ドキッ!!憑依の先は銃社会!! 作:ひなちゃ
「━━━━━
「彼は、いつも目覚めると呟くのですよ。姉に何かしてないか、とね」
「なんだよそれ。お前此奴のお姉さんに何かしてんのかよ。枕とか?」
「……枕?あぁ、所謂芸能界での隠語ですか。いいえ私にそのような欲はありませんよ。私には探究心がありますので」
「……なんかそれ言い訳に聞こえるんだが。その性欲は無いけど探究心はあるよ僕偉いっみたいな感じで言われてもさ」
この辺なところで出る茶目っ気みたいなの何なのだろうか。見た目によらず此奴意外と接しやすい?
「で、お前が言うのをやめたって言うのは、この事実があるからって事か?」
「その通りです。……正直、貴方の心情に変化があるのでは無いかと思いましたが、あまり変化は無さそうですね」
「……んー、まあ思わない訳じゃないけど。こりゃ俺にはどうしようも無いしさ。原因も俺にあるのかって言われたら俺は思い当たんねぇから、特にふーんってぐらいの気持ちかな」
我ながら冷たいとは思うが、罪はそれを認めて重さとなる。俺にはその罪とやらが分からないので、罪とは思わない。
けどまあ、それでも全然気にしてない訳ではないのも事実。
「けど、この身体勝手に奪っちゃったって言うのは申し訳ないなって思う。此奴は俺に憑けられたく無かっただろうし、俺も此奴に憑きたくはなかった。お互い被害者同士でも、その影響でこの身体の主の人格はどっか行っちまった。色々と申し訳なさでいっぱいだぜ」
「意外と情にあついのですね。少しばかり驚きました」
「ちょっと待て何処に驚く要素があったんだよ」
「確かに彼には強い意志があった。だから私の研究にその身を捧げた。契約上とは言え、私の史観ではありますが、とても姉想いの良い方なのでしょうね」
「おい俺の話聞けよ。てか、そんな同情向けるくせにやる事はちゃんとやるんだな。どうやったらこんな惨い惨状になるわけよ」
こんな血が飛び散ったベッドで未だ寝転んでいる俺もそうだが、同情してる癖にやる事は酷いこととか情緒不安定過ぎてる。笑いも浮かべれんわ。
「そんな存在にそのような態度を取れる貴方もお互い様ですと呼べる様な存在なのでは?」
「多分世界一おまいう案件の気がする。お前に言われるなんてよっぽどやぞ」
「感情の欠如ですか?それともこの環境に慣れているのでしょうか?貴方は貴方で興味深いですね」
「話進めんなよ。マイペースかよこいつ」
「話は変わりますが、貴方は今後どうされるのですか?私は前の人格者としか契約を交わしていませんので、この契約は元の人格が戻るまでは保留となってしまうのですが」
なんか、意外な言葉を聞けた気がする。
「そのまま契約とやらの継続をしないんだな」
「私の主観ですよ。魂と肉体は揃ってこそ個人を示す。契約においてそれは例外が適用される意外遵守しなければならないことですので。片方が欠落している貴方では、私の主観に反する」
「ちゃんと考えてるんだな」
「当然でしょう。私は
「……うぉっ、お前がそんな臭いセリフ吐くとか似合わねぇー」
「……貴方は私に何か恨みでもあるのですか?」
「もしかしたら元の人格の感情を拾ったのかもな。お前の事俺そんなに好きじゃねぇわ」
「……可笑しいですね。彼には誠心誠意しっかりと契約上の元、しっかりと対応させて頂いたのですが」
「それがこの惨事でしょ?笑えねぇよ」
なんか、此奴結構歪だよな。まあそれが大人って存在なのかもしれないが。感情という一緒くたになりそうなものにしっかりと制御が効いている。冷徹な大人の典型だな。
「……あー、話を戻すが、これからの事だよな。ぶっちゃけそこまで決まって無いんだけどよ。幾つかきいてもいいか?」
「なんですか改まって。あなたの事ですからもっと一方的に喋り出すものかと」
「ちゃんと弁えてるよ。でだ、まず1つ。この身体の主はアンタと何を対価に契約した?」
「ふむ?何故そのようなことを?」
「さっき言っただろ。俺なりに申し訳ねぇと思ってるって。なら、俺がその後を引き継ごうって話は至極真っ当じゃねぇか?」
「確かに、それは一理ありますね。しかし、この契約を結ぶにあたり、お互いに契約時の内容は他人に漏らさないと決めていますので。残念ながら…………、と言いたいところですが。貴方には言ってもいいでしょう」
「なんじゃそりゃっ。お前、さっき主観だかポリシーだかでうんぬんかんぬん言いながらキメ顔してたのに自分の言葉自分で否定するのかよっ」
「これはあくまで契約上の話ですよ。現在は本人が戻るまでは停契中なのですから、話しても問題ないでしょう」
「変な抜け穴だな。で、その内容は?」
「ざっくりと言ってしまえば、借金を返す為に身売りを行ったという事です」
「……借金?」
キヴォトス説明の時に聞いた各地区を学園統治で成り立たせている世界。この体の主もその学園のうちの一つに通っているそうだが、その学園では借金があったのだとか。学生からの借金って……。奨学金制度じゃあるまいし。
「それは一生徒の借金ってわけじゃねぇよな?」
「はい。学園の借金です」
「……えぇ、じゃあ少なくとも億単位?エグすぎ……」
「それを返済する為に……。いえ、この契約は私がその弱味に漬け込んで契約させたのですが。そういう事です」
「……おま、さっき責任ある大人とか言っときながら、子供に対して容赦ねぇな。まあそういう合理的な対応が大人所以のもんちゃもんなんだけどさ……。いくら学園に通う生徒が公共管理してるとは言え、流石に冷たすぎんか?ビジネスとは言え、子供に寄り添うのも大人の甲斐性じゃねぇわけ?」
「ふむ。仰りたいことは分かります。が、それはそれ、これはこれという事です。大人は皆利害関係を見て付き合いを決めるのは社会人の基本です。売上を気にする企業はそれが根強い。子供だろうと使えるものは使い、搾取出来るものは搾取する。そこに年の差など、大人子供など関係ない。あるのは単純、利用するかされるかだけです」
「お前は?その探究心とヤらに引かれて此奴に興味を持ったと?」
この男は研究者といったか。つまり研究に対しては情熱を注いでいると思ってもいい。こいつが一体何に引かれたのか、この世界で生きるこれからの俺にも多分必要な事になってくるはずだ。
「ふむ。いえ実は、本当に興味があったのは、彼ではなく彼の姉の方なのですよ」
「あの話題の姉ちゃんか?なんでまた」
「私の研究は神秘について紐解くこと。その為に、このキヴォトス最高の神秘を誇る彼女に是非とも研究対象になって頂きたかったのです」
「ほぉん。最高の神秘ね。そんな神聖視してるんだ」
「しかし、彼女は一筋縄ではいかない。ならばどうするか。私は、彼女に双子の弟がいる事を知りました。最高の神秘と呼ばれる姉の弟。興味は湧きませんか?」
「……んん〜、まぁ確かにな」
「私は彼を勧誘し、彼と契約を結んだ。契約を結んでからはや一ヶ月程。そろそろ実験の効率を上げようとした矢先、貴方が現れたというわけなのですよ」
「……んっ、つまり俺が邪魔したと」
「そこまでは言いませんが、まあそう捉えることも出来ますね。ですが、私は貴方という存在を見ることが出来てかえって興味が湧きましたよ?彼以上に」
「うぉえっ、なんでこっちに標的むくんだよ……」
「貴方が研究しがいのある存在になってしまったからですよ。諦めて私と契約を結んでください」
「何言ってんだボケ。契約内容も契約結びましょうすら提案されてないのに契約しろって脅迫するとかまじ大人として終わってんぞ」
「では一からやり直しましょう。私は、貴方の身体を研究したい。故に、私と契約を結びませんか?」
黒服からの要求は1つ。俺の現在の状況の研究。報酬は望むものを与える事。
ぶっちゃけ痛いのは嫌なんだよなぁ。この惨状見る限りじゃ痛いどころの話じゃないけどさ。というか。
「待て待て待て、催促しといてあれだが、まだ俺の質問は終わってない」
「おや?一応質問を先読みして潰しておいたのですが、まだあるのですか?」
「全然潰してねぇわボケ。というかおま、さっさと契約結びたいだけだろおい」
「そんな当たり前のこと言わないでください。研究対象としては眉唾物のものが私の目の前にいるのですよ?今すぐにでも、了承無しで貴方を隅々と研究したいのですが。寧ろ感謝して欲しいですね。無理やり貴方を襲っていない事に」
「胸張るなよ。そんな子供じみたマウント寂しすぎるから。……じゃあもういいや。聞くの飽きたわ。最後に1個だけ聞く」
「なんなりと」
「契約するにあたって条件をつける。それを質問しない代わりに融通効かせてもらうよ」
「内容による、としか言えませんね。とりあえず仰ってください」
「まずひとつ。契約するにあたって、この体の主が結んでいた報酬は継続すること。ふたつめが実験の期間を設けること。みっつめが流血、切断等、死に直結しかねない実験はしない事。最後に、俺に銃を献上する事。この4つだ」
「………ふむ。ひとつずつ紐解いても宜しいでしょうか?」
1つ目は単純。この体の主の邪魔をしてしまったからこそ、最後までやり遂げてやりたいという俺なりの謝罪だ。いくら返したか分からないが、この身体が元に戻るまでは続けていきたい。
2つ目はシンプルに俺がこの世界を楽しみたいからだ。こんなファンタジー?異世界?みたいなところに来た以上、見てみたいと思うのは男の性。いや男だけじゃないとは思うが、何事も楽しんだ者勝ちってね。
3つ目もシンプルに痛いのが嫌だから。それに主の許可無く隻腕とか洒落にならんやろ。目覚めたら腕なかったー、。足無かったー、なんて怖すぎて俺なら狂っちまう。
4つ目はまあ何処で銃を購入できるか分からなかったからだ。こいつに言っときゃこの銃世界でやっていくには十分な代物くれるだろう。まあ生まれてこの方銃なんざ打ったこともグリップ握ったことも無いけどな。
「……成程、では私からも数点宜しいでしょうか?」
「なんだ?」
「1つ目はいいでしょう。ただし金額は少しばかり減らします。彼には毎日の研究という名目で今の額を払っていましたが、貴方は期間を設けると仰った。それ相応の額に変えさせていただいても宜しいですね?」
「構わねぇよ。金を払ってくれるなら」
「2つ目は構いませんよ。しかし3つ目には少し手を加えさせて頂きたい」
「言ってみ」
「我らが所属する組織側の明らかな殺傷行為等を防ぐ為ならそれで構いませんが、もし仮に貴方が負傷して流血した場合、その血液は採取しても構いませんか?」
「……まあそれならいいけど。意図的とか偶発的に起こすなよ?」
「分かっていますよ。しっかり心得ています。4つめに関しては、貴方今まで銃を撃った経験がおありで?」
「……全くない」
「ではこちらからは扱いやすい銃をお渡しします。それと幾つか小道具も。それで構いませんね?」
「……逆にいいのか?なんか俺有利な契約のような気がするが」
「今更ですか。しかし、貴方の身体を調べられるのなら安いものです。もう
まだ言ってよかったのか。まあすぐには思いつかんしこれでいいや。
「じゃあサインしマース」
「……クックックッ、これからよろしくお願いしますね。……そういえば、貴方をなんとお呼びすれば?」
あーそう言えば考えてなかった。どーしよっかなぁ。
「まあ
「では
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「では今の貴方について軽く調べてみましょう」
「調べる?何を?」
「簡単ですよ。今回はあなたの神秘量を計測してみます」
「そんなの量れるのか?」
「特殊な装置があります。前の人格の時との変化は貴方の身体に変化が起きているという事実を教えてくれます。超能力など、もしかしたら使えるかもしれませんね」
「神秘パネェ」
超能力って。中々オカルト臭強い展開だけど、此奴あんま嘘言わなそうだし。ほんとに使えるかもしれんな。
「ではベッドの上に寝転がってください。身体をスキャナーにかざしてみます」
「……痛いことすんなよ」
「子供ですか。いえ、子供でしたね。貴方の御年齢は存じておりませんが」
「子供馬鹿にすんな。嬉しい時は嬉しい。痛い時は痛いとちゃんと素直に言える大人とは違う無垢な存在なんだぞ」
「馬鹿にしてませんが?強いて言うなら、貴方の事なんですがね」
「いや俺も馬鹿にすんなよ」
いいから横になれと言わんばかりにグイグイ肩を押えつけてくる。地味に力強っ。
電子音と共に真っ白な筒状の機械が独りでにこちらに近づいてくる。えぇ……、自動で動くの?近未来過ぎない?その大きさなら移動できないんじゃないの?
ベッドごと筒状の機械の中をゆっくりとくぐっていく。MRI検査みたいな機械だな。……うぉ、こういうの苦手なんだよな。分かってはいるけど、食われるような気分になる。
「………ふむ。おや、成程成程……」
「……なんか、お前的に面白い結果が出たみたいだな」
「……ええ。結果的に言えば、
「……は?なんだそのざっくり結論」
もっとこう、あるだろ。数値に変化ありますよとか、分からんってなんぞや。
「過程を言うのであれば、神秘量を示す数値は変化していました。倍以上、数十倍にも膨れ上がっています。故に意味が分かりませんね、クックックッ」
「そんなお手上げ〜みたいに笑うなよ……」
「憑依したからといって、神秘量が増えるのは不自然です。それもここまで数十倍にも膨れ上がるのは。貴方の元いた場所は神秘が無かった世界。そんな世界から来た貴方が入り込んだ身体となれば、神秘量は変わらないか少なくなるとは思うのですが」
「研究者がそんな諦めムードでどーすんのよ。ノーベル賞狙って日々邁進しなよ」
「もしかしてさっきの事根に持ってます?根に持ってますよね?」
「で?分からないっていうけど、仮説とかはあるんでしょ?研究者さん」
「……ククッ、まあいいでしょう。ええ、1つ先程思い浮かびました。要は貴方が神秘量の増える何かをしたという事でしょうね」
「神秘量の増える事?」
「それは分かりません。ある条件を突破すれば、神秘量は変わるという推測データがあります。しかし、それが貴方なのかと言われると、正直難しいですね。覚醒、とは度し難い。最早生まれ変わったと言うべき域ですよ」
「じゃあ結論わからんと」
「仮定するにしても前例もありませんので。取り敢えずは、
……なーんかやけに引っかかるけど。俺にもさっぱりだし。この違和感を論破出来る教養を俺は持ってないので、仕方なく流す事にする。
「……まあいつかわかるだろ。この身体が元に戻るのが先か違和感が消えるのが先か。チキンレースだな」
「チキンなのは貴方の恐怖心では?」
「痛い事に怖がって何が悪いんじゃボケェ!!」
「今認めましたね?」
揚げ足取りやがってこの野郎……。何面白そうに笑ってんだこの野郎……。
いつか絶対ぶん殴ってやらぁ……。
「……さて、貴方を揶揄うのも一先ず置いておきましょう。真面目な話です」
「おい今までの話は真面目じゃ無かったのかよ」
「お黙りください。貴方の今後の話ですよ?貴方、これからどうされるのですか?」
「……ん〜、取り敢えず気ままに探検してみるかな」
「探検、ですか?キヴォトス全土を?」
「いや流石にそこまで規模はデカくない。まあ物見遊山程度に観ようかなって思ってる」
「……ふむ。しかしおひとりでは危険あるのでは?銃の扱いが不慣れな状態で歩き回るのはオススメしませんね」
「えらく優しいじゃん。裏があり過ぎて怖いどころかキショいぞ」
「私の善意をなんだと思っているんですか?契約した以上、研究対象である貴方に危険が及ぶのはこちら側としても避けたいのですよ。……いえ、貴方がそれでも構わないと言うのであれば構いませんよ?街歩く不良生徒達から発砲されて血塗れになろうとも、私としては故意ではない血液摂取が出来る訳ですから。私としてはとても有難いですね」
「ごめんなさい俺が悪かった許してください」
痛いのヤダ血流すのやだ怖いのヤダ。
銃なんて日常生活でも見る事なんぞ無い代物を、御丁寧に使い方実演しながら俺に向けてくるなんてありがた迷惑されたくねぇよ。不良生徒恐ろし過ぎる……。
「分かればいいのですよ。この場において、私の方が一歩上でしたね」
「大人の癖にマウント取るなよ。みっともねぇぞ」
「羽虫が何か言っていますねぇ。プンプン煩いのでこのまま外に放り出してしまいましょうか」
「ごめんなさいマジ勘弁してください」
「……クックックッ、素直は方は私好きですよ?」
「俺は嫌いだよお前の事」
こんな見た目変な大人そうそう居ねぇけど。幽霊かと思ったわ。
「では今日は大人しくしておいてください。明日そこら辺を含めて融通を効かせて見せましょう。楽しみにしていてください」
「……え、今日もう放置なんかよ」
「貴方との契約を遵守する為に色々とやらなければならない事があるのですよ。子供は大人しくしていてください」
「そんな手のかかる子供なのか俺は」
「わがままが多いですから。なんなら、痛い事でもしますか?」
「ざっけんな今すぐ俺の前から消えろ!!」
「クックックッ、本当に貴方は愉快な事で……」
全然展開考えて無いんですよね。曇らせ見てぇ………。