ドキッ!!憑依の先は銃社会!! 作:ひなちゃ
なーんか黒服解釈違いな気が……。すまん許して……。
「━━━━━クックックックッ。漸くお目覚めですか?」
目が覚めた時、訳の分からない真っ黒な存在がいた。人型のような影。しかし右目辺りを中心にひび割れして中から何かが溢れている。今しがた喋ったのはこの目の前の異型な存在からだろうか。
「かなりお眠りされていたようで……。薬の効き目はそこまで無いはずなのですが。ご気分は如何ですか?」
「……最悪の気分」
「それはそれは。今回の実験はかなり貴方に負担をかけることになってしまった。流石にやり過ぎてしまったと反省しています」
どの口が。というか口あるのか。
反省の色すら伺えない異形の存在は、手元に持っていたボードに挟まれた紙をペラペラと捲りながら興味深そうに頷いた。
「
とても愉快に、そして高揚した音色を発する謎の存在。一体なんの話しをしているのか、全く理解出来ていないが周りを見てなんとなく想像してしまった。
「どうです?このまま
「……えーと、さ」
「はい。どうされましたか?了承して頂けますか?」
「……おまえ、だれ?」
「………クックックッ、クッ?………おや?」
色々言いたいけど、まずおま誰案件。
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「…………つまり、貴方は元の人格では無いと?」
「……あぁ。その、なんていうか………俺が覚えてる限りじゃコンビニで白いたい焼き買ってたはずなんだが。手元にコンビニの袋とか持ってねぇし、気付いたら変な部屋にベッドの上で裸で寝転がってるし………。挙句の果てには周り一面真っ赤。………全く記憶に無いんだが?」
「……ふむ。それはそれは……興味深い。苦痛や恐怖心から来る意識の引きこもり……とは違う。明らかに別人が入り込んでいると………?」
ウンウン唸る謎の存在。曰く黒服と呼んで欲しいそうなのだが、ここはあれか。異星人の施設内なのだろうか。いつの間にか拉致され、そのまま研究材料に解剖されまくってたとか。
「少し質問させてもらっても?」
「ああ、構わない」
「貴方のお名前は?」
「○○○○って言うんだが」
「失礼、もう一度お願いしても?」
「ん?ああ、○○○○だよ」
「………驚きました。まさか、私の知らない単語が出てくるとは……。他にも質問宜しいですか?」
質問はその後4個された。出身、自分についての直近の記憶、世界情勢、
どれもこれも全く分からんし知らん。名前は覚えていた筈なのに何故かさっきまで何をしていたのか思い出せなくなっていた。
「単なる記憶喪失では無い様ですね。しかし、身体と精神の所有者が違う……。と、すれば…………クッ、クックックックッ、クックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックックッ━━━━━」
「え、怖」
え怖。なんかいきなり笑い出したんだが。なんというか物凄い笑い方に個性を感じて余計怖いんだが。表情無いのに笑い声上げるとかキショすぎる。いや見た目もきしょいが。
「……ゴホンッ。いえ、失礼。少々取り乱してしまいました」
「かなりの間違いでは?」
「……クックックッ、しかしこれは稀ですね。稀と言っても例を見ないものなのですが。私も、空想……所謂想像の範囲内で語られているあるかもしれない程度の概念でしか把握していなかったのですが」
「どういう事だ?」
「言ってしまえば、これは憑依というものですよ」
憑依、と言うとあれか。意識が他のものに移るというやつか。
「主に神降ろし、神宿し、憑き物。狐の霊や死者の魂が乗り移る現象の事ですね。私も初めて体験しましたが、本当に前の人格とは変わっていますね」
「前の人格ってどういう奴だったんだ?」
「大らかな方でしたよ。自身の境遇を察し、自身に何が出来るか模索し続けたとても前向きな方でした」
「……悪かったな、そんな奴じゃなくて」
「私は何も言っていませんが?……しかし、私の中の研究欲とは別に、彼に対して哀憐を抱いておりまして。時たま、彼の苦痛に耐える表情は私にもくるものがありました」
「やってる奴が同情とか笑えんわ。この身体の元主が何を求めてアンタに研究したのかは知らんが、同情向けるなら最初からやめろよって思うだろうな」
「お互い利害関係があったからこその協力関係ですよ。しかし、中身が違うとなればこの関係も終了とはなりますがね」
「というか、よくもまあ俺が別人だと分かるな。もしかしたら演技かもしれないのに」
こんな憑依だのなんだのまやかし事、普通なら信じないのだが。この黒服という存在は、あまり疑っていない様子。
きな臭い気はするが、何処となく黒服自身はそういう概念があるのだと確信している節がある気がする。
「ふむ。端的に言えば、別人だと確信している点は主に2つです。まず1つ目が、貴方が目覚める前は実験の最中でした。その実験前に会話した時の
「明確な差?」
「覇気の違いですよ。目覚めた時、貴方から感じる雰囲気は短い期間ですが感じて来た雰囲気とはまるで別物でした。キヴォトス中に広がる神秘。貴方が纏うそれは言ってしまえば色が違ったのです」
「神秘だぁ?」
知らない単語だ。神秘。なんともファンタジーな単語だ。
「神秘というものは、このキヴォトス内に広がる知覚できない未知の概念です。この世界に存在する者たちの原動力と言ってもいいでしょう。三大欲求で満たされる生物故の性ではなく、個体を示す個人情報を作る為のものと言ってもいいでしょう」
「なんだそれ。名前とかそういう感じなのかよ。この世界に存在するって、その神秘っていうのに違いがなくて同じやつが降り注いでたら全員同じになるから個人情報もクソもないんじゃねぇの?」
難しい話は分からんが、神秘が個人で分けられるって言うなら話は別だけど、個体差が出ない仕組みじゃみんながみんな血を分け合った兄弟的な感じになるんじゃねぇの?
「その為のヘイロー、ですよ」
「ヘイロー?次は天使の輪っかかよ……、ここは天国ってか?」
「クックックッ、残念ながらここは天国ではありませんよ。天国に悪魔のようなツノの生えた存在は居ないでしょう」
「しっかり堕天してるじゃねぇか」
「ッ、それは盲点でしたね」
何楽しんでんねん。こちとら難しい話で理解し取らんのやがこの野郎。
そんな前代未聞みたいな、若干こいつの表情もわかってきたぞ。こいつは今物凄く驚愕してる。
「まあ話はざっくりとですが、この世界では貴方が考えられない事がこの世界では常識の範囲内なのです。……ほら、そう考えると今の貴方はこの世界の常識が通じていない。これは貴方が別の人格であると強く主張しているのと同じなのでは?」
「……なんか腑に落ちん。そんなデタラメで俺を馬鹿にしてるとかあるだろ」
「何故私が貴方を……。理解不能ですね。この場でそんな茶番劇をするわけないでしょう」
「けど俺はお前の事全くしないわけだから。そういう事するかもしれないって思うのは普通だろ?」
「……ふむ。まあ確かに。と言うよりも、貴方自分で自供しているではないですか」
「いやまぁ……。実際別人であるのは認めるけどさ」
なんか一気に現実に戻された感じだ。なんなんだろうな。変な気持ちだよほんと。
「……で?あと一つはなんだったんだよ」
「あと一つ?……あぁ、その事ですか」
何か言い淀む黒服。先程とは打って変わって、何か言いずらそうな雰囲気だ。今更そんな事気にするのかねこの異形は。
「なんで黙るんだよ。はよ言えや」
「……ふむ。話さなくても良いでは無いですか。私は別人だと確信を得られ、お互いに納得したのですから」
「いや勿体ぶるなよ。はよ言えよ」
「……まあいいでしょう。貴方の性格からして、特に気にするものでも無いでしょうから」
「気にする?よくわからんが多分大丈夫」
「その根拠はなんなのですかね……。分かりました、ではお伝えしましょう。もう一つの核心とは」
「━━━━━貴方が、
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「━━━━━なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでッ、なんでなんでッ!!!なんでッ!!!どうしてッ!!!どうしてッ!!!????」
行き場のない鬱憤が、目の前の壁に吐き出される。打ち付ける頭からは流血が。打ち付けられる壁は既にボロボロに崩れそうになっており、壁一面に所々血飛沫の跡が残っている。
「━━━━━駄目っ、本当に駄目だって!!落ち着いてっ!!」
後ろから羽交い締めにされるも彼女よりも力の強い少女は、涙を流し、悔しさと悲しみと怒りをごっちゃ混ぜにした表情でひたすら自傷を繰り返す。
「落ち着け?落ち着けってなんですか?落ち着けってなんなんですかっ!?もう
「それでもだよっ!!そんな事してっ、あの子が喜ぶと思うの!?そんな姿を見て、あの子が嬉しいって思えるの!?自分を思って自分の体を傷つけたって感謝すると思うのっ!?」
「それでもっ、それでもですよっ!!情けない自分が恥ずかしいんですッ!!!自分でっ、自分で護ると言っておきながらこの体たらく………っ。……情けない、情けないっ、情けない情けない情けない情けない情けない情けない情けない情けない情けないっ、情けないぃ情けないぃっ情けないっ情けないぃいッ!!!」
今度は壁を殴る。軋む壁が何度も撃ち込まれて今度こそ決壊する。
情けないと呟き、ゆっくりと座り込んだ少女は情けないと呟きながら地面を殴る。拳からも既に流血が始まっていた。
「……本当にっ、本当に駄目だって……っ。もう、もう止めてよっ」
「……死んじゃえよこの役たたずっ。お前に守るなんて大層なこと出来なかったんだっ。お前が調子に乗るからっ、お前が姉ズラするからこんな事になってるんだろっがぁあっ!!巫山戯んな巫山戯んな巫山戯んな巫山戯んなぁああっ!!!」
「━━━━━返してよっ!!私の
「━━━━━ごめんね、ごめんね……っ。こんな事しか出来ないダメな先輩で、ごめんね………っ、ホクト君…………」
髪の短い
寂れた校舎に響く二人の泣き声は、誰も止めるものもおらず、それが返って今までの
色々考えたけど、っぱ曇らせはいきり立つわ