人間たちではないこと、未来の世界を襲った17号と18号の存在を語り始めた。
「先ほど、真っ二つに両断された人造人間を見つけましたが、あれは俺たちの知る人造人間、17号と18号じゃない。きっと以前俺が過去にやってきたことで歴史が変わってしまったんだと思います」
「で、でもよ悪いことじゃないんじゃないか? なんにせよあと一人倒せばいいわけだし…」
「いや、奴が去り際に放った言葉、まるで他にも人造人間がいるような口ぶりだった。楽観視できる状況ではないだろう」
「ねぇ、あいつきっとドクターゲロ本人よ。前に科学者の本で見たことあるわ」
「なに? どういうことだ、説明しろブルマ」
そしてブルマはあの人造人間が自らを改造したドクターゲロ自身であること、そして奴の研究所の大まかな場所を説明した。
「急いで研究所に向かいましょう! ゲロが17号と18号を目覚めさせる前に!」
「ふん、貴様、未来の俺の息子のようだが、まさかそんな腑抜けたことを言うとはがっかりだぜ。目覚めさせてやればいいだろう、俺がまとめて破壊すればいいだけの話だ」
「な、父さん!」
そう言い残すとベジータは一人で飛んで行ってしまった。
「く、なんて自分勝手な奴なんだ…、でももう二度と父さんを死なせはしない!」
「待つんだトランクス!」
未来の悟飯の制止も聞かずにベジータを追うトランクス。
俺の知る本来の歴史通り、このままでは17号と18号、そして16号は起動してしまうだろう。
「やはり人造人間は動き出す前に破壊するべきだろう、おい、悟飯!」
「「はい!」」
「……こっちの悟飯だ、お前はブルマを安全な所へ運んでやれ。未来の悟飯、お前は俺たちと共にこい。ベジータよりも先に何としてでも研究所を見つけ出すんだ」
とりあえずの方針は決まった。
ブルマと赤子のトランクスをこの世界の悟飯に任せ俺たちもゲロの研究所を目指し飛んでいく。
「あの…、コルドさん。こちらのお父さんはいまどこに?」
「孫悟空はついさっき心臓病を発症した。先ほどヤムチャが奴の家に運んで行ったところだ」
「そう…ですか。やはり心臓病に…」
「案ずるな、未来の悟飯よ。奴の家にはあの時トランクスが渡した特効薬がある。お前の知る歴史をなぞることはあるまい」
「…そうですね、ありがとうございます、コルドさん」
そうだ、俺に加えて未来悟飯というイレギュラーが増えているとはいえ、今のところ原作通りに進んでいる。なんなら戦力自体は本来より増えているのだ。
きっと17号たちは起動してしまうが、それこそが本来の、原作通りの展開なのだ。
ただ、そのはずなのに先程から何故か胸騒ぎが止まらない。
(…大丈夫、全部予定通りの展開、何も問題はないさ)
妙な違和感を抱きつつも、俺たちはドクターゲロの研究所を探すため、北へ向かうのであった。
△
北の山脈エリア、戦士たちはドクターゲロの研究所があると噂されている山岳地帯までたどり着いた。
「うぅ~~、やっぱり北の方は寒いな…、お前らは平気なのかよ?」
「ふ、我ら一族は宇宙空間でも活動できる。この程度の寒さ、何の問題もない」
「そ、そういえばそうだったな。くっそ~、羨ましい体してやがるぜ」
「そんな話は後にしろ、今はドクターゲロの研究所を探すことに集中するんだ…っ、なんだ!?」
「ば、爆発…すぐに行ってみよう!」
突如鳴り響く爆発音、戦士たちは急いで現場へと向かう。
そこには既にトランクスとベジータが到着しており、岩肌に露出した研究所のような施設を見下ろしていた。
「お前たち! ドクターゲロは、人造人間はどうなった!?」
「ゲロの野郎は殺されたさ、あれをみてみるといい」
ベジータの視線の先、そこには既に事切れたドクターゲロ、そしてその死体の傍らに立つ二人の人造人間の姿があった。
「17号、それに18号まで! くっ…間に合わなかったか!」
「す、すみません、悟飯さん、俺たちがたどり着いたときには、もう…」
「おい、待て! もう一人いるぞ!?」
「よう、お前が動いているところを始めて見るよ。お前、型番は?」
「…16号だ」
「なるほど、俺たちよりもひとつ前のモデルというわけか」
「16号だと!? し、知らないぞっ…あんな人造人間は…」
「し、知らないだって!? いったいどうなってるんだよ!」
未来からきた二人の情報にない新たな人造人間、その存在に戦士たちの間に動揺が走る。
落ち着いているのはこの事を知っているコルド、そして絶対的な自信を己に持つベジータの二人だけだ。
「皆、落ち着け。本来の歴史より戦力が増えたのはこちらも同じこと、何も焦る必要は…」
「ふん、この俺様にやられる人造人間が一人増えただけに過ぎ…」
コルドとベジータの言葉が途切れる。
2人を加えた戦士たちの、その全員が目の前の光景に言葉を失った。
未だ煙の上がる研究所、その奥から現れる新たな3人の人影。
「…であんたたちも人造人間なわけ?」
「「…」」
「ああ、悪いな、こいつらはまともに言葉を話せないんだ。代わりに俺が紹介しよう。この大きいのが14号で背の低い方が15号、そしてこの俺は13号だ」
16号に続き現れた新たな3人の人造人間、並び立つ6人の人造人間に誰もが言葉を失った。
「ば、馬鹿なっ…、こ、こんなことが…」
「ちっ、おいトランクス、それに未来の悟飯! お前たちの話だと人造人間は2人の筈だろう、どうなっていやがる!」
未来の二人による情報を大きく上回る6人の人造人間、原作を知るコルドですら予想だにしない悪夢のような光景にベジータさえも動揺を隠せない。
「そ、そんな…、どうしてこんな、人造人間が6人だなんて…」
「ありえない、ま、まさか俺が歴史を変えてしまったからこ、こんなことに…?」
ベジータの問いかけも届かず、ただ、呆然とすることしかできない未来悟飯とトランクス。
そしていまだ固まる戦士達を置き去りに人造人間たちは話を進める。
「それにしてもあの爺、まさかこんなに人造人間を用意してるなんて、ほんっとうに気持ち悪い奴だね」
「まったくだ。ゲロの奴、よっぽど孫悟空に執着していたらしい。ま、いいだろう、そろそろ行くか」
「行くってどこにさ」
「決まってるだろう、孫悟空を殺しにさ」
いつも本作をお読みいただきありがとうございます。
今まではある程度書き終えていた文章を加筆、修正して投稿していたのですがついにその書き溜め分が無くなりました。
これからは投稿頻度が落ちるかもしれませんが気長にお付き合いいただ
けると幸いです。