【TS】弱小国の王女に転生してしまいましたわ!   作:まさきたま(サンキューカッス)

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97話「てめぇらの血は何色だァ!!!」

 

「おお、リシャリ。戻ったぞ」

「おかえりなさいませ、父上」

 

 俺の帰国から、およそ一か月後のこと。

 

 前線から兵を退き上げ、サリパ国王が王宮に戻ってきた。

 

「ジャルファ王子は、約束を守ってくれた。三領の領主が揃って、ヤイバン王に挨拶に来たよ」

「おお!」

「略奪や虐殺を行わない限り占領を受け入れる、とさ。お陰でサリパ軍も、撤退許可が下りた」

 

 ジャルファ王子が提案した『三領の割譲』は無事、履行されたそうだ。

 

 それでヤイバン王は約束を守り、侵攻停止を宣言した。

 

「これで戦費が大幅に浮いた。これからは……」

「内政に力を入れる期間ですわね」

 

 国王はガハハと笑った。講和が成立したことで、一番得をしたのはサリパだ。

 

 今サリパには、ジュウギという技術の起爆剤がいる。

 

 ここから内政に注力できれば、独り勝ちの形になるだろう。

 

「で、だ。リシャリ、ドラズネストではどんな話になった?」

「メウリーンさんは、自治権の維持とタケルと縁談を求めていましたわ」

「なるほど、まぁ想定通りだな」

 

 そして俺は、ドラズネストでの対談内容を報告した。

 

 メウリーンさんの一族の過去と、タケルへ求婚したことなどを。

 

「タケルとメウリーンの縁談には、国王として異存はない」

「父上も、そうお考えですか」

ある条件(・・・・)さえ飲んでくれればな」

「ある条件、ですか。メウリーンさんを側室にする、とかですか」

「ん? まぁ、それは必須だが」

 

 ルゥルゥ姉上の考え通り、国王(ちちうえ)はタケルの結婚を認める方針だった。

 

 ただ姉上の読み通り、『側室として』という条件が付くみたいだ。

 

「他にも条件がありますの?」

「当り前だ。まさかリシャリ、分からんのか?」

 

 ただメウリーンの結婚には、他にも条件があるらしい。

 

 ……何だろう。さっぱりわからん。

 

「そうだな。リシャリ、この縁談をお前はどう考える?」

「まずはタケルの、意志を聞こうとは思ってます」

 

 だが一番大切なのは、当事者の気持ちだ。

 

 すなわちタケルがどう考えるか、これに尽きる。

 

「そうだな、それも大事だ。タケル君もまもなく帰国するだろう、意志をよく確認すると良い」

「はい、了解いたしました。ですが、その件で少し悩んでいるのですわ」

「ほう、何を悩む?」

 

 ただ問題になってくるのは、タケル好きガールズのことだ。

 

 タケルに彼女たちと向き合う時間を与えてやりたいが、その手段が分からない。

 

 国王に相談してみろ、と言われたが……。

 

「ポーリィさんやレヴィさんなど、タケルに想いを寄せている者は多くいます」

「おう」

「その辺のバランスをどうとるか、悩んでおります」

 

 果たしてこのノンデリ親父に、まともな回答が期待できるだろうか。

 

 恋愛沙汰の機微が、この男に分かるとは思えないんだが。

 

「……ふぅむ」

 

 相談を聞いた国王(ちちうえ)は、少し考え込む様子を見せた。

 

 俺はごくりと唾を飲んで、彼の答えを待つ。

 

 果たして、その返答は……。

 

「はぁ~……」

「ち、父上?」

 

 何故か、ため息だった。

 

「リシャリ、これは確認なんだが」

「はい」

「お前はタケル君を、何とも思っておらんのか?」

「はあ」

 

 国王は続けて、姉上と同じような質問をしてきた。

 

 その問いに対する答えは決まっている。

 

「タケルは可愛い臣下です、それ以上でも以下でもありませんわ」

「……」

「父上が結婚せよと命じるなら嫁ぎますが」

 

 俺の縁談は、国が上手に使ってくれればいいのよ。

 

 誰に嫁ごうと、相手に満足してもらえるよう尽くすのみ。

 

 だってそれが、俺の生まれ持った役割。

 

「はぁ~……」

「なんでため息を吐くんですか」

 

 そんな俺の王族として百点の答えを聞いて、国王はため息を吐くばかりだった。

 

 何だよ、別に間違っていないだろ。

 

「リシャリ、お前のその在り方は正しい。だが足りない」

「父上?」

 

 どうやら先ほどの回答は、国王的には不合格らしい。

 

 ……何がおかしいっていうんだ?

 

 婚約に私情を挟まないのが、王族としての正答のはずだ。

 

「よし、決めた。リシャリ、お前に試練を与えよう」

「試練、ですか」

 

 国王の考えが分からない。

 

 何を言いたいのだろうかと、首を捻っていると……。

 

「このタケル君の縁談の采配、お前に任せる。俺から命令しない」

「私が、タケルの縁談を?」

「お前の見つけた騎士だ。それくらい責任を持ちなさい」

 

 国王は厳しい顔で、俺にそう申しつけた。

 

 タケルの縁談を、俺の責任で纏めろってこと?

 

「そして、タケル君にとって幸せな結果を導くこと」

「もちろんですわ」

「それが出来たなら、お前を一人前と認めてやろう」

 

 どうして国王が、そんな試練を言い渡したかは分からない。

 

 だけど、タケルに幸せになってほしいのは俺も同じだ。

 

「分かりましたわ! このリシャリ、タケルの幸せをサポートして見せますわ」

「うむ」

「そして一人前と認めていただきましょう」

 

 俺はたしかに凡人だが、社交技術だけは自信がある。

 

 こういう縁結びは、むしろ得意中の得意。

 

「タケル君が戻ってきたら、お前の部屋に行かせる」

「はいですわ」

「俺からはタケル君に、『メウリーンと婚約するための条件』は話しておく。それを聞いたうえで受けるかどうか、相談に乗ってやれ」

「はいですわ!」

 

 国王はそう言って、まっすぐに俺を見つめた。

 

 縁談の決定権まで渡されたのは意外だったが、任されたならやるのみ。

 

「タケルは私の手で幸せにして見せますわ!!」

 

 待っていろタケル、お前の幸せを俺が導いてやるからな。

 

 

 

 と、言う訳で。

 

「料理は……ヤイバン系がいいでしょうね。後は、場を盛り上げる音楽隊の手配と……」

 

 俺は出来る限りの準備を整えて、タケルの帰還を待つことにした。

 

 メウリーンと婚約をすることになろうがなかろうが、どちらにも対応できる準備を整えた。

 

「そうだ。近衛軍の面々にもご褒美を用意しておかねばなりませんわ」

 

 また活躍してくれたリシャリ近衛軍にも、ご褒美を用意しておく必要がある。

 

 一般兵士には勲章とかを用意しておこう。

 

 幹部クラスには……イースさんは貴重な本、シガレットは料理道具とかが良いだろう。

 

 ……ベルカやルリちゃんって、何を渡せば喜んでくれるのかな。

 

「リシャリ様。近衛軍は来週に、首都へ帰還されるようです」

「了解ですわ。兵舎に料理を用意して、出迎えましょう」

 

 活躍した部下を労い、報酬を用意するのが上司の仕事。

 

 ちょっぴりお財布が寒くなるが、ここで出し惜しんではいけない。

 

 王族にとって、臣下からの信頼に勝る宝はないのだから。

 

 

 

 

 翌週。聞いていた通り、リシャリ近衛軍が首都に凱旋してきた。

 

「リシャリ様、帰還しました」

「おかえりなさい、シガレット」

 

 リシャリ軍は、サリパ軍の中でとくに大きな戦果を上げた。

 

 名前を貸しているだけなのに、俺まで誇らしい気持ちだった。

 

「私が助かったのはシガレットのおかげと聞いています。よく頑張ってくれましたわ」

「俺、料理人じゃなくてほぼ俳優やってたんスけど……」

「良い演技だったと聞いていますわ。こちらご褒美です、特別な刀匠に作らせた包丁ですの」

「お、おお! いいんですか、ありがとうございます!」

 

 初めて会った時は甘ったれな雰囲気があったシガレットも……。

 

 戦場で揉まれたのか、どこかワイルドな雰囲気になっていた。

 

「一日千秋! このイース、無事サリパ図書館に帰還いたしました!」

「すでに図書館が家なんですね。はい、こちらご褒美の『デケン漫遊記の原本』ですわ」

「ふぉぉぉぉぉおぉぉおおお!!」

 

 一方でイースさんは相変わらずであった。

 

 彼女はベルカの秘書として、事務仕事を大いに支えたという。

 

 ベルカ曰く、影のMVPだそうだ。

 

「ただいま帰還した、リシャリ殿下」

「ただいま」

「おかえりなさいですわ、ベルカにルリちゃん」

 

 そして勝利の立役者ベルカは、飄々とした態度で挨拶に来た。

 

 ベルカは少し髪と髭が伸びて、『参謀』っぽい雰囲気になっていた。

 

「見事な指揮でした、ベルカ。貴方が旗下にいてくれて、心底感謝していますわ」

「そう言って頂けると頑張った甲斐があった。もしや(おのず)らも、褒美をもらえたりするのか?」

「もちろん」

 

 正直、ベルカやルリちゃんに何を渡せばいいのか難しかったが……。

 

 君主が部下に与えて喜ばれそうなものと言えば、やはりこれだろう。

 

「王宮付近に、邸宅を用意しましたの」

「家をもらえるの!?」

「ええ、ルリちゃん。貴女とベルカの愛の巣ですわ」

「やった!!」

 

 今までベルカもルリちゃんも、兵舎で宿泊して生活していた。

 

 だけど二人はラブラブなので、ちゃんとした邸宅も必要だろう。

 

 なので、使っていない貴族邸宅を買い取って与えたのだ。

 

 ……手痛い出費だったが、ベルカの活躍を思えば安いくらいである。

 

「あれ、お気に召しませんでしたか?」

「い、いや。有難い……ぞ」

 

 そんな俺からのプレゼントを聞いて……。

 

 ルリちゃんは手放しに喜んだが、ベルカは顔を青くしていた。

 

 ん、なんでちょっと困ってるんだ?

 

「これから兄さんと、一緒に暮らせるね」

「……そうだな」

 

 ルリちゃんは満面の笑みで、そうベルカの腕に抱きついた。

 

 ……気のせいか、捕食者の目をしているように見えた。

 

 よし、気が付かなかったことにしよう。

 

 

「……あ、リシャリ様」

「おかえりなさい、タケル」

 

 そして最後に、挨拶に来たのはタケルだった。

 

 どうやら国王と少し話をしてから、ここに来たらしい。

 

「無事に戻ってきてくれて、嬉しいですわ」

「え、あ、その。ありがとう、ございます」

 

 今回、デケン軍を撃退して国を守ったのはベルカだ。

 

 しかしアイギスランドで、俺を守ってくれたのはこの男。

 

「タケル、父上と話をしてきたようですね」

「は、はい!! ですが、その」

「縁談の話は聞きましたか?」

「……っ!! き、ききき、聞きました」

 

 そんな勇敢な男が、耳まで真っ赤に染め上げていた。

 

 この初心(ウブ)な男があんなに強いのが、不思議でならない。

 

「では、早速お話をしましょう。ちょっとお部屋に来ていただけますか」

「え、あ、ははぁ!」

 

 俺がタケルに与えられるのは、『最高の縁談』を用意してやること。

 

 このメウリーンとの縁談を、彼はどう受け止めているのか。

 

 タケルにとって幸せな結果になるよう、見極めなければならない。

 

 

「お邪魔、します」

 

 部屋に入ってきたタケルの顔は、真っ赤であった。

 

 国王から急に縁談を聞かされて、困惑しているのだろう。

 

「長い前線勤め、ご苦労様でしたわ」

「は、はいっ、光栄です! といっても、ほとんどベルカさんが」

「アイギスランドで、私を守ってくれたのは貴方でしてよ。タケル」

 

 だが、別にタケルが照れていようと関係ない。

 

 サリパ最強の竜神殺しタケルの縁談は、国の未来を左右する。

 

「貴方と出会えたのは、私に取って最高の幸運でしたわ」

「リシャリ様……」

 

 メウリーンとタケルの相性が良ければ、すぐ婚約させられる。

 

 だがその前に、タケルの気持ちを整理せねばならない。

 

「それで、その、リシャリ様」

「はい、何でしょうか」

「こ、国王様から、お話を聞いたのですが。ぼ、僕に、縁談が、その」

 

 タケルの顔は、挙動不審なほど紅潮していた。

 

 こういう話が、得手な男ではないのだろう。

 

 ただでさえ、メウリーンからの好意は激烈だったからな。

 

「ドラズネスト領主、メウリーン。彼女のことは覚えていますわね」

「は、はいっ」

「今回の縁談は、彼女の熱望ですわ。気に入られたようですね、タケル」

 

 だが留意しろ。『照れ』と『好意』は別物だ。

 

 照れているからと言って、メウリーンが好きとは限らない。

 

 彼の本心を、的確に見抜かなければ

 

「そ、その。僕は、あまり、メウリーンさんのことをよく知らなくて」

「そうでしょうね、話す機会も少なかったでしょうし」

「ぼ、僕でいいんでしょうか」

「貴方が良くなければ、彼女から縁談を熱望したりしませんわ」

 

 やはりタケルの自己肯定感は、高くない。

 

 僕なんかでいいんだろうか、という卑屈な心の声が聞こえてくる。

 

「自信を持ちなさいタケル。貴方は、サリパの英雄なのですよ」

「え、ええっと」

「もっと自信満々に、こうお考え下さい。選ぶのは貴方(タケル)の方だ、と」

「そ、そんな思い上がった考えできません!」

 

 だが、俺から見てタケルはとても良い男だ。強くて誠実、嘘はつかない真っすぐな性根。

 

 むしろメウリーンにくれてやるのがもったいない、くらいの気持ちである。

 

「その、リシャリ様」

「何でしょうか」

「リシャリ様は、今回の縁談をどう思われているのでしょうか」

 

 やがてタケルは恐る恐る、怖がるように。

 

 俺の目を見て、そんなことを聞いてきた。

 

「私がこの縁談をどう思うか、ですの?」

「は、はい」

 

 む、考えていなかった質問を突かれてしまった。

 

 俺がこの縁談をどう思っているか、か。

 

「私はタケルのことを、とても大切に思っていましてよ」

「ええっ……」

「だから、メウリーンさんと婚約してしまったら寂しいですが」

 

 本音を言えば、俺はタケルを手放したくない。

 

 しかしそれは、タケルの人生を俺に縛り付けることになる。

 

「これは、今生の別れという訳ではありません」

「……」

「タケル、自分に正直になりなさい。貴方がどんな道を選ぼうと、私はずっと味方ですわ」

 

 そう言って、なるべくタケルを心配させないよう。

 

 俺はタケルの手を取って、王女微笑み(プリンセスマイル)を向けた。

 

「その、リシャリ様」

「何でしょう?」

 

 そんな俺の台詞を聞いて、タケルは……。

 

 すん、と。とても冷めた顔になっていた。

 

 あ、あれ?

 

「もしかして、リシャリ様は」

「はい」

「僕の、婚約の条件を聞いてらっしゃらない……?」

 

 タケルは何をそんなに冷めているんだ。

 

 タケルがメウリーンと結婚する条件って側室ってだけじゃないの?

 

 いや、もう一個条件があるって言ってたな。それは何だ……?

 

「国王様は、その……」

 

 俺の脳裏に、いくつもの疑問符が浮かび上がる。

 

 そんな俺を前に、タケルは遠慮がちに……。

 

「リシャリ様を正室に、メウリーンさんを側室にと……」

「ファッ!!?」

 

 

 

 

 

『実はサリパは、ラシリア王国とドラズネストを併合することになった』

『おお、おめでとうございます』

『ただどちらも自治を希望していてな』

 

 タケルは王宮で、併合の話を聞かされたそうだ。

 

 これからラシリア王国とドラズネストを、サリパに迎え入れると。

 

『どちらの領とも、血のつながりを作っておきたい』

『は、はい』 

『そしてラシリア王国にはもう、俺の血が入っている』

 

 ただどちらの領土も、サリパと繋がりが薄い領土だ。

 

 支配を盤石にするには『統治者と血縁を結ぶ』ことが重要となる。

 

『ドラズネストにもサリパの血筋を入れたい。だから、ジケイにメウリーンを娶らせようと考えていたが』

『はぁ』

『だがメウリーンはジケイではなく、君との縁談を熱望している』

 

 当初国王は、ジケイとメウリーンの婚約を進める予定だった。

 

 しかしメウリーンは、タケルとの婚約を熱望している。

 

『では、僕はどうすれば?』

『実は、良い折衷案があるのだ』

 

 そこで国王は、メウリーンの希望に沿いつつも。

 

 ドラズネストに、サリパの血を入れる方法を思いついた。

 

『タケル君がサリパ王族を娶り、メウリーンを側室にするのだ』

『そ、それは!』

『しかしルゥルゥは、ロウガ・スピオと縁談を進めていてな。リシャリしか空いていない』

『リシャリ様……っ』

 

 それはドラズネストにサリパの血筋を入れる、もう一つの方法。

 

 メウリーンはタケルと結婚出来て、かつ連合がサリパの血筋で統一できる道。

 

『君がリシャリを正室として娶る。これがメウリーンの婚約を受ける条件だ』

 

 俺がタケルの正室となり、メウリーンを側室にすること。

 

 それがタケルとメウリーンが結ばれる、唯一の方法。

 

『そんな話、リシャリ様は、どうお考えになるでしょうか』

『さあな。今から、君が確かめると良い』

 

 そして国王はニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべて。

 

 そのままタケルを、俺の部屋に向かわせたのだった。

 

 

 

 

「……」

「やはり、リシャリ様は聞かされていなかったのですね」

 

 ふふ、ふふふ。ああ、そうか少し考えれば分かる話だった。

 

 龍神殺しタケルを、地方領主の婿にあてがうなど勿体なさすぎる。

 

 だがドラズネストを統治するため、血筋を混ぜるのなら良い縁談の使い方だ。

 

「それで私にタケルの縁談の決定権ですか。なるほどなるほど」

 

 妙だと思った。たかが一介の姫に、国一番の戦士の縁談を任せるなんて。

 

 縁談に俺も含まれるから、俺に決定権を与えたワケか。

 

「国王様の雰囲気から、そんな気はしていたのですが」

「ふふ、ふふふふふ……」

「どうしましょう、リシャリ様」

 

 サリパ連合の話が出た時点で、こうなる可能性に気付くべきだった。

 

 血縁とは、縁談とは、こういう場合(ケース)で使うのだ。

 

「僕はもちろん、リシャリ様の本意ではない縁談を進める気などありません」

「……」

「どうぞ、ご自由に行動なさってください」

 

 ちょっと考えたら分かるだろ、か。

 

 なるほどな。おっしゃる通りだわ父上。

 

「ふふふふふ、ありがとうですわタケル。では私に、ついてきてくれますか」

「リシャリ様?」

 

 俺は微笑みを浮かべたまま、タケルの手を握った。

 

 そして、ゆっくりと椅子から立ち上がる。

 

「では王の間に、カチ込み伺いますわよ」

「リシャリ様!?」

 

 そっかー。そうかそうか、つまり君たちはそういうやつなんだな。

 

 あのノンデリ国王は、わざと説明しやがらなかったんだな。

 

「ちょ、おち、落ち着いてくださいリシャリ様」

「ふふ……ブチ切れそうでございますわ……」

 

 てめぇらの血は何色だァ!!!

 

 

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