3日続いた雨は上がり。
雲ひとつない晴れ渡った青い空を。
翼状の長い袖を羽搏かせ、乾いた風と穏やかな陽を浴びて飛んでいく。
見つけた。
街の中心部に一際目立つ大きなドーム状の建造物。ウマシカ
そのライブ会場へ向かう長い列の人混みに3人の友達が並んでいる。そこへゆっくりと下降してふわりと着地すれば、
変身を解いて列に加わる。シンプルで動き易い服装はシスターが買ってくれたお気に入りの一着だ。本を読む梟のワンポイントが可愛らしい。
パンフレットを流し読みしながら3人との他愛もない会話で開場を待つ。そうやって過ごす時間はまだ慣れなくて少し気恥ずかしくて。楽しさを隠すためについつい目を逸らして手元の紙片に集中するフリをしてしまう。
これは良ろしくない。最高最強の怪人だったボクは、魔法少女になっても究極無敵であるべきだ。戦う前から逃げ出すつもりはない。
中身をすっかり覚えてしまったパンフレットはショルダーポーチに仕舞い込む。顔を上げ胸を張り、ボクは不退転の覚悟を持って3人と対峙する。
そして、獅子丸アキラの全力全開に輝く笑顔がボクを迎撃した。
ーーいや、負けてないが?
臨海地区、悪の本拠地。暗渠の大霊脈。
あの日の戦いは
それは楽な戦いではなかった。
なにしろお爺ちゃんは究極結晶を使い熟して4対1を渡り合っていたし、魔法少女になったとはいえボクはお爺ちゃんを傷つけたくはなかったのだ。
だから、究極結晶の魔力を使い尽くさせる戦いを選んだ。結晶が空になってしまえば大霊脈に衝突させる起爆剤には役立たない。お爺ちゃんの目的は阻止できる。それは長く苦しい消耗戦の選択だったけれど、3人の魔法少女はボクと一緒に戦ってくれた。
やがて、夜も明けようかという頃。許容できる魔力量の下限を察知したのだろう、お爺ちゃんが強硬策に打って出た。防御を捨てて遮二無二突破を図るお爺ちゃんに、既に疲れ切っていたボクたちは隙をつかれた。
あわやというところでお爺ちゃんの行く手を遮ったのは、驚いたことに悪の女首領だった。
「ワタクシが征服するこの街を破壊するなど!そのような身勝手!!決して!!!許しませんわ!!!!」
覚悟なさい、と声高らかに最後の怪人を伴って立ち塞がる勇姿は中々に決まっていた。あっという間に倒されてしまったけれど、その僅かな時間がこの戦いの決め手になった。
そして炎と、水と、雷と、夜とが混じり合う極光の奔流が撃ち出された。合体魔法だ。合体魔法はビームなのだ。その輝きにお爺ちゃんは押し流され、究極結晶はバラバラに砕け散って暗渠の天蓋とともに空の彼方まで吹き飛ばされていった。
仰向けに倒れたお爺ちゃんは、大きく開いた天蓋から夜明け前の曖昧な空をじっと見上げていた。お爺ちゃんは敵になったボクを怒らなかった。お爺ちゃんの願いを妨げたボクを罵らなかった。
ただ最後に『我儘娘め』と呟いたお爺ちゃんの声は優しかった。
結果だけ言うと、お爺ちゃんは諦めなかった。マッドサイエンティストは一度や二度の失敗程度ではへこたれないのだ。ただ、その方法論には大きな修正が加えられた。それは破壊を伴う一度きりの次元跳躍ではなく、安全に何度でも行き来できる完璧な次元跳躍を目指すというものだ。
あの極光の奔流の中でお爺ちゃんはその可能性を見たらしい。もちろん、ボクも協力している。ボクが魔法少女になったことで使える魔力はほぼ無尽蔵になったのだ。いずれこの研究は完成するだろう。そうしたら、地球の星座を見て教えてもらうつもりだ。楽しみだな。
案内された席で待つことしばし。
ライブ会場が暗転し、観客が声を潜めた。静けさとは違う。高まる期待が音もなく会場に満ちていく。その決壊の直前を見計らったようにスポットライトがステージを照らし出した。
そこには
中央に立つのはド派手に真っ赤な軍服風ドレス。巻き巻きの金髪はツインテールドリルに。その頭には一対のツノが雄々しく聳える。性別不詳のシカ娘。あれはリーダーの赤い奴だ。生きてたのか。
真っ赤な鞭を振るって色違いの4体を従えている。
ライブ会場は音曲と歓声が渾然一体となった狂騒に包まれたのだった。
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「今度のお休みですか?はい!空いてますよ!!旅行ですか!!!行きます!!!!」
「せめて行先は聞きなさいよ、まあ予想はつくけど」
「え、それってもしかしてぇ・・・?」
「うん、
ー終わりー
最後まで読んでいただきありがとうございました。
勢いと思いつきで書き殴った作品なので粗ばかりですがお暇つぶしになれたのであれば幸いです。次は突貫工事ではなくもう少し時間をかけつつ二次創作などしてみたいなと思っています。ご縁があればまたよろしくお願いします。
感想などはお気軽に残していってください。
ありがとうございました。