全知は距離を詰められない   作:甘さかな

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甘さかなの処女作です。

この作品はブルーアーカイブの二次創作であり、ミレニアムサイエンススクール3年生、明星ヒマリのラブストーリーとなっております。

それではどうぞ。


1話

 

 

 

「………今日も平和ですねぇ…」

 

 

 

ミレニアムサイエンススクール自治区のとある公園で晴れ渡った空を見上げながら、一人つぶやく少女が居た。

 

 

彼女の名前は明星ヒマリ。自称超天才清楚系病弱美少女ハッカーその他諸々。

 

ミレニアムサイエンススクール3年生で特異現象捜査部部長であり、ミレニアムにおいての最高学位「全知」の所有者。

 

今日は今いる公園から微弱ながら奇妙な電磁波が観測されたので興味本位で散歩がてら足を運んできたのだ。

ちなみにエイミはセミナーの要請で出張中。

 

しかし電磁波の原因は故障したゴミ収集ロボットで、それをさっさと修理してしまいやることがなくなって途方に暮れたヒマリは一人、ぼーっと感傷に耽っていた。

 

空が赤く染まり、キヴォトスに未曾有の危機が訪れてから随分月日が流れた。

 

あの時、キヴォトス中が手を合わせ「奇跡」を引き起こした。そしてキヴォトスは守られ、今や戦跡は跡形もない。

 

 

 

「改めてみるととんでもない事をやってのけたんですねぇ…」と、ボソッと彼女は呟いた。

 

 

 

その後ハッと我に帰り

 

 

 

「ま、まぁ?あんな事このミレニアム最高格の天才美少女ハッカーの私にかかれば造作もない事ですが?」

と、誰に言い訳するわけでもなく口走った。独り言で自画自賛をよくするのはヒマリの癖である。

 

 

 

 

ピトッ

 

 

「ひゃい‼︎」

 

 

 

 

突然頬に当たった冷たいものにヒマリは素っ頓狂な声を上げた。

 

思いの外大きな声が出てしまい顔が熱を帯びるのを感じながら、頭ではなんとなく分かりつつ振り返る。

 

 

 

「…先生……」

 

 

 

「や、ヒマリ」

 

「そんな声どこから出してるんだい?」

 

案の定、立っていたのはにこやかに冷たいお茶を差し出しているシャーレの先生だった。

 

そういえば飲み物を持ってくるのを忘れていた事に気づき、黙って受け取る。先生に自分の変な声を聞かれてしまい逃げ出したくなる気持ちを抑えつつ、多少強気になってヒマリは言い返す。

 

 

 

 

「…知りません!先生の聞き間違いではないでしょうか?」

 

 

 

勿論聞き間違いなはずがないので、話題を逸らそうとする。

 

 

 

 

「そんな事より先生、お昼間からこんな公園で何をされているのですか?」

 

 

「あぁ、私はただの奉仕活動?的なやつだよ。」

 

 

「奉仕…活動?」

 

 

「この前ここを通りかかったときこの公園を見かけたんだけど結構荒んじゃってたんだよ」

 

「話を聞いてみたらここいらの住民の方はみんな高齢の方らしくてこういう公共の場まで整備が行き届いてなかったらしくて」

 

「ミレニアムの自治区だけどこういうことは慣れてるし、許可を取ってシャーレが清掃を引き受けることにしたんだ。」

 

 

 

「なるほど…そういう事ですか」

 

「そういう事ならうちの学校に問い合わせてくだされば良かったのに…」

 

 

 

「まぁまぁ」

 

「気になっちゃってたからさ、私から言い出した事なんだし」

 

 

 

 

こんな事を生徒の知らないところで淡々とやっているのだ、この人は。

 

私が知らないところで、知らない人のために汗を流しているのだ。

 

私が、知らないような。

 

だから私は。

 

 

 

「ところでさヒマリ」

 

 

 

 

ーーーーーー⁈⁈⁈

 

私は今何を…?何を考えようとしていたのでしょうか⁈⁈

 

 

 

「ヒマリ?」

 

 

 

そんなこと…そんなことこのミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリが思うわけありません!えぇそうですとも!なんて言ったって私はミレニアムの清純派超天才美s

 

 

 

「ヒマリ?聞いてる?」

 

 

「ひゃいいぃぃっっ‼︎/////」

 

 

「ほんとにその声どっから出してるの…」

 

 

流石の先生も二度目は面食らってしまったらしい。

 

 

 

「す、すみません先生スコシカンガエゴトヲ」

 

「そッそれで?何でしょうか?」

 

「ここに故障したゴミ収集ロボットがなかった?直せるかなと思ってシャーレに工具取りに行ってたんだけど…」

 

 

 

目をやると先生の手には不器用ながらも使い込まれた工具箱があった。

 

 

 

「あぁ」

 

 

 

落ち着きを取り戻したヒマリはクスリと笑い

 

「あのロボットならこの私が直しておきましたよ?」

「そうでしたか、ちょうど良かったです。先生のお役に立てたようで」

 

 

 

そう言うと先生はちょっと驚いたみたいだった。

しかしすぐいつもの笑顔になると

 

 

 

「そうだったんだ、ありがとう。ヒマリ。」

 

 

 

と言った。

普段あまり外には出ないヒマリだが、こんな事があるなら偶には日の下に出てみるのも良いかもしれない。そう思った。

 

 

 

「ヒマリは優しいね。」

「いつも頼りにしてるよ。」

 

 

 

「そッそうでしょう?やっと先生もこの私、明星ヒマリの素晴らしさに気付きましたか?全く先生は…」

 

 

 

「ヒマリ、」

 

「は、はい?」

 

「ホントだよ?」

 

「………えぇ」

 

私もですーーーとは言えない。何故なら私は明星ヒマリだから。

超天才で、清楚系病弱美少女で、ミレニアム最高学位「全知」だから。

だから…私はこの方に。

 

 

 

「あのさヒマリ」

 

 

「はい?どうしました先生?」

 

今度は口調はブレずに済んだ様だ。

 

 

先生はヒマリの後ろ側に回り込んで車椅子をチョンチョンと指差すと言った。

 

「これ、私に押させてくれない?」

「ちょうどミレニアムでやり残した用事を思い出しちゃって、さ」

 

 

「え?…しかし先生には用事が」

 

 

「だ〜か〜ら、今、思い出したんだよ」

「ダメ?」

 

 

本当にこの人は…

 

ヒマリは浅い溜息をつくと

 

「…分かりました、行きましょう」

「な、なるべくゆっくり、押してくださいね?///」

 

そう言うと車椅子のスイッチを切り替えた。

 

 

「はいはい、言われずとも」

 

 

ゆっくりと、心地よい速さで進み出した車椅子と顔に当たる風を感じながらヒマリはこの瞬間が終わらなければ良いのに、そう思った。

 

 

 

 




コメントしてくれると励みになります。

ヒマリ推しの先生に届いて欲しいです。

ではまた。
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